仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム 作:ロンギヌス
次回辺りから早速、活動報告の募集で考案して貰ったオリジナルライダーを何名か出せると思います。
それではどうぞ。
「デザイアグランプリ……何だそれ?」
ツムリが告げた名前に、集められた者達の内の一人がそう呟く。
紬を始め、大半の者達は疑問に駆られていた。
デザイアグランプリなんて、聞いた事もない名前だ。
それは一体何なのか?
一同のそんな疑問に答えるべく、ツムリが続けて説明する。
「私達の世界は今、ジャマトの脅威に晒されています」
「ジャマト……?」
「何処から来たのか、何が目的なのか分からない謎の怪物達。私達はジャマトと呼んでいます」
その説明を聞いて、先程まで失っていた記憶が呼び起こされる紬。
世界がめちゃくちゃにされた時、自身に襲い掛かって来た騎士姿の怪物達。
もしや、あれがそのジャマトなのだろうか。
紬はそう推測した。
「そのジャマトから街の平和を守るため、プレイヤーに選ばれた皆様が仮面ライダーとなり、ジャマトと戦って世界を救うゲーム……それがこの、デザイアグランプリなのです!」
ツムリがそう説明しても、一同は困惑する一方だった。
当たり前である。
彼ら、彼女らからすれば、そんな話はあまりにも非現実的過ぎるのだから。
一同がそういった反応をするのは読めていたのか、ツムリはにこやかに笑いながら説明を続けた。
「おや、皆さん。何だそれぇ~……って思っていますね? そう思ってしまうのも無理はありません。ジャマトの悲劇を忘れ、皆様が平和な日常を過ごせるように、デザイアグランプリが終わるたびに人々の記憶がリセットされるよう、設計されているのです」
(そっか……だから私、さっきまで忘れてたんだ……)
それと同時に、ジャマトによる襲撃騒ぎが世間で知られていない理由もわかり、納得する一同。
では何故、自分達はその記憶を思い出したのか。
それについてもツムリの口から説明された。
「デザイアグランプリに関する記憶が戻るのは、皆様が現在ドライバーに付けている、IDコアを手にした人だけ。そのIDコアこそ、皆さんのプレイヤーとしての証なのです」
そう言われて、紬は自身が装着しているデザイアドライバーに目を向ける。
ドライバーの中央部分にセットされている、動物の顔が描かれたIDコア。
それこそ、自身がプレイヤーに選ばれた証なのだと、紬は理解した。
「そして、ゲームを最後まで勝ち抜いた1人のプレイヤー……通称“デザ神”は、自分の理想とする世界を叶える事ができるのです!」
「「「「「!?」」」」」
デザ神となった者は、理想の世界を叶えられる。
つまり、自分の好きな願いを1つ、何でも叶える事ができるという事。
説明書に書かれていた内容は、本当の事だったのかと、大半の者達は目を見開いた。
もっとも、中には特に驚いたりはせず、不敵な笑みを浮かべたり、特に反応を示さない者もいたりはしたのだが。
「それでは皆さん。お手元のデザイアカードに、叶えたい願いをご記入下さい」
「デザイアカード? 何それ……うわっ!?」
ツムリが告げた途端、一同の手元に突然、1枚のカードと羽ペンが出現する。
一体、何がどういう原理でそうなっているのか、まるで理解が追い付かない者達ばかりではあったが、「好きな願いを叶えられる」という言葉に惹かれるものがあったのか、一同は手元に現れたカード―――“デザイアカード”に自分の願いを書き記し始めた。
(好きな願い、か……)
紬は悩んだ。
今の日常生活だけでも充分幸せだと思っていた彼女は、書きたい内容が上手く思いつかずにいた。
お金。
生活面で特に不自由はないので、これはなし。
恋人。
今は恋愛の事とかは考えていないので、これもなし。
権力。
別に国のトップに立ちたいなんて欲求もないので、もっとなし。
そうなると、最終的に思いついた願いは1つ。
(まぁ、書くとしたらこれかな)
家族の幸せ。
自分を産んで育ててくれた両親には、幸せな人生を過ごして貰いたい。
なんて事ない普通の願い。
しかし紬にとっては、純粋な願い事だった。
「全員、願いの記入を終えたようですね。それでは、デザイアグランプリを開催します!」
「……え、もう?」
