仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム   作:ロンギヌス

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すいません遅くなりました。

プロットが上手く纏まらず悩んでいた中、見に行った『ジャマト・アウェイキング』がとても面白く、それに夢中になって執筆が全く進みませんでした←

そんな言い訳はさておき、ようやく28話の更新です。

今回はギーツ本編には登場していない、新たなレイズバックルが登場します。
と言っても、完全な本作オリジナルという訳ではなく、ちゃんと元ネタが存在するバックルになっています。

それではどうぞ。













・主なプレイヤー

瑠璃川四葉/仮面ライダーラミア
今井透/仮面ライダートゲッチ
石村火炎/仮面ライダーリザ
猿山信吾/仮面ライダーヒヒ
朝霞夢乃/仮面ライダーツッキー
五十鈴大智/仮面ライダーナッジスパロウ
浮世英寿/仮面ライダーギーツ

参加人数:32名

現在生き残っている人数:5名









第28話:信じるべきか否か

大鬼ジャマトの出現により、ブートンこと杉村哲夫が退場させられる事となったかくれんぼゲーム。

 

その難易度の高さを身を以て思い知らされる羽目になった、ラミアとツッキーの2人はと言うと……。

 

「いっ……!!」

 

「我慢しろ。すぐに終わる」

 

大鬼ジャマトの攻撃で中庭まで吹き飛ばされた後、中庭に存在する迷路のような庭園にて身を潜めていた。

 

庭園でも数体の小鬼ジャマト達が巡回している中、変身を解いた四葉と夢乃は草木による高い壁を利用し、小鬼ジャマト達を上手くやり過ごしている。

 

「ほら、終わったぞ」

 

「あ、ありがとうございます。手当てまでして貰っちゃって……」

 

「気にするな。貴様が前に出たおかげで、私の方は軽傷で済んだ」

 

大鬼ジャマトが金棒の一撃で、ラミアとツッキーを殴り飛ばした時の事。

 

この時、ラミアよりも身体が前に出ていたツッキーは、ゾンビブレイカーだけでなく左手のバーサークローも使って防御姿勢を取った事で、大鬼ジャマトの攻撃によるダメージをいくらか軽減する事ができた。

 

それでも夢乃が負ったダメージは決して小さくなく、左腕の前腕部分が酷く腫れ上がるほどの怪我を負ってしまったため、四葉はニンジャデュアラーで細かく切り刻んだ角材を添え木に使い、夢乃に応急処置を施した。

 

「その腫れ具合だと、骨に罅が入っている可能性がある。ジャマトとの戦闘は避ける事だな」

 

「まぁ、そうなりますよね……」

 

「……すまない」

 

「え?」

 

夢乃に対して頭を下げる四葉。

 

それを見た夢乃は驚いた。

 

「あの時、貴様が私を庇って前に出た事で、貴様はそれほどの傷を負い、小判まで奪われてしまった」

 

四葉の言葉通り、夢乃は現在、首元に小判のペンダントを吊り下げていない。

 

大鬼ジャマトの金棒で吹っ飛ばされた際に、彼女の首から小判のペンダントが外れてしまったのだ。

 

「い、いえ、気にしないで下さい。私が勝手にやった事ですから」

 

「それでもだ。貴様が取られた小判は、私が奴から取り返す。それが私にできるせめてもの詫びだ」

 

四葉自身、ただ謝罪するだけで終わらせるつもりはなかった。

 

大鬼ジャマトに奪われた夢乃の小判は、自分が必ず取り返す。

 

そう意気込んでいた四葉を、夢乃は少し驚いた様子でジッと見つめており、その視線に気付いた四葉が呼びかけた。

 

「……? どうした、私の顔に何か付いているのか?」

 

「え? あ、あぁいえ。少し意外だなぁと思って」

 

「何がだ?」

 

「だってほら、英寿さんに対しては凄い敵意剥き出しだったので、他のライダーに対しても同じなのかなって思って。信吾さんの時も、思いっきり殴り飛ばしてましたし……」

 

