ハリネズミと天才【完結済み】   作:妄言a〜

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感想返せないけど基本的に全部見てます、励みになったり、新しいネタ思いつくキッカケになったりするのですシンプルにありがたいんですよね


お帰りくださいお嬢様

「今月の明智君の予定だけど」

 

事務所で明智相手にミヤコが何かを伝えて、そのままパソコンの画面を見せる

 

「分かりました、これで大丈夫です、ただここからの期間は…」

 

「ああ、そうだったわね、それに関してはこっちで調整するから」

 

「お願いします」

 

「あと例の件大丈夫そうですか?」

 

「えぇ、特に問題はないわよ?」

 

「ありがとうございます」

 

「楽しんできてね?」

 

「まぁ…ある程度は」

 

そして会話が終わりいつも通りの業務をさっさと終わらせそのままソファに座り込む

 

「先輩お菓子食べる?」

 

「おぉ、食べる」

 

そのままアイの隣でのんびりお菓子を食べ始める明智をじっと見つめて

 

「もうしばらくしたらちょっとここに顔出しづらくなるぞ」

 

「へぇ〜大学が忙しいんだ」

 

「まぁな」

 

普通の会話だったが、ほんの一瞬、些細な、アイでしか見抜けないような嘘を感じて

 

「じゃあ寂しくなるねぇ」

 

「いやいやちょっと出づらくなるだけだって、1週間ぐらいで…」

 

そこでハッとした顔で情報を引き出されてることに気づき口を噤む

 

「どうせチャットなり通話なりで話すだろ」

 

「まぁ、そうだけどさ〜」

 

(な〜んか隠してるなぁ〜)

 

そんなことを考えて一切顔には出さずに、この日は普段通りに過ぎていく

 

 

「な〜んか先輩隠してると思うんだよね〜」

 

家に帰り家事などを済ませてのんびりしている時、独り言のように呟いて

 

「アイ、また明智について?」

 

双子もこのくだりには慣れているのかルビィに至っては会話に参加せずテレビを見ている、どうやらアイが演じたドラマが放送されているようで、それに夢中になっている

 

「そうなの、先輩今日ね」

 

と今日あったミヤコとの会話をアクアに話して

 

「絶対なにか隠してるんだけどなぁ…なんだろ?」

 

「うーん…」

 

(大学生…1週間…顔を出しづらくなる…)

 

「あ、多分あれじゃないかな?」

 

「あれって?」

 

そして場面は代わり大学

 

 

「お疲れ様です」

 

久しぶりに明智が所属している推理小説大好きな人達が集まる同好会に顔を出して

 

「明智氏!随分久しぶりですな!」

 

「先輩久しぶりです」

 

静かにページをめくっている人や、なにか熱い議論を交わしている人達がいっせいに明智に向いて

 

「おぉ、明智さん」

 

「明智…今日こそお前を倒す!」

 

なんて言葉が響いて

 

「はいはい?それについては片付けてやるから、それで?僕達学園祭で出し物やるって聞きましたけど?何やるんです?」

 

「ふぅむよく聞いてくれましたな明智氏、我々考えました、正直これから先我がクラブ、ディオゲネスクラブ存命のための一手を打つ必要があると!」

 

そして立ち上がりホワイトボードを回転させると

 

「そこで!なんとうちには無駄に顔のいい奴らが居るではないかと気づいたので執事喫茶を開きまぞ!」

 

「へぇ…は?」

 

そんな明智の困惑はどこ吹く風なのかみんなどの執事服がいいのかと既に考えているらしく

 

「あ、既に決定済みで明智氏にもバリバリ執事服来てもらうからお願いしますぞ」

 

「いやいや、うち非公式の名とはいえディオゲネスクラブ名乗ってますよね?静寂とは程遠い喫茶店とか良いんです?」

 

「いいのですよ!というかそろそろ新たな同士獲得に動かないと本格的に無くなってしまいますからな」

 

