こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが   作:クロマ・グロ

167 / 195
37スレ目(現実パート2)

 

 

 

警察がヴィラン達を連行した後でいつの間にかこっちにいたホークスと勝己や出久が少し話していたがエンデヴァーがホークスの元へとやってくる。

 

「で、何用だホークス?」

「用ってほどでもないんですけどエンデヴァーさん、この本、読みました?」

 

っ!?!?

 

ホークスがそう言って取り出したのは『異能解放戦線』というタイトルの書かれた赤い本だ。

 

最近になって噂話になっている本であり、俺も一度データで読んだがろくでもない思想の書かれた書籍だった。

 

「『異能解放戦線』?」

「それが何だ?」

「いやね、知ってます?

最近えらい勢いで伸びてるんすよ!

昔の手記ですが今を予見してるんです。

"限られた者にのみ自由を与えればそのしわ寄せは与えられなかった者に行く"とかね。

時間無ければ俺マーカー引いといたんでそこだけでも。」

 

この本は一種の予言にも近い事が書かれてはいるがその本質は個性至上主義とも言える思想が書かれている本であり、これの勢いが伸びていると言うことはこの思想に共感する人間がかなりの数増えているということだ。

 

この思想が広がってしまえば無個性の人間は今よりも更に差別され、下手したら奴隷のような扱いを受けてしまいかねない。

 

「異能解放軍の指導者デストロが目指したのは究極あれですよ、自己責任で完結する社会!時代に合ってる!」

「何を言ってる?」

 

時代に合ってる?あまりにもふざけている。

しかもこれをエンデヴァー(No.1ヒーロー)の前で言うという意味は軽くは無い。

少し妙だな……何か別の意図がありそうだ。

 

「そうならばエンデヴァーさん、俺達も暇になるでしょ。」

 

ホークスは真面目な声と表情でそう言った。

 

ヒーローが暇になる……それはつまり今の社会におけるヴィラン抑止力とも言える第二の警察組織に近いヒーローと言う職業が機能しなくなると言う意味だ。

 

つまりはホークスが言いたいのは警告?

だがそれにしてはやたらと回りくどい。

 

俺は思考を最大まで分割してホークスが何を伝えようとしているのか考える。

 

「読んどいてくださいね。」

 

ホークスはそう言って何か考え込んでいるエンデヴァーにその本を渡した。

 

何か嫌な予感がする……まるで他の第三者に何かを気付かれたくないような……下手に俺が何かを言うべきではないか。

 

「ナンバー2が推す本……!僕も読んでみよう。

あの速さの秘訣が隠されてるかも。」

「ああ……?」

 

出久がそう言うとホークスが予想外だったのか妙な表情で固まりやたらと胡散臭い笑みを浮かべて同じ本を何処に隠し持ってたのか四冊も取り出した。

 

いやほんとに何処から出した!?

 

「そんな君の為に持ってきてました!」

「用意が凄い!?何処から!?」

「そうそう!時代はナンバー2ですよ!

速さっつうなら時代の先を読む力がつくと思うぜ!」

「渡すのも"速すぎる男"!?」

「この本が大好きなんですね?

こんなに持ってるなんて……。」

「布教用だと思うよ?」

「そゆこと!」

 

いつの間にか俺の手には先程の本が渡されていた。

俺は電子書籍のデータ取り込んでるから要らないんだがな……。

 

「…………出久、轟、勝己、これを本気でよく読んどけ。

俺から今言えるのはこれだけだ。」

「あぁ?」

「どういうことだ?」

「???」

 

これだけの数を持っていると言うことはこれは完全に警告だ。

それに加えて先程の回りくどい言い回しから察するに多分ホークスは何らかの存在に監視されている。

それにメール等の手段ではなく物理的に実物を渡すということはおそらく電子的にも監視を受けている。

 

「全国の知り合いやヒーロー達に勧めてんすよ。

これからは少なくとも解放思想が下地になってくと思うんで。」

 

そんな事態に陥ってしまえばただでさえ下がりつつあるヒーローへの信頼が一気に低下していく。

 

何だ……一体何が起きようとしている?

