仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム 作:ロンギヌス
いやぁ〜、ギーツ本編の最新話は祢音ちゃんが大活躍でしたねぇ。
というかファンタジーフォーム強過ぎない……?
そしてダパーン!!
お前の再登場は予想外だった!!
でも今更ナーゴに勝てる未来が見えない!!←
まぁそれはさておき、第5話をどうぞ。
ちなみに、第1回オリジナルライダー募集は締め切らせて頂きました。
皆様、素晴らしいアイデアを本当にありがとうございます。
そう遠くない内に、第2回も行う予定ですので、それまではしばしお待ちを。
・主なプレイヤー
小林紬/仮面ライダーハーム
我那覇冴/仮面ライダーロポ
宗像勇海/仮面ライダーオルカ
浅利切人/仮面ライダーターボン
雪ノ下幸/仮面ライダーホワイティー
榎本龍之介/仮面ライダーグリズ
浮世英寿/仮面ライダーギーツ
参加人数:30名
現在生き残っている人数:6名
暗い闇。
「っ……ここは……」
紬は一人、彷徨い続けていた。
「何故だ……」
ゴールの見えない闇の中、紬の耳に聞こえて来る声。
「何でだよ……」
「ふざけるなよ……!」
それは怨嗟の声だった。
「何でお前は生き残ったんだよ……!」
「俺達は死んだってのに……!」
「お前だけ生き残ってズルいじゃねぇか……!」
「っ……やめて……」
次々と聞こえて来る声。
それらは全て、紬を一方的に責め立てるものだった。
「ふざけんな、お前が死ねよクソが……!」
「お前が死んどけば俺達が生き残れたかもしれないのに……!」
「私達の人生を返してよ……!」
紬が耳を塞いでも、彼らの声は収まらない。
それどころか、どんどんと大きくなっていく。
「うぅ……! ごめんなさい、ごめんなさい……!」
謝罪の言葉を口にする紬。
しかし、そんな事で彼らが許してくれるはずもない。
そんな中、紬の肩に何者かの腕が回される。
それは、退場したはずのターボンだった。
「わかったら大人しく死んでくれや。お前の代わりに、俺達が生きてやるからよぉ……!!」
「ひっ!? や、やめて―――」
◆
「―――っ!?」
直後、ガバッと起き上がった紬。
そこは彼女が住んでいる自宅の部屋。
窓の外から照らされる月の光で、まだ時間帯は夜だと紬は把握した。
彼女の周囲には誰もいない。
もちろん、怨嗟の声は何も聞こえて来ない。
「……夢かぁ」
ホッと安堵のため息をつく。
額には汗が流れており、寝間着代わりのTシャツが湿っていた。
彼女がこんな夢を見るようになったのも、デザイアグランプリに参加するようになってからだ。
最初の第1回戦が終わり、数日が経過してからというもの。
紬は普段と変わらない日常を過ごしていた。
仮面ライダーに変身してジャマトと戦った数日前が、まるで嘘のように平和な日々を送っている。
平和過ぎて、逆に恐ろしいくらいだった。
(……一旦着替えよう)
ひとまず、汗でベタベタの体を何とかしたい。
そう思った紬はベッドから起き上がり、タンスから着替えのシャツを取り出して着替え始めるのだった。
◆
「紬~、おっはよ~♪」
「おはよう、さゆりちゃん」
その日の朝8時。
学校に登校中だった紬は、その道中でクラスメイトと対面した。
長い茶髪を左側にサイドテールで結んだその少女―――“
「うん? どしたの紬、なんか隈できてるよ?」
「へ? あぁ、えっと……昨日、読書してたら夜更かししちゃって……」
デザイアグランプリの悪夢を見たせいで上手く寝られなかった……と、紬は言えなかった。
その理由は、デザイア神殿から立ち去る際に、ツムリから告げられた台詞にあった。
『デザイアグランプリに関する情報は、決して外部には漏らさないように。守れない場合は強制脱落となりますので、ご注意下さい』
