仮面ライダーギーツエクストラ 追憶:知られざるゲーム   作:ロンギヌス

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はい、第6話更新です。

今回と次回はちょっと長めのお話になります。

それでは、第2回戦をご覧あれ。








・主なプレイヤー

小林紬/仮面ライダーハーム
我那覇冴/仮面ライダーロポ
宗像勇海/仮面ライダーオルカ
浅利切人/仮面ライダーターボン
雪ノ下幸/仮面ライダーホワイティー
榎本龍之介/仮面ライダーグリズ
浮世英寿/仮面ライダーギーツ

参加人数:30名

現在生き残っている人数:6名



第6話:探索、ジャマト博物館!

デザイア神殿のロビー。

 

現在生き残っているプレイヤーが6名、この場に集まりつつあった。

 

一足先に到着した英寿と勇海。

 

その後にやって来た冴と龍之介。

 

そして、学校の授業が終わったばかりの幸と紬。

 

6人が揃った中、幸と紬は、他のプレイヤー達に対し、次のゲームで協力し合わないかどうか提案した。

 

しかし……。

 

「悪いけど、お断りよ」

 

「えぇ~!?」

 

その提案は、冴からは迷いなく断られてしまった。

 

速攻で断られると思っていなかった紬は、ガーンとショックを受けた表情を見せる。

 

「デザ神になれるのは1人だけで、その座を競い合うのがデザイアグランプリのルール。協力し合ったら意味がないでしょう?」

 

「それに関しては俺も同意見だ。プレイヤー同士で馴れ合うつもりなどない」

 

冴の台詞に続くように、龍之介も発言する。

 

「そもそも信用ならんな。一時的な同盟など、裏切りが付き物だろう?」

 

「そ、そんな! 裏切ったりなんかしませんよ!」

 

「ふん、どうだか。口では何とでも言える」

 

紬が強く否定しても、龍之介は彼女の言葉を全く信じようとしない。

 

彼は仲間やチームプレイといった類の言葉を、一切信用していないようだ。

 

「なら、英寿さんと勇海さんはどうかしら? ライバル同士と言っても、時には他のプレイヤーと手を組む事はあるのよね?」

 

そこで今度は、幸が英寿と勇海に声をかけてみる事にした。

 

冴や龍之介と違い、この2人なら少しくらいは耳を傾けてくれるのではないか。

 

そんな期待を込めた幸だったが……。

 

「悪いけど、俺も断らせて貰う」

 

「右に同じ」

 

幸の予想とは裏腹に、英寿と勇海からもアッサリ断られてしまった。

 

「あら、残念。理由を聞いてみても良いかしら?」

 

「グリズが言っている通り、ここぞという場面で裏切られる可能性は無きにしも非ずだからな」

 

「組んだ相手にばかり気を取られて、自分の事が疎かになっちゃったら元も子もないしね」

 

「そ、そんなぁ~……」

 

両者共に、冴と龍之介の意見に同意しているようで、共闘には否定的だった。

 

英寿や勇海からも断られてしまい、紬はしょんぼりとした顔を浮かべる。

 

こうなる事もある程度覚悟していたとはいえ、やはりショックが大きいのか、彼女はガックリと項垂れてしまった。

 

「まぁ、断られてしまった以上は仕方ないわ。私達だけでも手を組みましょう、紬ちゃん」

 

「幸さん……うぅ~、今は幸さんの優しさが凄く身に染みます~……!」

 

「もう、大袈裟ね」

 

幸は大袈裟に感動している紬を抱き寄せ、彼女の頭を優しく撫でながら微笑む。

 

しかし、紬は気付かなかった。

 

(まぁ良いわ……むしろこの方が、かえって都合が良さそうかもしれないし)

 

紬に見えないところで、幸が含みのある笑みを浮かべていた事を。

 

「……ふぅん」

 

そんな幸もまた、ある事に気付かずにいた。

 

怪しげに笑う幸を、勇海が横目でさりげなく見据えていた事に。

 

その目付きはまるで、獲物を鋭く睨みつけているかのようだった。

 

「皆さん、大変お待たせしました」

 

それから数分後。

 

