こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
「…………朝6時か。
十分寝たはずなのに昨日布団に入るよりもどっと疲れてるんだが……。」
俺が次に目を覚ますと精神世界ではなくそのまま現実に意識は戻っていた。
とはいえあれだけ長い時間を戦い続けていたのもありぶっちゃけ全く寝た気がしない。
だが眠気その物は無いためどうにも言えない気分だ。
「体内機能セルフチェック……問題な……い訳じゃないがこりゃまた個性届けの更新しないとだなぁ……。」
寝起きで早速日課の自己診断を行ってみるとさらっと体内のにゃんこ格納スペースにバベルが堂々と居座ってる上にぐうすか寝てやがる……しかも生産ラインの生産可能にゃんこを調べてみたのだがドラゴンエンペラーズのシリーズが全種生産可能になっていた。
ジャンヌの時はそんな事無かったんだがこれはどういう事だ?
早速彼女に聞いてみようと思ったんだが……。
『あー、ジャンヌ?その……色々と大丈夫なのか?』
『はぁ……はぁ……すみません……先程まで……貴方様の封印の……微調整をずっとしていましたので……。』
…………どう考えても俺が原因だなこれ。
どうやらバベルとの試練を行ってる間封印が緩まないようにずっと調整してくれていたらしい。
『本気ですまんジャンヌ……詫びにこれを貰っといてくれ。』
流石に8時間近い時間ずっと寝ずに調整してたとなるとめちゃくちゃ申し訳ないのでネコ缶を若干無理して1500個用意してジャンヌに渡しておく。
『え!?こ、こんなに沢山頂く訳には……!?』
『いや、ジャンヌのお陰で俺は実質リスクをほぼ気にせずやれていたわけだからな。
ついでに今日の学校は休んどいた方が良いだろう。
先生には俺から事情を説明しておくから。』
『い、いえ!会長たるものこれしきの事で簡単に休んでは……!』
『いいから寝とけ!その間の見張りはバベルにでも任せて置けば良いだろう。
出来るんだろ、バベル?』
俺は軽く半目を開けているバベルにも声をかける。
こいつ確実に途中から起きてたな?
『くぁぁぁああ~~。
寝起き早々になんじゃい騒々しい……確かに出来ることには出来るぞ。』
『ならジャンヌが回復するまでの間頼む。』
『むぅ……まぁそのおなごが無茶をした原因も確かに我であるゆえやぶさかではない。
仕方あるまい……その代わり出せそうな時は我も外に出してくれ、この中も良いがやはり天空まで羽ばたいて日光浴といきたい。』
どんな日光浴だよ……とはいえバベル程の巨体だと余程天気が良くないと全身に光を浴びれないのも考えれば雲の上くらいがちょうど良いのか?
『わかった、その辺は先生達とも相談してみるから。』
『ファッファッファッファッ!ならば良し。』
はぁ……これ許可降りるか?
なんとか交渉はしてみるつもりではあるが先が思いやられるな。
とりあえず俺の残りのリソースを計算して1日一体のペースでエンペラーズのにゃんこ達を順番に生産することを考えつつ俺は寝巻きから制服に着替えて朝食を軽めに取り、部屋を出て1Fのリビングへと向かうことにする。
途中洗面台へと向かって朝の身支度をしてそこでリビングの方がやたらと騒がしいのに気付いた。
「「「えぇぇぇぇぇえええええ!?!?」」」
リビングに向かうと何故か勝己と出久が二人して掃除機をかけて掃除をしている。
今日の当番は確か違った気がしたが気のせいか?
「喧嘩して……!?」
「謹慎!?」
「バカじゃん!」
「ナンセンス!」
「バカかよ……。」
「骨頂。」
あー、話が読めてきた。
良くみると二人してガーゼやら絆創膏やらといくつもの治療の跡が見える。
それも結構盛大にやらかしたのかそこそこ酷そうな怪我もあったがリカバリーガールの治癒に頼ったような跡が無いため恐らく個性を使ってまで大喧嘩して相澤先生から色々とペナルティ食らったんだろうな。
「ぐぅ……っ!!!」
ついでにバカだのなんだの言われまくってる勝己はめちゃくちゃ苛立ってはいるが言い返さない。
こいつ自身もやらかした自覚はあるらしい。
「お!猫城!おはよう!
なぁなぁ聞いてくれ……ってどうした?やけにげっそりしてるみたいだが?」
「なにかあったの?」
「あぁ……ちょっと俺の個性関係で色々とな。
まぁ戦力が増えることになったから良いんだがこれからまた色々と手続きがな……。」
「大変そうですわね……。」
何だかんだで20回以上個性届けの更新手続きをしてるからな……本来はこんなに頻繁には出来ないんだが個性が個性だけに例外が適応されてしまった……。
「それで仲直りしたの?」
「仲直りっていうものでも……うーん、言語化が難しい。」
「よく謹慎で済んだものだ!ではこれからの始業式は君ら欠席だな。」
天哉……それは間違ってないんだがなんだその手の動きは?
連続でチョップしてるようにしか見えないぞ……。
「爆豪、仮免の補修どうすんだ?」
「うるせぇ!てめぇには関係ねぇだろ!」
「じゃあ掃除よろしくな~!」
「ぐぬぬ……っ!!!」
勝己がやたらと苛立ちを見せてるがそれでも言い返すことが出来ないようであいつはそのまま掃除を続けていた。
グラウンドで始業式が始まる為、俺たちは校舎に到着した後そのまま教室を出て外へと向かっていく……んだが天哉……。
「みんないいか?列は乱さずそれでいて迅速に!グラウンドへ向かうんだ!」
「いやおめえが乱れてるよ。」
「はっ!?委員長のジレンマ……!」
だからなんだその手の動きは……こいつの動きはホントに色々とツッコミ所が多くて見てて飽きないな……。
とりあえず瀬呂のツッコミでプルプルしてる天哉をスルーして下駄箱へと向かう。
するとなにやら待ち構えていたかのようにB組の物間が下駄箱の前でゲスい顔をしながら立っていた。
「聞いたよA組!」
「あ?」
「二名!そちら仮免落ちが二名も出たんだってぇぇぇ?」
「B組物間!?」
「相変わらずイカれてやがるな。」
あいっかわらずこいつのA組への敵意はほんとなんなんだ?
