仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム   作:ロンギヌス

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第31話、更新完了。

デザイアグランプリ最終戦、機関車ゲームの決着の時です。

そして今回は、仮面ライダーラミアこと瑠璃川四葉の謎が、いくらか明らかになる事でしょう。

それではどうぞ。















・主なプレイヤー

瑠璃川四葉/仮面ライダーラミア
今井透/仮面ライダートゲッチ
石村火炎/仮面ライダーリザ
猿山信吾/仮面ライダーヒヒ
朝霞夢乃/仮面ライダーツッキー
五十鈴大智/仮面ライダーナッジスパロウ
浮世英寿/仮面ライダーギーツ

参加人数:32名

現在生き残っている人数:4名











第31話:この瞬間のために

瑠璃川四葉がまだ、デザイアグランプリと関わる前の事。

 

親を早くに亡くした四葉は、歳の離れた兄・瑠璃川(るりかわ)三郎(さぶろう)と共に生活していた。

 

親の顔を知らない四葉にとっては、兄の三郎こそが親のような存在であり、彼女は三郎によく懐いていた。

 

ある時。

 

大学を卒業したばかりの四葉に、1人の恋人ができた。

 

竜胆(りんどう)雅也(まさや)

 

その男は四葉が、初めて心の底から好きになった相手だった。

 

雅也と四葉の2人で、よくデートしに向かった。

 

一緒に過ごしていく内に、2人はより親密な関係になっていった。

 

いつしか互いに、体を求め合う関係にまで発展していた。

 

『初めて会った時から、ずっと君と一緒に生きていきたいと思ったんだ。どうか僕と、結婚して欲しい』

 

『はい……私で良ければ、喜んで』

 

初めて、雅也の方からプロポーズされた時。

 

四葉は嬉しさのあまり、涙が止まらなかった。

 

もちろん、彼女はそのプロポーズを快く受け入れた。

 

三郎もまた、そんな2人の幸せを祝福してくれた。

 

恐らくはこの時が、四葉が己の幸せを一番強く実感していた頃だろう。

 

私達はこれから先、幸せな人生を歩んで行ける。

 

それは一生続いていくのだと。

 

この頃の彼女は、心からそう信じて疑わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロポーズを受けてから数日後……ある事件が起きるまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!?」

 

意識が戻り、四葉の目が開かれた。

 

起き上がると同時に走った右足の痛みに表情を歪めつつも、彼女は周囲を見渡し、現在の状況を確認しようとする。

 

そのすぐ近くには、瓦礫の上に座り込んでいる英寿の姿があった。

 

「目が覚めたか、ラミア」

 

「浮世英寿……」

 

「アンタが気絶してから、もう1時間は経過したか……足の具合はどうだ?」

 

英寿の問いに、四葉は自身の右足に視線を落とす。

 

右膝には白い布が巻かれており、それが手当てを行った後である事を四葉はすぐに理解した。

 

「貴様が手当てしたのか」

 

「あぁ。感謝してくれても良いぞ?」

 

「そうか……礼を言う。この借りは必ず返す」

 

四葉の口から告げられた感謝の言葉。

 

「余計な真似を」とでも言われるだろうと思っていたからか。

 

英寿は驚いた様子で目を見開いた。

 

「へぇ。俺に対しても、素直に礼を言ってくれるんだな」

 

「借りっぱなしでいるのが性に合わんだけだ。貴様に対しては特にな……それで、あれからどうなった? 列車は止まったのか?」

 

「あぁ。ナッジスパロウが派手にやってくれてな。俺もアンタもリザも、全員纏めて落とされたよ」

 

「……そうか」

 

四葉は自身が気絶する前の出来事を思い出す。

 

ジャマトレインに乗り込んだ際、共謀したナッジスパロウとリザが、ギーツとラミアのいる後部車両を切り離そうとした。

 

そうはさせまいと、ラミアが射出したワイヤーで車両同士を繋げたまでは良かったが、問題はその後。

 

ナッジスパロウの放った必殺技の一撃が、ジャマト諸共ギーツ、ラミア、リザの3人を吹き飛ばしてしまった。

 

その時に四葉は気絶したため、彼女が覚えているのはそこまでだった。

 

「……情けない話だな。貴様に勝つ事に拘るあまり、他のプレイヤーに足を掬われる羽目になろうとは」

 

四葉は自嘲気味に呟き、フッと笑みを浮かべる。

 

今の四葉にとって、最大のライバルは英寿1人のみ。

 

ある男(・・・)と同じく、デザイアグランプリで連勝を続けている英寿に勝たなければ、デザ神の座を手に入れるなど夢のまた夢の話。

 