6人の前に、ようやくツムリが姿を現した。

 

いつも通りのにこやかな笑顔を浮かべながら、ツムリはゲームの再開を宣言する。

 

「ではこれより、デザイアグランプリ第2回戦を開始します」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

ツムリがそう言うと、デザイア神殿の風景がホログラムのように変化していく。

 

そして6人が気付いた頃には、彼らはデザイア神殿ではなく、全く違う場所に転移していた。

 

「ここは……」

 

「博物館、か?」

 

6人のプレイヤーが転移させられた場所……そこは大きな博物館の館内だった。

 

しかし、館内に展示されているのは、普通の博物館によくあるそれではない。

 

見た事もないような姿をした、二足歩行の異形らしき姿をした骨格標本や、様々な種類の武器、城の模型などが展示されている。

 

それらが一体何なのか分からず、当初は首を傾げる一同だったが、ここで幸がある事に気付いた。

 

「これは……ジャマトかしら?」

 

幸は館内に置かれている展示物の内、これまで戦って来た騎士ジャマトやガンマンジャマトの元である“ポーンジャマト”のような顔をした埴輪を発見する。

 

その時、館内にツムリの声が聞こえて来た。

 

『その通りです。ようこそ、ジャマト博物館へ!』

 

「「「「「ジャマト博物館?」」」」」

 

ツムリの台詞に、英寿以外の面々が口を揃えて復唱する。

 

ジャマト博物館という名前から、一同は周囲の展示物の正体に気付いた。

 

「え……じゃあもしかして、これ全部ジャマトの化石や模型ですか……!?」

 

「ここに置かれている武器は、ジャマトがこれまでのゲームで使っていた武器って事かな」

 

「誰が建設したのか知らないけど、悪趣味な博物館ね……」

 

展示物がどれもジャマトに関連する物ばかりであると気付いた紬は驚き、勇海は冷静に展示物を観察し、冴は嫌悪感を抱いた。

 

「そんな事はどうでも良い。それで? ここでは何を始めるつもりだ?」

 

『こちらで行われるのはズバリ……コイン集めゲームです!』

 

龍之介の疑問に答えるように、ツムリのルール説明が始まる。

 

『現在、この博物館の至る所に、たくさんのコインが隠されています。プレイヤーの皆さんはその隠されているコインを発見し、たくさん集めて下さい。集めたコインの枚数が一番少なかったプレイヤーが、ここで脱落となります』

 

「コイン集め、か」

 

「この広い館内を探し回るのか……大変そうだなぁ」

 

集めたコインの枚数で競い合う今回のルール。

 

プレイヤー達は今から、この広い博物館のエリア内を、あちこち探し回らなければならない。

 

勇海が面倒臭そうに呟く中、「ただし」とツムリが注意事項を告げる。

 

『集めたコインは必ず、皆さんが手にしているミルク缶の中に入れて下さい。たとえプレイヤー自身の手でコインを掴んでいたとしても、そのコインをミルク缶の中に入れていなければ、集めた枚数にはカウントされません』

 

「ミルク缶?」

 

「見つけたコインは、すぐにこいつの中に入れた方が良いって事だ」

 

気付けば、プレイヤー達のすぐ近くに大きなミルク缶が6缶も置かれていた。

 

よく見ると、プレイヤー達が変身するライダーのマークがそれぞれのミルク缶に描かれており、英寿が自分用のミルク缶を背負い、それに続いて他のプレイヤー達も自分のミルク缶を背負い始める。

 

『また、館内には警備員の姿をしたジャマト達が巡回しています。プレイヤーを見つけ次第襲い掛かって来ますので、くれぐれもご注意を』

 

「「「「「ジャッジャッジャッ」」」」」

 

ツムリがそう告げたその直後。

 

柱や展示物の物陰から、警備員の恰好をしたジャマト―――“警備員ジャマト”がゾロゾロと姿を現し始めた。

 

それを見た紬が「ひぇっ」と小さく悲鳴を上げながら咄嗟に幸の後ろに隠れ、勇海達もすかさず身構える中、英寿が手にしたハンマーバックルを軽く宙に放りながら一同の前に立つ。

 

