こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが   作:クロマ・グロ

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38スレ目(現実パート2)

 

 

「お兄さんが?」

 

俺達はあの食事が終わった後、しばらく片付けを手伝って居たのだがその中で焦凍と冬美さんが話したもう一人の兄、燈矢という人物についての話が少し出たのもあり、話を聞くことになった。

 

「燈矢兄のこと緑谷君達に話してないんだ?」

「率先して話すもんじゃねぇだろ。」

 

まぁ死亡している家族の話となるとかなりデリケートな話になってしまうからな。

 

冬美さんは何処か懐かしみながらも悲しい表情で話を始める

 

「夏は燈矢兄ととても仲良しでね、よく一緒に遊んでた……。

お母さんが入院して間もなくの頃だった、お母さん更に具合悪くなっちゃって焦凍にも合わせられなくて……でも乗り越えたの。

焦凍も面会に来てくれて……家が前向きになってきて……夏だけが振り上げた拳を下ろせないでいる。

お父さんが燈矢兄を殺したって思ってる。」

 

……仕方のない事だろう。

特に夏雄さんは燈矢さんという人が死んだのがエンデヴァーのせいだと強く感じている。

特に仲の良かった人物が死んだ原因となった者に対してその怒りを忘れろという方が無理がある。

 

「だからあんな面してたんか。」

「ごめんね、いきなりこんな話。」

「い、いえ。」

「気にしないでください、色々と事情があるのは察してましたから。」

 

するとエンデヴァーが俺たちのいる部屋へと訪れる。

 

体内時計を見ても時間的にそろそろ学校に送ってもらう時間帯なので呼びに来たのだろう。

 

「そろそろ学校に送る時間だ。」

「あっ、はい!」

「わかりました。」

 

俺達は制服の上着を着直して荷物を持ち、冬美さんに一言伝えてから玄関に向かう。

 

だが冬美さんが見送りくらいはさせてくれとの事だった為全員で屋敷の玄関へと向かっていった。

 

なおキャスリィとヒメユリの2人は流石に車に入り切らない為俺の体内へと戻してある。

 

「ごちそうさまでした、料理とても美味しかったです。」

「ありがとう。」

「四川麻婆のレシピ教えろや!」

「うん!」

「俺のメールに送ってもらうよ。」

「勝己余程気に入ったんだな……。」

 

俺は教えてもらう立場のはずなのに相変わらずな勝己に若干呆れた視線を向ける……とはいえこれでもだいぶ軟化してるんだよなぁ。

 

「冬美。」

「ん?」

「…………ありがとう。」

 

エンデヴァーが不器用ではあるが礼を伝えると冬美さんは笑みを浮かべる。

 

多分この人にとっては家族という存在があまりにも多かったからこそ少しずつでも不器用に歩み寄ろうとしている今のエンデヴァーにそう言ってもらえるのが嬉しいんだろうな。

 

冬美さんはとても嬉しそうにしながら出久と俺の手を取る。

 

「焦凍とお友達になってくれてありがとう、緑谷君、猫城君。」

「そんな……こちらこそ……です。」

「仲間ですからね。」

 

それはそれとしてそれはどちらかというとやはり保護者側のセリフなのだが……突っ込んだらこの家は色々とキリが無さそうなので俺はギリギリで飲み込むことにした。

 

そんな中、焦凍だけは何か考え込むような表情をしていた。

 

 

 

俺達が車に乗り込んでから雄英に送ってもらう途中エンデヴァーから話が切り出される。

 

「貴様らには早く力を付けてもらう。

今後は週末に加えコマをずらせるなら平日最低2日は働いて貰う。」

「前回麗日や切島達もそんな感じだったな。」

「期末の予習もやらなきゃ……轟君、英語今度教えて。」

「ああ。」

「ナンバー1ならもっとでけえ車用意してくれよ!」

「ハイヤーに文句言う高校生か!?」

 

おお、勝己にツッコミを入れた、アグレッシブな運転手だな……。

 

「そう言えば猫城君って確かいつもテストはほぼ満点だったはずだけど何かコツとかってあるの?」

 

ん?その話題を今更出すか。

 

「俺の個性が肉体の機械化が混ざってるの忘れたか?