それ故に四葉は、英寿に勝つ事だけにひたすら拘り続けてきた。

 

その執着が慢心を生み、結果としてその隙を突いたナッジスパロウにより、良いようにしてやられてしまった。

 

「今頃、ナッジスパロウが列車を止めている頃だろうな……結局、私は今回もこうして、デザ神になる事は叶わなかったという訳か……」

 

「あぁ、その事なんだが」

 

四葉が言い終わったタイミングで、英寿が口を開く。

 

彼はニッと笑いながら、四葉にある事を告げた。

 

「ゲームはまだ終わってないぞ」

 

「……は?」

 

英寿の発言に、四葉は思わず呆けた表情を浮かべる。

 

この男は急に何を言い出している?

 

頭でもイカれたか?

 

色々と失礼な事を考える四葉に、英寿は話を続ける。

 

「確かに一度、ナッジスパロウが列車を止めた……問題はそのすぐ後だ」

 

 

≪MONSTER STRIKE≫

 

『ジャジャーーーーーッ!?』

 

それは、約1時間前の事。

 

ナッジスパロウの拳を喰らい、ジャマトレインの機関室から吹き飛ばされた機関士ジャマトが、宙を舞いながら呆気なく爆散。

 

その後、ナッジスパロウによってブレーキをかけられたジャマトレインは、線路の上を回る車輪から火花を散らしながらゆっくりとスピードを落としていき、やがて完全に停車した。

 

『ふっ、くはははは……やった、やったぞ!! ようやくあのギーツに、僕が勝ったんだ!!』

 

完全に静止したジャマトレインの機関室から顔を出し、高笑いするナッジスパロウ。

 

リザも、ラミアも、ギーツすらも出し抜き、自身がジャマトレインを止める事に成功したのだ。

 

ナッジスパロウの喜びは、留まるところを知らなかった。

 

『これで僕が次のデザ神……全ての人類の記憶が、僕の物になる……!!』

 

これから叶う願いの事で頭がいっぱいの彼は、世界が作り変えられるのを今か今かと待ち続ける……が。

 

『……?』

 

いくらか時間が経過したところで、ある違和感に気付いたのか。

 

ナッジスパロウが仮面の下に浮かべていた笑みは、少しずつ消え失せていく。

 

『おかしい……どういう事だ、何故ゲームクリアにならない……!?』

 

いつもなら既に聞こえて来ているであろう、ツムリによるゲームクリアのアナウンス。

 

それがいつまで経っても聞こえて来ない。

 

列車は確かに止まったのに、一体何故?

 

流石のナッジスパロウも、これには首を傾げる他なかった……その時。

 

 

 

 

 

 

ポォォォォォッ!!

 

 

 

 

 

 

『―――ッ!?』

 

突如、ナッジスパロウの耳に聴こえて来た汽笛音。

 

何事かと彼が驚く中、ジャマトレインの髑髏の顔がギラリと両目を赤く光らせると共に、列車が再びその場から動き出し、ナッジスパロウが機関室から放り出されてしまう。

 

『何だ……!?』

 

地面を転がり片膝を突いたナッジスパロウの前で、線路から地面へと降り立ったジャマトレインに変化が起き始める。

 

本体の車輪が壊れ、そこから黒色の細長い脚が8本も伸び、鋭く尖った先端が地面に突き刺さる。

 

髑髏の顔は大きく罅割れ、バキバキと音を立てながら崩れていくと、その下から8個の赤い目玉と禍々しい形状の毒牙を持った顔が出現し、カチンカチンと毒牙を鳴らす。

 

その姿は、機関車と蜘蛛が合わさったかのような異形だった。

 

『ッ……まさか、列車その物がジャマトだと言うのか!?』

 

『ギギ、ギギギギ……ギシャアアアアアッ!!!』

 

『くっ……!?』

 

ジャマトレイン……改め“スパイダージャマトレイン”は高らかに吼えた後、機関室の屋根から突き出された大砲から砲弾を連射し、前方にいるナッジスパロウに攻撃を仕掛ける。

 

次々飛んで来る砲弾による爆発でナッジスパロウが怯んでいる隙に、スパイダージャマトレインは8本もの細長い脚を素早く動かし、その場から何処かへ走り去って行ってしまうのだった……。

 

 

「―――という訳だ。まだ俺達にもチャンスはある」

 

「……列車その物がジャマト、か」

 

そして現在。

 

スパイダージャマトレインが何処かへ姿を消してしまったため、機関車ゲームは一時中断。

 

