こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
全員の意見が出揃ったので電子黒板に一覧が載せられる。
○メイド喫茶
○腕ずもう大会
○ビックリハウス
○おもちやさん
○暗黒学徒の宴
○ダンス
○オッパ?
○コント
○郷土史研究発表
○殺し合い(デスマッチ)
○ふれ合い動物園
○タコ焼き屋
○アジアンカフェ
○演武発表会
○お勉強会
○ヒーロークイズ
○手打ちそば屋
○僕のキラメキショー
○かえるのうた合唱
○クレープ屋
○脱出ゲーム
「一通り皆からの提案は出揃ったかな。」
「不適切、実現不可、良くわからない物は消去させていただきますわ。」
八百万は手元のタブレットを操作して電子黒板に書き込みを入れる。
○暗黒学徒の宴
○オッパ?
○殺し合い(デスマッチ)
○僕のキラメキショー
「ああっ!?」
「無慈悲!?」
「あっ……!?」
「はなから聞くんじゃねぇ。」
「郷土史研究発表もなー地味にゃよねぇ。」
あ、葉隠さんもといにゃがくれさんが天哉の提案にダメ出しして天哉がピクッて反応した。
「別に良いけど他が楽しそうだし。」
「総意には逆らうまい……っ!」
「勉強会はいつもやってるしな。」
「お役に立てればとつい……。」
○郷土史研究発表
○お勉強会
八百万さんの意見も弾かれ、皆もいくつかのグループに別れて騒がしく話し合いが始まった。
とはいえ纏まりそうになさそうだなこりゃ。
「食いもん系は一つにまとめられるくね?」
「そばとクレープはガチャガチャしねぇか?」
「だからオリエント系にクレープは違うでしょ。」
「静かに!」
「やっぱりビックリハウスだにゃー!」
「内容がわかんねぇって!」
「静かに!静かに!!」
「纏まりませんでしたわね……。」
「静かにぃぃぃい!」
天哉がいつも以上に空回りしてるなぁ……。
するとすぐにホームルーム終了のチャイムが鳴る。
「はっ!?」
「実に非合理的な会だったな。
お前ら、明日朝までに決めておけ。
決まらなかった場合…………。」
その瞬間俺は猛烈に嫌な予感がしてきた。
この人は冗談が通じないタイプだ……余程の事がなければ覆すことはない。
「公開座学にする。」
「「「公開座学!?」」」
「ただの勉強じゃん。」
「冗談っしょ……?」
「皆!今日中に出し物を決めようぜ!」
「「「おーー!!!」」」
放課後の夜、寮に戻った後俺は出久、麗日さん、梅雨ちゃん、鋭児郎の四人とインターンで公欠していた分の補習をやっていた。
ただ流石に朝の時の様子だと不安があったので感覚共有をした猫ジャラミと天空のネコを皆の所へ向かわせてある。
「あれ?インターン組は?」
「補習。
話し合いに参加できないから決定に従うって。」
「爆豪は?」
「寝た。」
「そこの葉隠さんじゃないネコは……?」
「知らね。」
まぁ伝えてないからな。
俺は天空のネコからホログラムを投影して俺の顔を出させる。
とはいえ補習中のとこ出すわけにもいかないから本当に顔の2Dデータだけだがな。
『俺の本体は今補習中だからな、代理として並列思考を繋げたジャラミを寄越しといた。』
「相変わらず便利すぎんだろお前の個性……。」
上鳴が珍しくまともなツッコミを入れる。
「みんな、落ち着いて考え直してみたんだが……。
先生のおっしゃっていた他の科のストレス、俺達は発散の一助となる企画を出すべきだと思うんだ。」
「そうですわね……ヒーローを志す者がご迷惑をおかけしたままではいけませんもの。」
「そうなると正直ランチラッシュの味を知る雄英生には食で満足させられるものは提供出来ないと思うんだ。」
…………それに関しては同意せざるを得ないな。
あの人出来ない料理無いんじゃないかなってレベルで色々と作れるしなぁ……リクエストも頼めばあっさりと作ってくれるし。
「あ、メシ系駄目ってこと?」
「"個人的には"だ。
他科へのサービスと考えれば……。」
「そう言われるとそうだな。
俺たちが楽しいだけでは彼らに申し訳がない。」
「悔しいけどランチラッシュには敵わねぇ。」
『俺も同意する。
ついでに言えば一般的な文化祭でやるものに関しては基本的に普通科もやれる分満足させられるかと言われると疑問が残るな。』
「確かにな……。」
俺達は再び八百万の残した電子黒板の書き写しのあるタブレットへと目を向ける。
○おもちやさん
○タコ焼き屋
○アジアンカフェ
○手打ちそば屋
○タコ焼き屋
○クレープ屋
「それにゃあ……。」
「そうなりますと体験系の出し物……該当する提案となりますと『メイド喫茶』か『ふれ合い動物園』か『ビックリハウス』?それと猫城さんの『脱出ゲーム』ですわね。」
「『メイド喫茶』も『脱出ゲーム』も結構文化祭の出し物としちゃありふれてるよなぁ。」
「ふれ合い動物園なら猫城のにゃんこ貸してもらえば……!」
『止めとけ、ツッコミ所しかないカオスが出来上がるだけだ。
シュールレアリズムだらけの動物園とか誰も得しない。』
「つか動物園は衛生上厳しそうじゃね?」
「うーん、発散かにゃぁ……。」
○メイド喫茶
○ビックリハウス
○ふれ合い動物園
○脱出ゲーム
「コントとかは駄目かな?」
「素人芸ほどストレス与えるもんはねぇよ。」
「みんなで踊ると楽しいよ?」
「あっ……ダンス、良いんじゃねえか?」
「わっ、超意外な援軍が。」
ん?轟からほんとに意外な意見が出たな。
「ちょっといいか、何かあっただろ。
何て言うのか知らねえけどバカ騒ぎするやつ。」
そう言うと轟は八百万の操作していたタブレットを拝借して動画サイトへとアクセスする。
「あっ、こういうやつだ。」
成る程……ライブか。
「轟から出る発想じゃねぇ!?
