こんな個性で人助けしてもギャグにしかならん気がするんだが 作:クロマ・グロ
取り付けられたターゲットからの指示に従い控え室に向かうとその部屋にはすでに先客が一名到着していた。
目良さんの言葉で出ていた二人目って時点で誰が俺より早く合格したのか気になってたが……なるほどな。
「お?猫城じゃないっすか!あんたも一次選考通過したんすね!
俺もさっき通過したとこっす!」
「夜嵐だったか?開始早々あんなあっさりとクリアしてるのには驚いたよ。
俺は周辺のバカ共釣るのに無駄に時間かけたからなぁ。」
「バカ共?俺は皆真面目にやってたと思うっす!」
あー、うん……こいつやっぱり鋭児朗と上鳴足して2で割ってそこに
ただ轟に対して向けていた視線だけは気になるが……深く踏み込み過ぎない方が良さそうだな。
「いや、軽くあいつらの相手しながら出久達……クラスメイトの状況も見てたんだが……多分この試験が真に求めている物を正しく理解してるやつは一割も居ないぞ。」
「…………?」
彼は表情を変えずに理解できないような感じで首を傾げてる。
あ、こいつやっぱりそっち系か……。
「まぁ集団で集まった所で誰が合格するかの足の引っ張り合いになってるってだけだよ。
それだけ俺達の知名度が高いって事かも知れないけどな。」
俺はそう良いながら職員の人にターゲットをはずして貰ってボール等も返していく。
「成る程!」
「お前絶対分かってないだろ……。」
「うっす!そういえば猫城って……(以下略)。」
それからしばらくの間俺はこいつのマシンガントークに付き合わされたが新しい合格者が出る度に夜嵐はそいつのとこに言って話しかけていったり他の合格者が話してる途中に乱入したりしていっていた。
名は体を表すとは言うが名前通り嵐みたいな奴だな……。
合格者が40名を超えた辺りで轟がこの部屋へと入ってくる。
まぁあいつらの中じゃこいつがやっぱり頭一つ抜けているか。
…………俺が言えたことじゃないかもしれないが。
50名後半になってくると勝己と鋭児朗、上鳴が入ってくる。
勝己は俺を見るなりめちゃくちゃ不機嫌になってるがぶっちゃけそこに突っ込んだらすげぇめんどくさくなるのが目に見えてるのでスルーしておく。
70名近くになってきた頃に八百万さん、耳郎さん、蛙吹さん、障子が入ってきた。
モニターの様子でなんとなく分かってたがやっぱり分断されてたんだな。
まぁソドムは結構あっさり消すことになったし仕方ないか……だがその程度でどうにかなるような連中じゃないのは分かりきってたからな。
「ん?」
モニターを見ていくとやたらと目立つ一匹の巨神ネコが突如として消えたり現れたりを繰り返して大量の受験者達を蹴散らしている。
数回被弾したりもしているが全く効いてないように見えた。
「葉隠さん大暴れしてるなぁ……。」
まぁやってることはえげつないからな……姿が完全に透明になるって時点で相当なアドバンテージだからな……そこに巨神ネコ特有のフィジカルが加わればそりゃ恐ろしい力になる。
まぁ合格しようにも囲まれててなかなかボールを当てられてない上に透明っていってもターゲットが普通に見えてるからな。
正直このルールは葉隠さんには相当不利な部類だろう。
まぁ図体が大きく変わってるせいで相手も相手で間合いが掴みづらそうだが。
「それにしても全体的に合格者の出身はバラけてるな……やっぱりあんな集団で集まればなぁ……。」
そしてしばらくしていくとかなりギリギリの合格ではあるがA組の全員が合格したようで、この部屋へと皆が入ってきて合流する。
にしてもかなりリスキーなやり方したなぁ……俺も同じような事はしたが短期で殲滅できる確信があったからやったってだけであの状況なら流石に俺でも躊躇する。
少しするとすぐに目良さんの放送が聞こえてくる。
『えー、100人の皆さん、これをご覧ください。』
その言葉を聞いてから全員がモニターを注目していく。
モニターには俺達が先程まで試験をやってた会場が見える。
どうやら一次選考に落ちた受験生達は全員退去済みらしい。
「フィールドだ。」
「何だろうね?」
するとモニターに写っていた建物等が次々と爆破されていき崩れ落ちていく。
というかちょっとした火事も起きていて軽く大惨事にしか見えないんだが……。
『『『『『何故!?』』』』』
周囲のクラスメイト全員が全く同じような反応しているが面倒なので突っ込まないことにした。
「こ……これは……。」
「まぁこんなことする時点でだいたい何やるか分かってきたわ。」
爆破が一通り終わると目良さんの放送が再開される。
『次の試験でラストになります。
皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行って貰います。』
「「バイスライダー?」」
上鳴、エロブドウ、全くちげぇよ……。
「バイスタンダー。
現場に居合わせた人の事だよ、授業でやったでしょ?」
「一般市民を指す意味でも使われたりしますが……。」
そもそもヒーローとは誰かを救うのが仕事だ。
ただヴィランを倒すだけならそれはただの暴力にしか成り得ないしヴィジランテ……資格もない者がヴィランに対して制裁を行うのと何ら変わりない。
ならばこの手の試験が入ってくるのは正直目に見えていた。
だがこのタイプの試験なら俺の個性が最大限活かせるな。
『一次選考を通過した皆さんには仮免許を取得していると仮定し、どれだけ適切な救助を行えるか試させていただきます。』
適切な……か。
仮免許を取得していると仮定しってのも気になるな。
救助活動をするだけなら別にヒーロー免許自体は必要ない。
なんならその辺は消防とかの領分になってくる。
だが
警戒はしておくか。
「……救助。」
出久が明らかに目の色を変えている。
恐らく前回の事件の事を思い出してるんだろうな……母さんが守っていてもあれだけの損害が出た……。
その後の救助活動に関しても確実に見ているだろうしな。
……ん?あれは……人か?
「んっ?……人がいる。」
どうやら障子も気付いたらしい。
「お?なっ……あっ老人に子供……!?」
「うわあぶねぇ、なにやってんだ!?」
…………うっわそう来たか。
確かこの世界のこと調べた時にそんな職業があるのかと軽く引いたがマジで呼んできたのかよ……。
つか笑顔で血糊なんか持ってカメラ向いてんじゃねぇよ!?
『彼らはあらゆる訓練において今引っ張りだこの要救助者のプロ……
いつ聞いても笑えねぇよ……そんな職業の需要が高い社会とか……。
「要救助者のプロ?」
「色んなお仕事があるのね。」
「ヒーロー人気のこの現代に即した仕事かもね。」
あぁ……この世界に長くいればいる程実感する。
俺の転生前の世界がどれだけ平和で幸せだったのか……そしてこの世界がどれだけ危険が多く歪んでいるのか。
『
皆さんにはこれから彼らの救助を行って貰います。
なお今回は皆さんの救助活動をポイントで採点していき、演習終了時に基準値を超えていれば合格とします。
10分後には始めますのでトイレなど済ましといてくださいね。』
…………今のうちにスレニキ達と作戦を相談しておくか。