次にスパイダージャマトレインがジャマーエリアに現れるまで、プレイヤー達は待機する流れになったのである。

 

まだデザ神になれるチャンスは残っている事が分かり、四葉は小さくだがホッと安堵した。

 

「……ところで貴様、もしや気付いていたのか? あの列車の正体に」

 

「何となくはな。デザグラの全てが決まる最終戦、ただ列車を止めるだけなんて妙に簡単過ぎる。何かしら裏はあるだろうと思っていた」

 

「なるほど……道理で貴様だけ、ゲームの最中やたら呑気だった訳だ」

 

大智と火炎が共謀し、英寿と四葉を陥れようとした時。

 

四葉が引き離されまいとしている中、英寿があまり焦っている様子がなかったのはそれが理由だった。

 

これまで何度もデザイアグランプリに参加してきた経験から、そう簡単には終わらないゲームなのだろうと踏んでいたのである。

 

「まぁとにかくだ。アンタはもう休んでろ。その足の怪我じゃ、思うように動けないはずだ」

 

「無用な心配だ。この程度の傷で、立ち止まっている暇はない」

 

「強情だな。そうまでして叶えたい願いは何なんだ?」

 

「貴様に話す義理など……」

 

「アンタを運んでる最中も、ジャマトが襲って来て大変だったなぁ」

 

「……チッ」

 

助けて貰った手前、あまり強くは出られないと考えたのか。

 

不敵な笑みを崩さない英寿に対し、四葉は諦めた様子で溜め息をついた。

 

「……竜胆雅也」

 

「ん?」

 

「昔、私が付き合っていた男の名だ。既に事故で死んでいる身だがな」

 

「……つまり、アンタの願いは」

 

「【竜胆雅也が生きている世界】……デザイアカードにはそう書いた」

 

死んだ恋人を生き返らせる事。

 

それこそが、四葉が思い描いている理想の世界。

 

願いの内容を知った英寿は、意外そうな表情を浮かべる。

 

「アンタみたいな人にも、付き合っていた相手がいたんだな」

 

「どういう意味だ貴様」

 

「冗談だ。何にせよ、納得はいった。愛する人を生き返らせたいがために、自分の命をも賭けられるって訳だな」

 

「少し違う」

 

「?」

 

「確かに私は、デザイアカードにそう書いた……だが、私はもうあの男を愛してなどいない」

 

「何だって?」

 

四葉の言葉に、英寿は首を傾げた。

 

好きでもない相手を、何故そうまでして生き返らせようとしているのか。

 

その理由が分からない英寿に、四葉は改めて自身の目的を明かした。

 

「私の願いは、竜胆雅也を生き返らせる事。それが叶った先にこそ、私が果たすべき使命がある」

 

「……それは何だ?」

 

「私は、今度こそあの男を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜胆雅也を、この手で地獄に送ってやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャマーエリア、港エリア。

 

「―――ギシャアアアアアッ!!」

 

「「「「「ジャーーーッ!!」」」」」

 

何処かに姿を消していたスパイダージャマトレインが、再びジャマーエリア内に出現した。

 

荒々しく咆哮を上げる中、スパイダージャマトレインを守るかのように、複数体のポーンジャマトも一斉に姿を現し、武器を構えて雄叫びを上げる。

 

そこに、モンスターバックルを右手に構えた大智が駆けつけた。

 

「ッ……少し計算外ではあったけど、もう逃がさないよ」

 

スパイダージャマトレインの攻撃で、少なからず傷を負ったのか。

 

大智の頬や額を、微かにだが血が流れ落ちている。

 

それでも、スパイダージャマトレインやポーンジャマトの大群相手に決して怯む事なく、大智はモンスターバックルを構えて変身しようとする。

 

そのすぐ隣に、チェーンアレイバックルを右手に構えた火炎が姿を現した。

 

「また、1人で抜け駆けするつもりかい?」

 

「! リザ……」

 

「やぁやぁナッジスパロウ殿、元気そうだね。私は先程、思わぬ不慮の事故(・・・・・)に遭って大変な思いをしたよ。いやぁ、事故は怖いねぇ事故は」

 

「……その節は悪かったね。僕もジャマト達の相手で忙しかったんだ」

 

「忙しかった、ねぇ……君がそういうのなら、まぁそういう事にしておいてあげようか」

 

「不慮の事故」とわざとらしく強調し、嫌味ったらしく笑う火炎に、視線を逸らして誤魔化す大智。

 

それ以上2人の間に会話はなく、続々と迫り来るポーンジャマト達を相手に戦闘態勢に入る。

 