うっわぁ〜とため息をついて、執事服を着ることに少し抵抗はあるがこのクラブの中には単位のために代わりに出席を取ってくれる人もいるため無下にもできない…ので、そこに関しては問題は無い…問題は

 

(絶ッ対茶化しに来るやつが居る…1人…いや正確には3人)

 

「まぁ…一応役者なので事務所の確認取ってからでいいなら」

 

「それで構いませんぞ!」

 

「明智!俺の推理小説を読め!」

 

「はいはい」

 

そのまま諦めたのか自作した推理小説を読んで現実逃避しながらも、しっかりあっさり犯人を突き止めてしまう明智

 

そんなこんなで学園祭の準備のため苺プロでの仕事や役者としての仕事を調整してもらい、結局あまり顔を出せずに準備に奮闘、

事務所の人間と顔を合わせないで過ごす久しぶりの1週間を過ごした

 

 

「そっちはどうだ?なんか困ったこととかあったか?」

 

いつも通り、アイからかかってきた電話にベランダでタバコを吸いながら出る明智

 

「特にはないかなぁ、でもミヤコさんが先輩が居てくれたらとっくに仕事終わってたのにぃ…って呻きながらパソコンと睨めっこしてたよ?」

 

「うっわぁ…それは悪いことしたな」

 

今度お詫びになんかしないとと呟いて

 

「そっちはどうなの?忙しい感じ?」

 

「いや?こっちはそうでも無いな、まぁ慌ただしくはあったけどそこまで切羽詰まった感じじゃなかったし」

 

学祭の準備を思い返して、慌ただししく、でも久しぶりの学生らしい活動に笑みをこぼして

 

「へぇ〜じゃあ私楽しみにしてるからね」

 

「楽しみに?」

 

「そ、じゃあね先輩」

 

「またな」

 

そう言って通話を切る

 

(楽しみに?何言ってるんだあいつ?会えるのを?いやいや通話とかチャットでいつも会ってるような物だし…まさか…な)

 

何を考えたのか少し身震いして、でもそんなわけないと考えを捨てて

 

(いくら学祭でもやっぱ演技をするからな…チョイ役の役者でも役をやるなら完璧にしないと)

 

「明日頑張るか〜」

 

そう言いながら眠りにつく…この時考えれなかったのか、いや、答えにたどり着くことはできたはずなのに、アイ相手に完全に気を許してしまっている結果こうなってしまったと言った方が正しいかもしれない

 

 

 

ニコニコ

 

「は、はは…」

 

「えへへ、来ちゃった」

 

変装したアイが双子の手を握った状態でお帰りになられた姿がそこにはあった

 

 

「……」

 

いや、だが明智はまだまだこれからと言っても役者は役者役どんな時でも役に入り切ってこその役者である

 

「おかえりくださいませお嬢様」

 

でも無理な物は無理だった

 

「えぇ?せっかくお嬢様が帰ってきたんだよ〜?その対応はどうかと思うなあ?」

 

「おっ…まぇ…」

 

聞きたいことは色々ある明智、だがなんとか堪えて

 

「失礼しました、お帰りなさいませお嬢様、お坊ちゃま」

 

「あら、ありがとう」

 

にっこにこの笑顔で満足気に頷くアイ

 

「うっわぁ…」

 

「ふふっ…」

 

ドン引きするルビィとコソッと笑うアクア、そんな中でも明智はしっかりと心を殺して執事として対応する

 

「素敵なお連れ様ですね」

 

「えぇ、自慢の子達なんですよ?」

 

「えぇ、とってもお似合いの御家族です…ではお席にご案内します、お手をどうぞ」

 

「あらありがとう」

 

そのまま星野一家をエスコートして席に座らせる時にも椅子を引く、水を注ぐ、執事としてとりあえずの完コピを見せつけて

 

「こちらメニューになります、当店ではこちらのメニューの裏に簡単なクイズがございます、こちらのメモに解答を書いて頂きお近くの者を呼んで頂ければ解答を確認し、正答率に沿った景品の方をご用意させていただいております、もしよろしければ挑戦してみてください、ご注文が決まり次第またお伺い致しますので…では、失礼します」

