とりひきしましょ[kenzen版]   作:カツカレーうどんパンマン大盛

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01 私のわるい夢のなか1

 

 ある日突然世界が10に分かたれた。

 暴動も戦争も無く、数の減少という手段を持って人類は割と崖っぷちになった。

 

 人材の不足、資材の不足、ランダムにあなたの知っている人物が10人居たら、そのうち9人が居なくなると言えばどれほど恐ろしいだろうか。

 

 単純に職場から9割が減れば、会社は維持できるはずもなく。社会は凄い早さで文明を崩壊させた。

 

 それから少し経ったある日のこと。

 

 あなたは食料を求めて、街から離れた森の方へと自転車で走っていた。

 

 あなたの親兄弟は全て消えてしまい、友達とも連絡が取れなかった。そこまで親しくないクラスメイトこそ居たものの、じゃあ協力してこの世界を生き抜きましょうとなることもなく……

 

 あなたは街で起きている暴動から逃げるように物資をかき集めて自転車を走らせている。

 

 あのまま街に残ればどうなったかなんて、誰が考えても同じような結末だろう。

 

 とにかく、あなたは身よりも無く、サバイバル技能も知識も無く、そういった道具類もろくに持たずに人里を離れた訳である。

 

 無知で無謀で命知らずな行為ではあるが、あなたの意志は固かった。

 

 単にせめて死ぬなら人として死にたいという後ろ向きな決意でもあるのだけど。

 

 さて、今居る場所について簡単に記しておこう。

 ここG県K市は関東の端にある都会の端っこである。

 しかしながら、山も多く、車は家に人数分あるなんて割と見られる現象であったりする。

 

 そこで、あなたは親戚が所有していたと記憶の片隅に残った記憶から、ここだろうというあやふやな場所を目指して、かろうじて使えたGPS機能を使った地図アプリを開いている。

 

 車は通らない。

 ……燃料がないから。

 人の声はしない。

 ……もともと人通りが少ない道でもあった。

 

 そうして、あなたは自転車を漕ぐ。

 部活もバイトもしていないあなたの体力は人並み以下で、1時間走っただけで既に疲労の色が見えてきている。

 

 ただ、それに先に気づけたのは幸運だったのだろう。

 不自然に、車が道を塞ぐように置かれている。

 

 あなたはとっさに自転車を山道に突っ込ませて、自転車の前かごに突っ込んだ荷物を抱えて山に入った。

 

 見つかれば、良くて物資を取られて解放。

 悪くて……

 

 とにかく、あなたの目的は達成されず、知らない山でキャンプを余儀なくされた。

 

 ────ー

 

 あなたは休み休み山を登り、スマホを見る限り2時間掛けて開けた場所に出ることに成功した。

 

 足はすっかり疲れて生まれたての子鹿のようになり、水の入った500ミリのペットボトルは2本目へと突入してしまった。

 

 ただし、開けた場所にはキャンプ用のテントにかまどのようなものなど誰かが居る痕跡がしっかりと残っていた。

 

 あなたは終わった……とすっかり呆然となってしまった。

 あげくの果てにはつかれちゃってェ……などとつぶやく始末。

 

 そこに誰かの足音が聞こえた来ました。

 

 あなたは振り返ってどんな人かを見るくらいしか出来ませんでした。

 

 ────ー

 

 おじさんは水のペットボトルと引き換えに暖かいご飯とスープをくれました。

 

 おじさんは最初、車でバリケードを構築していた奴らが来たのかと思ったと話していました。

 

 私も仲間かもしれませんよ? と言った時の鼻で笑う顔は欠片も信じて無さそうでした。

 

 おじさんはパシリに貴重な物資を持たせるわけねぇだろと笑っていましたが、どうも理性がありそうでホッとしました。

 

 おじさんはそれ食ったら帰れよ? と言いましたが、文明の香りがする場所を離れるのは辛く……私のリュックが軽くなるのと引き換えに小さなテントやはんごう、キャンプについての雑誌などを交換して貰いました。

 

 ただ、おじさんは[とりひきアプリ]を使ってのやりとりじゃ無いと駄目と言ってきました。

 

 言われるがままにアプリをダウンロードして取引を行いました。

 

 疲れていたからか、私が見落としていたのか、この時起きていた現象を私は把握していませんでした。

 

 この、人間が何の痕跡もなく大量に居なくなる最大のオカルトに触れておきながら、小さなオカルトを見逃してしまったのです。

 

 そして、バリケードの人達が来るかもと脅えながら日数が経過しました。

 おじさんに襲われるかなと思いましたが、鼻で笑われた上に体を拭く水すら貴重なのにそんなことするわけねぇだろと言われてしまいました。

 

 こんなことにならなければ、今頃は群馬湾で友達と泳いだあとお腹いっぱいBBQを食べていたはずなのに……私は悲しみの中ふて寝することにしました。

 

 物資はたくさんあったと思っていましたが、なんで嵩張る保存食に湯煎しないと食えないモンばかり詰めてんだよとおじさんに呆れられました。

 

 いや……美味しいって評判のやつだったのでつい。

 リュックの中は10食分、おじさんに4食分渡したら残りは全て私のお腹の中に入ってしまいました。

 

 あとは、お米とお水に缶詰が少し……

 

 おじさんはたまに少しだけ分けてくれたりしますが、基本はお互いに干渉しないようにするとのことで。

 

 まあ私、薪用の小さい枝を拾ってくるぐらいしかやってませんから。

 

 私としては、煙なんて見つかってしまうんじゃ……と思いましたが、おじさんは逃げる準備もしているから大丈夫だそうで……

 

 それ、多分私を囮にするってことですか? と聞いたら力強いイエスと立てられた親指が。

 

 それでもテントと引っこ抜いた草に着替えのジャージを下敷きにした簡単なベッドは私を安眠に導いてくれます。

 

 確かに、自宅のしっかりとしたベッドに比べればひどいものでしょう。

 

 ですが、見つかって、捕まって……そんな恐怖の中、コンクリートの上で無理やり寝ようとした時は、全然眠れず、手鏡の中の私はひどい顔をしていました。

 

 あれに比べれば快適空間みたいなものでしょう。

 

 最近はアウトドア(強制)のおかげか体力も付いてきました。ワンチャン何事も無く過ごせないかな……

 




食べ物が無くなったら、何と引き換えに食べ物を得るんだろうね。山におじさんと少女の二人きり……
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