こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
個性を完全に解放した死柄木を地上に触れさせないために空中へと吹き飛ばしての戦闘中、突如としてそれは起こった。
「っ!?あ?」
突如として死柄木の胸から右肩にかけて肉体が大きく裂けたのだ。
それも外からではなく内側から……まるで何かが吹き出したように。
「あっ……今……何月何日だ?」
日付……!そうか!死柄木は肉体が完成し切る前に目覚めたから身体が個性に耐えきれていないのか!!
ここに来て明確な弱点が出来たのはデカイ!
「まぁいい、超回復は効いてる。
触れりゃ終わりだ!」
そう言って死柄木は腕を上方へと振るって風圧により下へと急降下した。
「やらせるか!なんだっ!?」
「何!?っ!」
俺が死柄木を地面に触れさせまいと加速した瞬間とんでもない衝撃が発生して俺は吹き飛ばされる。
衝撃によって発生した土煙の中からは出久の黒鞭が見えており、目を凝らしてみるとどうやったのか分からないが落下せずに"浮遊"している出久が死柄木を黒鞭で捕らえた状態で構えていた
「この個性は……志村の……!?」
「ここでお前を止める……!僕の出来る全てをかけて!!
ここから逃さない!」
「出久!そのまま捕らえてろ!」
俺はすぐに狂乱の波動を操作して砲撃特化となる為に全身から細い管を伸ばす
威力は例え弱くともあの傷口を狙えば十分過ぎる程侵食させることが出来る!
「いっけぇぇぇえええ!!」
俺は細い針状の狂乱の波動を死柄木へと大量に発射する
一発に込めた力は弱いが出久が拘束している以上回避能力は大きく落ちている。
避けられる可能性を限界まで下げるために物量による攻撃に切り替えた。
例え一撃一撃の侵蝕率は低くてもこれだけ数を揃えればかなり侵蝕するはずだ!
「くっ!?がっ!?ぁぁあああ!?」
今他の面々にはグラントリノ達への手当てを手伝ってもらっている。
俺と出久が抑えるしか無いが出久には下手にこっちに来て欲しくなかった!
「このまま仕留める……!」
俺は右腕をパージして狂乱の波動を少しずつ限界を超えてチャージしていく。
「っ!ククッ。」
すると死柄木が不敵に笑う。
死柄木の奴……確実に何か手を隠している。
何を考えている?
俺はこの時気が付かなかった死柄木の掌に何かエネルギーが溜まっていっていることを!
「お前の対策は出来てるんだよ……!」
「ぐっ!?なん……がっ!?」
死柄木の掌から先ほどの電波妨害のような空気の放出が行われて吹き飛ばされるが同時に俺の脳内に大量のERROR表示が発生する。
「これは……!?ハッキング!?」
「っ!?猫城君!?」
俺は全身から発生しているERRORによって機械化している肉体全てへと異常が発生してしまい、満足に動けなくなり落下してしまう。
「ガッ!?ガガガッ!?」
「っ!?おい猫野郎!?」
「猫城っ!?」
「ネコマンダー!?何があった!」
不味い!?ハッキングだけじゃない!あの時と同じ……いやそれ以上のウィルスプログラムを流し込まれてる!?
蟹ネキ達や根津校長のアップデートでファイアーウォールはかなり強化されてる筈なのにそれすらも簡単に抜いてきた!?
「ガッ!?ァァァァアアアアア!?!?」
「猫野郎!?クソッ!あの時と同じか!?」
「あの時だと!?コイツに今何が起きている!?」
「ハッキングとウィルス流し込まれたんだよ!
こいつは見た目じゃわかりにくいが機械系の異形で身体のほとんどを機械化してんだ。
そんな奴がハッキングとウィルスなんて食らったらまともに動く動かないどころじゃねぇ!下手したら洗脳や暴走しちまう!」
「おい猫城!聞こえているか!大丈夫なのか!?」
う……ウルさイ……!聞こエ……てル!