四葉は今現在も、英寿の事は強く敵視している上に、2回戦では「放置しておくと後々厄介」という理由で殴り飛ばしている。

 

故に、四葉は他のライダー達の事も敵視していると思っていた夢乃は、四葉が素直に謝罪してきた事が意外に感じていた。

 

「……私とて、恩を仇で返すほど薄情になったつもりはない。まぁ確かに、私にとって浮世英寿は敵であり、ヒヒのようなどうしようもない馬鹿は早急に潰すに限るが」

 

「えっと……四葉さんは、どうしてそんなにも英寿さんの事を?」

 

四葉の英寿に対する敵意は、傍から見たらとても普通の物ではない。

 

何故そんなにも、彼女は英寿の事を嫌っているのか。

 

その理由を、四葉は手に持っているニンジャバックルを見つめながら語り始めた。

 

「私には、とうしても会わなければならない男がいる」

 

「会わなければならない男……?」

 

「あぁ。私の恋人だった男だ。それがある日突然、私の前から姿を消した」

 

話をしている間、四葉はニンジャバックルを握り締める力が無意識の内に強くなり、目付きも鋭くなっていく。

 

「じゃあ、その人を探し出すのが、四葉さんの願い……?」

 

「……私はあの男を見つけ出す。そのためには、何としてでもデザ神の座を手にする必要がある。もうこれ以上負け越す訳にはいかない。特に浮世英寿、あの男にだけは絶対にな」

 

「なるほど、だから英寿さんの事をあんなに……」

 

「浮世英寿、奴は心の底から忌々しい男だ。貴様も見ただろう? 奴のあの余裕ぶった顔を。見るたびに私は奴を殴りたくて堪らなくなる」

 

「は、はぁ……」

 

あれ、これひょっとして私、愚痴を聞かされてる?

 

かなり苛立った様子で愚痴を零し続ける四葉に、反応に困った夢乃は苦笑いを浮かべる事しかできない。

 

あぁ、この人もこの人で色々苦労しているんだなぁと、そう思わずにはいられない夢乃だった。

 

その時……。

 

 

 

 

 

 

ボガァンッ!!!

 

 

 

 

 

 

「「―――ッ!?」」

 

「ベテツームキョトビ……!!」

 

2人が身を潜めていた中庭のレンガの壁が、轟音と共に破壊される。

 

壁の壁が穴からは、大鬼ジャマトは金棒を引き摺りながら姿を現し、その後ろからは複数体の小鬼ジャマト達も飛び出して来た。

 

「スワスル―ッ!!」

 

「「「「「ジャジャーッ!!」」」」」

 

「ッ……私が奴らを引き付ける!! 朝霞、貴様は下がっていろ!! 変身!!!」

 

≪SET≫

 

≪NINJA≫

 

≪READY FIGHT≫

 

「えっ、四葉さん!?」

 

夢乃が呼び止める前に、四葉はラミア・ニンジャフォームに変身して小鬼ジャマト達と戦闘を開始。

 

小判のペンダントを奪おうと迫り来る小鬼ジャマト達を、ラミアはニンジャデュアラーで擦れ違い様に次々と斬り裂いていく。

 

その光景を見ていた夢乃は、ある事に気付いた。

 

「あ、あれ……襲って来ない……?」

 

小鬼ジャマト達も、大鬼ジャマトも、ラミアの方へと集中しており、夢乃の方には1体も襲い掛かかろうとしていない。

 

これは一体どういう事なのか。

 

その理由は、ラミアが首に吊り下げている小判のペンダントにあった。

 

(あ、もしかして……)

 

ジャマト達が夢乃や襲わない理由。

 

それは、夢乃が小判のペンダントを持っていないから。

 

ジャマト達の狙いは、あくまでライダー達が持っている小判のペンダントだけであり、それを持っていない者には全く興味を示さないのである。

 

「そうか、それなら……!」

 

ジャマト達に襲われないで済むのなら、この状況を上手く利用できるかもしれない。

 

そう考えた夢乃に早速動き出そうとしたが……。

 

