「またですかぁ?」
ソファに寝っ転がって本を読んでいる、本来のバイトとはかけ離れた姿で信じられないと言うような顔を雇い主に向けている明智
「えぇ、どうやらアイと明智、貴方たち2人に対して視聴者は目を向けてるらしくてね、それに」
ノートパソコンを机に置いて明智に見せる
そこには明智が恋愛リアリティーショーアイに対してドッキリを仕掛ける場面
「何してるの!い、いきなり突然!こんなことして!も、もしかして私が寝てる時にわざわざ薬指のサイズ測ってたのって!!」
そのセリフを流したらカチッと止めて
「あぁ…」
「えぇ…そうよ」
「僕のせいじゃ…ぁ…なんでもないです…」
咄嗟にアイのせいにしようとしたが、後ろに阿修羅が見えそうなほど青筋を浮かべているミヤコに対して為す術なく、姿勢をただし、土下座でそっぽを向いている
「それに、最近あの子何故か指輪をはめてるらしいのよ、それも…薬指に…ね?」
「…………………」
汗をダラダラ流して必死に目線を合わせないようにして
「まぁ…正直こうなるんじゃないかと社長と私は思ってたのよ」
「み、ミヤコさん…」
「あの子の場合何言っても聞かないし、明智君のおかげでアイに良い影響があることは認めてる」
「つ…つまり…」
「私達としても2人の関係性を周りに隠し続けるよりは、認知させる方向に持っていきたいのよ」
「な、なるほどぉ…あと…絶対アイならこの仕事断りませんよね…」
「えぇ!そうよ!絶対隠してた方がいいのに!アイは指輪はめて匂わせてるし!社長もアイになんだかんだ甘いから何も言えてないし!!アイツゥゥ!!」
余程ストレスが溜まってるのか炎が出るくらいにキレ散らかして…
「ということであなたに拒否権はありません」
「は、はい…」
「アイにも伝えておくから」
「それでちなみにどういうのやるんです?」
「えっと確か…」
深夜…
少しの風で木々がざわめく丑三つ時、
明かりはカメラの都合上多いが2人一組で歩く場合に持たされるのは提灯のみ
周囲に建物はなく、電灯なんてものもあるわけない
そんな屋外型おばけ屋敷に来ていた
「さぁ〜始まりました!最近話題の気になる関係性の方々を怖がらせて、本心を暴く!心霊デート!!」
司会がこの場にそぐわないような大きな声を出して元気に進行を始める
番組のミニコーナーに出演
「本日はあの元大人気アイドルアイさんと!そして同じ所属の人気が上がってきた俳優明智さんに来て頂きました〜」
「はーい皆さんこんばんは〜アイで〜す!」
元気に声を出して片手が塞がっている状態で登場、ピンクと紫を組み合わせた浴衣で髪もポニーテールにしていて大変可愛く仕上げられていて
「あ、…、明智です…」
一方明智も目つきは悪いが顔はそこまで悪くない、シンプルに黒の浴衣で髪型も決めてもらい、眼鏡もそこに+され大変かっこいいデキる男、に見えるのだが、プルプル震えながらアイの手をしっかりと握っているというなんともカッコつかない状態で登場する
「テンションヒックゥ!?どうしたん!?というかこれから関係性を確かめようって時になんで既に手繋いでるん?もう既に関係ばらしちゃってるやん!」
「いやぁ〜これなんですけど〜」
と語り始める撮影が始まる少し前
「う、嘘だろ…こ、こんなところで撮影…?お化け屋敷…?屋敷って言ってんだから屋内でやれよ!なんで屋外なんだよ!建物周囲に全くないし!コンビニは!?24時間営業のスーパーとかないの?僕に!、誰か僕に文明の灯火をください!!」
車の中でガタガタ震えていた
「もぉ〜そんなこと言ってもここまで来ちゃったんだからもうしょうがないよ〜?先輩」
「は、はぁ?僕は嫌だって言った気がするんだけどぉ…無理だろ…こっわ…何こここっわ…」
(なんでだ?宮崎に行った時深夜の森とか全然余裕だったじゃん!というかなんであの時僕行けたの!僕心霊とか無理なのに!)