 

そう言い終わるとスっと立ち去って

 

「えへへ〜先輩が私にお嬢様だって?というか先輩執事服も似合うなぁ、メガネ外してたけどコンタクトかなぁ?」

 

なんてニヤニヤやっているアイの横で

 

「なんかあの明智不気味だったぁ…お兄ちゃん何見てるの?」

 

「あぁ、クイズって言ってたろ?それだよ」

 

メニューの裏のクイズを確認する

 

「へぇ〜シャーロック・ホームズの住んでいる場所は?……全然知らない…」

 

「これは簡単だなベーカー街221Bだよ」

 

とそんなアイを横目に2人はメニュー表の裏のクイズを解いている、そして

 

「ウッグゥ…グッはァァ…ぐっぅぅ…」

 

裏で顔を真っ赤にさせて死ぬほどの羞恥心と戦っていた

 

「きっつっ、これマジでキッツイんだけど!!マジできついんですけど?はあ?馬鹿なの?というかなんで普通にいるの?おかしくない?伝えてないよ!、こうなるから伝えたくなかったんだよ僕は!!」

 

そのまま壁に寄っかかりタバコを吸おうとして周りに止められ、注文が入ったから行ってこいと蹴り出させる

 

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 

「はい、オムライス2つとカルボナーラ、飲み物は私はコーラ」

 

「オレンジジュース」

 

「コーヒー」

 

「かしこまりました、しばらくお待ちください」

 

「執事さん似合ってる〜!」

 

「……ッ…ありがとうございますお嬢様」

 

アイの野次にも負けずなんとか切り返してそのままさっさと行ってしまう

 

「あぁ〜どうしようずっと隣にいて欲しいけどその場合っていくら払えば良いのかなぁ?」

 

「いや、そういうサービスはやってないから」

 

その後別の執事が料理を運ぶ、味は学園祭なのでそこまでのクオリティはなく、まぁ食べられる程度、それを食べながら過ごしていると

 

「執事さんって写真だめぇ〜?」

 

明智が他の客に絡まれていた

 

「申し訳ありませんお嬢様、当店ではそのようなサービスを行っておりません」

 

「えぇ〜お兄さんみたいにかっこいい人の写メ撮りたいな〜」

 

「それは出来ませんが…私はお嬢様とここでしか作れない体験を差し上げたいのです…ワガママな私を許していただけますか?」

 

「は、はぃ…よろしくお願いします」

 

サラッと手を握り目を見つめて、他の客もそれを見てゴクリッと唾を飲み込みあとから何とかして明智に対応してもらおうと注文をして

 

「お〜さすが明智だな…しっかりと否定しながらも後を引かない接客」

 

「「……………」」

 

アクアは素直に明智の対応に感心しているのだが、女性陣二人の目は冷たく絶対零度の目で明智を見つめている

 

「私の先輩なのに他の人にキラキラ笑顔ばらまいちゃってさぁ?まぁ?確かに私だって他の人に笑顔を振りまくけど、先輩は私のなんだよ?それなのになんで…」

 

「なんか…こう…知り合いの男が他の女相手にキラキラ媚び売ってるのめちゃくちゃ腹立つ…」

 

「い、いやいや2人とも、ここは執事喫茶だから、なるべく穏便にことを済ませようとしてるだけだからな?」

 

「それはそれ!」

 

「これはこれ!」

 

「そ、そうですか」

 

息ぴったりな言葉にアクアも何も言い返せずコーヒーを1口飲んで

 

「すいません!」

 

アイが執事を呼び、なぜか明智が居ると売上が上がるという理由で大抵明智が出張ることになり内心渋い顔をしながらも

 

「お嬢様、ご注文ですか?」

 

サッと完璧な笑顔で注文を聞きに来る明智

 

「コーラ!私だけの執事さんでしょ?」

 

「オレンジジュース!他の女に簡単にデレデレしちゃって…」

 

「こ、コーヒーおかわり」

 