「ジャジャーッ!!」

 

「ッ!? くっ……!!」

 

「へっ……うわわわわわ!?」

 

大鬼ジャマトの振るった金棒が、近くの石柱を破壊し、その破片がラミアと夢乃に向かって飛来する。

 

ラミアは難なくかわしたが、まだ変身していなかった夢乃は咄嗟に反応できず、ギリギリ破片を避けた際に転倒してしまった。

 

「あ、危なかった……!」

 

襲われないからと言って、流れ弾が飛んで来ない訳ではない。

 

早く変身しないと命が危ないと判断した夢乃は、即座にゾンビバックルを構えようとしたが……。

 

「痛ッ……!?」

 

直後、負傷した左腕に痛みが走り、夢乃は変身を中断してしまう。

 

その時、また別の石柱が大鬼ジャマトの金棒で破壊され、その折れた石柱が夢乃に向かって飛んで来た。

 

「!? やばっ―――」

 

「フンッ!!」

 

バゴォンッ!!

 

そんな時だった。

 

夢乃に向かって飛んで来た石柱が、直前で夢乃を庇ったナッジスパロウのパンチによって粉々に粉砕。

 

破壊された石柱の破片が周囲に散らばり、夢乃は自分がナッジスパロウに助けられた事に気付いた。

 

「夢乃さん、無事かい?」

 

「あ、大智さん!?」

 

「ここは危険だ、何処かに隠れて態勢を立て直した方が良い。こっちだ」

 

ナッジスパロウは夢乃の右手を取り、彼女を連れて中庭から移動して行く。

 

小鬼ジャマトを蹴り倒したラミアは、2人が走り去って行く姿に気付いた。

 

「あれは、ナッジスパロウ? 何故朝霞と一緒に……?」

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

「ここなら、しばらく見つからないだろう」

 

ナッジスパロウに連れられ、館内のと亜個室へと逃げ込んだ夢乃。

 

ジャマトが来ていないか、扉の隙間から廊下を覗き見るナッジスパロウに、フカフカのベッドに座り込んだ夢乃が問いかける。

 

「大智さん、どうしてここに……?」

 

「君達がジャマトに襲われているところをたまたま見かけてね。特に夢乃さん。既にデュオは解消したとはいえ、君とは2回戦で一緒に戦った仲だ。見捨てるのも気が引けてね」

 

「なるほど……」

 

どうやら、2回戦を一緒に戦った仲だからという理由だけで助けてくれたらしい。

 

そんな大智に、夢乃は感謝しつつ礼を言った。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「礼はいらないよ。僕が勝手にやった事だからね……それにしても、災難だったね。腕を怪我するだけでなく、小判も奪われてしまうなんて」

 

「はい……あ、でも、おかげで1つ分かった事もあります。あのジャマト達、小判を持っていないライダーには襲って来ないみたいなんです」

 

「襲って来ない……なるほど。それもゲームのルールによる物なのかな」

 

「だから、小判を持っていない今なら、ジャマトに襲われないので何かしらできる事があるかもと思って。四葉さんにばかり苦労をかける訳にもいきません」

 

「……彼女か」

 

四葉の名前を聞いた時、大智はほんの僅かにだが目付きが変化する。

 

その事に、夢乃は気付かなかった。

 

「聞いても良いかな? 夢乃さん」

 

「? 何ですか?」

 

「……君は何故、そんなにもラミアの事を信用しているのかな?」

 

大智の疑問はもっともだった。

 

本来、ライダーは全員がライバル同士。

 

2回戦のようにデュオを組んだりでもしない限り、他のライダーを信用し過ぎるのは、裏切りのリスクが付き纏うからだ。

 

「それは、四葉さんが私の小判を取り戻そうとしてくれているからで……」

 

「彼女は本当に、君のために小判を取り返そうとするのだろうかって事さ」

 

「……どういう意味ですか?」

 

大智の発言に、夢乃が眉を顰める。

 

