こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが   作:クロマ・グロ

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27スレ目(現実パート3)

 

 

「沈んだ!」

 

砂藤は通形先輩が個性により地面へとすり抜けていく瞬間が分かったようで皆に伝えるようにそう叫ぶ。

 

そして沈んだ事を理解した者達の中で出久は瞬時に後ろに振り返って通形先輩が全裸でポーズを決めながら弾かれるように飛び出してくる所を目視する。

 

なおモロリした御立派様は丁度出久の前にある。

 

通形先輩は出久が反応したのではなく予測したのに気付いたのか顔を険しくする。

 

出久は通形先輩が落ちてくるのを冷静に確認して顔面にぶつかるように蹴りを放つ。

 

「だが……必殺!ブラインドタッチ目潰し!」

 

しかし通形先輩は空中で起動を変えて透過させた腕を出久の足へとすり抜けさせ、そのまま顔へとすり抜けさせた。

 

流石に顔への攻撃だと思ったのか出久は思わず目を瞑ってしまう。

 

透過による目潰しだと冷静に判断できればまだ反撃も出来ただろうに……惜しいな。

 

「うっ!?」

 

通形先輩は出久が目を瞑ったのを確認してからすぐに出久の下に潜り込んでアッパー気味に腹パンを決める。

 

「殆どがそうやってカウンターを画策するよね!

ならば当然そいつを狩る訓練するさ!」

 

通形先輩は痛みで余裕が無いだろう出久にそう答えてすぐに透過で地面へとすり抜けていく。

 

「うぅっ!?」

「緑谷君!?」

 

天哉はギリギリで通形先輩が背後から現れているのに気付いたが反応をする前に一瞬で腹パンを決められていく。

 

「うぁっ!?」

 

更に続けざまに硬化した鋭児郎に関係ないとばかりに腹パンを決めて倒す。

 

「ふぐっ!?」

「お゛お゛っ!?」

「あ゛あ゛っ!?」

「あ゛っ!?」

 

そして口田、砂藤、尾白、麗日さんと次々に腹パンを決めていく。

 

だが……。

 

「ニャッスル!?」

「!?」

 

ニャッスルモードになった葉隠さんは耐久力もヒットバック性能すらもにゃんこである巨神ネコ相当になっている影響により通形先輩の腹パンを直撃を貰った上で受け止める。

 

「なら何度も叩き込むだけなんだよね!」

「にゃっ!?うっ……ぐぅぅぅうううううう!?にゃぁぁぁぁあああ!?!?」

 

だが通形先輩はまたすり抜けによって葉隠さんの背後を取って死角となる背中から何度も拳を叩きつけていき反撃の為に正面を向いた葉隠さんの腹に腹パンを決めてニャッスルモードを解除させて倒す。

 

POWERRRRRRRRRRRR(パワァァァァアアアアアアア)!!!!!!!!!!」

 

結局俺一人を残してA組の全員が全裸のゴリマッチョに腹パンで沈むという一見するとヤベェ絵面となっていた。

 

「通形さあ、ねぇねぇ聞いて!通形さあ、強くなったよね。」

「ミリオは子供の頃から強かったよ。

ただ……加減を覚えた方がいい。」

 

まぁ確かにこの様子なら確かに挫折するようなやつがいてもおかしくはない。

 

それだけの絶対的なまでの実力差がある。

だがコイツらはヴィランによる様々な理不尽に何度も抗ってきた奴らだ。

そう簡単に諦めるような奴らじゃないだろう。

 

「さて、後は君だけなんだよね。

それにしても協力し合わなくてよかったのかい?」

「簡単な話ですよ。

先輩の個性……透過ですり抜けられた場合下手な攻撃をすればA組を巻き込む可能性もありましたし逆にこっちが動きにくくなるのが目に見えてましたから。

通形先輩は相手するならタイマンじゃないと戦いにく過ぎます。」

「確かに正解なんだよね。

特に近接攻撃なんかは自滅だったり同士討ちを狙いやすかったりするから飛ばれたりとかタイマンを誘うのはとても良い判断なんだよね。

うん、流石の俺でも君を倒すのは時間がかかりすぎてしまいそうなんだよね。

って訳でこんなもんで終わりにするとしようか。」

 

…………確かにお互いにまともな決定打が無いんじゃ何時間かかるか分かったもんじゃ無いしな。

お互いに対してあまり相性が良くないといった所か。

 

それはともかくとして……。

 

「とりあえずその見苦しいもん仕舞ってくれませんか?

俺の体内には女性型のにゃんこも数人もいるんで流石にお見せ出来ないんですが。」

「ああっ!?これは大変失礼したんだよね!」

 

_________________________________________________

 

 

俺達と通形先輩との模擬戦が終わった後、腹パンを食らった皆が全員まともに動くことすらままならなかった為、しばらく休憩を挟んで俺以外の全員が辛うじて立てるようになったのを確認してから一旦集合となった。

 

「ギリギリち○ち○(マララギダイン)見えないよう努めたけどすみませんね女性陣!」

 

いや、割とぶるんぶるん見苦しかったです。

 

「とまぁこんな感じなんだよね。」

「訳分からず猫城君以外全員が腹パンされただけなんですが……。」

 

俺以外の全員は見事に殴られた腹を押さえてプルプルと震えており、どんよりとした空気がしていた。

 

「俺の個性、強かった?」

「強すぎっす!?」

「ずるいや!私の事も考えて!?」

「すり抜けるしワープだし轟みたいなハイブリッドですかぁぁぁ!?」

 

いや葉隠さん……ずるいって言っても君透明人間に加えて自由に巨神ネコに変身出来るようになってるんだから人の事言えないと思うぞ?