≪≪SET≫≫

 

「「変身!」」

 

≪MONSTER≫

 

≪ARMED CHAIN ARRAY≫

 

≪≪READY FIGHT≫≫

 

ナッジスパロウ・モンスターフォーム、リザ・アームドチェーンアレイの両者が同時に駆け出し、襲い来るポーンジャマト達への迎撃が始まる。

 

そこに、英寿と四葉の2人も遅れて駆けつけた。

 

「アンタ……本当に引き返すつもりはないんだな?」

 

「愚問だな。そんな事を聞いている暇があるのなら、自分の心配でもしたらどうだ?」

 

「そう言うアンタは、随分な自信だな」

 

「手数が多い分だけ、勝ち筋もある。マグナムとブーストしか持たない貴様と違ってな」

 

現時点で四葉が所持しているバックルはシャーク、ニンジャ、ゾンビ、ウォーターの4種。

 

その内、3種は強力な大型バックルなのもあって、手数の多さという意味では英寿よりも自分の方が有利だと、四葉はそう考えていた。

 

「手数の多さなら、こっちだって負けてないさ」

 

「何?」

 

英寿の発言に、四葉は眉を顰める。

 

彼が現在所持しているバックルは、マグナムとブーストの2種類しかない。

 

強力なブーストがあるとはいえ、2種類だけでは使える戦略も限られて来るはず。

 

だというのに、手数で負けていないとは一体何を言い出すのか。

 

単なる強がりか、何かしらの策があるのか。

 

四葉はこれまでの経験から、後者の可能性の方が高いだろうと推測する。

 

しかし……英寿が取り出したとあるバックルを見て、四葉は表情を一変させた。

 

「!? それは……ッ!!」

 

「うん? あぁ、ひょっとしてアンタもこれ知ってるのか?」

 

英寿が取り出したバックル。

 

それはマグナムでもブーストでもない、全く別の大型バックルだった。

 

建設重機のような特徴を持つ、黄色いカラーリングの本体。

 

ハンドルレバーの内側に存在する、小型バックルを装填するための拡張スロット。

 

その拡張スロットに予め装填されている、赤い大剣を象った小型バックル。

 

他の大型バックルとはいくらか特徴が異なるその黄色い大型バックルに、四葉は見覚えがあった……否、見覚えがあり過ぎた。

 

「パワードビルダーバックル……!? 貴様、いつの間にそんな物を……ッ!!」

 

「アンタを助け出した時にな。俺も驚いたよ。普段なかなか出ないバックルだからな」

 

それは気絶した四葉を、英寿が助け出した直後の事。

 

実はこの時、【他のライダーのピンチを助ける】という内容のシークレットミッションをクリアしていたために、英寿は四葉の知らないところで、追加アイテムを手に入れていたのである。

 

そうして手に入ったのが、現在英寿が手に構えている黄色い大型バックル―――“パワードビルダーバックル”だった。

 

「貴様……よりによって、あの男(・・・)と同じバックルを……ッ!!」

 

四葉はパワードビルダーバックルを睨みつけながら、拳を強く握り締める。

 

彼女の脳裏には、過去の記憶が呼び起こされていた。

 

かつて彼女が挑んだ過去のデザイアグランプリ。

 

そこで連勝を続けてきた、2本の角(・・・・)を持つ仮面ライダー。

 

その姿が頭を過り、苛立った四葉は分かりやすく舌打ちした後、ニンジャバックルとシャークバックルを両手に構え、それぞれドライバーに装填する。

 

≪SET≫

 

「変身!」

 

≪DUAL ON≫

 

≪NINJA SHARK≫

 

≪READY FIGHT≫

 

「はぁっ!!」

 

ニンジャシャークフォームへと変身したラミアは、手元に出現したニンジャデュアラーを右手で構え、ポーンジャマト達を蹴散らしながらスパイダージャマトレインの下まで向かい始める。

 

それに続くように、英寿は右手にパワードビルダーバックルを、左手にブーストバックルを構え、ドライバーに装填する。

 

≪SET≫

 

≪SET CREATION≫

 

「変身!」

 

電子音と共に、地中から黄色と黒色による警告色の鉄骨が出現し、建物の骨組みが自動で建築されていく。

 

いつものフィンガースナップを決めた英寿は、左手でブーストバックルのハンドル部分を回した後、右手でパワードビルダーバックルのハンドルレバーを開くように操作する。

 

≪DEPLOYED POWERED SYSTEM≫

 

正面に【SAFETY-FIRST】の文字が、後方に【POWERED BUILDER】の文字がそれぞれ浮かび上がり、背後から伸びて来たロボットアームが装甲を生成する中。

