こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
その後俺たちは一端寮の中へと入り、さっそく物間の個性を壊理ちゃんに試すことにした。
恐る恐る手を伸ばした壊理ちゃんの手に物間が触れると物間の額に壊理ちゃんのものと同じ角が生える。
だが少し妙だな……壊理ちゃんの物に比べると結構小さいように見える。
「どうだ物間?」
「うーん……スカですね。
残念ながらご期待には添えられませんイレイザー。」
スカ?一体どういう意味だ?
「そうか、残念だ。」
「壊理ちゃんの個性をコピー?一体何を?」
「大方個性をコピーすることで壊理ちゃんに個性の扱い方を教えて制御出来るようにするってとこですか?」
「その通りだ猫城、お前は相変わらず理解が速くて助かる。」
「物間君、スカって?」
「君と同じタイプってこと。
君も溜め込む系の個性なんだろ?」
「あ……。」
溜め込む……あぁ、確かにワン・フォー・オールの根源は『個性を譲渡する個性』と『力を溜め込む個性』の2つだからな。
つまり物間のコピーは個性を真似出来ても蓄積された経験や成長まではコピー出来ないわけか。
ロープレ的に言うならば職業とかはコピー出来てもレベルは1になってしまうってとこだろう。
「僕は個性の性質そのものをコピーする。
何かしらを蓄積してエネルギーに変えるような個性だった場合その蓄積まではコピー出来ないんだ。」
「なるほど……例えばファットガムは脂肪を溜め込むことが前提の個性。
コピーしても物間君は痩せたままだから。」
「偶にスカいるんだよね。
僕が君をコピーしたのに力が出せなかったのはそういう理屈。」
だがそれは……。
「…………物間、それ考えようによってはどんなヴィランにも対応出来る上に前線での情報収集まで出来るかなり強力な個性じゃないか?」
「前線での情報収集?」
「あぁ、例えばだがお前はコピーした個性を複数保持して使えるんだろ?なら防御系や機動力系の個性をコピーして枠を一つ開けておく。
それらの個性を駆使して相手の個性をコピーすればサイドキックとかの一緒にいる仲間に相手の個性の詳細を伝えながら戦える訳だから凶悪犯や個性が判明しきってない相手なら相当大きい効果を発揮するぞ。」
「っ!それは考えた事も無かったね……そっか、確かにそれなら不明な個性持ち相手や凶悪犯相手でもかなりサポートが効く、それに最悪コピーする個性を入れ替えれば僕自身も戦闘に参加出来る。
しかし良いのかい?B組の僕に弱点の克服方法まで教えてしまって?」
相変わらずA組への対抗心凄まじいなこいつ。
「研鑽して教え合うのにA組もB組も関係ないだろ?
ただでさえ世の中は混乱し始めてるんだ、実力者は一人でも多いほうが良い。」
「っ!そっか……ありがとう。」
なんか心なしか相澤先生の目が優しくなっている気がする。
つか出久がめちゃくちゃ冷汗かいてるんだがどうしたんだ?