「早速お出ましだな。皆、行くぞ」

 

「ふん、俺に命令するな……!」

 

「上等よ。最速で掻き集めてみせる」

 

「面倒だけど……まぁ、なるようにしかならないよねぇ」

 

「私達も行くわよ、紬ちゃん」

 

「は、はい!」

 

≪≪≪≪≪≪SET≫≫≫≫≫≫

 

6人はデザイアドライバーに自身が所持しているバックルを装填し、それぞれポーズを決める。

 

紬もまだ拙いながらも、左腕を右斜め上にゆっくり大きく伸ばし、拳を強く握り締めるポーズを構えてみせる。

 

「「「「「「変身!」」」」」」

 

≪ARMED HAMMER≫

 

≪NINJA≫

 

≪ARMED CLAW≫

 

≪MAGNUM≫

 

≪ARMED ARROW≫

 

≪ARMED SHIELD≫

 

英寿はギーツ・アームドハンマー、龍之介はグリズ・ニンジャフォーム、冴はロポ・アームドクロー、勇海はオルカ・マグナムフォーム、幸はホワイティー・アームドアロー、そして紬はハーム・アームドシールドに変身。

 

一同がそれぞれ武器を装備する中、ツムリがゲームの開始を宣言する。

 

『制限時間は2時間となります。それではコイン集めゲーム……スタートです!』

 

「「「「「ジャーッ!!」」」」」

 

スタートと同時に、警備員ジャマト達が一斉にプレイヤー達に襲い掛かる。

 

ギーツ達もそれを迎え撃ち、大乱戦へと発展する。

 

≪BULLET CHARGE≫

 

「フッ!!」

 

オルカが早速、マグナムシューター40Xの打鉄を引いてエネルギーを充填し、警備員ジャマト達を狙撃。

 

撃ち抜かれた警備員ジャマト達が爆発した後、数枚のコインがチャリンチャリンと音を立てながら床に散らばっていく。

 

「へぇ、ジャマトを倒した場合でもコインが手に入るんだ」

 

「ならばここは、俺の独壇場という事だな……!!」

 

≪NINJA STRIKE≫

 

「「「ジャジャーッ!?」」」

 

それを知ったグリズはニンジャバックルを操作すると、その場で自身の分身体を複数生成し、一斉に動き出す。

 

グリズの分身達が振るうニンジャデュアラーで斬り裂かれた警備員ジャマト達が次々と爆発し、床に散らばった複数枚のコインをグリズの分身達が掻き集めていく。

 

「ふん、この調子なら1位独占はそう難しくなさそうだな。俺の勝ち抜けは確定し―――」

 

「はぁ!!」

 

「なっ……!?」

 

その時、床に向けて放たれた爪のようなエフェクトの斬撃が、落ちていた一部のコインを宙に浮かせた。

 

そしてそれらが、ロポの所持していたミルク缶の中へと収まっていく。

 

「おい!! それは俺が手に入れたコインだぞ!!」

 

「まだアンタのミルク缶に入れてないでしょう? たとえジャマトを倒してコインを落とさせても、自分のミルク缶に入れなきゃ意味がないわ」

 

「チッ……!!」

 

これ以上コインを横取りされては堪らないと判断したのか、グリズは舌打ちしてから別のフロアへと移動し始める。

 

ロポも同じようにその場から移動しようとしたが、そんな彼女にハームが後ろから呼びかけた。

 

「冴さん、お気を付けて!」

 

「ッ……他人の心配してないで、アンタは自分の心配しなさい」

 

気遣いの言葉をかけられ、ロポは僅かに動揺しながらも、素直ではない返事を返して去っていく。

 

彼女が走り去った後、ホワイティーがハームの肩をポンと叩いて呼びかけた。

 

「それじゃあ紬ちゃん、私達も行くわよ!」

 

「はい、幸さん! それじゃあ英寿さん、勇海さん! また後で!」

 

ハームもホワイティーに同行し、別のフロアへと移動していく。

 

それに対し、オルカが無言ながらも左手で軽く手を振ってあげた一方で、ギーツは特に急ぐ様子もなく、のんびりと展示物を見て回っていた。

 

