こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
仮免の試験が終了して学生寮へと戻り、俺達はまたいつも通りの時間に戻った。
というよりは合格組が若干羽目を外しているのもあって若干やかましい。
夜になってからやっとある程度落ち着いたのでとりあえず寝床に入って睡眠をとることにした。
先ほど勝己が出久を呼びつけていたのが気になったがあれは俺が関わったら関係が余計に拗れそうなのでスルーする事にした。
そうやって体内機能の9割をスリープモードにする。
だがしばらく眠り続けていてようやく気付いた。
「完全なスリープモードにならない?」
その異常な状態に目を覚まし自己診断モードを起動しようとしたが目の前の光景を見た瞬間何が起きているのかをすぐに理解して冷静になる。
「これは屋敷……いや、城の中だな。
つまりここはバベルの背中だな?」
そう呟くと俺の脳内に響くような好好爺のような不思議な声が聞こえてくる。
『ファッファッファッ!!
お主に目覚めさせられてからずっと観察しておったがこのような状況でも瞬時に冷静になるその判断力見事なり。』
「まぁジャンヌの時も突然という訳ではないけど似たような感じだったしね。」
窓の方を覗いてみるとそこには青空が一面に映り、その下には真っ白な雲が海のように広がっている。
「一応聞いておくけどこれは俺を試す準備が整ったと考えて良いんだな?」
『そういうことじゃよ。
長々と待たせてしまってすまなかったのぉ、貴様のリソースをほんの少しずつ貰って準備を進めていたのじゃがな……貴様に影響が出すぎないように配慮していた分遅くなってしもうたわ。』
バベルがガチャから出てきた頃に俺のリソースを影響が出ない程度に使わせてくれないかという相談は元々受けていたのでそんなに問題はない。
だが準備にかかっていた期間を考えるとおそらく貯蓄されたリソースとしては58000程……ここまでの量のリソースを使うとなると割と本気で嫌な予感がしてくる。
『貴様へ与える試練は至極簡単じゃ。
我ら龍族にその力を示してみよ。
貴様の準備が整い次第この扉の先に進むがよい。
先に言っておくが貴様が使って良いのは自己修復と狂乱の力のみじゃ、その力をどれだけ扱えているのかも見てやろうぞ。』
やっぱりそう来たか。
そうなるとにゃんこ達に頼ることが出来ないから完全に俺一人でどうにかする必要がある。
分割思考の事を考えると乱戦でない方が情報処理に集中出来て助かるんだがなぁ……。
「はぁ……考えても仕方ない。
こうなった以上は実際に目で見て確かめるしかないだろうな。
…………狂乱解放20%」
俺は全身に狂乱の紋様を浮かび上がらせて全ての部位に均等になるように力を分けておく。
こうする事でとっさに他の部位へと力を移して行動しやすくなるからだ。
まぁ完全特化に切り替えたりはちょっとだけ時間は食うがこれだけは仕方ない。
準備の整った俺はバベルの開いた巨大な扉の方へと歩みを進める。
扉の先にはとてつもなく広く、まっさらな空間が広がっており、向かい側には俺の通ってきた物と同じ大きさの巨大な扉が設置されていた。
部屋の中に完全に入ると突如として背後の扉がバタンと閉められた。
まぁ逃亡禁止というよりは吹き飛び過ぎないようにってとこか。
『ファッファッファ!
安心せい、我は貴様を殺すような真似をするつもりはない。
だがまぁ死にかけるような真似はするつもりだから今は全力で生きることを優先するがよい。
まずは手始めにこやつから相手してもらうとしようぞ。』
バベルがそう言うと同時に向かい側の扉が開いてとても見慣れたシルエットが視界に写し出される。
「…………ソドム?」
良く見ると第一形態のようだがやたらと感じる力が強いな。
『なぁにまずはほんの小手調べじゃ。
貴様であればこれくらいはなんとでもなるだろうぞ。』
「グゥルルルルルル……!!!」
少なくとも俺がいつも体内に入れている分の個体とは全く違う個体だな。
多分俺のリソースからバベル自身が創ったのだろう。
『それでは準備はよいな?』
始めるがよい!!』
バベルの指示を合図にソドムが早速ブレス攻撃を仕掛けてくる。
「グルァァァァァアアアアアア!!!!!」
「ぐっ!?」
ブレスが普段のソドムより数段威力が高い!?