そんな事を考えていると壊理ちゃんが申し訳なさそうな顔をしているのに気が付いた。
「ごめんなさい……私のせいで困らせちゃった。
私の力……皆を困らせちゃう。
こんな力……無ければ良かったな。」
この娘にとってこの個性はまさに
なら俺達の無すべきことはそれを
「壊理ちゃん、君の個性は俺の個性に比べればまだ比較的安全な方なんだよ。
俺の個性……いや、本来の個性は完全に発動すれば完全に俺の自我は完全に呑まれて何もかもを破壊し尽くすような最悪のヴィランになりかねないものなんだ。
今は2つ目の個性が封印になってくれてるお陰で自我を保てて居るけどな……だけど俺はこの個性を制御してヒーローを目指している。」
「…………ネコマンダーさんはなんでそんなに頑張れるの?」
「まぁ理由はいくつかあるんだが……そうだな。
一番の理由は……どうしても憧れてしまったからかな。」
確かにヴィランにならないためというのもあるしこの危険だらけな世界で生き残る為というのもある。
だけど俺は……母さんと父さんがヒーローとして活動するその姿を見た時にどうしても憧れてしまったんだ。
「壊理ちゃんの個性は確かに危険性はかなりあるだろう。
でもその個性を使いこなせばそれはあらゆる人を救う可能性に満ちたとても優しい個性だ。
例えばだが事故や事件で手足を失ってしまった人、とても重い病に患ってしまった人……君はとても多くの命を救うことが出来る。」
「命を……救う。」
「あぁ、君は……誰かの為のヒーローに成れる。
もちろんその能力を封じて普通の女の子として生きる選択肢もある。
君の可能性はいくらでもあるんだ。
そして覚えておいてほしい……その力は君の一部だということを。」
「…………。」
壊理ちゃんは自分の角に触れて何か考え込むような様子を見せている。
すると壊理ちゃんは笑みを浮かべ始めた。
「私……やっぱり頑張る!」
俺もこの力を使いこなさないとな……いや、もっと
俺たちは2つで一つ。
同じ記憶を持った文字通り一心同体の存在なのだから。
そんな事を考えていると何か身体の内側で枷が外れるような音が響いたような妙な感覚がした。
数日後の休日、ついに季節は完全に冬となり、外には雪が積もるほど降っていた。
「雪だぁぁあ!!!」
「心頭滅却乾布で摩擦ゥ!!!」
「布濡れますわよ!」
「転ばないようにな!」
「窓閉めて!梅雨ちゃん動かんくなった!」
「うわ!ごめん梅雨ちゃん!」
「積雪情報見ようぜ!」
峰田と鋭児郎がさっそく雪遊びに出たのだが……何故上半身裸になってんだよ鋭児郎……風邪引くぞ?
寮内も寮内でみんなかなりテンションが上がっている様子だ。
「ねぇ轟達何時くらいに帰ってくるか聞いてる?
漫画の続き借りてぇの。」
「6時くらいって。」
「仮免補講最終日……2人が今日のテストで合格すれば晴れてA組全員仮免取得だ!」
にしてもこの1年……本気で濃い内容ばかりだったな……1日1日があっという間な気がしている。
そういや昨日ギャングオルカに頼まれて大量のにゃんこ……それも中々濃い面子を借りていかれたんだが……。
確か今日の補講ってギャングオルカも居るんだよな……大丈夫かあいつら?
「今頃テスト中かねぇ……大丈夫かなぁ?」
「大丈夫でしょ!爆豪君最近感じ良いし!悪いけど……。」
「ケーキでも作って待ってようか……って葉隠?それどういう状態なんだ?」
「そうそう、今日のにゃがくれさんは中々カオスな状態だよな……。」
「にゃがくれさんって言わないで!?」
今日のにゃがくrげふんげふん、葉隠さんは下半身が人、上半身がニャッスル、頭が顔面の上半分だけがニャッスル化しているとても謎すぎる状態だった。
とはいえ葉隠さんの透明が解除されており、普段は見る機会が無かった緑色の綺麗な髪もしっかりと見ることが出来ている。
「にしてもその状態ならあとちょっとで透明を解除して人のままになれんじゃね?」
「うん!だんだん感覚が分かってきたんだ〜!」
そうなるとまぁ事故だったとはいえその姿になった甲斐も……甲斐も……いややっぱめっちゃ申し訳ないわ。
そんな事を考えていると俺の袖をキャスリィとヒメユリの2人が引っ張る。
ってか何かめっちゃ動きが鈍いような?
「釜戸……。」
「寒い……。」
…………そういや一応扱いとしてはネコなんだよな二人とも。
「お二人とも、温かいお飲み物を用意していますわ。」
「うん、ありがとうヤオモモさん。」
「あったかい……。」
一応ヒメユリには狐火もあるが流石に室内で出すわけにも行かないからな。
こんな平和な日々がもっと続けば良いのにな……。