女性陣2名は注文した後小声でそれぞれ愚痴みたいに零し始めて

 

「かしこまりました、ですが申し訳ありません、私は皆様の執事でして、誰か特定のお嬢様、旦那様の執事ではありません…申し訳ありませんですが…今この時だけはあなたの執事として名乗られて頂けますか?」

 

「ふ〜ん」

 

「……お前の前でこんなめんどくさい仮面被る暇ないから…わかった?ワガママお嬢様」

 

「ひゃ………」

 

顔を近づけて普段とは似ても似つかないキラキラした笑顔に顔に胡散臭そうな顔で見つめていたが…突然耳元でボソッと本当の口調で喋られてしまい、思わず赤らめコクコクッと頷き

 

「確かにこちらに来てくださるお嬢様方は大変綺麗な方ばかりでつい目を奪われてしまいます…貴方のような素敵なレディは…特に…」

 

「は、はい…」

 

(す、すげぇ…二人を黙らせた…)

 

そのまま軽くお辞儀をして裏に歩き去っていく明智

 

(ほんっっと先輩ずるいんだけど!…普段と全然違くて…それに今私だけ…私だけにわざわざ小声で本当の先輩を見せてきた…んぅぅぅ〜〜〜!!!先輩あざとすぎ…)

 

(くっぅぅぅ…嘘って分かってるのにぃ…普段の明智がデリカシーなくて態度悪くて目つきも口も悪いのわかってるのにぃ…でも普段とのギャップでキュンってしてしまう…悔しい…執事ってずるいぃぃ!!)

 

それでノックアウトされてしまった二人は運ばれてきた飲み物をコクコク飲んで、そろそろ退出しようと席を立とうとすると

 

「ここの執事さんってみんな胸に宝石つけてますけど、執事さんの宝石はなんの宝石なんですかぁ?」

 

「こちらですか?こちらは曹柱石、マリアライトと言った方が通りがいいかも知れませんね、とても綺麗な宝石で私としても大変気に入っているものでして、まるで瞳のようで、一番星のように輝いているでしょう?」

 

その時一瞬…見られた人物とその周囲しか分からなかったが確かにこちらを目だけで見て

 

「………ッッッ〜〜〜〜!!!!!!!」

 

それに気づいてしまったのか立ち上がりかけた状態で顔を真っ赤にさせて、何とか会計を済まして、退店する時通りかかった明智にボソッと

 

「ばぁ〜か」

 

そう小声で呟かれ、退店した直後に座り込んで耳まで真っ赤にさせた元アイドルが居たらしい

 

(何…やってるんだろう僕…)

 

裏で壁に頭を押し付けながらブツブツ何かを呟いている明智の姿がそこにはあった、先程のキラキラしたイメージは一切なく、どんよりとキノコが生えそうなほどの湿気を伴って消え入りそうな声で独り言を喋りはじめる

 

(いや…絶対おかしい…あれは僕じゃない…絶対に僕じゃない…あれは絶ッ対に僕じゃない…どう考えても違うだろ…何…何あれ?アイに対してなにあの俺様ムーブ…ルビィに対してはなんなんあれ?小さい子相手でも一人前のレディとして扱ってますムーブきっつ…)

 

知り合いに見られている、それでもやりきらなければならないという使命感がぶつかり変なテンションのまま演技をしてしまい、段々とそれが楽しくなってしまったのは否定できない

 

(やべぇ…この後顔合わせるって考えたらまじで消えたくなってきた…そうだ…苔になろう…誰にも見つからない場所でひっそりとジメジメ暮らそう…)

 

そんなよく分からないことを考えているとスマホが振動して

 

休憩時間になったらどこかで合流しよ?

 

とチャットが飛んでくる、何をどうしようかと悩むことも無く

 

分かった、場所は後で指定するから

バレないように注意だけはしとけよ

 

了解!

