こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
登校後、学校のチャイムが鳴りHRの時間になってもクラス皆は朝から寮でも話していたある話題で夢中になっていた。
「凄かったよなぁ昨日のエンデヴァー。」
「あぁ、脳無にぶっ倒された時には肝冷やしたけどよ。
最後は勝利とガッツのスタンディング……くぅ、漢だぜ!」
正直俺は皆が呑気に話していられるのに疑問を感じている。
エンデヴァーは確かに今回襲撃してきた脳無に勝った。
だが相手の脳無はたった一体、対してヒーロー側はエンデヴァーとホークスの二人組。
街にもある程度被害が出ている上にエンデヴァーは目の近くを負傷に加えて全身の打撲や骨折、さらにホークスも額を負傷とかいう状況だ。
ニキ達の話によれば脳無とやらの材料は人間の死体……普通に考えれば量産はしにくいと言いたいが相手は裏社会を牛耳る程のヴィラン。
しかもあの脳無は喋っていた……つまりはそれだけの知性を持ち合わせているってことだ。
知性のあるかないかで敵の強さは馬鹿にならないくらいに変わってくる。
しかもたった一体だけあんなとんでもない戦力を突っ込ませたって時点で既におかしい。
脳無を指揮している様子も無かった……俺としてはこいつは脳無の新型のプロトタイプを使ったテストだと思っている。
そう、プロトタイプでコレだ。
これ以上時間をかけ過ぎればどうなるかなんて目に見えている。
現状のNo.1ですら2人がかりで辛勝した相手が量産……どう考えても普通に挑んでヒーローが勝てるレベルじゃない。
この事に気づいている者はどれだけ居るのだろうか……。
「流石No.1だよね!」
「ホークスも凄かったよ!」
「イケメンだし!」
「“速すぎる男“の異名は伊達じゃねえよなあ。」
クラスの皆が話していると少し遅れて轟が部屋に入ってくる。
俺と出久、それに天哉の3人はエンデヴァーの様子を聞くために轟の下へと向かった。
「轟君、エンデヴァーの容体は?」
「あぁ、命に別状は無いそうだ。」
「そっか、良かった。」
「自慢の父ちゃんだな轟!」
って峰田あの馬鹿!?
「あぁ、そうだな。」
…………前よりは態度は軟化しているか?
とはいえ轟に家族の話題はかなりデリケートな問題だ。
すると教室の外から足音が聞こえたのに反応して全員が自分の席に座って一瞬で静かになる。
「おい、チャイムはとっくに…………よし。」
流石に担任が相澤先生なのもあってこの辺は全員やたらと息が揃っている。
「いつまでも浮かれてないで少しは自覚しろ。
仮免許とはいえお前らはもう公にヒーロー活動が出来る資格と責任を与えられている、そのことを忘れるな。
とはいえ“二名“程仮免講習を補習中の者もいるが。」
「…………。」
「ケッ……。」
「今後授業もギアを一段上げていくからそのつもりでいろ。
さて、今日のホームルームだが……。」
相澤先生がそう言うと同時に黒板の上に設置してあったらしいランプが展開して部屋全体が赤くなり、緊急事態を示すサイレンが鳴らされる。
だがこれは前にマスコミ連中が入ってきた時のとは違うな。
『緊急訓練!緊急訓練!
想定:雄英高校敷地内に
ヒーロー科一年A組出動要請!』
さらに俺達のヒーローコスチュームが入っているケースを入れた箇所がスライドして展開され、取り出せるようになる。
『ヒーローコスチュームに着替え現場に急行してください!』
訓練とはいえ手を抜く訳にはいかない為俺達はすぐに席を立ち、向かう準備を始める。
「ヒーロー科一年A組出動だ!」
「「「「「おう!!!」」」」」
俺達は迅速に着替えて指定されたエリアへと向かう。
市街地エリアに到着すると既にそこでは火災が発生しているのか煙が上がっており、機械化で強化された聴覚にも既に何かが崩れるような音が聴こえている。
「“グラウンドβにヴィランが侵入“……現在判明している情報はそれだけだ。
訓練であろうとも俺達は全力でこの任務に当たり遂行する!」
「まずは状況の把握からですわ!