「ジャマトから小判を取り返そうとする振りをして、実際は取り返すつもりなんて全くない可能性もある。小判を持っていない君は、そのままタイムアップになれば脱落が確定するからね」

 

「!? そんな、四葉さんがそんな事をするはず……」

 

「ないと本当に言い切れるかい? 君も覚えてるだろう? 2回戦でラミアが僕のバックルを無力化して、僕達のスコア稼ぎを妨害してきた事を」

 

「ッ……それは……」

 

夢乃は反論しようとして言葉に詰まる。

 

大智が言った通り、四葉は2回戦で彼のモンスターバックルを勝手に使用した挙げ句、モンスターバックルの力を消費して無力化させる形で、大智と夢乃のスコア稼ぎを妨害している。

 

それは紛れもない事実だからか、夢乃は反論しようとしても、そのための言葉が上手く思いつかなかった。

 

「悪い事は言わない。ラミアの事は信用しない方が良い。君は彼女に騙されているんだ」

 

「で、でも……」

 

「夢乃さん。君がまだ脱落したくないのなら、僕が君を助けてあげよう」

 

「大智さんが……?」

 

「僕のモンスターバックルなら、あの大きな金棒を持った鬼ジャマトにも力で対抗できる。悪い話じゃないはずだ」

 

大智から告げられた提案。

 

それに賛同するか否か。

 

夢乃は葛藤していた。

 

「君にも、叶えたいと思っている世界があるんじゃないのかい?」

 

「……ッ」

 

その時、夢乃の脳裏に浮かんだのは、彼女にとって幼馴染と呼べる少年の姿。

 

楽しそうにバスケをしている姿。

 

事故に遭い絶望する姿。

 

「私は……」

 

考え抜いた末……夢乃は1つの決断を下した。

 

 

「レレスダトヅ―ッ!!」

 

「おっと、見つかったか」

 

それから時間は経過し、制限時間が残り30分を切った頃。

 

天井裏に隠れていたギーツもまた、頭だけを覗かせた小鬼ジャマトによってとうとう発見され、戦闘を行っていた。

 

金棒を振るおうとした小鬼ジャマトの足を蹴りつけて転倒させたギーツは、ドライバーからマグナムバックルを取り外し、ブーストバックルを装填する。

 

≪SET≫

 

≪BOOST≫

 

≪READY FIGHT≫

 

「マグナムだと音が響くし、今はこれで良いか……フッ!!」

 

「ジャ!?」

 

小鬼ジャマトを殴り倒したギーツは天井裏から下の通路へと飛び降り、通路にいた小鬼ジャマト達の攻撃を回避しながら移動し続ける。

 

通路の曲がり角を曲がった先にも複数の小鬼ジャマト達が待ち構えていたが、ギーツは慌てない。

 

≪BOOSTRIKER≫

 

「「「「「ジャーッ!?」」」」」

 

通路を走ってきたブーストライカーが、走りなからキツネの姿に変形。

 

ブーストライカーの突進を喰らった小鬼ジャマト達が、窓ガラスをぶち破る勢いで吹き飛ばされていく。

 

「よしよし、いい子だコンちゃん」

 

ブーストライカーの頭を可愛がるように撫でてから、ギーツは小鬼ジャマトのいないエリアに移動しようとする。

 

しかし……。

 

ドゴォォォンッ!!

 

「……ッ!?」

 

ギーツが走ろうとした通路の壁が、凄まじい轟音と共に破壊される。

 

すぐに立ち止まったギーツの前には、地面を転がされるラミアの姿があった。

 

「ラミア……!?」

 

「はぁ……はぁ……おのれ、ジャマト如きが……!!」

 

「ピワスオキョ……!!」

 

起き上がったラミアが仮面の複眼越しに睨みつける中、彼女を吹っ飛ばした大鬼ジャマトの方は、まだまだ余裕そうに首をゴキゴキと鳴らしていた。

 

ラミアの周囲に、彼女が所持していたプロペラ、シールド、チェーンアレイの小型バックルが散らばっている辺り、かなりの勢いで吹き飛ばされてしまったようだ。

 