そう考えてなぜあの時はいけたのかこのちじこまった状態でまともな思考なんてできるはずはなく、
その時はアイに会えない寂しさや、自分自身の憤りなどでそんなこと頭からすっぽり抜けていた…明智はこれからも認めないだろうがその時から既にアイに脳みそを焼かれている
「もぉ〜先輩手繋ぐ?」
「つ、繋ぐ…あれだから、何が起こるか分からないから僕はお前のために繋ぐんだぞ!」
「もうそれでいいよ?ほら」
「よいしょ…ふふッ…」
突然不敵に笑いだしたアイに
「まじで余裕だなお前…ま、まぁ僕だって余裕ですけどね?」
「はいはい、行くよ先輩」
「わ、分かったって!」
怖がっていても屁理屈は止まらないのか、そんな明智に苦笑いして優しく手を差し伸べる、
その手を明智は握り…今に至る
「ようみたら手めちゃくちゃ小刻みにプルプル震えてんなぁ大丈夫か?」
「なんかいつもの先輩じゃなくて可愛いでーす」
「ほんでこっちは余裕やなぁ…おい明智大丈夫か?男としてめちゃくちゃカッコ悪いぞ」
「な、何言ってるんです!?ぼ、僕余裕ですけど」
少し落ち着いたのか手は震えておらず、スっといつもの顔に戻って
「あ、幽霊」
「ッ〜〜!?!?!?ッ!?!?ッっ!?」
「おっとと、先輩危ないってば」
司会に適当な方向をしていしこんなもの嘘だと分かりきってるはずなのに反応してしまい、咄嗟にアイの後ろに隠れる
「居ない!?もう居ない!?」
「居ないってば、ほら、隣おいで?」
そう言われておずおずと怯える野生動物のようにアイの隣に戻って
「関係性調べましょ〜言うて呼んだけどお母さんと子供やなぁ」
「こんな大きい子供いませ〜ん」
それもそうか、と一通り笑って、
進行も充分なのか一旦カットが入る
「あぁ〜すまんアイ一通り落ち着いた」
椅子に座り水を一口飲んで落ち着いたのかふぅ〜と息を吐きながら上をむく
「先輩ってお化けとか苦手だったんだ以外、そういうの真っ先に否定しそうなのに」
「ま、まぁ僕だって昔から苦手なわけじゃないんだよ」
そう言って昔の話をする
小学生の頃、林間合宿で森に行き、深夜にキャンプファイヤーをしていた頃、友達なんて居ない明智は1人で森の中を散策していた、
どうせ帰れるのだから問題ないだろうと思って歩いている時、何がガザガサと動く音が聞こえ、その方向に近づいた
なんだろう?と近づき、でも近づいたら動きが無くなってしまったので
な〜んだただの動物か、
そう思った瞬間黒い物体は明智の顔にダイブそのまま明智はひっくり返りあまりの衝撃に気絶して以降
「ま、まぁ…余裕だって…僕にかかればこんなもの一瞬で暴いてやるから」
「先輩水こぼしてるよ」
水を零しながら余裕たっぷりな顔をする哀れなモンスターが生まれた
「はーいでは今からこの提灯のみでチェックポイントを回ってもらいまして、このお札を貼ってかえって来てくださいねぇ〜」
そのまま進行していき
「行ってらっしゃーい」
そうして地獄は始まった
「あ…アイ…今なんか動かなかった?」
「動物じゃないかなぁ?」
ガサゴソ…と聞こえる度にビクッと身体を震わせて…明智はアイに引っ付く…こんな状態の人間に提灯は持たせられないと片手に提灯、片手に明智両手が塞がっている状態でなおかつ何かある度に身体を押し付けられる…この状態にアイは
(んっふぅぅ…計画通り…)
そう、分かっていた、初めから明智が心霊やお化けという物が苦手だと理解していた、