「……随分のんびりしてるね。急がなくて良いの?」

 

「問題ないさ。にしてもアイツら、ツムリが言ってた事もう忘れてるな」

 

「え?」

 

「ツムリが言ってただろ? 至る所にコインが隠されてるって。例えば……」

 

ギーツはレイズハンマーを構えると、近くの展示物を覆っているガラスに向けて勢い良く叩きつける。

 

ガシャーンと割れたガラスが飛び散った後、展示物である壺を持ち上げて逆さまにすると、そこからかなりの量のコインがジャラジャラと飛び出し、ギーツのミルク缶の中へと収まっていく。

 

「ま、こういう事だ」

 

「なるほど。やけに詳しいね」

 

「このゲームは、過去にも開催された事があるのを覚えている。所謂、経験則って奴だ―――」

 

 

 

 

 

 

≪SECRET MISSION CLEAR≫

 

 

 

 

 

 

「「ん?」」

 

その時、突然聞こえて来た音声。

 

ギーツとオルカがスパイダーフォンを取り出してみると、その画面には【一番最初にコインを30枚以上手に入れる】というミッション内容が表示されていた。

 

そしてギーツの足元に、白いミッションボックスが出現した。

 

「シークレットミッション……!」

 

「ついでに新しいバックルまで手に入るとはな。幸先が良い」

 

ゲーム中、通常のミッション以外にも用意されている事がある隠しミッション。

 

それをクリアすれば、ゲームの攻略を有利に進めるための便利なアイテムを手に入れる事ができる。

 

シークレットミッションまで達成できると思っていなかったギーツは、ご機嫌な様子で出現したミッションボックスを拾い上げ、上蓋を開いた。

 

そこには、人体の肋骨を模した扉状のカバーが取り付けられた、紫色の大型バックルが収納されており、それを見た2人は驚いた。

 

「ゾンビバックル……!?」

 

「へぇ、こいつは良いバックルが来たな……!」

 

ギーツがミッションボックスに収納されていた紫色の大型バックル―――“ゾンビレイズバックル”を取り出すと、オルカはそれを何やらソワソワした様子で見つめ始める。

 

それに気付いたギーツは、仮面の下でニヤリと笑う。

 

「欲しいのか?」

 

「うっ……ま、まぁ、欲しいか欲しくないかって聞かれたら欲しいかな……ねぇ英寿君。君さえ良かったら、俺のマグナムと交換しない……?」

 

「フッ、ホラー好きなところも相変わらずみたいだな。悪いが、今はまだ待ってくれ。このゲームが終わったら交換してやる」

 

「そ、そっか……」

 

少し……いや、かなり残念そうな反応を見せるオルカに、ギーツは面白そうに笑った後、「ところで」と話題を切り替える事にした。

 

「オルカ。お前、何か気になってる事があるんじゃないのか?」

 

「!」

 

先程までとは違う、真剣な口調に切り替わったギーツ。

 

彼の問いかけに答えるように、オルカもまた、ある事についてギーツに問い返した。

 

「あの雪ノ下って娘の事で、不安に思っている事があってね……英寿君。君は彼女をどう思ってる?」

 

 

「紬ちゃん、防御お願い!」

 

「は、はい!」

 

一方、ホワイティーとハームのペアはと言うと。

 

ジャマト博物館の2階のフロアにて、警備員ジャマト達を相手取っていた。

 

警備員ジャマトが振るう警棒をハームがレイズシールドで防ぎ、その隙にホワイティーがレイズアローで撃ち抜く。

 

役割分担をきっちりしているもあってか、あれから2人は順調に警備員ジャマト達を倒していき、着実にコインを集められていた。

 

「ふぅ。この辺りのは、ひと通り片付けたわね……紬ちゃん、まだ行けそうかしら?」

 

「はい、何とか大丈夫です! まだまだ行けます!」

 

「そ、そう? 別に無理はしなくて良いのよ? あなたが倒れるような事があっちゃいけないもの」

 

「いえ、これくらいだったらまだ全然へっちゃらです! コインもいっぱい集まってきてますし、どんどんジャマトを倒していきましょう!」

 

