身勝手(波導)の極意、ルカリオ   作:全智一皆

2 / 2
第一話「時の神」

 

 

■  ■

 私が身に纏う波導は、もはや太陽の熱気にも等しく、並の生物であれば近付くだけで気を失ってしまう。

 それ故に、私は独りで洞窟の奥底に籠もっている。此処ならば、どんな生物も容易に近付く事は出来ないと確信したからだ。

 まぁ、此処に近付く事が出来ないのは私の波導が原因ではあるのだが。

 元からこの洞窟に住んでいるポケモン達からしてみれば、私という余所者は厄介極まりないのだろう。

 私としても申し訳ないとは思っているが、残念な事に此処以外に被害を出さない場所がないのだ。

 あらゆる波導を感じ取る私が見付ける事が出来た、唯一生物が居ない場所―――それが、この最奥なのだ。

 先も言った様に、私の波導は太陽の熱気も等しい。あらゆる波導が入り混じったそれは、他者からしてみれば有害そのものだ。

 そんなものを放ち続けている私が、草木豊かで生命溢れる自然界に存在する事は決してあってはならない事態だ。

 私はただ其処に居るだけで、草木と生命―――自然界そのものに甚大な被害をもたらしてしまう。

 私自身が、厄災そのものと言っても過言ではない。だからこそ、私には必要だったのだ。

 誰も居ない、誰も近寄らない、静寂に包み込まれた空間が。

 そして、それが此処だった。この、洞窟の最奥だったのだ。

 はた迷惑な存在ではあるが、生まれてしまった以上は致し方ない。

 これ以上、迷惑を掛ける事は出来ないからこそ、私はこうして此処に居座っているのだ。

 まぁ、とても珍しい事に―――今日は、時の神が居るのだが。

 

『君の様な存在を、私は見た事がない』

 

 時間の神ディアルガは、物珍しそうなものを見るような目で私を見ながらそう零す。

 まさか神にその様な事を言われるとは。自分でも思っていたが、やはり私は異質な様だ。

 まぁ、それも大事ではあるが、時の神よ。何故、私の元へ?

 

『時の狭間に…否、時の狭間・空間の狭間・破れた世界の両方に揺らぎが生じた。これまでそんな事は起きなかったにも関わらず、だ。その原因が…君の波導だったのだ』

 

 何と。私の波導は、そんな所にまで影響を与えていたというのか。

 つくづく馬鹿げた存在だな、私は。神に目をつけられるとはツイていない。

 では、あれか。貴方は私を消しに来た…という事か?

 

『いや、それを決めるのは私の役目ではない。君を消すか否かを決めるのは、父上の役目だ』

 

 父上…とは、あれか。アルセウスと言われる存在の事か。

 確か創造神と称えられているのだったか。なるほど、つまりその神が私がこの世界から消えるか否かを決める…と。

 創造神自らが判断を下すとは、何とも大袈裟な。同じ神であるならば、さっさと私を消せば良かろうに。

 この神は見定めに来たのだろう。私が存在して良いか否かを、自ら。

 嗚呼、何とまぁ―――まどろっこしい。

 良い訳があるか。天災そのものと言っていい存在を、放置していて良い訳があるか。

 それから、私の判断は、決断は、とても早かった。

 

「ならば、時の神よ。今此処で見せしめよう―――私が如何に、危険であるかを」




さてさて、どうなります事やら
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

禪院の逸脱者(作者:シン2001)(原作:呪術廻戦)

もしも御三家秘伝「落下の情」を極限まで鍛えたものが現れたら


総合評価:1185/評価:8.06/連載:4話/更新日時:2026年02月13日(金) 19:06 小説情報

1つの器と3つの魂(作者:日三汐理)(原作:呪術廻戦)

宿儺の指を呑み込んだ虎杖悠仁の中に現れたのは、両面宿儺――だけではなかった。▼なぜかそこにいたのは、六十八年後の虎杖悠仁。▼こうしてひとつの身体の中に、過去の虎杖、未来の虎杖、宿儺という三つの魂が同居することになった。未来の虎杖は本編の出来事を知っているらしいが、肝心なことはなかなか話さない。そのくせ宿儺には妙に馴れ馴れしく、どうやらこの時代に来た目的も宿儺…


総合評価:2601/評価:8.59/連載:5話/更新日時:2026年03月29日(日) 12:26 小説情報

雷神は最強を指名する(作者:あいあい)(原作:僕のヒーローアカデミア)

鹿紫雲一は、死滅回游の果てで燃え尽きたはずが、個性社会の日本で目を覚ます。この世界では「最強」がランキングと称号で掲げられている。なら、話は早い。最強の場所へ行けば最強がいる。▼そんな感じで始まる鹿紫雲さんカッケェっていう話です。


総合評価:3306/評価:8.2/連載:10話/更新日時:2026年02月24日(火) 21:20 小説情報

神域の料理人が往く食戟のソーマ(作者:あさやん&あさやん)(原作:食戟のソーマ)

▼【グルメ界】の『エリア6』に住む『貝王 ジャイアントシェル』。その中にある文明『ブルーグリル』で、気が遠くなるほどの長きに渡り『魂の交換』を行ってきた男。▼『美味なる食材』と『優れた調理技術』を求め『人間界』『グルメ界』と旅を続け………………遂には【食戟のソーマ】の世界までやってきてしまう。▼全ては『人生のフルコース』を完成させるために!!!▼※【トリコ】…


総合評価:4998/評価:7.9/連載:22話/更新日時:2026年05月15日(金) 18:00 小説情報

禪院全「全ては僕の為に」(作者:羂索ハードモード)(原作:呪術廻戦)

一九七七年、冬。▼呪術御三家が一つ、禪院家に、一人の『化け物』が産声を上げた。▼その名は禪院全。生まれながらにして規格外の呪力を宿し、父の歪んだ野心という名の呪いを背負わされた少年。▼彼が与えられた生得術式は、他者の術式を根こそぎ奪い取り、己の糧とする禁忌の力――【簒奪呪法】。▼奪うも与えるも思いのまま。才能に恵まれず虐げられる者たちに術式を『禅譲』しては狂…


総合評価:24190/評価:9.04/連載:26話/更新日時:2026年05月16日(土) 12:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>