 

英寿の左横では、ブーストフォームの装甲も同時に生成。

 

その2つの装甲が上半身、下半身へとそれぞれ装着される事で、英寿は変身を完了した。

 

≪GIGANT SWORD≫

 

≪READY FIGHT≫

 

「ここからが、ハイライトだ」

 

胸部と左肩の装甲に折り畳まれたロボットアーム。

 

ショベルアームのようなパーツが左右に付いているクラッシャー。

 

そして手元に出現した、ビルディング工具鋼製の赤い大剣。

 

メカニカルな特徴を持った形態―――“パワードビルダーブーストフォーム”への変身を完了したギーツは、手元に出現した赤い大剣―――“ギガントソード”を右肩に置き、左手で狐の顔を作りながらポーズを決めてみせた。

 

「さて、俺も本気で行かせて貰おうか……ふっ!!」

 

「ジャッ!?」

 

「ジャジャーッ!?」

 

ギーツは悠々と歩きながらも、武器を構えて迫って来るポーンジャマト達をギガントソードを一閃。

 

その長く大きな刀身から繰り出される斬撃は、ポーンジャマト達を一撃で薙ぎ払い、あっさりと蹴散らしていく。

 

吹き飛ばされて来たポーンジャマトがナッジスパロウのすぐ近くを転がり、ナッジスパロウはギーツの姿を見て驚愕した。

 

「ギーツ!? 何だ、その姿は……!?」

 

「せっかくだ。こいつの力、見せてやるよ」

 

≪GIGANT BLASTER≫

 

パワードビルダーバックルのハンドルレバーを閉じ、拡張スロットに装填されていたギガントソードバックルを取り外したギーツは、代わりに銀色の銃器を象った小型バックルを拡張スロットの中に装填。

 

再びハンドルレバーを開き、ギガントソードの代わりに銀色の大型銃器―――“ギガントブラスター”を装備すると、そのままポーンジャマト達を1体ずつ正確に狙い撃ちにしていく。

 

加えて、ポーンジャマト達の足元にも弾丸を次々と撃ち込んだ瞬間。

 

弾丸の撃ち込まれた地面から複数本もの鉄骨が伸び、それが骨組みを形成する事で足場が出来上がっていく。

 

「足場を作っただと……!?」

 

「ッ……そうか、あのバックル……あらゆる建築ができるのか……!!」

 

「それだけじゃないぞ」

 

≪GIGANT HAMMER≫

 

リザとナッジスパロウが驚いている中で、ギーツは出来上がった骨組みの上に立つと、今度は青色の大槌を象った小型バックルをパワードビルダーバックルに装填し、ハンドルレバーを開閉。

 

ギガントブラスターが消失し、代わりに出現した青色の大槌型の武器―――“ギガントハンマー”を両手で掴むと、骨組みの上から飛び降りながらギガントハンマーを地上目掛けて振り下ろした。

 

「はぁっ!!」

 

「「「「「ジャジャーッ!?」」」」」

 

地面に叩きつけられたギガントハンマーの一撃は、強力な衝撃波を放ってポーンジャマト達を宙に浮かせる。

 

そこから振り上げられたギガントハンマーが、1体のポーンジャマトの腹部に叩き込まれた瞬間。

 

ギガントハンマーに搭載されているスラスターが火を噴き、その威力を更に増幅させた。

 

「ジャーーーーーッ!?」

 

「ギギッ……!!」

 

吹き飛ばされたポーンジャマトは、スパイダージャマトレインの顔に命中すると同時に爆散する。

 

しかし、スパイダージャマトレインの顔には傷1つ付いておらず、スパイダージャマトレインはギーツを一睨みした後、クルリと背を向けて海の方へと大きく跳躍。

 

8本の脚が素早く動き、海面を走る事でどんどん走り去って行ってしまう。

 

「水の上を走れるとはな……ジャマトとは、やはり興味深いな」

 

「言っている場合ではないな。私は先に行かせて貰う……ふっ!!」

 

ラミアは海中へと飛び込み、スパイダージャマトレインを追いかけるべく泳ぎ始める。

 

下半身側に装着しているシャークフォームの機能により、その遊泳速度はとてつもなく速く、あっという間に姿が見えなくなっていく。

 

「ふっ、負けてられないな」

 

≪GIGANT BLASTER≫

 

再びギガントブラスターを装備したギーツは、海面に向けて弾丸を連射。

 

海面に簡易的な足場がいくつも形成され、ギーツはそれを素早く飛び移って移動する。

 