んなもん脳内のメモ帳機能から基本答え丸写ししてるだけだよ。」

「「「ずっる!?」」」

 

うぉ、轟にまでツッコまれた。

 

「まぁだからこそそういう回答の出来ないタイプの問題だと稀に落とすが別に完全に勉強してないわけじゃない。

俺の場合思考をいくつもは分割して同時に物事を考えながら動けるからそっちの一部を割いて現在進行系で勉強も進めてるんだよ。」

「話には聞いていたが随分と応用範囲が広い個性らしいな。」

「むしろ汎用性が高過ぎて余程の事が無い限りは対応出来ない状況は無いですね。」

 

強いて言うなら機械系が混ざっているのもあってコンピューターウイルスやハッキングなんかの類を受ける可能性があるというくらいか。

 

一応リアルタイムで電子戦対策のファイアーウォールや対ウイルス用防衛プログラムなんかの更新は続けてるがどうしても限界はある。

 

その辺ももう少し対策を練りたいところだな。

 

「エンデヴァー!あんたいつからこんなジャリンコ乗せるようになったんだい?」

「ジャリ……!?」

「……頂点に立たされてからだ。」

「ケェー!立場が人を変えるってやつかい!」

「ケェ?」

 

中々キャラの濃い人だなぁ……ん?

 

「んな!?」

「ん?ケェェェェェ!?!?」

 

俺達を乗せた車の前に道路の白線のような質感の布でグルグル巻きにされた夏雄さんが飛び出してきた。

 

幸い運転手さんが瞬時に回避してくれたお陰で車は若干スリップしてしまったが彼に当たることは無かった。

 

夏雄さんは浮いている為恐らく個性で操作されたものに拘束されている。

 

「エンデヴァー!今の気づきましたか!」

「今のだと……なっ!?」

「夏兄!」

 

流石にこの状況で下手に飛び出せば俺はともかく他の三人が巻き込まれかねない。

だが下手に止まれば確実にヴィランからの攻撃を受けてしまう。

 

「頭引っ込めろジャリンコ!」

「車田さん!道の白線が!」

「しゃべるな!舌噛むぞ!」

 

やっぱりアスファルトに使われている白線塗料を操作する個性!?

 

なんつうピンポイント過ぎる個性だ!

 

車田さんがなんとか蠢く白線に巻き込まれないように回避していると車の目の前に犯人と思われる人物が姿を晒していた。

 

「いい家に住んでるなエンデヴァー!」

「ううっ!」

 

車田さんはヴィランを引かないように急旋回をするが無茶な回避をしてしまった為にそのままガードレールにぶつかってしまいスピンする。

 

エンデヴァーさんが隙を見て窓から脱出してヴィランの元へと向かった。

 

白線は……近くのものは全て剥ぎ取られてるって事は……巻き込まれる心配はなさそうだ。

 

「車田さん、スミマセンが扉開けさせてもらいます!」

「分かった!気をつけろよ!」

 

俺は車の扉のロックを解除して瞬時に狂乱の波動を引き出して飛行する。

 

俺の場合走行中の車から無理矢理降りるのであれば飛んで出たほうが安全だからな。

 

「ヒャアアッ!」

「彼を離せ!」

「俺を!」

「ッ!?チッ!」

 

ヴィランは拘束している夏雄さんを自分の前に引き寄せてエンデヴァーさんの突撃を止める。

 

不味いな、身内なのもあってエンデヴァーさんがいつものコンディションをどう見ても発揮しきれそうにない。

 

「お……俺を覚えているか?エンデヴァー。」

「…………7年前、俺が取り押さえた暴行犯。

ヴィラン名を自称していた、名は……。」

「そう!そうだ!すごい!覚えているのか!嬉しい!」

 

何なんだこのヴィラン……単なる愉快犯という訳でも私怨からくる行動と言うわけでもない。

なんだこの妙な違和感は……?

 

ヴィランは涙を浮かべながら感激したような態度で話を続ける。

 

「そうだよ!俺だよ!"エンディング"だ!」

 

エンディング……つまり終わり?

だがエンデヴァーに対する殺意は感じない……寧ろ殺意は夏雄さんや近くの市民に向けられている……?

 

俺は嫌な予感を感じながら市民の安全の確保の為にちびネコシリーズを出撃させながら様子を伺うことにする。

 

余計に轟家の事情が拗れなきゃ良いんだがな。

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