パーティーピーポーになったのか!?」
「違え。
他の科のストレスを発散させようという飯田の意見はもっともだと思うし、その為にはみんなで楽しめる場を提供するのが適してんじゃねえか?
仮免補講からの連想なんだが……。」
確かにな……これなら一般的な文化祭で出るような出し物とは違うしストレスの発散と言う面でも優れている。
「どんな補講だったんだよ……。」
…………絶対今皆の頭の中に勝己と轟がミラーボールの下でダンスやってる姿が映ってそうだな。
俺も考えてみると無駄に似合ってるのがツボに入りそうだ。
「成る程、歌とダンスか。」
「今一度言うが素人芸ほどストレスなもんねえぞ?」
「私ダンス教えられるよ!」
そういやたった一日で青山がヒップホップのツーステップマスターしてたな。
「奇っ怪な動きだった素人が一日でステップをマスターした!
芦戸の指導は確かだ!」
「待て素人ども!
ダンスとはリズム!すなわち音だ!パリピは極上の音にノるんだ!」
「音楽と言えば~!」
「ん!?」
芦戸さんの声に合わせて全員の顔が耳郎さんへと向く。
「えっ……何?」
「耳郎ちゃんの楽器で生演奏にゃ!」
「え!?ちょっと待ってよ!?」
「にゃんで?耳郎ちゃん演奏も教えるのもすっごく上手だし音楽してる時がとっても楽しそうだにゃ!
私、耳郎ちゃんの演奏聴きたいにゃ!」
ん?耳郎さんの表情が暗くなった。
何か理由でもあるのだろうか?
「芦戸とか皆はさ、ちゃんとヒーロー活動に根ざした趣味じゃんね?」
すると耳郎さんは不安そうに耳のイヤホンジャックを手に持ってツンツンと鳴らし始める。
「うちのはホントただの趣味だし……正直表立って自慢出来るもんじゃないっつうか……。」
「そういうことかあの時のあれは。」
『別に良いんじゃないか?
俺なんか趣味らしい趣味は一切持ってないから逆に耳郎さんみたいな自分らしい趣味を持てる方が羨ましい。
それに俺が聞いた耳郎さんの曲はどれも素直に凄いと思えるものばかりだったぞ。』
実際余った時間は訓練に費やすかスレニキ達と話してるだけで十分過ぎる程潰せるから退屈してないしな。
「そうだぜ!あんなに楽器できるなんてめっちゃかっけえじゃん!」
「うっ……。」
「耳郎さん!人を笑顔に出来るかも知れない技だよ!
十分ヒーロー活動に根ざしてると思うよ!」
「ううっ……。」
口田が珍しく饒舌だな。
「お三方の主張も良くわかりますわ。
でもこれから先は耳郎さん本人の意思で……。」
「ここまで言われて……やらないのも……ロックじゃないよね。」
耳郎さんは照れながら言う。
恐らくだが相当勇気を出したんだろうな。
なら俺達は全力でサポートするだけだな。
「「「おおーーー!!!」」」
「じゃあA組の出し物は生演奏とダンスでパリピ空間の提供だ!」
「「「おーーー!!!」」」
ようやく決まったか………っ!?
俺はふと視界に入ったタブレットの動画サイトで動画が終わった際に自動的に次の動画が再生される機能で出てきた新しい動画のサムネイルに出てきた男を見た瞬間凄まじく嫌な予感が過った。
そして俺がうしわか丸を手に入れた時のことを思い出した。
『にゃ?ユーに
ノンノン……ミーが見たいのはユーの
でもそうにゃね……一つ予言をするとすれば………。』
『紳士とピンクのハートに気をつけて……にゃね。』
紳士……ジェントルマン……ジェントル……。
そして先程のサムネに映っていたヴィラン。
…………何事もなければ良いんだが。