 

デフォルメされたうさぎが敬礼しているスタンプを送られそこで会話は中断される

 

「もぉ…どうにでもなれ…」

 

その後ヤケになってキラキラムーブ全開の執事としてして売上に貢献し

 

「はぁ〜終わったぁ…」

 

疲れきった顔で着替えを済ませてアイと待ち合わせ場所に行く

 

「おーい」

 

「あ、先輩〜」

 

余程ご機嫌なのかニコニコ顔で近づいてきて

 

「あのさぁ?」

 

「なーに?」

 

「はぁ〜なんでもない」

 

大変ご機嫌が良いのか笑顔で対応されてしまい、毒気を抜かれてため息をひとつ

 

「どう?私の変装完璧でしょ?」

 

「まぁ…僕以外だったら気付かれないだろうな」

 

「じゃあ早く行こ」

 

「はいはい」

 

「明智!私あれやりたい」

 

「執事服似合ってたぞ」

 

「うるさいなぁ、アクアお前が演技した時覚えとけよ?」

 

そう言って隣を歩き始める

 

「じゃあルビィ、僕と勝負でもする?」

 

「勝負?」

 

「もし僕に何か一つでも勝てたら何でも言う事ひとつ聞いてあげるよ」

 

「えぇ〜」

 

興味無さそうな顔して

 

「いやいや、僕相手にこれは結構破格だと思うだけど」

 

「あ〜私もやる!」

 

「じゃあ俺も」

 

結局星野一家全員が明智と戦うことになり

 

「まぁ…その代わり僕が勝ったらなんでも言う事聞かせるから」

 

「別にいいよぉ?私たちなら勝てるし」

 

「明智に負けるわけないでしょ」

 

「ぁ〜なんか嫌な予感するから俺は」

 

その言葉を言い終わる前に明智が肩に手を置いて

 

「まぁ…こうなるよなぁ?」

 

「嘘…でしょ…」

 

「ぜ、全敗…」

 

「まぁ、僕がこの手の遊びで負けるわけないけどさ」

 

射的

 

「えっ〜とぉ?狙ってぇ…あれぇ?ぜんぜん当たらない」

 

アイが銃を構えて的を狙う、だが弾は的外れの方向に飛んだり、当たってもほんの少し角度を変えるだけに留まる

 

「あのなぁ?こういうのは狙う角度とタイミングとかが結構重要だったりするんだ…よっと」

 

「あぁ〜!それ今私が狙ってたやつ!」

 

アイが撃った弾でほんの少し的が揺れて、その隙を見逃さず、すかさず弾を撃ち込み景品を横取りする

 

「言ったろ?こういうのはタイミングって」

 

「くぅぅぅぅ〜もう1回!」

 

輪投げ

 

「うぅ〜ん…えいっ!!」

 

「上手いこと飛んでかない」

 

アクアとルビィが輪を投げて引っ掛けようとするが全く当たらず

 

「まぁこれは投げる角度と輪を離すタイミングだけ気をつければ」

 

二人が苦労している横でヒョイひょいと簡単に輪を引っ掛けていく明智

 

「あぁ〜!」

 

「ほんとムカつくな…」

 

「アクア?お前はもうちょっと腕を伸ばせ」

 

しゃがみこんでアクアのフォームを正して

 

「お前の場合、狙いは良いけど腕の伸びが足らないから届かないんだよ、ほら、このまま投げてみろ」

 

「よっと、おぉ…入った」

 

「そうそうその調子、ルビィに関してはな?そもそも力込めすぎ」

 

「えぇ?でも力込めないと届かないよ?」

 

またルビィにも同じ指導方法で

 

「まぁ、こんな感じかな?力込めなくてもタイミングと腕の軽い振りだけで充分届くよ」

 

「ほ、本当だ…敵に塩を送るなんて随分余裕だね!」

 

「いや、流石にぼろ勝ちすぎてちょっと可哀想になってきた」

 

「哀れまれた!!」

 

その様子をニコニコと見守りながら内心明智に対するロリコン疑惑が浮上し始めているアイ

 

「せ、先輩〜私も投げ方分からないな〜」

 

「ん〜?アクア教えてやれ」

 

「…………」

 

(こ、怖い…この状態で放置しないでくれ明智…!明智ぃ!!)