そう、デザイアグランプリの情報は決して第三者に明かしてはならない。
これを破った場合は強制的に脱落となるのだ。
だからこそ、紬は適当な理由をつけて誤魔化す事しかできなかった。
「ふ~ん、紬がそんな事するなんて珍しいねぇ。夜更かしは健康に悪いぞ~? うりうり~」
「ちょ、やめてってばぁ……!」
さゆりが紬の後ろから抱き着き、紬の頬を指先で突っつく悪戯を仕掛ける。
紬はそんなさゆりを引き剝がしながらも、その頭の中はデザイアグランプリの事でいっぱいになっていた。
(それにしても、外部に少しでも話しちゃいけないだなんて……やりにくいなぁ)
1つ前のデザイアグランプリで初めて出会った勇海が、まだプレイヤーではなかった頃の紬にあまり情報を明かさなかったのも、恐らくはそれが理由なのだろう。
デザイアグランプリに参加している間、家族や友人に隠し事をし続けなければならないというのは、紬からすればあまり気分の良いものではなかった。
「あっ、そういえばさぁ紬。知ってた? 今朝のニュースでやってたんけどさ、また連続殺人が起きたんだって。これでもう3件目らしいよ」
「そうなんだ……」
不意に発せられたさゆりの言葉に、一瞬だけビクッとする。
それに気付いていないのか、さゆりは話を続けた。
「ほら、二丁目の河原付近に大きな橋があったじゃん? あそこの橋の下で、小学生の死体が発見されたんだって。恐ろしい話だよ」
「え……それって確か、学校から結構近いところだったよね……?」
「そうそう。まさかこの近所でそんな事件が起きるなんて、世の中物騒になったもんよねぇ」
さゆりの話を聞いて、紬は背筋が震えた。
まさか学校から近い場所で、そんな恐ろしい事件があったなんて。
これは帰り道とかは特に気を付けなければ。
そう思っていた時だった。
さゆりの恐ろしい話を聞いて、頭がいっぱいになっていたからか。
紬は前方に意識が向かず、歩いている先に立っている人物に気付けずにぶつかってしまった。
「きゃっ!?」
「おっと……あぁ、ごめんなさい。大丈夫?」
「ふぇ? あ、あああああの、す、すみません!」
「ちょ、何やってんの紬!? すいません本当に、うちの友達が!」
「ふふふ、良いのよ。次からは気を付けてね」
紬は即座にぶつかってしまった相手に謝罪し、ぶつかられた相手はそんな彼女をあっさりと許した。
そして顔を上げた紬は、その人物を見てある事に気付いた。
「本当にすみませんでし……あれ? あなたは……」
「うん? あら、あなたは確か……」
紬がぶつかった相手、それは雪ノ下幸だった。
この時、幸は紬やさゆりとは違う学生服を着ており、どうやら彼女も自身が通っている学校に登校中のようだった。
「へ? 何、知り合いなの紬?」
「え、あ、えぇっと……」
「数日前にね。この子が落とし物を探していたようだったから、私がそれを手伝ってね。その時に知り合ったの」
嘘や誤魔化しが下手な紬に変わり、幸がごく自然な流れでさゆりに嘘の理由を説明する。
それを聞いたさゆりは「なるほど……」と納得した様子だった。
「あの時は、落とし物が見つかって良かったわね。紬ちゃん」
「え、あ……は、はい! あの時は、本当にありがとうございました!」
「ふふふ、どういたしまして」
幸は紬に対し「私の話に合わせて」と目配せをし、その意図を読み取った紬も取り敢えずお礼を言う事で何とか話を合わせる事にした。
「ほぇ~、そちらの綺麗なお姉さんとそんな事が……あ、やっば!?」
「うえ!? ど、どうしたのさゆりちゃん?」
「私、今日は日直の仕事があるのすっかり忘れてた!! ごめん紬、私先に行ってるね!!」
「え、あ、うん! 行ってらっしゃい! 気を付けて!」