しかし足場が固定されていないため、ギーツが飛び移った後の足場はすぐに海中へと沈んでいく。

 

それを見たナッジスパロウは焦りを募らせる。

 

「ッ……遅れを取る訳には……!!」

 

手持ちのバックルがモンスターしかない以上、ラミアやギーツのように素早く移動する事はできない。

 

そこでナッジスパロウは、まだ近くで戦っているリザに狙いを定めた。

 

リザが所持しているプロペラバックル。

 

貴重な飛行手段であるそれさえ奪い取れれば、まだラミアとギーツに追いつける。

 

(悪いけど……君のバックルは僕が貰うよ)

 

≪GYA!≫

 

最初にやった時と同様、流れ弾(・・・)という名目でジャマト諸共、リザを攻撃しようとするナッジスパロウ。

 

左腕のモンスターグローブにエネルギーを収束し、リザとポーンジャマトが戦っているところに攻撃を繰り出した。

 

≪MONSTER STRIKE≫

 

「フンッ!!」

 

ナッジスパロウの拳から放たれる一撃。

 

それが星型のエネルギー弾となり、リザ達の方へと飛んで行く。

 

よし、当たる。

 

ナッジスパロウはそう確信した。

 

しかし……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(―――そう来ると思ったよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その目論見は、リザには既に見抜かれていた。

 

≪SET≫

 

≪DUAL ON≫

 

≪ARMED CHAIN ARRAY PROPELLER≫

 

「はっ!!」

 

「「「ジャーッ!?」」」

 

「ッ!? 何だと……!!」

 

エネルギー弾が当たる直前で、ドライバーにプロペラバックルを装填したリザ。

 

“アームドチェーンアレイプロペラ”となり、左腕のレイズプロペラで瞬時に真上へ飛び立ったリザは攻撃を回避し、逃げられなかったポーンジャマト達だけが爆散した。

 

避けられると思っていなかったのか、ナッジスパロウが驚いた様子で真上を見上げる中、リザは冷静にドライバーのバックルを操作する。

 

「お前さんにも教えてやろう……裏切り者は、裏切られる定めだ」

 

≪CHAIN ARRAY PROPELLER VICTORY≫

 

「ぬぅん!!」

 

「「「「「ジャジャーーーッ!!?」」」」」

 

「くっ……うわあああああ!?」

 

リザはレイズプロペラで素早く飛び回りながら、上空から振り下ろしたレイズチェーンアレイでポーンジャマト達を纏めて吹き飛ばしていく。

 

攻撃の余波に巻き込まれたナッジスパロウもまた、大きく吹き飛んでから海へと投げ出され、水飛沫を上げる羽目になってしまった。

 

「おっと失礼。うっかり巻き込んでしまったかな……?」

 

一度受けた仕打ちは、そう何度も通用しない。

 

リザは満足げに笑うと、スパイダージャマトレインを追いかけるべく、そのままレイズプロペラで飛び去って行く。

 

それから数秒後。

 

海に落ちてしまったナッジスパロウは、何とか海面から顔を出したものの、既にギーツ、ラミア、リザの姿はその場にはなく。

 

追いつく手段を持たない彼はこの時点で、優勝争いからの脱落が決定付けられてしまったのだった。

 

「ッ……全く、やってくれるね……」

 

 

一方、逃げたスパイダージャマトレインはと言うと。

 

海上を走り切った後はそのまま海岸に到達し、再び陸上を走り始めていた。

 

その後方からは、海中を猛スピードで泳いで来たラミアが陸へ到達し、足場を生成しながら飛び移って来たギーツも同じく陸へと着地した。

 

「さぁ、どっちが先に列車を止められるかな?」

 

「貴様には負けん……何があろうともな!!」

 

≪REVOLVE ON≫

 

リボルブチェンジを行ったラミアは“シャークニンジャフォーム”となり、両腕のリールから射出してワイヤーで建物から建物へ飛び移る。

 

ギーツはギガントブラスターを連射し、次々と形成される骨組みの上を素早く走り抜けていく。

 

更にその後方からは、追いついて来たリザがレイズプロペラを回転させ、2人より先にスパイダージャマトレインへと追いつこうとする。

 

「遅れてしまったが、俺も加わらせて貰おうか……!!」

 

レイズプロペラで飛行している分、スパイダージャマトレインの行く先を先回りする形で迎撃しようとするリザ。

 

しかし、スパイダージャマトレインの屋根から突き出した大砲が、上空を飛んでいるリザに狙いを定め、砲弾を連射し始めた。

 