蟹ネキが保険で置いていったシステムの強制上書きプログラムが起動した。
異常が発生した箇所を強制的に元の状態に上書きするプログラムだ。
ウィルスはこれで無理やり対処できるが死柄木からのハッキングが止まらない以上これ以上動けん!?
なんとかして上を見上げると今上空では出久が一撃毎に自分の肉体を破壊しながら死柄木と空中での格闘戦をしている。
死柄木の再生能力は少しずつ落ちているようで出久の与えるダメージが死柄木の再生能力を上回り始めているがどう考えても決定打が無い!
「ガッ……ハァ……ハァ……クソッ!」
「っ!おい猫野郎!意識は乗っ取られてねぇんだろうな?」
「安心しろ……!拮抗状態だ!
死柄木からのハッキングさえどうにかはじければ動ける。」
「ハッキング……そうなると奴を仕留めない限りネコマンダーはこれ以上動けんか……厄介な。」
不味いな……出久の奴が無茶し過ぎている。
既に両腕を粉砕骨折しているというのに100%の力を使い続けている。
あいつそう長くは持たないぞ!?
「猫野郎……そこの注射女であいつの怪我何処まで治せる?」
「粉砕骨折は何とかなるが部位欠損クラスは流石に数ヶ月かかるぞ。」
「……あの野郎何処まで持つと思う?」
「既に限界超えてるよ……!」
「駄目だ……!このままじゃ負ける!
脚やエアフォースで反動を殺しつつ複数"個性"をコントロール。
死柄木を空に留める為にデクは今まで習得したもん総動員してる。
初撃で倒しきれなかった以上削り合い……消耗戦になってんだよ」
「そこまでの複数の並列処理は俺は例外として普通そう長く持つもんじゃない。
それに両腕を粉砕骨折している以上あのまま続けばやがて腕が動かなくなる!」
既にあいつの両腕は紫を通り越して青くなりかけている。
本気で限界ギリギリだ。
勝己は拳を強く握りしめながら悔しそうに口を開く。
「そんな状態の奴が"再生"持ちに粘れるわけがねぇ。
あと数分後には力取られて粉々だ。
轟、処置は済んだな?」
「あぁ、何を?」
「うるせぇ!俺に捕まれ!」
勝己の奴、何か思いついたらしいな。
「猫野郎、そこからあいつを狙って撃てるか?」
「無理だ、恐らく狂乱の波動を使えば俺は自分の肉体のコントロールを失う」
「ならそこでじっとしてろ、エンデヴァー!上昇する熱は俺が肩代わりする!
轟はギリギリまでエンデヴァーを冷やし続けろ!」
今このメンツの中で一番火力があるのはエンデヴァー。
だがオーバーヒートしている以上何処まで轟が冷却出来るかが鍵だな。
「俺の最高火力を持って一撃で仕留めろということか……任せろ!」
「そんな子どもに……!?」
「先生達を頼みます!」
「……!あぁ、任せろ!」
勝己達は俺や相澤先生、負傷したグラントリノをマニュアルとロックロックの二人に任せて飛翔する。
こんな時無力な自分があまりにも不甲斐ない……!
「……悔しいよな。
俺も同じだ……こんな時に何も出来ねぇ自分があまりにも不甲斐ないし悔しい……!」
「えぇ……俺にもっと力があれば……!」
そしてその後、太陽と見間違う程の凄まじい炎の塊が死柄木を中心として発生した。
俺にはまだ自傷覚悟でも無い限りあの火力は出せない……早く狂乱の波動を……俺自身の力をもっと引き出さないと……!
だがその瞬間、目を疑うような光景が目の前に映った。
「「「エンデヴァー!?」」」
炎が収まるとそこには黒焦げになったまま浮遊する死柄木と……
身体を複数の赤黒い刃で貫かれたエンデヴァーの姿があった