こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが   作:クロマ・グロ

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すんません寝落ちやらかしました。


35スレ目(現実パート4)

 

 

〜緑谷Side〜

 

 

『緑谷出久よ、まずは釜戸が何故2つの個性を持っているのか貴様は疑問に思った事はあるか?』

 

なぜ猫城君が……か。

確かに今までは何度か疑問に思った事はある。

 

でも猫城君は僕みたいに個性を引き継いだってパターンではないのは確かだ。

僕はいきなり引き継いだせいで全く制御出来ていなかったけど彼は個性が発現してから感覚で大体は分かっていたらしいし。

 

多分だけど自分由来なのか他人由来なのかの違いも大きいんだろうけど単純に目覚めた時の力の大きさもあるんだと思う。

 

逆にオール・フォー・ワンみたいな奴から与えられたってパターンも無いと思う。

少なくとも彼は神野の一件の時にオール・フォー・ワンと初めて出会ったと言っていたし彼の家系はずっとオール・フォー・ワンと敵対し続けた数少ない家系だったらしいし……。

 

ただそうなると何で釜戸君の個性の発現があまりにも遅かったのかという部分が気になる。

それに個性が複数ある事に対する答えにはならない。

 

「…………力が強すぎて別の個性として別れたとかですか?」

『残念だがハズレだな、まぁ近いといえば近いのだがな。』

 

近い?いったいどういうことだろう。

 

『元々釜戸には俺という個性しか宿っていなかった。

だが俺には最初から自我が芽生えているが故に個性が完全に目覚めた時に奴がどうなるかがすぐに分かった。

貴様も狂乱の波動の危険性はよく分かっておろう?』

 

……個性暴発事故。

 

個性を発現させたばかりの子どもが自分の力を全く制御しきれずに発生してしまう事故……場合によっては本人やその家族が大ケガや最悪の場合死に至る場合もある社会問題の一つだ。

 

そして元々猫城君の個性がネコムートだけだったという事を聞いてネコムートの全身に巻き付いている鎖を見てある一つの可能性が思い浮かんだ。

 

「まさかその鎖って!」

『随分と察しが良いじゃないか、これは俺が作り出した封印だ。

幼い釜戸には俺の力を引き出すにはあまりにも精神が脆弱過ぎた。

そこで俺は己に10個の封印をし、俺の力の代りとなる個性を俺から削り出した。

 

釜戸の家系に幾度となく現れた特殊な個性持ち(転生者連中)の血を色濃く受け継ぎ、個性を変質させるだけの因子なら奴は腐る程持っていたからな……とはいえ作り出してから釜戸の肉体に定着させ、肉体を作り変えていくのは尋常じゃなく時間がかかったがな。』

 

そうなると猫城君の『にゃんこ城』という個性は『ネコムート』という個性によって新しく生み出された個性であり封印……個性が個性を作るだなんて……

 

「なぜこの事を僕に……?」

『ふっ、単純に釜戸が貴様の個性のルーツに接触したと同時に貴様がここに来たからだ。

それに釜戸は貴様らが思っている程精神的には強くない。

常に冷静を装ってはいるが今も今後のリスクや自分の成長速度の遅さ、貴様らの成長の速さを比較してかなりの焦りを感じていると共に不安に押しつぶされそうになっている。

あんな状態では封印を解除するレベルまで精神が成長するまでに遅すぎる。』

「それで僕に……?」

『秘密を共有出来る人物がいるかいないかで感じるプレッシャーという物は大きく変わってくる。

奴はそれがいない訳では無いが身近な者には一人も居ないからな。

そして奴はまだクラスの……いや、雄英の全員を信用しきっていないからこそ不安が強くなっている。』

 

なっ!?釜戸君が皆を信用しきっていない……いや、何かしら疑っている?

いったいなぜ……?

 

『ヴィラン連合……毎回現れるタイミングがおかしいと思わないか?』

「っ!?」

 

…………確かにそうだ。

USJはあの騒ぎがあったからまだ分かる。

でもあの時……合宿の時に現れたタイミングは明らかにおかしすぎた。

 

それこそ内通者でもいない限り外から知る手段は無かったはずなのに……。

 

それにあの時僕達は通信機器の持ち込みを禁止されていた。

 

「もしかして猫城君は神野が終わってからずっと……?」

『気付かれないように気を使ってはいたがな。』

 

そういえば最近になってから寮の付近の森なんかで大量に猫城君のにゃんこが放たれているのを見かける。

 

てっきり僕は猫城君が個性訓練ついでに雄英の警備に協力していたのかと思ってたけどもしかしてあれって監視?