凄いサラッと宣言された開始の合図に、思わず呆気に取られる紬。
しかし無情かな。
彼女のそんな呟きは、ツムリには無視されてしまった。
◆
とある工場地帯。
誰もいないこの広い地帯を、赤いバリアのような壁―――”ジャマーエリア”が覆って行く。
そしてそのジャマーエリア内に、プレイヤー達が一斉に転移させられていた。
「どこだ、ここ?」
「ここって……工場?」
「てか、何だこの恰好!?」
「あれ!? いつの間にこんな恰好に……!?」
気付けば、服装が紺色のユニフォームに変わっている事に驚くプレイヤー達。
こんな所で一体何をさせられるのかと一同が困惑する中、ジャマーエリア内にツムリの声が響き渡って来た。
『デザイアグランプリ、運命の第1回戦! 最初のミッションは、ウエスタンゲームです!』
「ウエスタンゲーム?」
「ウエスタン……西部劇か……!」
『今、皆さんがいるジャマーエリアには、複数のジャマトが潜伏しています。そのジャマト達を倒し、スコアを100点以上稼いだプレイヤーだけが、第2回戦に勝ち進む事ができます』
「えっ……倒すって、いきなり?」
「チュートリアルとかないの!?」
「スコア勝負か……面白え」
各々がそれぞれの反応を示す中、突然、一同の足元にそれぞれミッションボックスが出現する。
ピンク色をしたそのミッションボックスは、上蓋にクエスチョンマークが描かれていた。
『プレイヤーの皆さん。足元のミッションボックスから、アイテムをお受け取り下さい。それが皆さんが戦うためのアイテムとなります』
「アイテム?」
そう言われ、プレイヤー達は自分の足元に現れたミッションボックスを拾い、その中身を確認し始める。
紬も同じように、拾い上げたミッションボックスの上蓋を横にスライドし、その中に入っていたアイテムを取り出した。
「何これ……盾?」
紬が取り出したのは、盾のような造形をした青色の小型バックル―――“シールドレイズバックル”だった。
これを一体どう使えというのか。
紬が首を傾げた……その時。
バキューンッ!!
「……え?」
突然聞こえて来た、1発の銃声。
銃声が聞こえた方に対し、紬はまるでブリキのようにギギギと振り向いた。
彼女が見下ろした先に映ったのは、足元の地面から僅かに噴き上がっている煙。
それは、明らかに銃弾が撃ち込まれた跡だった。
「イズヴテウトビ……」
そして彼女が見上げた先には、高台から拳銃で狙って来ている怪物―――“ガンマンジャマト”の姿。
それも1体だけではない。
柱の陰から。
階段やパイプの上から。
複数のガンマンジャマトが、既にプレイヤー達に対して狙いを定めていた。
『ではこれより……ウエスタンゲーム、スタートです!』
「いやちょっと待ってぇぇぇぇぇ!?」
紬のその叫びを引き鉄に、プレイヤー達は一斉に逃げ惑い始める。
そんなプレイヤー達に対し、容赦なく銃撃を仕掛けるガンマンジャマト達。
ジャマーエリア内のあちこちで、銃声と悲鳴が響き渡っていく。
「ちょ、こんな……一体どうすれば良いの~!?」
よくわからないアイテムを渡され、いきなり戦闘が始まったこの状況。
チュートリアルすらない理不尽過ぎるゲームに、プレイヤー達はパニック状態に陥る事しかできなかった。
紬と数人のプレイヤーは大慌てで、複数のパイプが入り組んだ狭い通路へと逃げ込んでいく。
通路の外からは、ガンマンジャマトに襲われているプレイヤー達の悲鳴が聞こえて来る。
「あぁ、皆襲われてる……こんなの絶対無理だよぉ……!」
「なら、邪魔になるから引っ込んでな」
「え?」
その時、一人の女性プレイヤーが紬の横を通り過ぎた。
長い黒髪をポニーテール状に結んだその女性は、鉤爪の造形をした黄色の小型バックルを手に、ガンマンジャマト達のいる外に出ようとしていた。
「な、何してるんですか!? 危険ですよ!?」
「危険なんて承知の上よ。戦わなければ、願いは叶えられない」
紬の制止も聞かず、強気に前に出ていく女性プレイヤー。
その時、紬の後ろにいた男性プレイヤーが、その女性プレイヤーの素顔を見てある事に気付いた。
「あれ……あの人ひょっとして、我那覇選手!?」
「え? それって……」
「ほら、あれだよ! 霊長類最速の女子アスリートで有名な、我那覇冴選手だよ!」
「え……えぇぇぇぇ!?」
そんな有名人が、どうしてこんな所に!?