ホワイティーと一緒に行動している内に、少しずつ自信が湧いてきたのか、ハームはやる気満々といった様子で、次の警備員ジャマトを探し始める。

 

そんな彼女に、ホワイティーがある疑問を投げかけた。

 

「そういえば紬ちゃん。あなたはどうしてライダーに?」

 

「え、私ですか? えーっと……最初は、ただの成り行きだったんですけどね。今は純粋に、家族が幸せになれる世界を願っています」

 

「……家族を?」

 

“家族”という単語にピクリと反応するホワイティー。

 

その際、彼女の声のトーンが少し低くなっていた事に気付かないまま、ハームは話を続けた。

 

「私、まだプレイヤーじゃなかった頃に、英寿さん達に危ないところを助けて貰っちゃって。それで思ったんです。私も仮面ライダーになったら、あんな風に人を助ける事ができるんじゃないかって。こんな自分でも、誰かの役に立てる存在になれるんじゃないかって」

 

「……そう」

 

「あっ、えっと、すみません! 自分だけこんなに話し込んじゃって!」

 

「ううん、良いの。気にしないで。あなたがそんな風に思えるのなら、きっと本当に素敵な人達なのでしょうね。あなたの家族は」

 

「はい、それはもう本当に!」

 

自信を持って言い切るハームに対し、ホワイティーは微笑ましそうに笑う。

 

しかし、仮面に隠されて見えないその素顔は……ハームを見据える目が、全く笑ってはいなかった。

 

もちろん、ハームがそれに気付けるはずもなかった。

 

「あ、そうだ。幸さんはデザイアカードにどんな願いを書いたんですか?」

 

「あぁ、私? そうねぇ、私が書いた願いは―――」

 

ホワイティーが自身の願いをハームに告げようとした、その時だった。

 

「「「「「ジャジャジャッ……!」」」」」

 

「うわ、また来た!?」

 

「あらあら、ゴキブリみたいにいっぱい湧いて来るわね」

 

再び、2人の前に警備員ジャマト達が現れ、彼女達に襲い掛かって来た。

 

ハームが慌ててレイズシールドを構え直すその横で、ホワイティーはドライバーからアローバックルを取り外し、ホワイティーの上半身の装甲とレイズアローが消失する。

 

それからホワイティーは、アローバックルとは違う別の小型バックルを取り出した。

 

「この数が相手なら、これが存分に使えそうね!」

 

≪SET≫

 

≪ARMED CHAIN ARRAY≫

 

≪READY FIGHT≫

 

装填した小型バックル―――チェーンアレイバックルにより、ホワイティーはアームドチェーンアレイの姿に変化。

 

レイズチェーンアレイを両手で構えるホワイティーに、ハームはとある疑問を投げかけた。

 

「あれ? 幸さん、そのバックルって確か……」

 

「えぇ。あのイノシシさんが遺していった物を拝借させて貰ったの」

 

それは、第1回戦のウエスタンゲームが終了した時の事。

 

実はこの時、ホワイティーはデザイア神殿に戻る前に、退場したターボンが遺したチェーンアレイバックルを回収していたのだ。

 

「使える物はとことん使うわ。紬ちゃん、援護よろしく!」

 

「わ、わかりました!」

 

ハームがレイズシールドを構え、警備員ジャマト達と戦い始める。

 

その間に、ホワイティーはドライバーに装填しているチェーンアレイバックルを右手で操作する。

 

「さぁ、行くわよ!」

 

≪CHAIN ARRAY STRIKE≫

 

ホワイティーがレイズチェーンアレイの鎖を右手でブンブン振り回し、鉄球部分にエネルギーを収束させていく。

 

そしてそれを警備員ジャマト達に向け、勢い良く振るおうとしたが……。

 

 

 

 

 

 

(―――なーんちゃって♪)

 

 

 

 

 

 

ここで彼女は、思わぬ行動に出始める。

 

「あ、手が滑ったー!」

 

ドガァァァァァンッ!!