偵察班の皆さんとネコマンダーさん、お願いします。」
「うむ。」
「任せて!」
「〜〜♪鳥たちよ、被害を受けた場所を偵察するのです。」
「天空のネコ及びネコライオン、ネコモヒカン出撃。」
俺達はさっそく行動を開始し、3人がビルの屋上へと登っていく。
さらに
俺は天空のネコとネコライオン、さらにライオンの上にネコモヒカンを呼び出して障子が確認出来ない遮蔽物の裏へとにゃんこ達を連れていき、監視及び索敵を行う。
『北東約900メートル、断続的な破壊音!』
『イヤホン=ジャックの報告地点に爆煙を確認。
ビルが川に向かって倒壊、火災が発生している。周辺にヴィランは視認出来ない。』
「悪い、上空からのサーモグラフィーによる探知だが火災が原因で役に立たない。
ヴィランを見つけるなら目視で見つけるしかなさそうだ。」
「了解した、まずは現場の消火活動が必要だ。」
「わかりましたわ。」
羞恥心の少ない
「時間がありません!
消火班を編成して現場に向かってください!」
そう言って彼女は個性によってかなり大型の荷車をつくりだした。
「インゲニウム!」
「ショート君!」
「分かってる。」
「俺も行こう。」
「俺も!」
「僕も!」
その5人が火災の鎮火に向かう。
俺達は一先ず救助出来る者が居ないか探索に向かう為に一端消火班に付いていく。
『大変!』
「おっ?」
『川に流されてる人がいるって!』
「川……こちらでも確認した、流されてるのは1人……ってか通形先輩?」
「え?なんで通形先輩が……?」
「ともかく私たちの出番よ、グレープジュース!
それにネコマンダーも確か水中型のにゃんこが居たわよね、男たちを貸して頂戴。」
「おお!」
「あぁ、ネコクジラ出撃。」
「「「「にゃー!」」」」
「よし!救助班も現場へ先行しよう。
インゲニウム……ゴー!!!」
インゲニウムはクリエティさんの作った荷車に俺達を乗せて凄まじい速度で現場に急行していく。
余りの速さにポロポロとネコクジラが荷台から振り落とされているが数匹付ければ問題ないだろう。
「僕らも行こう!」
「うん!」
「爆豪?行かねぇのかよ?」
「うぉっ!?なんだよ!?」
「ヴィラン探すぞ、救助活動はモブ共に任せてろ。」
どうやら
あっ、現場に先に到着したアイツラ急ブレーキで全員荷車から吹き飛ばされた。
それにしてもビッグ3の通形先輩がいるって事はもしかして……。
「っ!ヴィランと思われる人物を発見!ビッグ3の残り二人がヴィラン役だ!」
すると先輩達が居た場所が爆発を起こしてさらに火災が広がっていく。
「さっきより勢いが強いぞ!」
「このままでは延焼してしまいますわ!
ネコマンダーさん、護衛のネコジャラミさんを出してくださいまし!」
「あぁ、ネコジャラミ出撃!」
「「「ニャッスル!」」」
「火の手を止めればいいんでしょ?
前言ってたあれやろう!
「あれか!」
「うん!」
「行って来い
今度はピンキーさんをウラビティさんの個性で浮かせてそこにセロファンのテープを引っ付けてすぐに引っ張れるようにする。
浮いたピンキーさんは火災現場の上空に到着する。
「チームレイニーデイいっくよー!」
ピンキーは上空で酸を大量に出して火災を鎮火していく。
だがそれを妨害するように波動先輩の波動が飛んでくるので俺は狂乱の波動でそれを相殺していく。
ピンキーのテープが掴まれたが俺は一端それを切断して上空でピンキーをキャッチして退避する。
「あれれ?バレちゃってる?なんで?隠れてたんだけどなぁ。」
さらに背後から天喰先輩が俺達を挟むようにやってきた。
他の二人と直接ぶつかるのは初めてだな。
通形先輩でもかなりヤバかったがどこまで喰らいつけるか……。