「苦戦してるみたいだな。先輩」

 

「浮世英寿……貴様には関係ない、引っ込んでいろ……!!」

 

「テポスラグファテル!!」

 

大鬼ジャマトが金棒を振り下ろし、ギーツとラミアはそれぞれ左右に回避。

 

金棒の叩きつけられた床が大きく陥没する中で、ラミアはニンジャデュアラーの鍔部分を回転させる。

 

≪ROUND 1≫

 

≪TACTICAL SLASH≫

 

「ハァッ!!」

 

「ボチャチャ!!」

 

ラミアが飛ばした斬撃は、大鬼ジャマトは構えた金棒で防御。

 

爆発が起きた後、大鬼ジャマトは何事もなかったかのようにその場に立っていた。

 

「チッ……小賢しい……!!」

 

「へぇ、こりゃ確かに厄介だな」

 

「デオズカカッ!!」

 

大鬼ジャマトが駆け出し、ギーツとラミアもそれを迎え撃つ。

 

両者が大鬼ジャマトと戦っているその一方で……その様子を、隠れて見ている人物がいた。

 

(危ない危ない、俺まで巻き込まれるところだったな)

 

近くの個室に隠れていたリザは、ギーツ達が離れていくのを確認し、ホッとした様子で通路に視線を向ける。

 

床にはラミアが落として行ったプロペラ、シールド、チェーンアレイの3つの小型バックルが転がっており、リザはそれらを全て回収していく。

 

「あ~あ、せっかくのバックルが勿体ない。ここは俺が有効活用させて貰うとしようかねぇ。ククク……」

 

 

「夢乃さん、今だ!!」

 

「はい!!」

 

≪POISON CHARGE≫

 

1階のエントランスホール。

 

襲い来る小鬼ジャマト達をナッジスパロウが相手取っている間に、ツッキーは右手で構えたゾンビブレイカーのポンプを、自身の右膝を使ってスライド。

 

小判のペンダントを持っておらず、小鬼ジャマト達から見向きもされていないツッキーは、余裕を持って攻撃態勢に入る事ができた。

 

≪TACTICAL BREAK≫

 

「てやぁ!!」

 

「「「「「ジャジャーッ!?」」」」」

 

ゾンビブレイカーで次々と一閃され、爆発していく小鬼ジャマト達。

 

左腕に走る痛みから、ツッキーは仮面の下で苦悶の表情を浮かべた。

 

その時。

 

≪SECRET MISSION CLEAR≫

 

「え?」

 

「おや、追加アイテムだね」

 

鳴り響いたアナウンスにツッキーが戸惑う中、ナッジスパロウはスパイダーフォンを開き、画面を確認する。

 

そこには【小判を持っていない状態で鬼ジャマトを5体以上倒す】という文章が表示されており、その内容を達成したツッキーの足元にミッションボックスが出現する。

 

その上蓋を開けたツッキーは、その中に入っていたレイズバックルを右手で取り出した。

 

「? これって……」

 

「へぇ、それが入っていたとは」

 

取り出されたのは、口を閉じた鮫の顔と、釣り竿のリールのようなパーツが取り付けられた青色のレイズバックル。

 

ツッキーが首を傾げるのに対し、そのレイズバックルの詳細を知っているナッジスパロウは興味深そうな口調でそう告げた。

 

そんな時だった。

 

「ぐあっ!?」

 

「くっ……!!」

 

「「!?」」

 

2人のすぐ近くに、吹き飛ばされて来たラミアが転がった。

 

更にその隣にはギーツが着地し、彼が見据える先からは大鬼ジャマトが金棒を引き摺りながら姿を現した。

 

「四葉さん、英寿さん……!?」

 

「おや、珍しいねギーツ。君まで押されているなんて」

 

「フッ、むしろここからさ」

 

「ツポスキョオテウ―ッ!!」

 

「「「「「ジャーーーッ!!」」」」」

 

「ッ……来るぞ!!」

 

大鬼ジャマトの号令の下、その後ろから小鬼ジャマト達が次々と現れ、ツッキーを除く3人のライダー達に襲い掛かる。

 

ギーツ達がそれに応戦する中、唯一襲われていないツッキーは、大鬼ジャマトが首に吊り下げている2つの小判のペンダントな視線を向ける。

 

「小判を取り返さないと……!!」

 

あれから更に経過し、制限時間は既に残り20分を切っている。

 

タイムアップを迎えるまでに小判のペンダントを取り返さなければ、ツッキーは脱落が決まってしまう。

 

(四葉さん……!)