 

するとホークスはまた真面目な表情と声になった。

 

「"マーカー部分だけでも"目通した方がいいですよ。

"2番目"のお勧めなんですから。

5人ともインターン頑張ってくださいね〜。」

 

ホークスはそう言うと翼を広げて空へと飛んで去っていった。

 

「若いのに見えてるものが全然違うんだな。」

「まだ22だよ?」

「6歳しか変わんねぇのか。」

「むかつくな。」

「ああ……そうだな。」

 

エンデヴァーは早速読みながら何か考え込みながら生返事をする。

 

俺達は一端エンデヴァーが読み終わるのを待ってからエンデヴァー事務所へと再度向かい始めた。

 

書籍データは知っているがホークスの言っていたマーカー部分と言うのが少し引っ掛かる。

俺も後でこっちの方を読むとしよう。

 

 

 

しばらく進んでゆくとエンデヴァー事務所のある高層ビルへと到着した。

 

「ようこそエンデヴァー事務所へ!」

「「「我ら炎のサイドキッカーズ!」」」

「うわぁ!有名サイドキックのバーニンだ!」

 

随分とテンションの高いサイドキック達だなぁ……。

 

「爆豪君と焦凍君は初めてのインターンってことでいいね?

今日から早速我々と同じように働いて貰う訳だけど見ての通りここ大手!

サイドキックは30人以上!

つま〜り!あんたらの活躍する場は無〜い!」

「面白ぇ、プロのお株を奪えってことか。」

「そういうこと。」

 

意外と勝己とここの人達相性良さそうだな。

 

「ショート君も息子さんだからって忖度(そんたく)はしないから」

「せいぜい喰らいついてきな。」

 

ある意味の実力主義という訳か、こういうのは嫌いじゃないな。

 

「出動要請です!」

「場所は?」

「エリア37です!」

「パトロール班に至急連絡しろ!」

「そこからだと遠い!俺達が行く!」

 

出動要請が入ってからの動きもかなりスムーズだ、判断もかなり速い。

 

「活気に満ちあふれてる……!」

「ナンバー1事務所だからね。

基本的にはパトロールと待機で回してます。

緊急要請や警護依頼、イベントオファーなど1日百件以上の依頼を我々は捌いている。」

「そんじゃ早く仕事に取りかかりましょうや。

あのヘラ鳥に手柄ぶん取られてイラついてんだ。」

「ヘラ鳥ってホークス!?」

「威勢は認める、エンデヴァーの指示を待ってな。」

「百件以上捌くんだろ何してんだよ!」

「かっちゃんもうやめて……!?」

 

100件か……この場合エンデヴァー事務所の活動範囲が相当広いと見るべきなのかそれだけヴィラン活動が活性化していると見るべきか少し悩むな。

俺達への対応は下手にヴィランとの交戦で俺達に被害を出す訳には行かないというのもあるだろうが確実にさっきの『異能解放戦線』絡みだろうな。

 

俺は待機する間先程ホークスに渡された本のマーカー部分を一端読むことにする。

 

ホークスは一体何を伝えたかったんだ?

 

マーカー部分は一見普通に本の要所を指している……いや、少し位置が妙なのもあるな。

 

これは……?

 

そういえばホークスは2番目という言葉を何やら強調していたような……。

 

俺はマーカー部分を読み進めてあまりにも嫌すぎる文字を繋げてしまった。

 

…………ふざけろよ……なんだよそれは!?

 

マーカー部分にある字のうち二文字目……こいつは暗号だ。

 

おそらくは出来る限り数多くのヒーローに伝えるための暗号。

 

だとしても洒落にならないぞ!?

少なくとも俺達にも知らせて良いような内容じゃない!?

いや、下手したら俺達も標的に入ってるのか!?

 

俺が読み解いた暗号にはこう書かれていた。

 

『敵は解放軍数十万以上4可月後決起』

 

敵は解放軍……10万人以上のヴィランの連合軍が一斉に4ヶ月後に決起だと……!?

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。