というかあの試験の合格率考えたらよく二名で済んだと考えるべきだろうし一応全員一時試験突破出来てる時点で相当な部類だと思うんだが?
「さてはまたおめえだけ落ちたな?
期末試験の時みたいに。」
「ハハハHAHAHaha…………。」
物間は腹を抱えて嗤っていると思ったらどんどん顔が真顔になっていきいきなり後ろを向いた。
「いやどっちだよ!?」
「ハッこちとら全員合格!水があいたねA組。」
とまたこちらを小馬鹿にするような態度をとってこちらを振り向く物間。
ちょうどタイミング良くB組の他のメンツも下駄箱に来ており、拳藤さんが物間をすごい冷ややかな目で見ている。
そして轟がすっごく落ち込んだ様子で暗い顔になっている。
「悪いみんな……。」
「向こうが一方的に競ってるだけだから気に病むなよ?」
鋭児朗が轟のフォローに回ってくれているのがありがたいな。
まぁぶっちゃけそれを目の前で見せられてた俺からすれば自業自得としか言いようが無いのだが。
「ブラドティーチャーによると今期はクラストゥギャザー授業あるですみたい!
楽しみしてます!」
金髪に角の生えたB組の生徒……確か角取さんだったか?
たしかアメリカとのハーフで留学生らしく、かなり独特な話し方ではあるが言いたい事はだいたい分かった。
「へぇ!そりゃ腕が鳴るぜ!」
「つうか留学生なのね……。」
するとなにやら物間が彼女に耳打ちをしているのを見ていやな予感がする。
「ボコボコに打ちのめしてやんよ?」
「「あ……。」」
「グハハハハハ!!アッハハハハハハハハ!!!」
「ん?」
流石の角取さんも物間の笑い声と上鳴、鋭児朗の反応を見て違和感を感じたらしく冷や汗をかいて物間を見ていた。
「変な言葉教えんな!」
「がはっ!?」
とはいえ流石に拳藤さんがそんな物間を見かねたらしく首に一撃入れて気絶させて引きずっていく。
すると今度は後ろから声をかけられる。
「おい、後ろ詰まってんだけど?」
「すみません!さぁさぁみんな!
私語は慎むんだ!迷惑かかっているぞ!」
「かっこ悪いとこ見せてくれるなよ?」
「ん?心操か、調子はどうだ?」
「猫城か、悪くはねぇよ。
あれから色々と鍛え始めたからな……。
というかお前こそどうなんだ?色々と騒ぎになってるみたいじゃないか?」
「まぁな……とはいえこっちも順調に強くなっている。
お前も頑張れよ?」
「あぁ……それと今度お前の両親に会わせて貰ってもいいか?
出来れば色々と教わりたくてな。」
ェ゛……ちょ……ま……それは……。
「…………父さんはともかく母さんはマジでやめとけ?
下手しなくてもマジで後悔するぞ!?」
「は?あ、いや……わかった。
とりあえず都合つけられないか?」
「あぁ……ちょっと相談してみる。
たしか父さんの方がそっちの方の免許持ってるだろうしもしかしたら臨時講師的な形でこられるかもしれないからな。」
…………ただ絶対母さんだけは連れてこないように釘を刺しとかないとな。
嫌だぞ?知り合いが全員合宿の時の数倍の地獄を見るのとか……。
俺達はとりあえず下駄箱で靴を履き替えて全員グラウンドに出て並んでいく。
整列まで終わると校長先生が前に出てきて話を始め……ると思ったんだがな。
「やぁ!みんな大好き小型哺乳類の校長さ!
最近は私自慢の毛質が低下しちゃってねぇ、ケアも一苦労なのさ。
これは人間にも言える事さ。
亜鉛ビタミン群を多く摂れる食事バランスにしてはいるもののやはり一番重要なのは睡眠だね。
ライフスタイルの乱れが最も毛に悪いのさ」
いやどうでもいいわ!?
「みんなも毛並みに気を使う際は睡眠を大事にするといいのさ!」
というか上鳴はなに尾白の尻尾を触りまくってるんだ?
つか鋭児朗は起きろ……。
「ライフスタイルが乱れたのは皆もご存じの通りこの夏休みで起きた事件に起因しているのさ。
柱の喪失……あの事件の影響は予想を超えた速度で現れ始めている。
これから社会には大きな困難が待ち受けているだろう。
特にヒーロー科諸君にとっては顕著に現れる。
2~3年生の多くが取り組んでいる校外活動……ヒーローインターンもこれまで以上に危機意識を持って考える必要がある。」
ヒーローインターンか……。
「暗い話はどうしたって空気が重くなるねぇ。
大人達は今その重い空気をどうにかしようと頑張っているんだ。
君達は是非ともその頑張りを受け継ぎ、発展させられる人材になってほしい。
経営科も普通科もサポート科もヒーロー科も皆社会の後継者であることを忘れないでくれたまえ!」
「根津校長、ありがとうございました。」
今の俺に足りないもの……それを補うにはどのヒーローから技術を吸収するべきか……。