この日が日直の当番である事を思い出したさゆりが、紬と幸を置いて大急ぎで学校まで走り始める。
彼女の後ろ姿が小さくなっていく中、幸は面白そうに微笑んでいた。
「良いお友達がいるのね」
「……はい。私の大切な友達です」
「そう、それは良い事ね……あ、そういえば私、まだあなたに自己紹介してなかったわね」
幸はそう言うと、制服の上着のポケットからアローバックルを取り出し、それを軽く宙に放ってから右手でキャッチする。
そしてアローバックルを紬に見せつけ、不敵な笑みを浮かべながら自身の名前を告げた。
「私は雪ノ下幸。仮面ライダーホワイティーよ。同じ学生同士だけれど、デザグラではライバル同士。改めてよろしくね」
「は、はい! 私は小林紬で、仮面ライダーハームです! お願いします! ……あ、でも……」
「? どうしたの?」
「た、確かに、私達はライバル同士なのかもしれませんけど……できる事なら私は、他のプレイヤーさん達とも協力し合っていきたいかなぁって……」
紬は元々、暴力や争い事を好むような性格ではない。
それ故、デザ神の座を求めて争い合う事で、プレイヤー同士が険悪な関係になってしまう事は、あまり望んではいない事だった。
その事を正直に告げた紬に対し、幸はきょとんとした表情を浮かべた後、フフッと小さく吹き出した。
「そうね。確かに私達、ライバル同士とは言っても、デザイアグランプリの参加は今回が初だものね。そういう意味では、初心者同士で協力し合うのも悪くないかもしれないわ」
「! じ、じゃあ……」
「えぇ。次のゲーム、私達は一緒に行動しましょう。その方がお互い、生き残れる確率が少しでも上がるかもしれないもの」
「は、はい! よろしくお願いします!」
幸との協力体制が結ばれた事を喜び、満面の笑顔で彼女に頭を下げる。
そんな彼女を見て、幸は思わず頬が緩む。
「ふふ……やっぱり、あなたはとても優しい子ね」
「そ、そんな事ありませんよぉ。私はただ、人が傷ついたりするのが好きじゃなくて……」
「そうね。その気持ちはよくわかるわ。だから私ね、他のプレイヤー達にもひと通り声をかけてみようかと思うの」
「他のプレイヤー……英寿さんや冴さん、勇海さん達にもですか?」
「えぇ。あの人達なら、話し合えばきっと協力してくれるかもしれないでしょう? ……まぁ、あの坊主頭の方は無理かもしれないけれど」
「あ、あははは……確かに……」
紬と幸の脳裏に浮かび上がるのは、龍之介の姿。
粗暴なターボンに対し、あれだけ挑発的な態度を取っていたのだ。
他者との馴れ合いを好まない彼の協力を得るのはかなり難しいだろうと、幸は判断していた。
「っと、大変。急がないと遅刻しちゃうわ」
「ふぇ? あ、そ、そうでした!」
「じゃあそういう訳だから。次のゲームでまた会いましょうね、紬ちゃん」
「は、はい! それじゃ、お先に失礼します!」
そう言って、大急ぎで学校まで走り始める紬。
幸はそんな紬の後ろ姿を見届けながら手を振り続けていた。
「ふふ、本当に面白い子ね……」
「本当、チョロ過ぎて笑えてくるわ……ウフ、ウフフフフ……♪」
◆
その日の午後15時。
とあるゲームセンターにて、一人静かにゲームを楽しんでいる人物が1人。
その正体は勇海。
彼は目の前に設置されている、太鼓のリズムゲームを楽しんでいた。
その腕前はかなりのもので、画面の中で流れている楽曲に合わせて的確に太鼓を叩き続けていく勇海。
そして曲が終わる頃には、見事コンボを途切れさせる事なく最後まで叩き切ってみせた。
≪パーフェクトだポン!≫
「ふぅ……」
叩き出された新記録に対し、勇海は目も暮れる事なく持っていた鉢を置き、別のゲームへと移り始める。
そんな彼に声をかける人物がいた。