「ギシャアァ!!」

 

「なっ!? ぬおぉ!?」

 

何発かの砲弾は咄嗟に回避できたリザだったが、1発の砲弾がリザに直撃。

 

街へと墜落したリザは、ビルの屋上へと叩きつけられた。

 

「ッ……危ない……これがなければ死んでいたな……!!」

 

リザの右腕に装備されているのは、レイズシールド。

 

砲弾が当たる直前、チェーンアレイバックルの代わりにシールドレイズバックルを装填したリザは、アームドシールドプロペラとなってレイズシールドを使い、ギリギリ致命傷を免れたのだ。

 

「マズい……これは、しばらく動けそうにないか……ッ」

 

しかし、予想以上にダメージが大きかったのか。

 

リザはビルの屋上に倒れ込んだまま、身動きが取れなくなってしまう。

 

それにより、スパイダージャマトレインと戦えるライダーは、ギーツとラミアの2人だけとなった。

 

≪SPLASH≫

 

「はぁっ!!」

 

≪TACTICAL FANG≫

 

「ギシャッ!?」

 

ラミアが投げつけたシャークワイルダーの一撃が、スパイダージャマトレインが走り抜けようとしていた地面に命中し大きく爆発。

 

その衝撃でスパイダージャマトレインが転倒したところに、骨組みの上に立ったギーツがギガントブラスターを連射し、スパイダージャマトレインの脚に命中させていく。

 

すると、撃たれた脚がセメントでどんどん固められていき、スパイダージャマトレインは身動きが取れなくなってしまった。

 

「ギギ……シャアッ!!」

 

「うぉっと……!?」

 

しかし、それでもスパイダージャマトレインは簡単には止まらない。

 

鋭い毒牙の間から放たれた紫色の毒液が、ギーツの立っている骨組みを根元から溶かし、バランスの崩れた骨組みが崩落していく。

 

骨組みが崩れ落ちる中、落ちて来る数々の鉄骨を踏み台にラミアが素早く飛び移っていき、スパイダージャマトレインの頭上へと跳躍。

 

ニンジャバックルを取り外し、代わりにゾンビバックルを装填する。

 

≪SET≫

 

≪DUAL ON≫

 

≪SHARK ZOMBIE≫

 

「ようやくここまで来た……浮世英寿よりも先に、私が貴様を倒す!!」

 

≪SHARK ZOMBIE VICTORY≫

 

「ギシャッ!?」

 

「この瞬間のために……私は全てを賭ける!!」

 

バックルを操作したラミアは、両腕のリールから射出したワイヤーを、スパイダージャマトレインのボディに巻き付かせて拘束。

 

その状態から、ワイヤーを巻き取る勢いを利用して加速し、右足のバーサークローにエネルギーを収束させたラミアが強力なライダーキックを繰り出した。

 

もちろん、スパイダージャマトレインはそれに対抗するべく、口から毒液を弾丸のように連射してラミアのボディに炸裂させる。

 

「ギシャシャシャシャシャッ!!」

 

「ぐっ、ぬうぅ……ッ……うおおおおおっ!!」

 

毒液を受け、ラミアの装甲の一部がジュワジュワ音を立てながら溶けていく。

 

それでもラミアは止まらず、スパイダージャマトレインの顔面にライダーキックが命中する。

 

(ようやくだ……ようやくここまで来れた……!!)

 

この怪物機関車を破壊すれば、自分がデザ神になれる。

 

叶えるべき理想の世界が実現する。

 

その思いを胸に、ラミアは毒液による苦痛も耐え、右足に力を込め続ける。

 

「貴様を倒し、今度こそ私がデザ神となってやる……!!」

 

兄を殺した(・・・・・)あの男を、この手で葬るために……そのためならば……!!」

 

「私は……私自身の破滅も厭わない!!!」

 

勝利への強い執念からか。

 

ラミアの繰り出した必殺の一撃は、少しずつだが、スパイダージャマトレインのボディに亀裂を入れ始めていた。

 

このまま何もなければ、ラミアがスパイダージャマトレインを破壊し、デザ神の座に君臨する事となる。

 

そんな彼女が、1つミスを犯していたとすれば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、右足を用いた技(・・・・・・・)を繰り出してしまった事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!!?」

 

ラミアの右足に、強烈な痛みが走る。

 

それにより、ライダーキックを繰り出しているラミアの体勢が崩れかけてしまう。

 

ナッジスパロウの策略で負傷した右膝に、負荷がかかり過ぎたのだ。

 

(ッ……こんな時に……!!)