たまにやるアイの家での飲み会の時も、心霊番組が始まるとさりげなく番組を変えたり、
テレビで流れてくる心霊映画のCMが流れれば、気づいたら手洗いに行ったり
そんな些細な行動や表情などをアイが見逃すはずもなく、今回このミニコーナーに出るために番組関係者と関係が深い社長に頼んでセットしてもらった企画
(はぁ〜先輩可愛い…普段全部自分で抱え込んで終わらせちゃって、私に全然頼ってくれないのに…もうプルプル震えて私に抱きついて…必死になってるの可愛い…
なんだろう?母性かな?今なら先輩にも親子としての愛してるって気持ち分かっちゃうかも)
と考えながら特に苦手でも得意でもないアイは明智の手を掴んでさっさと歩いていく
「ぎゃぁぁ!?!?」
「おぉ〜骸骨だ」
突然飛び出してくる骸骨に驚きアイに向かって抱きつく明智と、シンプルに感心するアイ
「アイ…やばい…というかなんでそんなに余裕なの!?やばいでしょ!これはダメでしょ!?」
「えぇ〜普通だよ思うよ?先輩のリアクションがオーバーなだけで」
「あれだからな?置いてかないでね!?ぼく置いてったら祟るから!」
「置いてかないし、先輩祟るって死んじゃってるでしょ、ちゃんと生きて帰ろ」
「あぁ…そうだな!僕とお前だったら行けるよな!2人で頑張って切り開こう!」
「はいはい」
(ぁ〜もぉ…きゃわぁ…きゃわぁすぎるよぉ…凄い抱きついてきて置いてかないで〜って犬みたいに甘えてくるの可愛いよぉ…でも私とこんなに距離が近いのに意識してくれないのはちょっと減点だよ?先輩)
「ぁ〜!!やっば…何あれ?炎!?炎出てる!?」
「すごいね〜どうやってるんだろう?」
完全に怯える子供と宥めてあやす母親にしか見えない2人は進んでいく
(それに…なんだかんだ先輩は私に堕ちてるだろうし…そろそろいいよね?私は欲張りだからさ?もっと先輩から愛されてるって感じたい、だから…ね?今日で仕留めるから覚悟してよね)
そうにっこり笑いかけて
「な、何笑ってんの!?なんでそんなに余裕なの?助けてぇ…もう無理だろこれ…」
「さっきから大袈裟だってば先輩」
そんなふうにギャーギャー騒ぐ明智をアイがあやしながらチェックポイントを進めて言って
「あ、ここじゃないかな?」
御札を貼る場所に着いたのか立ち止まって提灯で照らす
「えぇ…なんでぇ?なんで僕たちがこんなことしてんの?霊媒師の仕事だろこれ!陰陽師でも可!」
うだうだ言ってる明智をほおってそのまま入って
「ほら?先輩お札貼って」
「えぇ?アイが貼ってよ!なんで僕が」
「いや、私両手塞がってるからね」
「そ、それもそうだな…」
お札から距離があり、アイの手を引っ張りながらへっぴり腰でなんとか貼る
「こ、これでいいんだろ!?は、早く帰ろう!」
「ぉ〜先輩よく出来ましたねぇ、よちよち」
背伸びをして頭を撫でる
「子供じゃないからね僕は」
これでやっと帰れると思い少し落ち着いたのか冷静になって…その時…左手にキラリと光る何かを見つけて…
「あ、あれ?アイさん…それって…」
「ん〜?」
明智の目線の先を追って…どこを見ているのか分かったのかバレちゃった…てへぺろとべろを出してしぃ〜っとバレないようにジェスチャーで伝える
(えぇ…うっそ…どこから…?どこからどこまでこいつの策略…?嘘でしょ?僕嵌められたの?この僕が?他人の全てを理解出来る僕が?オッマェェ!!どうすんの?これどうするの!?いや…落ち着け…僕はアイの左手を握っていた…しっかりと…だからバレるはずは…あれ?)