「相変わらず良い腕だな。流石は歴戦のプロゲーマーってところか。オルカ」
「! ……英寿君」
手に持っていたコインを指で弾いてキャッチした後、英寿は近くに設置されている1台のアーケードゲームを指差す。
それはゾンビが大量に襲って来るという設定のホラーシューティングゲームだった。
「一発、協力プレイでもどうだ?」
「……良いよ。まだまだ遊び足りないところだったし」
そう言って、100円玉を投入してシューティングゲームを遊び始める英寿と勇海。
画面に映っては次々と襲って来るゾンビ達を、二人は構えた銃型のコントローラで的確に撃ち抜いていく。
点数をどんどん稼いでいく中、勇海が口を開いた。
「今回もデザグラに参加したんだね」
「あぁ。それがどうかしたか?」
「単純に気になってね。デザ神になった君が、どうしてまたデザグラに参加しているのか……ね」
「色々試してるのさ。叶えられる願いの限界を」
「願いの限界?」
英寿の言葉に、勇海は疑問を抱きつつも目の前の画面に集中する。
現時点で、英寿も勇海も、ほとんどミスはしていない。
「デザ神になれば、理想の世界を叶える事ができる……だが、そこに果たして限界はあるのかどうか。俺はそれを確かめてみたいのさ」
「そのためだけに、これまで何度もデザグラに参加してきたと?」
「あぁ、そうだ」
「随分信憑性に欠ける台詞だね」
「信じるかどうかは、お前次第だ」
「信じるかどうかはさておき……一つ聞いても良いかな」
「何だ?」
「君は何のために戦うんだい?」
銃型コントローラを操作する手を一切緩めぬまま、勇海が英寿に何気なく問いかけた普通の質問。
それは英寿の中に一瞬だけ、沈黙をもたらした。
「君が今言った、デザグラに参加し続ける理由……それってあくまで、手段の一つでしかないように、俺は聞こえたんだけど」
「へぇ、何のための手段だ?」
「その手段の先に、本当に果たしたい目的がある……違うかい?」
その問いかけに対し、英寿は何も語らない。
数十秒ほど、二人の間に沈黙が続いた後、「いや」と勇海の方から切り出した。
「良いよ。やっぱり言わなくて」
「へぇ、良いのか? 聞かなくて」
「人間、誰だって言いたくない事情はあるだろうしさ。それに、俺の事情を知って黙ってくれている君に、俺が一方的に問い詰めるのも筋が通らないし」
「フッ、律儀な奴だな」
「こう見えても、俺は君に感謝してるんだ。恩を仇で返す訳にはいかない」
「そんな事を言われても、デザグラで手を抜いてやるつもりはないぞ?」
「それは安心して良いよ。俺、ゲームで手を抜いた事は一度もないからさ」
「そう来なくっちゃな」
ラスボスを倒し、ゲーム画面にデカデカと映し出される『GAME CLEAR!』の文字。
一度もゲームオーバーする事なくクリアした事で、近くで見ていた野次馬達から拍手が巻き起こった。
銃型コントローラを元あった場所に戻した後、二人は別のゲームに移動しようとした。
その時……。
「「!」」
二人が所持しているスパイダーフォンに突然入った着信。
それを聞いて、二人は表情が一変する。
「英寿君」
「あぁ……お呼び出しだ」
スパイダーフォンの着信音。
それは、デザイアグランプリの次のゲームが始まる合図。
英寿と勇海は互いに視線を交差させ、同時にゲームセンターの外へと向かい出した。
「今度こそ負けないよ。英寿君」
「いいや、今回も俺が勝つさ」
第2回戦が、幕を開ける。
To be continued……
仮面ライダーギーツ!
ツムリ「ようこそ、ジャマト博物館へ!」
龍之介「ここでは何を始めるつもりだ?」
幸「直接手は出せなくても、潰す方法なんていくらでもあるのよ?」
英寿「へぇ、こいつは良いバックルが来たな……!」