 

ホワイティーは振り回したレイズチェーンアレイの鉄球を、警備員ジャマト達ではなく、その頭上にある天井に向けて飛ばしてしまう。

 

その結果、破壊された天井の瓦礫がそのまま下へと落下していき……。

 

「「「「「ジャーッ!?」」」」」

 

「え……きゃあああああっ!?」

 

警備員ジャマト達だけでなく、ハームまでもが、落ちて来た大量の瓦礫に呑み込まれてしまった。

 

 

「ッ!?」

 

「何だ……!?」

 

一方、別のフロアでも。

 

ホワイティーが天井を破壊した時の衝撃を、ギーツとオルカも感知していた。

 

「今の衝撃……2階のフロアだな」

 

「2階って確か、紬ちゃんと雪ノ下さんが向かった先だよね……まさか!?」

 

「急ぐぞ、オルカ……!」

 

悪い予感が的中した。

 

ギーツとオルカはすぐさま駆け出し、2階のフロアへと急ぐ。

 

 

「何、今の地響き……?」

 

1階フロア。

 

倒した警備員ジャマトからコインを回収していたロポもまた、ギーツ達と同じように謎の地響きを感知していた。

 

他のプレイヤー達が戦っているのだろうか。

 

自分も負けていられないと思ったロポは、スパイダーフォンを取り出し、コインを一番多く集めたプレイヤーのランキングを確認する。

 

現在、1位はグリズで、2位がギーツ、3位がロポ、4位がオルカ、5位がハーム、そして6位がホワイティーだった。

 

しかしここで、ロポは思わぬものを見てしまった。

 

「!? ハームが0枚……!?」

 

なんと、先程まで100枚以上は稼いでいたはずのハームのコイン数が突然、数字が一気に低下していき、0枚になってしまったのだ。

 

それと同時に、最下位だったホワイティーのコイン数が約100枚から一気に200枚へと上がり、ハームを蹴落とす形で5位にまで登り詰めた。

 

この状況を見て、ロポは察した。

 

紬が幸に嵌められたのだと。

 

「ッ……紬ちゃん……!!」

 

咄嗟に駆け出そうとして、ロポはすぐに立ち止まる。

 

ロポにとって、ハームこと紬とはあくまでライバル関係に過ぎない。

 

このゲームはあくまで個人戦。

 

本来ならば、わざわざライバルを助けてあげる義理などない。

 

(あくまで、自分のコインを稼ぐのに集中しなくちゃ……!)

 

ロポは自分にそう言い聞かせた。

 

言い聞かせようとした。

 

 

 

 

 

 

『冴さん、お気を付けて!』

 

 

 

 

 

 

「……あぁもうっ!!」

 

ロポは駆け出した。

 

ハームがいるであろう、2階フロアへと。

 

 

「ウフフ、大量大量♪」

 

2階フロア。

 

天井が崩落したエリアにて、ホワイティーはハームが所持していたミルク缶の中にあるコインを、全て自身のミルク缶へと移し替えていた。

 

空になったハームのミルク缶が乱暴に放り捨てられる中、瓦礫の中に埋もれていたハームは、苦しそうに呻きながらホワイティーの姿を見上げていた。

 

「っ……幸、さん……どう、して……」

 

「全く、あなたもとんだお馬鹿さんね。グリズも言ってたでしょう? 一時的な同盟には裏切りが付き物だって。私があなたを味方だなんて思う訳がないじゃない」

 

信じられないと言った様子のハームをホワイティーが見下ろす。

 

その仮面の下で、彼女は清楚とはまるで程遠い邪悪な笑みを浮かべていた。

 

「直接手は出せなくても、潰す方法なんていくらでもあるのよ? プレイヤー同士だから攻撃されない、なんて思い込んだ自分の愚かさを呪いなさい」

 

天井を破壊したレイズチェーンアレイの一撃。

 

あれは不慮の事故ではなく、わざと引き起こしたもの。

 

直接ハームを攻撃するのではなく、ハームの頭上の天井を破壊する事で、彼女を窮地に陥れたのだ。

 

「あなたのコインは全部貰っていくわ。あぁ、それから」

 

ホワイティーはアローバックルを取り出すと、それをハームの目の前に放り捨てる。

 

「それ、あなたにあげるわ。威力が弱くて大して使えないし、鉄球の方が強いもの」

 

「幸、さん……っ……」

 