なにかに気づいたのかアイと手を繋いでいる右手の指に違和感を感じて…見てみる…そこには
「はぁぁ!?」
いつの間に付いていたのか銀色に輝く指輪が右手の薬指にしっかりとはめられていた
(いつ…どこで?一体いつの間に…あれ…そういえば手を握る時不敵に笑ってなかったか…?え?もしかして…あの時!!嘘だろ!?なんで?なんで気づかなかったの僕!?う…嘘だろ…)
明智でなくても簡単に気付きそうなものなのに、全く気づかずに馬鹿みたいな声を上げて騒いでいた自分を振り返って…シンプルに沈む明智をそのまま引っ張って帰りの道を歩いていく
「先輩はさ」
途中驚かせる要因の予算なさそうな仕掛けはなく、のんびりと歩いている時アイが話しかける
「自分自身を信じられない私を信じてくれるし、信じさせてくれる…それはとっても嬉しくて…私幸せなんだよ?」
「お、おう…突然どうしたアイ」
何かを察していて、でもここで置いてかれたら終わると思ったら手を話すことも出来ずにただ黙って話を聞いて
「だから、先輩のことは疑ってないし、疑う気もない…それは本音」
「それは…まぁ…素直に嬉しいな」
シンプルに褒められて頬をポリポリ
「でも…私だって女の子だからさぁやっぱり愛しの人となりたい関係ってあるんだよね」
「へ…へぇ…」
突然近寄ってきて…明智もこの空間に怖がっている場合ではなく、突然距離を縮められ顔を少し赤らめ…ただ背中の汗はすごいことに
「私を…先輩の特別な人にして?」
「ばっ!お、お前さぁ!もっとタイミングとかあるんじゃ…」
顔を真っ赤にさせて
「でもさぁ?前私がせっかくお膳立てしてあげたのに逃げたよね?」
「あ、あれはあの時完璧にお前の思惑通りになるのが気に食わなくて…」
「そ、そうやって逃げて…はぐらかして…私とふわふわした関係続けようとしてる」
「別にはぐらかしてるわけじゃ」
ふ〜んと立ち止まって顔をじっと見つめる、月明かりをに照らされたその瞳は黒く輝いて
「前にも言ったけど、私、先輩のこと…逃がすつもりないから…ね?」
そうニコッと笑ったあとなんでもなかったかのように2人で歩いてゴールする
その後は何事もなく撮影は終了して、
でも…アイと明智は帰りの車の中で一言も喋らなかった
番組は無事放送され
いやいや…なんか光ってなかった?
光ってたな…
輝いてたんだけど
最初は立場逆転してるじゃん!めちゃくちゃ明智君可愛い!アイ可愛い〜!だったじゃん
でも…もうさ?怖がる明智に向ける表情が…
やめろ
言うな…
言わないで…
女だったじゃん…
あぁ''〜〜!!!!!
もうできてるじゃん!
2人の薬指に輝いてるじゃん!
いつから!
いつからだ!?
恋愛リアリティショーの時からじゃねぇか!!
だって怒ったアイ言ってたろ!!寝てる時に指のサイズ測ってたとかさぁ!!
ぐっぉぉ…
その後もネットは阿鼻叫喚、誹謗中傷のコメントが数多く発信される
その中でもアイの策略通りに少しづつ…でも確実に受け入れられつつある2人の関係性
「明智…最高にあははははははッ!!だっさ!だっさぁぁ!!普段から散々カッコつけといてお化け怖いってぇだっさぁぁ〜〜」
一緒に放送を見ようとアイの家に誘われて、最初は行きたくないと渋ったが
今すぐ先輩を物にしちゃうよ?
と言われ何も言い返せず素直に家に行き、馬鹿みたいにルビィに馬鹿にされる明智
「う、うるさい…あれだ…これは…その…あれだ…」
「何それぇ〜全然言い訳できてないよ?あ、もしかして何も言えないのかなぁ?えぇ〜?」
「まぁまぁ…ルビィもそんなにいじめてやるな、苦手なもののひとつやふたつお前にだってあるだろ?」
「アクアぁぁぁ…!!」
「うっぉ!?気持ち悪いから抱きつくな!」
そのままアクアに抱きついて…若干の酒の匂いを纏って
「ルビィはめちゃくちゃバカにしてくるじぃ!アイはアイでもう完全に僕のこと欺き始めるしぃ!!もうアクエもんにしか頼れないんだけど!!」
「その未来の猫型ロボットみたいな呼び方やめろ」
後半何言ってるのかよく分からなかったのかとりあえず頭を撫でて
「ちょっと先輩、私を先輩みたいに小狡いこと得意なふうに言うのやめてよね」
アイが飲み物をとって戻って来て
「はぁ…僕と関わってくうちにあんなことまでできるようになってさぁ…」