 

『貴様の精神の強さはあまりにも異常だ。

貴様の折れない心、その決意を、覚悟を、奴に少しでも学ばせろ。

狂乱の波動は個性を伸ばす事や使いこなすといった話ではない。

己の精神の強さこそが重要なのだ。』

 

己の精神の強さ……。

 

僕の精神が異常……。

 

ネコムートに伝えられた言葉について考えていると視界がどんどん黒く染まっていく。

 

「うわっ!?」

『チッ、もう時間か……後は己の個性と向き合ってくるんだな。』

 

ネコムートがそう言うと僕の視界は完全に真っ黒に染まっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今度こそ守りたい奴を守れる強さを得ないといけねえんだ……理不尽や精神的な課題程度で躓いてられるかよ……。』

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________________________________

 

 

 

 

 

次に目が覚めるとまた真っ暗な空間に僕はいた。

 

ただ身体が動かないし声が出ない。

それに身体中が黒いモヤみたいなのに覆われてる。

 

しばらく周囲を見渡していると遠くから叫び声が聞こえてくる。

 

「おめえなぁ!」

 

すると周囲を囲んでいた紫色の煙の中から赤黒い煙に体の半分が覆われたスキンヘッドの強面の人物が現れる。

 

「違うんだよ、違う!

言ったさ!確かに一人じゃないってさ!

時満ちたさ!発現したさ!」

 

時が満ちた……?発現した……?もしかしてあの黒い触手みたいなのの事を言ってるのか?

 

するとスキンヘッドの人物は僕を指指す。

 

「でもさ、その力はもう雑念マシマシで使って良いものじゃあなくなってる。」

 

話があまりにも急すぎて流れがあまり見えない。

でも多分さっきの触手の事について言ってるんだと思う。

 

そして僕はスキンヘッドの人物のその顔に心当たりがあった。

 

歴代継承者の一人……!

 

「頑張りなさいよ!

頑張れよ!頑張れば大概どうにかなるさ!」

 

どうにか彼の言葉に答えたいけどモヤが原因なのか声が出ない。

唯一動かせる腕で退かそうとしても駄目だった。

 

「おい、お口がないのか?ドンマイさ!」

 

それにしても過去の継承者の姿がこんなにもはっきりと出てくるのは今までに一度も無かった。

 

それにこれはもう面影とかそういう類いのものじゃない、夢でもない。

ネコムートが言っていたのはこの事だったんだ…!彼は気づいていたんだ!

この人は……この人達は……!

 

「フンッ!」

 

ワン・フォー・オールの中に生きているのか!?

 

「ああ?時間は限られてるみてぇだな。

よし坊主よ!お前が今出した力は俺の個性さ!」

 

っ!!

 

「俺達の因子は力の核に混ざってワン・フォー・オールの中にずうっとあった小さな核さ。

揺らめく炎、あるいは波打つ水面の中にある小さな点……培われてきた力に覆われる力の原始……そいつが今になって大きく膨れ、胎動を始めたさ。

揺らぎの隙間から時折見えるものが……ワン・フォー・オールそのものが成長している。」

 

何で?何が起こるんだ?

 

「お前さ、さっき"捕まえる"か"掴む"……そう思ったんじゃねぇか。」

 

っ!図星だった……つまりあれは僕が望んだから……?

 

「思ったな?」

 

物間君を捕まえようと強く思っていたからそれに合わせた個性が目覚めたんだ……。

 

「その思いに適した個性が俺の黒鞭。

お前……最初が俺でよかったさ。

これはいい個性さ。」

 

彼は目の前で黒い触手……黒鞭を出して自在に操り始めた。

 

「だけどな……この個性もまたワン・フォー・オールに蓄積された力が上乗せされ俺の頃より大幅に強化されている。

うう……っ!いかん、消えるさ……凄くふわっとしてきたもんよ。

俺はよ、心だけの存在だからよ。」

 

彼を覆う赤黒いモヤがさらに増えてきた。

 

「いいか?怒りのままに力を振るえば力は答える。

肝心なのは心を制することさ。

怒るのは良い、怒りは力の源さ。

なればこそ最も慎重にコントロールしてゆかねばならん。」

 

心を制する事……僕はネコムートから言われたことを思い出した。

 

「8人の人間を渡ってワン・フォー・オールはとてつもなく大きな力となった。

いいか?坊主……お前にはこれから6つの個性が発現するさ。

心を制して俺たちを使いこなせ。

頑張れ坊主!俺たちがついてる!

ワン・フォー・オールを完遂させるのはお前だ!」

 

その瞬間僕の視界はまた暗転していった。

 

 

 

 

 

 

ワン・フォー・オールを完遂させる……か。

 

 

 

 

 

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