こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
「オラァアアアアアア!!!!ゴミがあるなら持ってこいやぁぁぁぁああああ!!!」
俺達は通形先輩との模擬戦をした後の放課後、寮に戻ると勝己がまたとんでもなく機嫌が悪そうにキレながらもやたらテンション高く掃除を自分から買って出ていた。
幸い俺はゴミとかはこまめに捨てる方だから対して量は無かったんだが……。
「爆豪頼む!」
「おう!」
「こっちも頼む。」
「よこせや!」
「俺も!」
「俺も!」
鋭児朗、常闇は比較的常識的な量。
それに上鳴と瀬呂がそれなりの量を持ってきて勝己が運ぶ量がどんどん増えていく。
「おいらも。」
だが峰田は勝己が持ってきた45Lサイズをパンパンに膨らませた物をわざわざ引きずってきていた。
「サンキュー。」
「メルスィ。」
「ありがとう。」
そこに砂藤と青山、尾白が続き更に増えていく。
流石にここまでゴミを溜め込んでる奴が多いとは思わなかったのか勝己が更にキレていく。
「溜め込みすぎなんだよこのくそども!!」
…………うん、流石に俺でもこれはどうかと思うわ。
するとソファーで軽く女子会みたいな状態になっている芦戸さん達が通形先輩の話やインターンの話でかなり盛り上がっていた。
「くう~!通形先輩のビリけつからトップってのはロマンあるよね!」
「うんうん!」
やはり芦戸さんや葉隠さんはこの手の成り上がりが好きなのかかなりテンションが高い。
「インターンに行くのが楽しみになってきたわ。」
「どうなんだろうね……一年はまだ様子見って言ってたけど。」
「とりあえず相澤先生のゴーサイン待ちですわね。」
蛙吹さんはかなり楽しみにしているみたいだが対称的に麗日さんと八百万さんの二人はだいぶ冷静に考えていた。
そんな様子を見ていると隣に並んでいたキャスリィとヒメユリが服を引っ張ってくる。
「早く部屋に戻ろ。」
「ネコ缶……。」
「わかったわかった。」
ちなみに二人は通形先輩との模擬戦を見せなかった事で若干ご立腹だったのでジャンヌに説得を手伝ってもらってネコ缶10個で勘弁して貰うことにしていたのだった。
夜にはネコナースやヴィランの潜伏しそうなポイントを警察と協力して洗い出していたミーニャも俺の部屋に帰って来て若干話が盛り上がる。
何だかんだで俺の体内の人型にゃんこも女性型がかなり増えてきたなぁ……。
いい加減男型の一人くらいは欲しいものだ……肩身が狭い。
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通形先輩との模擬戦のあった日から数日後、俺達は朝から相澤先生に呼び出しを受けてリビングへと集められていた。
そして相澤先生からある新聞社から俺達A組への取材が来ることを知らされた。
「「「取材!?!?」」」
「ああ、お前達に新聞社の取材が入る。」
周囲の全員がざわつきはじめ、各々がテンションを高くしていく。
「すごいねデク君!」
「う……うん。」
……出久が麗日さんに詰め寄られてめっちゃ目をぐるんぐるん反らしている。
分かりやすすぎるぞ……。
「なんか照れるな。」
「なんでだよ?」
「体育祭、全国中継されてたでしょ?」
「三奈ちゃん!取材だよ取材!おめかししなきゃ!」
「だよね!」
「葉隠はする必要無いんじゃ……。」
だかそんな空気をぶち壊すように相澤先生の顔が険しくなる。
「浮かれるな。」
流石に慣れてきたのか一瞬でA組全員がシーンとした空気に戻る。
何だかんだでこの手の切り替えの速さは相澤先生で鍛えられたからな……。
「取材内容は寮生活を始めた生徒達の暮らしぶりをリポートする……だそうだ。
お前達が元気に生活していることを知って貰おうと考えた校長が特別に許可を出した。」
…………ただでさえ襲撃騒ぎで警戒しまくってる雄英に対してする取材がそれだけ?