 

「ッ……ギシャア!!!」

 

「ぐあぁ!?」

 

技の勢いが僅かに弱まった事で、スパイダージャマトレインに押し返されてしまったラミア。

 

瓦礫の山に叩きつけられ、地面を転がった末に動けなくなった彼女を、スパイダージャマトレインが睨みつける。

 

「ッ……動け……頼む、動いてくれ……!!」

 

「ギシャアアアアアッ!!!」

 

痛む右膝を乱暴に叩いてでも、何とかその場から立ち上がろうとするラミア。

 

そこにスパイダージャマトレインが、強力な毒液の塊を吐き出す。

 

人間1人、簡単に飲み込んでしまえるであろう巨大な毒液の塊が、ラミアに向かって襲い掛かる。

 

「まだだ……私は、まだ……こんな、ところで……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

≪GIGANT HAMMER≫

 

 

 

 

 

 

「……!?」

 

しかし。

 

巨大な毒液の塊が、ラミアの全身を飲み込む事はなかった。

 

ラミアに命中する直前で、地面から突き出した巨大な鉄の壁が、毒液の塊を防ぎ切ったのである。

 

そしてラミアが見上げた先には、ギカントハンマーを肩に置くように構えているギーツの姿があった。

 

「浮世英寿……!!」

 

「もう良いラミア、充分だ。後は俺に任せて休んでろ」

 

「ッ……ふざけるな!! 私はまだ戦える、気遣いなど無用だ!!」

 

「勇気と無謀は違う。命あっての物種だ」

 

≪GIGANT BLASTER≫

 

「ッ!? ギシャ、ア……ッ……!?」

 

ギガントブラスターを装備したギーツは、スパイダージャマトレインの顔面目掛けてセメント弾を連射。

 

着弾したセメントが一瞬にして固まった事で、口を封じられたスパイダージャマトレインは、毒液を吐き出す事が不可能になってしまった。

 

続けて、鉄製の階段を生成したギーツは階段の上まで登り、構えていたギガントブラスターをその場に放り捨てた後、パワードビルダーバックルにギガントソードバックルを装填する。

 

≪GIGANT SWORD≫

 

「さぁ、盛大に打ち上げだ……!!」

 

≪BOOST TIME≫

 

ギガントソードを構えた後、ギーツはブーストバックルのハンドル部分を2連続で回転させ、パワードビルダーバックルのハンドルレバーを開いて再度閉じる。

 

すると、手放したギガントソードが徐々に巨大化していき、ギーツの胸部と左肩から伸びた2本のロボットアームがそれをキャッチ。

 

その状態のまま、ギーツは階段から高く跳躍し、スパイダージャマトレイン目掛けて巨大化したギガントソードを振り下ろしていく。

 

その光景を、ラミアは地上から見上げる事しかできなかった。

 

(何故だ……どうしてまた、私の前に貴様が……貴様ら(・・・)がこうして立ち塞がる……ッ!!)

 

スパイダージャマトレインにトドメを刺そうとするギーツ。

 

その姿に、ラミアは別のライダー(・・・・・・)の姿が重なって見えていた。

 

スパイダージャマトレインが苦し紛れに放つ砲撃ですら、そのギガントソードの一撃は止められない。

 

ラミアは、嫌でも悟るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の勝負も、自身の敗北で決まったのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……浮世英寿ううううううう!!!」

 

≪GIGANT STRIKE≫

 

「はああああああっ!!!」

 

「ギ、シャアアアアアアアアアアッ!!?」

 

スパイダージャマトレインのボディが、顔面から勢い良く真っ二つに両断される。

 

ギーツが地面に着地した後、ダメージに耐え切れなくなったスパイダージャマトレインは咆哮と共に木っ端微塵に爆発し、この世界から完全に消滅。

 

ツムリのゲーム終了を告げるアナウンスが、ジャマーエリア全体に響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




仮面ライダーギーツ!

四葉「貴様は何故そんなにも強いんだ……ッ」

英寿「願いの先に、アンタ自身の幸せはあるのか?」

仁美「私は今から、あなたに残酷な事をします」

修平「教えてくれ……アレは一体何なんだ……!?」

英寿「まさか、こうしてまた会うとはな」












※JYAMATO DATA※

・スパイダージャマトレイン

デザイアグランプリ最終戦『機関車ゲーム』に登場したラスボスジャマト。
モチーフは機関車と蜘蛛。
蜘蛛の顔と脚を持った機関車の姿をしており、正体判明前は蜘蛛の顔を髑髏で覆い隠していた。
口から吐き出す毒液と、背中から生やす大砲で攻撃する。
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