 

ツッキーの視線が大鬼ジャマトから、大鬼と戦っているラミアの方へと向きが変わる。

 

大鬼ジャマトの振るう金棒を上手くかわしているラミアだが、ニンジャフォームの力では大鬼ジャマトのパワーに競り負けてしまうからか、イマイチ攻めあぐねている様子だった。

 

「ツームダダガラサ!!」

 

「ッ……ハァ!!」

 

振り下ろされて来た金棒をかわし、その金棒を踏み台にして高く跳躍するラミア。

 

そのまま急降下し、大鬼ジャマト目掛けてニンジャデュアラーの刃を振り下ろそうとしたが……。

 

「クベキョ」

 

「!? 何……ッ!!」

 

攻撃が当たる寸前で、大鬼ジャマトの左手がニンジャデュアラーの刃を白刃取りした事で、ラミアの攻撃は失敗に終わってしまった。

 

大鬼ジャマトはフンと鼻で笑うかのような仕草を見せ、掴んだニンジャデュアラーの刃を離そうとしない。

 

「ならば……!!」

 

≪TWIN BLADE≫

 

「ラサツーム!?」

 

ラミアは即座にニンジャデュアラーを2本に分離させ、掴まれていない方の刃で大鬼ジャマトを斬りつけようとする。

 

これは大鬼ジャマトも想定していなかったのか、咄嗟の防御ができなかった。

 

これなら当たる。

 

そう確信するラミアだったが……ここで、思わぬ事態が発生した。

 

「ジャジャーッ!!」

 

「!? くっ……!!」

 

離れた場所で、小鬼ジャマト達と戦っていたナッジスパロウ。

 

1体の小鬼ジャマトが、手にしていた小型の金棒をナッジスパロウ目掛けて投擲し、ナッジスパロウはそれをギリギリ回避してみせた。

 

その結果、ナッジスパロウに当たらなかった金棒は、そのままラミアのいる方へと回転しながら飛んで行き……。

 

「がっ!?」

 

ラミアの背中に命中し、彼女はその痛みから態勢が崩れてしまう。

 

その隙を、大鬼ジャマトは見逃さない。

 

「デトポステウッ!!!」

 

ズドォンッ!!

 

「ぐああああっ!?」

 

「四葉さん!?」

 

大鬼ジャマトが左手で繰り出した拳の一撃が、ラミアを大きく吹き飛ばし、彼女を壁に叩きつけた。

 

金棒による攻撃ほどではないにしろ、かなりのダメージを受けてしまったラミアは、床に倒れ込んだ状態からすぐには起き上がれない。

 

そんな彼女の背中を踏みつけた大鬼ジャマトは、両手で握り締めた金棒をゆっくりと振り上げていく。

 

「オヴォリチャ……!!」

 

「……ッ!!」

 

ここまでなのか。

 

何も果たせないまま、こんなところで。

 

強く歯軋りしながら、ラミアはこれから来るであろう一撃に覚悟を決め、両目を閉じる。

 

そして、大鬼ジャマトが金棒を振り下ろそうとした……その時。

 

 

 

 

 

 

≪POISON CHARGE≫

 

 

 

 

 

 

「―――やめなさい!!!」

 

「ジャッ……!?」

 

直前で駆けつけたツッキーが、高速回転したゾンビブレイカーで大鬼ジャマトに斬りかかった。

 

ツッキーの奇襲に気付いた大鬼ジャマトはすぐに金棒で防御し、両者の力比べが始まる。

 

「ッ……朝霞……!?」

 

