こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
昨日ちょっと朝から出掛けてて疲れが溜まってたみたいです。
特田さんの取材があった日の翌朝、俺達1-Aは教室で相澤先生から本格的にインターンの説明を受けることとなった。
だが正直今の情勢でまともにやらせて貰えるのか不安しかない。
「プロヒーローの職場に出向きその活動に協力する。
職場体験の本格版、ヒーローインターンですが……昨日職員会議で協議した結果、校長を始め多くの先生達が"やめとけ"という意見でした。」
まぁそうなるだろうな……。
そして俺はこの後何が起きるか分かりきっていたので感覚共有を使ってキャスリィ、ヒメユリ、ジャンヌの三人に合図を出して俺も耳栓を着ける。
「「「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええ!?!?!?!?!?」」」
案の定だったな……耳栓着けてて正解だった。
すると感覚共有でキャスリィとヒメユリから俺に疑問が投げかけられる。
『釜戸、なんでインターンはダメなの?』
『職場体験は大丈夫だったのに……。』
『ここ最近のヴィランの動きが活発……っていうのもあるけどUSJ、職場体験、合宿とこうも露骨に狙われ続けてるからな……下手に分散させたくないって言うのと預けるヒーロー事務所の信用とか調べなきゃいけないこと、警戒しなきゃいけないことが多すぎるからなぁ……。』
『こればかりは仕方ありません。
当然の警戒です。』
だよなぁ……。
それはそれとして自分が参加出来ないからってざまぁはどうかと思うぞそこの
「……が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないという意見もあり方針として"インターン受け入れ実績が多い事務所に限り1年生の実施を許可する"という結論に至りました。」
まぁ妥当な所か……スレニキ達の話からすると少なくともサー・ナイトアイの事務所は受け入れ実績が多いため受け入れ許可は出てるみたいだが……問題は伝だな。
おそらくギャングオルカさんの方も伝は無くはないだろうがここは確実な方を取るべきか。
「くそがぁぁぉああああ!!!」
そして落ち着けそこの
俺は今日の授業が終わった後職員室へとそのまま向かう。
同じタイミングで出久も職員室に……しかも俺と同じ目的で向かっていた為ちょうど良いので一緒に頼み込むことにした。
職員室に着いた俺達はオールマイトに用件を伝えると彼は骸骨のような顔を驚愕に染めていた。
「サー・ナイトアイにインターンの紹介して貰えるかって?」
「はい!オールマイトの下で働いたという数少ないヒーローの一人!」
「おい出久……。」
「シーッ。」
出久がここが職員室なのにも関わらずヒートアップし始めていたので声をかけようとしたがオールマイトが人差し指を口元に持っていき静かにするように促す。
とはいえ複数の先生から呆れられた視線を向けられていた。
「サー・ナイトアイね……。
何処から彼の名が上がった?」
「僕はグラントリノにインターンの件で相談した際にオールマイトならサー・ナイトアイの事を紹介してくれるのではと。」
「俺は純粋に相性……というよりは長所を極限まで伸ばすためです。
俺の個性はちょっとした軍団すら作れますが細かい動きを指示できる数は限られてます。
なら通形先輩のような圧倒的経験による先読み、これこそが必要だと考えた結果出たのがサー・ナイトアイでした。」
先を読むということは経験則から相手の行動を予測する。
つまりは相手の考えを見抜く事にも繋がるからな。
にゃんこ城としての個性を鍛えるのに彼ほどうってつけの人は居ない。
「なるほど……緑谷少年はインターンの件でフライング気味にグラントリノから、猫城少年は元からアタリを付けていたようだね。」
「お願いします!」
「断ります。」
出久がオールマイトからの返答を待たずに深く頭を下げるが彼はあっさりと即答して断っていった。
「意地悪で言っているんじゃないぞ?
理由は3つ。
一つ、私は昨日の会議でインターン反対派だ。
1年生は少なくとも今じゃなくて良いと思う。」
「僕もです。」
「行きたい子には学校側がバックアップしてやれば良いじゃない。」
まぁオールマイトの立場なら仕方ないか……平和の象徴としての力を失った今インターンはリターンよりも圧倒的なまでにリスクの方が大きい。
オールマイトは後ろの13号先生、ミッドナイト先生をスルーして続ける。
「2つ、緑谷少年のシュートスタイル、それに加えて猫城少年の狂乱解放。
あれをもっと強化してからで良いと思っている。」
「彼ラハ頑張ッテイルト思ウガ?」
「技として押し付けるにはまだ開発の余地たくさんですね。」
……確かに、俺の狂乱解放は制御できる割合が増えたとはいえまだリスクは高い。
それに俺の持つ技を無理矢理組み込んでこそいるが基本的にやってる事その物はごり押しに近い。
「3つ、サー・ナイトアイ……訳あって彼とは気まずい。」
「私情かよオールマイト!
