こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
「ジェントル……!」
俺達がジェントルを倒してから少しするとこいつの身体からあふれでていたピンクの煙状のオーラはだんだんと消えていった。
ただジェントルの意識を刈り取るには至ってはいない……つまり時限式での強化だったわけか。
「嫌……やめてよ離して。
ジェントルを離して!離して!嫌よ!」
満身創痍のジェントルを見て、拘束されているラブラバは涙を流し、絶望したような表情をしながらは身体を地面に這うように少しずつジェントルへと向かっていく。
「ジェントルが心に決めた企画なの!
大好きなティーブレイクも忘れて準備してきたの!
離せ!何が明るい未来よ!私の光はジェントルだけよ!」
…………日陰で生きてきた者か。
この世界での格差は兎に角激しい……個性的弱者、無個性、異形……兎に角差別だらけな上に生きづらい。
中には人格にすら影響を及ぼすような個性すらあるというのにその人の人生にまで枷を何重にもかけなければならない。
そういう者達はどうしても普通じゃ生きられないからヴィランになる。
そしてそんな者達の希望になるのもまたヴィランだ。
ヒーローでは日陰で生きる者達にとっての希望になることは出来ない……妬みや逆恨みの象徴になるのがオチなのだろう。
「私のジェントルを奪わないで!奪わないでよ!
ジェントルと離れるくらいなら死ぬ!」
するとジェントルの身体から再度煙が出始める。
こいつ何処からこんな力が……!?
俺達をただ身体を跳ねさせただけで吹き飛ばしたジェントルはそのまま空気に弾性を付与させ続けて俺達を雄英へと吹き飛ばしていく。
すぐに反転して向かおうとしたが監視役として空中にいた天空のネコの視界に映るジェントルが逃げる様子がない。
あいつらは涙を流しながらお互いに抱き合っている。
「びょ、猫城君!君だけでもあいつの所に……!」
「いや、どうやらあいつら逃げる気が無いらしい。
さっきにゃんこを使って秘密裏に知り合いのヒーローを呼んどいたんだがそっちも現場に到着してる。
俺達はこのままこれをありがたく利用して雄英に戻るぞ。」
俺は狂乱の波動を最低限まで押さえ込みながらそう言う。
それにしても一度波動を出しすぎるとやはり元に戻るまでやっぱり少しかかるな……。
「あっ!買い出しの品が!」
「それならにゃんこに持ってこさせているぞ。」
「相変わらずの用意周到!?」
「それよりさっさと着地の用意しとけ。」
俺がそう言うと弾性のある空気が設置されなくなり、俺達は雄英のある山道の森に落とされた。
だがその目の前には……。
「がっ!?」
「ムッ……君達ハ緑谷君ニ猫城君!
コンナ所デ何ヲヤッテイルンダ?
モウ文化祭ハ始マッテイルゾ、ソレニソノ傷ハ……。」
「すみません、若干トラブりましたが解決してきました。
問題に関しては大人しくさせた後に知り合いのヒーロー……というかたまたま近くで巡回してた父さんに任せたので大丈夫です。」
「ソウカ……アトデ話ヲ聞カセテ貰ウガ今ハ急ゲ!モウ時間ガナイゾ!」
「はい!」
「助かります!後で何があったか報告させて貰います!」
俺達は急いで雄英へと向かって走り始めた。
入り口の方に向かうと丁度青山が俺達を探していた。
「あっ緑谷君に猫城君!遅いよ!」
「青山君!ごめんなさい!」
「なぜそんなボロボロに?」
「あー、こ……転んだ!」
「何をやってんのさドジッ子!
はい、着替えて!皆待ってる!」
「ありがとう!」
出久は青山が偶々持っていた出久の分の文化祭の出し物用のTシャツを受け取ってそのままA組の待機場所まで向かう。
「出久、その顔で出るつもりか?