「夢乃さん!?」

 

ツッキーの行動に、助けられたラミアだけでなく、小鬼ジャマトと戦っていたナッジスパロウも驚愕する。

 

ツッキーがやろうとしている事が、彼は理解できなかった。

 

「何故彼女を助ける!? ライバルを助ける事で、自分が脱落する事になっても良いのかい!?」

 

「すみません、大智さん!! それでも……私のやる事は決まっていますから!!」

 

≪TACTICAL BREAK≫

 

「はあああああっ!!」

 

「ッ……ク、クルクテウ……!!」

 

痛む左腕も使ってまで、ゾンビブレイカーで大鬼ジャマトの金棒を押し退けようとするツッキー。

 

そんな彼女を忌々しく思ったのか、大鬼ジャマトは両腕に更に力を込めると、ツッキーのゾンビブレイカーを強引に弾き上げ、すかさず金棒を大きく振りかぶった。

 

「なっ―――」

 

「ピピゼラロチャ、ヴォダッ!!!」

 

ゴシャアッ!!!

 

「―――ッ!!!」

 

凄まじい一撃が、防ごうとしたツッキーの左腕に叩き込まれた。

 

ミシミシと骨の軋む音が鳴り、ツッキーが声にならない悲鳴を上げる。

 

そのまま大鬼ジャマトは金棒を力強く振り抜き、ツッキーをエントランスホールの階段まで吹き飛ばしてしまった。

 

「朝霞ッ!!!」

 

「ッ……!?」

 

ラミアがツッキーの名前を叫び、近くで小鬼ジャマトを殴り飛ばしていたギーツもまた、吹き飛ばされたツッキーの方に視線を向ける。

 

土埃が舞う中、階段の上に倒れ込んだツッキーは変身が解除され、夢乃の姿に戻ってしまう。

 

その瞬間、ギーツはその光景に、別の光景が重なって見えていた。

 

「ツッキー……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『え、えへへ……失敗、しちゃいました……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!!」

 

≪REVOLVE ON≫

 

≪SET≫

 

その瞬間、ギーツの行動は早かった。

 

瞬時にドライバーを半回転させた彼は、空いた右側にマグナムバックルを装填し、大鬼ジャマトに向かって駆け出した。

 

≪DUAL ON≫

 

≪GET READY FOR≫

 

≪BOOST & MAGNUM≫

 

「はぁっ!!」

 

「ッ……ケポロビ、ケケース!!」

 

「俺が相手だ」

 

≪READY FIGHT≫

 

マグナムブーストフォームに変化したギーツは跳躍し、ブーストの装甲を纏った右足で大鬼ジャマトを強く蹴りつける。

 

後退した大鬼ジャマトは狙いをギーツに変更し、ギーツ目掛けて金棒を振り回そうとするが、それを予測していたギーツは身体を反らして攻撃を回避。

 

直後にマグナムシューター40Xによる銃撃を繰り出し、大鬼ジャマトがそれを金棒で上手く防ぎ切る。

 

両者が激突する一方で、立ち上がったラミアはと言うと、階段で倒れている夢乃の傍まで駆け寄っていた。

 

「朝霞、大丈夫か!! しっかりしろ!!」

 

「ッ……ぐ、うぅっ……」

 

ラミアによって上体を起こされた夢乃は、血の流れている左腕を右手で押さえながら、苦悶の表情を浮かべる。

 

その状態を見て、ラミアはすぐに気が付いた。

 

(マズい……この傷、骨まで逝っている可能性がある……!!)