「精々ここで、ジャマトの餌食にならないよう足掻いてると良いわ……ウフ、フフフ、アッハハハハハハハハハハハハ♪」

 

ハームが必死に手を伸ばすも、ホワイティーは自身のミルク缶を背負って彼女の前から立ち去ってしまう。

 

ハームはショックだった。

 

信じていた相手に、こんな形で裏切られる羽目になったのだから。

 

そしてそこへ、更なる不幸が彼女に襲い掛かる。

 

「「「「「ジャッジャッジャッ」」」」」

 

瓦礫に埋もれずに済んだ数体の警備員ジャマト達が、態勢を立て直してハームの方に迫って来ていた。

 

ハームは必死に瓦礫から抜け出そうとするが、それより前に警備員ジャマト達が警棒を構えて迫り来る。

 

「い、嫌だ……まだ、こんな所で……死ぬ訳には……ッ!!」

 

「「「「「ジャーッ!!」」」」」

 

警備員ジャマト達が一斉に武器を振り上げる。

 

もう駄目だと思い、ハームは動かせる右腕を使って頭を守ろうとした……その時。

 

 

 

 

 

 

≪CLAW STRIKE≫

 

 

 

 

 

 

「「「「「ジャジャーッ!?」」」」」

 

「―――え?」

 

警備員ジャマト達が、その場から大きく吹き飛ばされた。

 

攻撃がいつまで経っても飛んで来ない事を不思議に思ったハームは、恐る恐る上を見上げた。

 

「はぁ、はぁ……全く、本当に危なっかしい娘ね……!」

 

「―――冴、さん?」

 

ハームの目に映ったのは、彼女を守るように立っているロポの姿だった。

 

ハームが攻撃を受ける直前で、ロポが警備員ジャマト達を一掃したのだ。

 

「ふっ!!」

 

「はぁっ!!」

 

「ククルテウーッ!?」

 

更にギーツやオルカも駆けつけ、周囲の警備員ジャマト達を蹴散らして行く。

 

その間に、ロポがハームを押し潰している瓦礫を退かし始める。

 

「皆、どうして……?」

 

「言ったでしょ? 見殺しにしたら寝覚めが悪いって。ほら」

 

ロポはレイズクローを一旦手離し、未だ困惑しているハームに手を差し伸べる。

 

一方で、警備員ジャマト達をレイズハンマーで蹴散らしていたギーツが、ロポやオルカ達に呼びかけた。

 

「ロポ、オルカ! ハームを頼む! 俺はコイツらを足止めする!」

 

「ジャ!?」

 

そう言って、ギーツはレイズハンマーを警備員ジャマト達に向かって投げつけた後、ドライバーからハンマーバックルを取り外す。

 

そこへ代わりに、先程手に入れたばかりのゾンビバックルを装填する。

 

≪SET≫

 

ギーツの背後に【ZOMBIE】の文字が浮かび上がり、ギーツはゾンビバックルに付いている鍵状のパーツを操作。

 

それにより、肋骨のような形状のカバーパーツが上下に開き、その内側からゾンビのような右腕が飛び出した。

 

≪GRAB!≫

 

≪CLASHOUT!≫

 

「「「「「ジャッ!?」」」」」

 

ゾンビのような唸り声が響き渡る中、ゾンビバックルから禍々しい紫色の毒液らしき物質が溢れ出し、驚いた警備員ジャマト達が後退する。

 

ギーツは余裕そうに構えながら、自身の真横に形成された紫色の刺々しい装甲をその上半身に装備し、形態変化を完了させた。

 

≪ZOMBIE≫

 

≪READY FIGHT≫

 

“ギーツ・ゾンビフォーム”の姿を見て、警棒を構え直す警備員ジャマト達。

 

それに対しギーツは、左腕のバーサークローの爪を擦りながら、警備員ジャマト達に向けて宣言する。

 

「ここからが、ハイライトだ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




仮面ライダーギーツ!

英寿「ゾンビの力、とくとご覧あれ……!」

幸「あの娘はもう脱落決定よ!!」

冴「使いなさい。そのバックルはあなたの物よ」

紬「轟け……私の音楽(ビート)ッ!!!」
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