先にリカバリーガールのとこ行っとけ。
まだ時間までは間に合うはずだ。
間に合わないならケツに突き刺す覚悟しとけ!」
「それだけは勘弁してください!」
出久はそう言うと猛ダッシュで保健室へと向かう。
俺と青山はすでに着替えも終わっている為にそのまま待機場所へと向かって先に説明することにした。
ある程度誤魔化したが若干厄介なアクシデントがあったのが分かるようにはしておいたのでこれで少しは分かって貰えると助かるんだがな……。
「思ったより人集まってるよ~!」
「朝からご機嫌な連中だぜ。」
「楽しみにしてくれてんだよバカチン!」
俺達は結構ギリギリのタイミングではあるがなんとかライブ会場となる体育館に間に合わせることが出来た。
出久は思いっきり怒られはしたが俺が事前に説明しておいたのもあるのである程度態度は柔らかくなっている。
ただまぁ……遅れかけてかなり迷惑をかけたのは確かだし迅速に解決出来なかった俺も俺だから後で詫びないとだな。
「時間だ。」
AM.10:00ジャスト……体育館の明かりが一斉に消えてネコジャラミ達の怪力によって一瞬で舞台設置が完了する。
会場がざわつき始めるがブザーと同時に舞台の幕が左右に開いていき片腕を上げて全員ポーズを決めている俺達が見えてくると、さらに歓声が上がっていく。
「キター!」
「1年頑張れ~!」
「どんなもんだ1年!」
「八百万~!」
「「「八百万!八百万!八百万!」」」
なんだこの八百万コール……。
俺が会場に視線を向けると丁度通形先輩に抱っこされている壊理ちゃんが見えた。
目を輝かせて見ているしこりゃ相当楽しみにしてくれてたみたいだな。
ならその期待に答えないとな!
「「「八百万!八百万!八百万!」」」
八百万コールが止まらねぇ……。
耳郎さんが大きく息を吸って吐いた所で俺はちびネコダラボッチで勝己に合図を送った。
「いくぞコラァァァァァアアアア!!」
「掴みはド派手に!」
俺は裏方のネコジャラミ達を一斉に同時に感覚共有で動かして舞台装置を操作する。
「雄英全員……音で殺るぞぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」
勝己のそのセリフと共に大爆発が発生して演奏が始まり、俺達のダンスが始まる。
俺はマイクを片手に耳郎さんと歌う準備をする。
「「よろしくお願いしまーす!!!」」
体育館にいる全員が俺達の空気に飲まれるように一気に黙っていく。
掴みは上々、全員が最初から見入っている。
「
「
「「
このタイミングでダンス組の全員が楽しそうに大きく跳び跳ねてから地面に拳を叩きつける形で着地してからゆっくりと力強く上げていく。
「ohhhh
そしてどんどん皆がそれぞれのパフォーマンスをしていく。
ってか天哉のロボットダンスはそれはそれでパフォーマンスとして採用したのか……。
「
「「
そして出久が青山を大きく上に飛ばして青山がコスチュームに早着替えすると同時に四方八方に大量の威力0のネビルレーザーを放つ。
「レーザーだ!アハハハッ!」
「人間花火かよ!」
落ちてきた青山はジャラミで回収しておく。
良いぞ!会場の盛り上がりがさらに上がった!
回収した青山と出久は上に登る為に一旦裏方へと向かっていく。
「
「
そして女子達が全員集まってパフォーマンスをし同時に揃って横に移動してしゃがむと女子達がいた場所からどや顔でめっちゃカッコつけたエロブドウが現れる。
さらに天哉の真面目過ぎる部分がもはや顔芸を作り出しており、会場に笑いに包まれる。
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さらに轟の氷結により天井に道が出来て、八百万さんが個性で腕にクラッカーを複数作って同時に起動し、俺が裏方を操作して煙を出す事で会場の盛り上がりがさらに増していく。
そしてダメ押しとばかりに出久がミラーボールと化した青山を天井からぶら下げて走っていく。
「ohhhh
「
「「
ここで一度照明が落ちて耳郎さんのソロパートが入る。
「
ソロパートの静かな空気にあわせて会場全体が一気に聞き入るように静かになる。
「ohhhh
「「
ソロパートでは一気に静かになっていた会場の空気を一気に塗り替えるように俺と耳郎さんは大きく声を上げる。
「「
よし、終盤だしアレンジだ。
俺は狂乱の波動を纏い、周囲に悪影響が出ないように注意をしながらさらに演出を盛り上げていく。
「「
俺達が歌い終わり、ダンスも最後まで決まり会場全員のテンションが最高潮に達したタイミングで俺達のライブは終了した。
といっても次は俺の完全ソロなんだがな……。
先生もウキウキした様子でさらっと予定表に俺単独のを入れてたし頑張るか。