流石にこれは受けられないと判断した俺は上空へと飛行してソドムの真上を取った。
「『
俺は波動を腕に集中して双槌を作り出して急降下していく。
「ウルァァァアアア!!!」
「ニャァァァァァァアアアアアア!!!!」
だがソドムはそのしっぽを鞭のようにしならせて俺を横から攻撃して俺の落下する方向を反らしに来る。
流石に行動が安直過ぎるか……それにしても!
「ブレスの威力だけじゃなくパワーまで段違いかよ!?」
この分だと耐久力もそれ相応に高そうだ。
だけどなぁ!!
「お前の動きやパターンは殆ど見慣れてるんだよ!!」
俺は弾かれる前にソドムの尻尾を蹴り飛ばして自分から壁の方へと飛んで三角飛びの要領で再度ソドムへと向かっていく。
こいつは確かにパワーは凄まじい上に地中に潜ったりとかなり高い性能を誇るがその巨体ゆえに死角となる部分が多く動きも遅い。
特に尻尾を上に上げていたり反対方向へと向けていたりするのであれば真横の腹などは致命的な弱点となりやすい。
「ハァ!!」
俺はその無防備な横っ腹に片方のハンマーを振り上げるような形で殴りソドムの身体をひっくり返させる。
「ニャァァァァァァアアアアアア!?!?!?」
ソドムは一度ひっくり返してしまえば身体の構造上起き上がるのがとても難しいのだ。
俺はそれを逃さずに真上に乗って双槌による連続攻撃を仕掛ける。
「ハァァァァァァァァアアアアアア!!!!」
「ニャ!?ニャニャ!?ニャァァァァァアアアアアアア!?!?!?」
ソドムは負けじとこちらに向けてその尻尾を使って凪払いに来るが無理な姿勢から行っている為か力があんまり入っていない。
ソドムとは何度も戦っている……だからこそこの状態にしてさえしまえば負けることはまず無い!!
「
俺は槌でその鱗の大半を割った後に双槌を鋭くも捻れた形をした爪へと変化させて振り下ろした。
だがソドムへと直撃する前にバベルからまた直接脳内に声が響いてくる。
『そこまでじゃ。
ソドムはもう降参しておるよ。
まさか我が強化した個体すらも力ずくでひっくり返すとは思わなんだ。
まさか奴にあそこまで致命的な弱点があるとはのぉ。』
まぁ本来ソドムは地中に埋まって戦うのがメインだからな。
地中に潜られる前にひっくり返されたらどうしようもないのは仕方ない。
尻尾だけで戻ることも出来なくはないがそれでは隙だらけだ。
『貴様の時間を無駄に取るのも申し訳ないしのぉ、サクサクと行こうではないか。』
そう声が響くと再度向かい側の扉が開いて次のにゃんこが部屋にと入ってくる。
東洋の龍のように蛇に近い長い身体を持ち、その尻尾の先端は枝分かれした有名な剣……七支刀のような形状となっている。
さらにその背にはでんでん太鼓を持ったにゃんこが乗っていた。
「成る程……ドラゴンエンペラーズへの連戦って訳か。」
バベルはサクサク行くと行っていたから途中休憩することはないだろう。
そうなるとかなりの回数の連戦を強いられる……こりゃ本気でペース配分を間違えたらヤバいな……だが出し惜しみしてる相手でもない。
なら最短最速で倒し続けるしかないか……。
新しく現れた龍……神龍かむくらはソドムを不思議な力で浮かしてひっくり返して地面に下ろす。
するとソドムはそのまま向かい側の扉を通って部屋の外へと移動して扉が再度閉じられた。
「ニャァァァァァァアアアアアア!!!!!」
…………やっぱりお前もそんな鳴き声なのね。