SHI・JO・U!SHI・JO・U!SHI・JO・U!」
「マイクやめて。」
「HA!」
いやまさかそんな理由とは思わんかったが確かに気まずい相手に紹介するのはあまりにもハードルが高いか……。
すると隣にいた出久が頭を上げ、覚悟が決まったような顔でオールマイトにはなしかける。
「オールマイト。
かっちゃんに……"レール敷いて貰っといて負けんな"って言われたんです。
僕の個性はオールマイトによく似ています。
ナイトアイの下でならあなたとの比較になると思うんです。
僕は……他の人より何倍も強くならなきゃいけないんです!」
「…………俺は出久程の覚悟があるわけではありません。
だがヴィラン連合に狙われている今の状況で強くなる方法を妥協する程俺も馬鹿ではありません。
リスクを承知でも今は強くなることを優先したいんです。
これ以上身近な誰かを傷付けない為にも。」
俺は出久と共に頭を下げる。
オールマイトはしばらく無言になるが結論が出たのか口を開く。
「そう言うのは嫌いじゃないがやはり紹介は出来ないな。
私からは……ね。」
「え?」
「ほっ……。」
俺達はオールマイト先生の言葉で頭を上げ、出久は驚いているが逆に俺はほっとしていた。
ぶっちゃけ保険はいくつかあったからな……一発で終わって助かった。
するとオールマイトは俺達を生徒指導室まで連れていき、校内放送を使って通形先輩を呼び出した。
「あーなーたーがーいる!」
「「「…………。」」」
「つってね!すみませんね!
オールマイトに呼ばれて浮かれてますね!」
「あの……状況が良く掴めないんですけど?」
「奇遇、実は俺もなんだよね。」
「簡単な話だよ出久……通形先輩のインターン先はサー・ナイトアイ。
つまりはそう言う事ですよね、オールマイト?」
「猫城少年の言う通り通形少年は現在ナイトアイの下でヒーローインターンを行っている。」
「本当ですか通形先輩!?」
「うん!もう一年は継続してもらってるんだよね!」
「じゃあ卒業後はもうサイドキック入り確定ですね!」
「サーの気が変わらなければね。」
「すごいな~!」
おい出久……話ズレてるズレてる。
「単刀直入に聞くが通形少年から見て緑谷少年と猫城少年はナイトアイの下で働けると思うかい?」
「あっ!」
「成る程、この話をするために呼び出したんですね。
緑谷君と猫城君をサーに紹介してやれと!」
俺と出久は急に通形先輩に肩を組まれる。
この人相変わらず間違った方向にフレンドリーだな……。
「しかし何で俺をクッションに?
直接言えばサーはすごく喜びますよ?
時間があればいつもオールマイトの動画眺めてますし。」
するとオールマイトは複雑そうな表情になる。
「正直合わせる顔がない。
私は結局、彼の忠告通りになっているからね。」
ナイトアイの忠告通りに……?
「で、どうだろうか?緑谷少年と猫城少年は?」
「そうですね……じゃあ君達はどういうヒーローになりたい?」
「どういう……。」
どういうヒーロー……か。
そんな物決まってる。
「俺はどんな悲劇があろうとも俺の手の届く範囲ならば全てを喜劇に出来るような……そんなヒーローを目指したいです。
その為にはどんな悪意があろうともそれをにゃんこ達と俺でギャグにして見せますよ。」
「ギャグ……。」
オールマイトが若干首を傾げているが仕方ないだろう……なにせにゃんこはどれをとってもどうあがいてもシュールにしかならないんだから……。
「僕は……どんなに困ってる人でも笑顔で……。」
「ん?」
すると出久は言葉に詰まってしまう。
だがすぐに何か覚悟を決めたような顔になり、続きを話す。
「誰にも心配させる事のないくらい必ず勝って、必ず助ける……最高のヒーロー……です。」
「猫城君も緑谷君もめちゃくちゃな目標だね。」
すると通形先輩はサムズアップをして笑顔で答える。
「断る理由無いし良いよ!」
「あ……良いんですか!?ありがとうございます!」
「助かります。」
「あぁ、元々サーが好きそうと思ってた。」
「本当ですか!?うわ~!」
「まだサーの了承が得られると決まったわけじゃないから。」
「それでもありがとうございます!」
…………何かしら試される可能性もあるししばらく少し訓練の量を増やしておくか。
そしてしばらくの間二人は夢中で話し続けていた。
そして少しすると週末にサー・ナイトアイのヒーロー事務所に来るように伝えられたのだった。
…………頑張らないとな。