正直俺には胡散臭いとしか思えなかった……絶対に何か別の目的がありそうだ。
確かに雄英としては本当にそれだけならかなりありがたい話ではあるんだろうがな。
「取材来るの女かな?女かな?女子アナ?」
「新聞社だっての。」
エロブドウと瀬呂の二人がヒソヒソと話し始める。
だがそのエロブドウの顔面がどんどんモザイク必須の顔になっていくのを見て俺は相澤先生の方を向く。
明らかに不機嫌になっているのがわかったのでメタルネコを用意しておく。
「よくよく考えたら女子アナってすげぇネーミングだよな。女子……。」
「猫城。」
「はい。」
俺は速攻でエロブドウの顔面にメタルネコを投げつけてめり込ませながらぶっ飛ばした。
ぶっ飛んだエロブドウは相澤先生のマフラーによってぐるぐる巻きにされている。
「はぁ……だからそういう真似を絶対にするな。」
「んっ!?んんっ!?!?」
すると一人の見知らぬ男性が突然リビングに入ってくる。
「そういうのやめましょう相澤先生。」
「ん?」
「私は寮生活をしている雄英生の生の姿を取材したいんです。」
「特田さん、まだ入って良いとは……。」
相澤先生の反応から察するにやっばり指示を無視して入ってきたようだ。
『キャスリィ、ヒメユリ、ジャンヌ。
正直怪しい……取材に関しては最低限の事だけ答える程度にした方が良さそうだ。』
『どうして?』
『…………多分あの人の目的は別にありそうだ。
スキャンダルとか特ダネとかそういう類いのな。』
『ん、わかった。』
『私も異論ありません。』
俺は念のため感覚共有で今出ている三人と思考を共有して注意するように伝える。
それに加えて念のため取材を受けたらどんな話を聞かれているかすぐに俺に報告して判断を仰ぐように伝えておいた。
この手の記者やマスコミは警戒するに越したことはないからな。
特にこの世界のマスコミは兎に角スキャンダル好きな傾向もあって自分勝手な奴も多いから正直好きじゃないしな。
「取材は午前8時から午後6時まで、もう始まってますよ。」
特田という記者は腕時計を指差してそう答える。
屁理屈ではあるが問題には出来ないか。
彼は相澤先生の隣に移動して俺達に話し始める。
「皆さん!記者の特田です。
今日は1日よろしくお願いします。」
「「「お願いします!」」」
…………やっぱりどうにも信用出来そうにないんだよなぁ。
「特別何かをしていただく必要はありません。
皆さんがいつも送っている生活の様子をカメラに収めさせてください。」
「たまに質問するかもしれませんがその時はよろしく。」
特田さんは人が良さそうな笑みを浮かべてそう話す。
それにしても……質問ねぇ。
「わあ!爽やかイケメンだ!」
「女じゃねぇのかよ……。」
「困っちゃうね。」
「僕は常日頃輝いてるから格好の被写体になっちゃうよね。」
「すげえな青山……。」
俺が言えたことじゃないが正直このクラスにはまともじゃない奴が多いから不安だ。
特に勝己、出久、エロブドウなんかは何かしらやらかさないと良いんだが……。
「校長先生から伺っているとは思いますが取材への干渉はどうかご遠慮ください。
私は……。」
「分かってます。
何かあれば連絡をください。」
「何もありはしませんよ。」
…………相澤先生に取材へ干渉するなと来たか。
「1年A組の皆さんは将来有望なヒーロー候補じゃないですか。」
「……飯田、問題があったらすぐに連絡しろ、いいな?」
「分かりました!この飯田天哉、1年A組学級委員長として責務を全うする所存……!」
「それじゃあえーっと、フッ……皆さんこれから何を?」
俺は念のため隠密行動に優れたちびネコダラボッチをA組全員分出撃させて監視をつけておく。
ついでに相澤先生のマフラーにも潜り込ませていつでも連絡が取れるようにしておいた。
「朝食です!」
「そんなに緊張しないで私はいないものと思って……。」
「あー、その……特田さん?
天哉はそれがデフォルトですのでスルーで大丈夫です。
というか基本ここのA組は変わり者が多いので大体スルーで大丈夫です。」
「そ、そうかい?なら良いんだが……。」
俺達は結局いつも通りに生活する事にして、それからしばらくは特田さんが俺達のいつもの光景をカメラで撮るのが続いた。
流石にヒメユリ達に俺がネコ缶を出して食べさせていた所にはツッコミを貰ったが個性で生まれた都合上若干味覚が違うということで納得して貰った。
勝己が朝食を食べてる所を至近距離で取られてキレてたがそんなに問題は無さそうで助かった。
最初に変わり者だらけと伝えておいて正解だったらしい。
放課後一人で自主練をしていた出久に特田さんが接触したようだ。
っ!!!あの人の目的はオールマイトの後継者を特定することか!
だが話を聞いていくうちに本当の目的が今の社会における希望が失われてないのかを調べることだったらしい。
裏の取れてない事を記事にするつもりもないらしいし今の社会においてはずいぶんと珍しいまともな記者だったようだ。
どうやら俺が疑い過ぎていたようだな。
本人も家族をオールマイトに救って貰った恩があったらしい。
…………俺も不安に駆られ過ぎてたと言うことか。
少し反省しなきゃな。
結局彼は時間が来たのをきっかけに挨拶もせずに帰っていった。
少し彼に謝りたかったな。