「先輩が悪いんじゃん、こんな可愛い子待たせるのが悪いでーす」
ねえ〜ルビィ〜とルビィの頭を撫でながら
「やだねぇ…アクア…ああやって自分のやったことを正当化するためにすぐ女ってのは派閥を作りたがる…アクアは僕の味方だよな!な!!」
「いやぁ…どうだろう」
困り顔で、でもしっかり明智にロックされているから抜け出せないし、逃げ出せない
「というか先輩がやったことをやり返しただけでーす、私悪くありませーん」
ほんのりと赤い顔で
「はぁ?僕だってアイに対してお灸を据えるためにやっただけだから、僕悪くないし」
こちらもほんのりと赤い顔
「だとしてもタイミングってものがあるでしょ!なんでああいうずるいやり方しか出来ないの!」
「あ…いや…あれは…確かに…僕も…」
だんだんアイの方がヒートアップしてきて、それを言われるとタジタジになって
「第一!私の方は全然いいって言ってるのに先輩からは全然来ないじゃん」
不貞腐れたようにそっぽを向いて
「僕も結婚できるならとっくにしてるし…」
ボソッと呟いて…それを聞いた顔を真っ赤にさせて
「け、けっ…結婚!?な、何言ってるの先輩!!」
「ッ!!、ほ、ほらそうやってお前だって結局恥ずかしいんじゃん!顔真っ赤でさぁ」
「そ、そうじゃなくて!段階を踏んでいってって話で!…それに…私だって別に嫌とは言ってないし…」
モジモジ最後の方は小さくなっていき
「わ、私もう寝る!おやすみ!」
耳まで真っ赤にさせた状態で寝室に引っ込んでしまう
「な、なんだよ…なんだその目は…その目やめて!何その目は?僕か?僕が悪いのか!?」
「女たらし…」
「デリカシー無し男」
じっと赤と青の瞳に見つめられて…
「わ、わかったよ…行ってくるよ…」
寝室に行くと布団も被らないでベットに横になってるアイ、その横に腰を下ろして、軽くビクッとなるアイを見ながら
「何しに来たの…ケダモノ」
「ケダモノって…ルビィと同じこと言うのやめない?」
頭を手を置いて優しく撫でながら
「僕に対して不満があるんだろ?」
コクっと頷く
「教えてよ」
「先輩は分かるんでしょ…自分で考えて見れば〜」
「お前の口から直接聞きたい」
「…それずるい…先輩はいつもずるい」
苦笑いしながら頬を優しく撫でて
「そのズルい先輩に教えてくれ」
「先輩は…私の事全部知ってて、私の悩みも、怯えも、全部分かってて、纏めて引っ張り出して…ひとつ残らず解決しちゃったんだよ?」
「うん…」
「でも私は先輩のことなんにも知らない…先輩、昔のこと全然話さないから」
そう言い終わると座り直して明智の背中に頭を預ける
「先輩のこと…もっと知りたい、私普通の恋人がどんなふうに仲良くなるのか分からないから…でも、先輩が昔どんな子だったか知りたい…嬉しいことがあったら一緒に喜びたい…悲しいことがあったら一緒に悲しみたい…教えて?」
そう言い終わると黙り込んで
「もしかしてそれが言えないからああやって僕の指に指輪はめたの?」
少し遅れてコクん…と頷く
「もっと距離が縮めば教えてくれるかもっておもってさ」
「お前…めんどくさいな…」
「どーせ私はめんどくさい女ですぅ」
「ごめんごめん、今のは褒め言葉」
背中に頭をぶつけて
「どこが褒め言葉だったの」
「距離感の詰め方が分からなくて、それでも僕のことを知りたくて外堀から埋め始めたの?」
「うん…」
「初めから聞けば良いのに」
「だって先輩…過去に嫌なことがあったんでしょ?」
ビクッと震えて
「だから…普通に聞いても教えてくれないと思ったから」
「なんでわかったの?」
「私は先輩のこと…先輩が思ってるよりずっと見てるよ?私と子供たちが楽しそうにしてる時、輪に入って来ないですっごい優しい顔で…でもちょっとだけ悲しい顔するから」
「そこまで見られてるのかよ」
見られてないと思って油断した〜とそのまま横に倒れるように寝っ転がる
「先輩は自分が思ってるより何倍も甘えん坊だよ?」
そう言って頭を優しく包むと、膝の上に乗せて
「家族を見るとさ…思い出すんだ」
「うん…」
優しく、頭を撫でて…ゆっくりと話し始める
今まで誰にも話したことの無い傷を
話すことは無いと思っていた過去を
でも、包み込まれているから…話しても受け入れてくれると思っているから
信じているから
ポツポツと話し始めた