 

 

そうやって学園祭を楽しんでいる途中ルビィとアイは御手洗に、そのまま明智とアクアが2人の帰りを待っている

 

 

「あれだろ?どーせミヤコさん経由だろ?」

 

「まぁ、最初は俺だけどな」

 

あ、たこ焼き1個ちょうだい?とアクアのたこ焼きを1個頬張りながら

 

「なんで教えなかったんだよ?」

 

「恥ずかしいからに決まってるだろ?」

 

「違うな」

 

「ほぉ、その根拠は?」

 

「俺だって伊達にお前と一緒にいる訳じゃない、嘘をついてるかどうかぐらいはだいたい分かるようになってきた」

 

「やるねぇ…そうだよ嘘、まぁ、恥ずかしかったのは本当」

 

「じゃあなんで?」

 

「僕がアイなんか可愛いく見えるくらいの化け物だから…かな?」

 

「化け物…?」

 

不思議そうな顔で明智の顔をじっと見つめる…

 

「お、じゃあもう少ししたらアイが帰ってくると思うからそこで大人しく待っとけよ」

 

「あ、おい!明智!」

 

アクアの静止の声も聞かずにそのまま去ってしまう

よく見ると慌てた様子でアイがこちらに走ってくるのが見えて

 

(あれ?ルビィは?)

 

 

 

(あ、あれぇ?)

 

ルビィは手洗いに行って帰ってみるとアイとはぐれてしまった…御手洗を出た瞬間突然人の波に襲われポツンとひとりぼっちになっていた、とりあえずどうしようか考えた末歩き回ったら明智相手に馬鹿にされそうと考えたルビィは大人しくベンチに座ることにした

 

 

(そういば…ここ最近は1人でいることなんてなかったな…)

 

沢山の人がいる、男だけの集団、カップル、親子連れ…

 

親子連れ…

 

(あぁ…1人になるとまだ出て来ちゃう…私が…さりなが出てきて…私の中にまだ居るって、天真爛漫で誰からも愛されるルビィじゃなくて、病室で1人寂しく陰鬱なことばかり考えてた頃の私になっちゃう)

 

「でも…流石にママは違うけど、明智とアクアに対して私は好かれる私を演じてるのかな?」

 

演じてない…

 

(アクアは…私と一緒に生まれたけど、私とはたまたま一緒に産まれただけで、赤の他人じゃん…明智だって、私がアイの子供だからって理由で一緒に居るだけ…)

 

ダメだ…どうしても思考がマイナスに下ってしまう、母さんはあの時迎えにきてくれなかった…私には…頼れる人なんて…

 

「せんせぇ…」

 

俯いて…周りの景色を見ないようにして…何故か涙がこぼれそうになってしまうのを堪えて…一人ぼっちは寂しいと…気付いてしまう

 

「あ、いたいた」

 

「え?せんせぇ、ひゃぁァ!?」

 

見つけてくれた?もしかして?と期待しながら前を向こうとしたら頬に当たる突然の冷たい感触に思わず飛び上がり

 

「やっぱり迷子か?」

 

冷たい飲み物をルビィのほっぺたに押し付けて、そこに居たのは頼れる先生じゃなくて、わがままで、ひねくれてて、デリカシーのない、そんな大嫌いな男が立っていた

 

「と、突然何するの!」

 

「いやぁ?アクアと2人で待ってる時にアイがダッシュっでこっち来てたから、ルビィとはぐれたんだろうなと思って、探してみたら…ほらこのとおり」

 

「な、なんでここがわかったの?」

 

「ルビィだったら何処にいるかそれを考えただけ」

 

「考えただけって」

 

簡単に言って

 

「僕と会ってないルビィだったら色々歩き回ってたかもしれないけど、僕と会ったルビィなら僕に小馬鹿にされるかもしれないって理由でそう遠くには言ってないと思ってさ」

 

合ってる

 

「じゃ、じゃあなんで私の場所が分かったの?」

 