 

「いや、一つ。」

「えっ、一つ?」

「はーい!私知ってるよ、個性。

ねね言っていい?言っていい?『透過』!」

「波動さん、今はミリオの時間だ。」

 

と波動先輩が答えは聞いてないとばかりに通形先輩の個性を答える。

だがそんな波動先輩に天喰先輩がツッコミを入れる。

 

「そう、俺の個性は透過なんだよね。

君達がワープと言うあの移動は推察された通りその応用さ!

あっ、ごめんて。」

 

通形先輩が補足とばかりに個性の説明をしているとむくれた波動先輩が通形先輩の体操服を引っ張る。

 

「どういう原理でワープを?」

「全身個性発動すると俺の身体はあらゆるものをすり抜ける。

あらゆる、すなわち地面もさ!」

「はっ、じゃああれ……地面に落っこちてたってこと?」

「そう、地中に落ちる。

そして落下中に個性を解除すると不思議な事が起きる。

質量のあるものが重なり合うことは出来ないらしく弾かれてしまうんだよね!」

 

まぁ確かに弾かれなければ通形先輩は今頃地面にそのまま全身生き埋めになっていてもおかしくはないだろうな。

それにしてもなかなか応用の幅が広そうだな。

 

「つまり俺は瞬時に地上へ弾き出されてるのさ!

これがワープの原理、身体の向きやポーズで角度を調整して弾かれた先を狙うことが出来る。」

 

やっぱりか。

だが狙うにしても欠点は相当多いだろう。

 

ちなみにそんな通形先輩の参考になる話を全員が興味深そうに聞いていたが唯一上鳴は理解が及ばないのかアホ面になっており、芦戸さんは首を傾げていた。

 

「ゲームのバグみたい。」

「言い得て妙!」

「攻撃は全て透かせて自由に瞬時に動けるのね。

やっぱりとても強い個性。」

「…………メリットだけで見るんならな。」

「ケロ?」

「猫城君、どういう事?」

「…………通形先輩。

一つ聞きたいんですが、先輩は全身透過中は五感全てに加えて呼吸すらもまともに機能してないんじゃないですか?」

「なっ!?」

「え!?何々!?どういう事なの!?」

 

やっぱり気付いていたのは俺だけらしい。

"あらゆる物"をすり抜けるって所から誰かしら想像出来そうな物だが……。

 

「俺の個性で身体の一部をにゃんこ城化して通形先輩の事をずっと解析してました。

音の反響によるソナーもX線もすり抜けている上にサーモグラフィーすら反応してませんでした。

それに姿こそ見えてましたが沈む時影が消えていましたからね。」

「良く気が付いたんだよね。

そう、皆が強い強いとは言うけどこれは俺が強い個性にしたんだよね。

猫城君の推測通り個性発動中は肺が酸素を取り込めない。

吸っても透過しているからね。

同様に鼓膜は振動を、網膜は光を透過する。

"あらゆる物"がすり抜ける……それは何も感じることが出来ず、ただただ質量を持ったまま落下の感覚だけがあるということなんだ。」

 

この人はこの厄介とも言える個性とどれだけ向き合ったのだろうか。

 

五感の全てが無くなり、落下する恐怖。

先程のような応用を思い付けなければ奇襲すらも難しい。

 

俺はこの人の圧倒的なまでの努力に強い敬意を感じていた。

 

「そんな感じだから壁一つ抜けるにしても片足以外発動、もう片方を解除して設置、そして残った足を発動させすり抜け……簡単な動きにもいくつか工程がいるんだよね。」

「急いでる時程ミスるな、俺だったら……。」

「おまけに何も感じなくなってるんじゃ動けねぇ。」

「そう、案の定俺は遅れた。

ビリっけつまであっという間に落っこちた。

この個性で上に行くには遅れを取っちゃ駄目だった。

予測!!周囲よりも早く、時に欺く!何より予測が必要だった。

そして、その予測を可能にするのは経験!経験則から予測を立てる。

長くなったけれどこれが手合わせの理由。

言葉よりも経験で伝えたかった!」

 

……確かに経験がなければその事について予測して動くなんて無理な話な訳だ。

 

「インターンにおいて我々はお客ではなく一人の相棒(サイドキック)……プロとして扱われるんだよね!

それはとても恐ろしいよ!プロの現場では時に人の死にも立ち会う。

けれども怖い思いもつらい思いも全てが学校じゃ手に入らない一線級の経験!

俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!ので怖くてもやるべきだと思うよ1年生!」

 

通形先輩が話終えるとA君の全員から拍手が送られていく。

 

「話し方もプロっぽい。」

「一分で終わる話をここまでかけてくださるなんて。」

 

八百万さんと尾白が感動するように呟く。

 

「お客かぁ……確かに職場体験はそんな感じだった。」

「危ないことはさせないようにしてたよね。」

 

上鳴と耳郎さんは職場体験を思い返すように話す。

 

「インターンはそうじゃないって事か。」

「仮免を取得した以上現場に出ればプロと同格に扱われる。」

「うん。」

 

瀬呂、天哉、麗日さんはインターンという事が何なのかを深く理解していた。

 

「覚悟をしとかなきゃな。」

「上等だっての!」

 

砂藤は緊張し、鋭児郎はドンと来いとばかりに闘志を燃やしている。

 

「そうだよ!私達、プロになるために雄英入ったんだから!」

「そうだな。」

「セラヴィ。」

「上昇あるのみ。」

「Plus Ultra。」

 

葉隠さん、障子、青山、常闇、口田はやる気を出している。

 

そんな中切り替えるように相澤先生が口を開く。

 

「そろそろ戻るぞ、挨拶。」

「「「ありがとうございました!!!!」」」

 

…………俺も覚悟を決めておかないとな。

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