 

大鬼ジャマトの剛腕から繰り出される一撃は、並のライダーならばあっさり死にかねないほどの殺傷力。

 

もし夢乃が変身していたのが、耐久力のあるゾンビフォームでなかったら、彼女は確実に死んでいた事だろう。

 

その点を踏まえれば、腕1本の骨折だけで済んだのは、ある意味で幸運だったのかも知れない。

 

「ッ……四葉、さん……」

 

「朝霞……何故だ、何故こんな無茶な真似を……!!」

 

「うっ……だって、四葉さん……今までも、何度か……私の事、助けてくれたじゃないですか……ッ」

 

「……ッ!?」

 

夢乃は忘れていなかった。

 

1回戦の時、高所から落下しかけた自分を四葉が助けてくれた事を。

 

2回戦の時、信吾に奪われていたバックルを四葉が取り返してくれた事を。

 

「今だってそう……私の小判を取り返すために、戦ってくれている……ッ……それなのに、受けた恩を仇で返すなんて……そんな真似、できる訳がありません……だから……!」

 

夢乃は左腕の激痛から目元に涙を浮かべながらも、右手に持っていたレイズバックルをラミアに差し出す。

 

それは先程、夢乃がシークレットミッションを経て入手した物。

 

差し出されたそのレイズバックルを見たラミアは、驚いた様子でそれを受け取った。

 

「これは……!」

 

「四葉さん……あなたは、生きて下さい……! 私は、もう……ここで、死ぬかも知れないから―――」

 

「そんな覚悟は必要ない」

 

マグナムシューター40Xの射撃で、大鬼ジャマトを怯ませたギーツ。

 

夢乃の方へと振り返った彼は、夢乃が告げようとした言葉を遮ってみせた。

 

「死ぬための覚悟を決めるな。生きるための覚悟だけ決めろ。ゲームはまだ終わっていない」

 

「え……?」

 

「……癪だが、奴の言う通りだ」

 

夢乃から受け取ったレイズバックルを手に、立ち上がるラミア。

 

ドライバーからニンジャバックルを取り外し、エントリーフォームの姿に戻った彼女は、夢乃から受け取ったレイズバックル―――“シャークレイズバックル”を右手に構えた。

 

「少しだけ待っていろ。朝霞夢乃」

 

「四葉さん……ッ」

 

「奪われた小判は……私が必ず、取り返してやる」

 

≪SET≫

 

シャークバックルが、ドライバーの右側に装填される。

 

そこから、ラミアがリール状のパーツを右手で掴んで回転させると、それに応じてシャークバックルの鮫の口が大きく開き、鮫の目が赤く発光した。

 

≪SHAAAAAA!≫

 

「「「「「ジャジャッ!?」」」」」

 

【SHARK】の文字が浮かび上がる中、ラミアの周囲を水流が舞い、その水流から現れた青い鮫が小鬼ジャマト達をけちらして行く。

 

その後、ラミアの左横まで移動した鮫が装甲に変化し、ラミアの上半身に装着された。

 

≪SHARK≫

 

≪READY FIGHT≫

 

鮫のエラの意匠を持つ胸部。

 

鮫の頭部を模した両肩。

 

両腕に装備されたリール状のパーツ。

 

鮫の口を模したクラッシャー。

 

そしてシアンカラーの複眼。

 

ラミアはシャークバックルにより、大洋の暴君の力を宿した形態―――“シャークフォーム”への変身を完了させた。

 

「へぇ、新しいバックルを手に入れたか……!」

 

「馬鹿な……何故彼女の手に……!?」

 

ギーツとナッジスパロウがそれぞれ異なる反応を示す中。

 

ラミアは自身の手元に出現した、柄にリール状のパーツが付いた三叉槍の武器―――“シャークワイルダー”を右手でクルクル回転させた後、その柄尻を床にガンッと叩きつける。

 

長物を片手で軽々と扱うその様は、豪快にして華麗だった。

 

≪SHARK WILDER≫

 

「ようやく、使い慣れているバックルに巡り合えた……覚悟しろジャマト共」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「骨の髄まで……この私が喰らい尽くしてくれる!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3回戦終了の時は、すぐそこまで迫って来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




仮面ライダーギーツ!

ツムリ「かくれんぼゲーム、残り10分です!」

火炎「本当は、別のライダーを脱落させたかったんじゃないのか?」

四葉「奴ばかりは、私の手で捻り潰さなければ気が済まん!!」

英寿「こうなったらもう、あの女は止まらないぞ……!」
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