「特に詳しく聞くつもりもないけど、なんでか知らないけど家族に対して欲求があるだろ?」

 

当たってる…

 

「だから、周りの人間を眺めつつ、ある程度目立つ場所、そして座って休むことが出来る場所を重点的に当たって行ったら…ほら?見つかったろ?」

 

そう笑って飲み物を差し出してくる

 

「ありがと…」

 

差し出された飲み物を素直に受けとって

 

「どしたの?なんか元気ないな」

 

「別になんでもない…」

 

少し暗いルビィに違和感を覚えて

 

「当てようか?」

 

「だから…なんでもないってばッ!!」

 

そう大声を出してしまい、ハッとなる…まただ…また嫌われるようなことを言ってしまった…1人では生きられないくせに、他人に好かれることすら捨ててしまった私

 

「ルビィ」

 

「もぉ…ほっといむぎゅっぅ」

 

明智がまたルビィを呼んで、何回も呼ばれていい加減に…と顔を見ようと見上げた瞬間ほっぺたを引っ張られる

 

「なっにぃ…すふぅのぉ」

 

「いや?なんとなく?あ、変な顔」

 

そうやってある程度頬を弄り終えたら満足して離して、隣に座る

 

いつもそうだ…人が真剣になっている時もこの男はいつも、その程度のことで何を悩んでいるんだ?みたいな態度をとってくる…そういうのが…ほんっっとうに…

 

「明智のそういうとこほんっっと嫌い」

 

「お、やっといつものルビィらしくなってきたな?」

 

「こんなの私じゃないし」

 

「いやいや、わがままで自分勝手で自分の思い通りにならなくなったらすぐ怒る、いつものルビィだよ」

 

「そんなのぜんっぜん私じゃないし、それに…そんなのじゃ」

 

「「愛されない」」

 

明智がルビィと一緒に喋って

 

「か?」

 

「そうやって…人の考えてること全部わかって羨ましい…明智はみんなの人気者だったでしょ、なんでもできてなんでも分かって」

 

明智はそれを聞いて…笑った

 

「僕はめちゃ嫌われてたよ?」

 

「そ、そうなんだ」

 

「小さい頃から他人が隠したいこととか、隠してる秘密とか全部暴露しまくってたからね」

 

「嫌われてたんだ…」

 

(それなのになんで…)

 

「なんで変えないんだって?」

 

「…うん…だって嫌われたらどうするの?」

 

「嫌われたら…まぁちょっと傷つくよ?でも僕は僕だからさ、他人のためになんで自分が変わらなきゃいけないんだって考えてるよ」

 

あぁ…この人は違う…この人は自分一人で生きていけるから…誰に嫌われたって問題ないんだ…

 

「でも1人だけ嫌われたくない人が居たなぁ」

 

「へぇ…誰?元カノ?」

 

「嫌われてる僕が居ると思う?母親だよ、母親」

 

「母親…」

 

私もだ…私も…ママに嫌われたくなくて…でも…ママは私のことを愛してくれてたんだろうか…

 

「そ、だから母さんに教えられて1つのことだけは今も守ってる」

 

「約束事?」

 

「人を傷つけるより助ける人間になりなさい、その方が気分が良いから」

 

「なんか大雑把」

 

それを聞いてまた笑い出して

 

「だよなぁ…でも、なんかそれは良いなって思ったんだよ」

 

「じゃあ守れてないじゃん、私今明智のせいでとっても気分悪いし」

 

「そりゃだってね?僕ルビィの前ではいつもこんな態度だし」

 

「あ、アクアとアイに対してもだいたいこんな感じ…いや、誰に対してもこんな感じだな僕」

 

「じゃあ結局守れてないじゃん…」

 

クスッと笑って…自分が笑っていることに気付いて慌てて口を噤む

 

「でもルビィは僕とこうして話してくれるだろ?嫌ってるのに」

 

「それは…まぁ…」

 

(あれ?なんでだろう?明智は私の最推しに引っ付く悪い虫で、口も悪いし…人がほおって置いて欲しい部分に土足で踏み込んできて、心の底から嫌いって言える…でも…)