驚く紬達を無視し、黒髪ポニーテールの女性―――“
≪SET≫
音声が鳴り響く中、冴の斜め後ろに【CLAW】の文字が浮かび上がる。
それと共に、冴はその場で2回ほど軽く跳躍し、両腕で肩のストレッチを行った後、ドライバーに装填したクローバックルを操作した。
「変身!」
≪ARMED CLAW≫
音声と共に、少し屈んだ姿勢を取った冴の全身が、黒いライダースーツに包まれていく。
冴の頭には青い狼の仮面が装着され、右胸には黄色の装甲が、両手には大きな鉤爪型の武器が装備される。
≪READY FIGHT≫
「最速で倒す……!」
青い狼の戦士―――“仮面ライダーロポ・アームドクロー”への変身を完了させた彼女は、両腕に装備した鉤爪―――“レイズクロー”をシャキンと研ぐような仕草をした後、すぐさまガンマンジャマト達に向かって突撃した。
「あ、あの人は……!」
そのロポの姿に、紬は見覚えがあった。
前回のデザイアグランプリで、ジャマトに襲われていた自分を助けてくれた仮面ライダーの1人。
それがまさか、アスリートの我那覇冴選手だったなんて。
「はぁっ!!」
「ジャーッ!?」
驚く紬を他所に、拳銃で狙い撃とうとするガンマンジャマトを片っ端から切り裂いていくロポ。
素早く動き回る彼女の頭上に映っているモニターでは、ロポのスコアが20、30とどんどん加算されていく。
◆
「うわぁぁぁぁぁ!?」
「い、嫌だ、来るなぁぁぁぁぁ!!」
もちろん、誰もがロポみたいに勇敢に立ち向かえる訳ではない。
大半のプレイヤー達は、ガンマンジャマトの銃撃から逃げ続けるばかりだった。
そんな中……
≪MAGNUM SHOOTER 40X≫
ズガガガガァンッ!!
「「「ジャーッ!?」」」
数体のガンマンジャマトが、謎の銃撃を受けて転倒する。
そこに、1人の男性プレイヤーが堂々と立ち塞がった。
「相変わらず、初心者に優しくないよね。デザグラって」
左目を前髪で隠し、口元に黒いマスクを着けた茶髪の青年。
その左手には、マグナムシューター40Xが構えられていた。
「それにしても……まさかこれが、最初に俺の手に渡るなんて」
黒いマスクを着けた茶髪の青年―――“
それは、リボルバー拳銃を正面から見たかのような造形をした、大型のバックルだった。
勇海はその大型バックル―――“マグナムレイズバックル”をデザイアドライバーの右側のスロットに装填する。
≪SET≫
背後に【MAGNUM】の文字が浮かぶ中、勇海は前方にまっすぐ伸ばした右腕を、ゆっくり折り曲げて胸元まで移動させた後、掌を内側から外側に向ける。
それからマグナムバックルのリボルバー部分を回転させ、トリガー部分を指で押し込んだ。
「変身」
「「「ジャーッ!?」」」
マグナムバックルの銃口部分から放たれた6発の弾丸が、目の前のガンマンジャマト達を撃ち抜いた後、勇海の横に集まると共に白い胸部装甲を生成。
勇海の全身が黒いライダースーツに覆われ、頭部にシャチの仮面が装着される中、その白い胸部装甲も彼の上半身に装備された。
≪MAGNUM≫
≪READY FIGHT≫
「はっ!」
勇海が変身したシャチの戦士―――“仮面ライダーオルカ・マグナムフォーム”は気怠そうに首を回した後、マグナムシューター40Xを左手から右手に持ち替え、ガンマンジャマト達を狙撃し始める。
彼が放った弾丸は、ガンマンジャマト達を次々と撃ち抜き、オルカのスコアが加算されていく。
◆
「「「ジャ~……!!」」」
「フッ……こんなに集まって来るとは、人気者は辛いな」
更に別の場所では。
複数のガンマンジャマトが構えている中、青年―――“
その右手には、ハンマーの造形をしたピンク色の小型バックル―――“ハンマーレイズバックル”が握られている。
「どんなゲームだろうと、最後に勝つのは俺だ」
≪SET≫
ハンマーレイズバックルが、デザイアドライバーに装填される。
背後に【HAMMER】の文字が浮かぶ中、前方に向かって右手を伸ばした英寿は、指先で狐の頭を作った後、親指と中指でフィンガースナップを決める。
「変身!」
≪ARMED HAMMER≫
それからハンマーレイズバックルを操作し、英寿の全身に黒いライダースーツと、白い狐の仮面が装着される。
右胸にはピンク色の装甲が、そして右手にはピンク色のハンマー型武器―――“レイズハンマー”が出現し、英寿は“仮面ライダーギーツ・アームドハンマー”への変身を完了させたのだった。
≪READY FIGHT≫
「さぁ、ゲーム開始だ」
To be continued……
仮面ライダーギーツ!
冴「まさかこんな所でまた会うなんてね」
???「皆様をサロンへと御案内します」
???「俺の邪魔する奴は、誰だろうと容赦しねぇ!」
紬「これが、私の姿……?」