 

「友達って結局そんなもんだよ、簡単に離れちゃう所もあるし、どんなに悪口言い合ってくだらないことで喧嘩しても、結局寂しくなってまたくだらない喧嘩しに戻ってきちゃう」

 

 

 

(ママと明智みたい…)

 

「でも…やっぱり嫌われたら」

 

「ルビィ、今僕は未来の話をしてるんだよ、過去の話はしてない」

 

「ぇ…?」

 

「正直僕はルビィとアクアに何が起きてるのか、予想はついてるけど確信がもててないし、それを聞くつもりもない…けど…僕が話しているのは今の君だ」

 

「今…」

 

「過去の君は他人に嫌われるのを恐れている、いや、もっと本能的な恐怖…嫌われることで自分の心と命が脅かされてしまう…それを分かってたから演技してた」

 

「本当にどうなってるの?なんで何でもかんでも分かっちゃうの?」

 

「ルビィがものすごい悪い子でも僕からしたらそんなの可愛いもの…僕は化け物だからね」

 

「化け…物?」

 

「化け物だから君のことなんてまるっきりお見通しってこと」

 

目をじっと見つめられて…

 

この目に見つめられると全てを見透かされているように感じて…正直苦手だ…でもルビィとさりな両方をみて私という個人と接している

 

「僕は過去の君に対しても未来の君に対しても同じ言葉を送ったつもりなんだけど、伝わってなかったみたいだ」

 

そう言って笑いかける

 

「どっちもと友達にしてよ?そしてもう一回だけ信じてみよう」

 

「信じるって何を?」

 

「これから先の君の友好関係は分からないけど、とりあえず、今…君の周りにいる人間は君のことを嫌いにならない」

 

「明智は…私と友達になりたいの?」

 

そう言われると考え込むように唸って

 

「なりたいよ、だって楽しいから、ルビィとくだらない話をしたり、喧嘩したり…楽しいからかな?」

 

「友達…」

 

「ルビィは嫌われると思ってるみたいだけど、普段の君だって充分好かれてる」

 

「好かれてなんてない」

 

「好きじゃなきゃ僕はわざわざ君を探しに来ない」

 

「それは…私がアイの」

 

「今僕は君と話してるんだけど?よその女の話しちゃダメよ」

 

「ぷっ…何その口調」

 

「君は演技しなくても優しくて、可愛くて、思いやりのある女の子だよ」

 

だから…と手を差し出して

 

「約束する、どんなに大喧嘩したって、君を怒らせるようなことを言っても、僕は君と仲直りしてくだらないことで笑いあって、また喧嘩して…そんな友達になろう」

 

あぁそうか…この感じ…なれない感情でイライラしてしまうのも無理は無い…せんせぇは私の初恋で…アイは私にとっての最愛で…でも…それ以外の感情なんて知らなかったんだ…

軽口言い合って、くだらないことで喧嘩して、嫌いでもう二度と口を聞かない…なんて言っても…気付いたらどっちかが話しかけて…それでまた喧嘩して…これが…友達…かぁ…それは

 

「初めての友達が明智ってちょっとやだな」

 

「えぇ…」

 

真剣だったのか、突然のルビィの態度に軽いショックを受けるけど、それでも口元は少し笑っていて、その様子がおかしくてルビィは笑ってしまう

 

「明智!私お腹すいた!なんか買って!」

 

「はいはい、分かりましたよ、何がいいんですかお転婆お嬢様」

 

「お転婆は余計だから、えっとね、たこ焼き、お好み焼き、たい焼き、りんご飴」

 

「粉物多くね?絶対食べきれないだろ」

 

「食べきれない分は明智が食べればいいじゃん」

 

えぇ〜と不満そうにしながらも

 

「そんなに食べたら太っちゃうぞ」

 

「女の子の体型に口出してくるとか本当デリカシーがない!」

 

プリプリと怒りながらも

 

しっかりと手を繋いで歩いていく

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