「いやぁ〜マジで先輩さぁ?」
「先輩やっぱすごいわ〜マジで推しちゃう、アイドルとかやったらペンライト持って真ん前でオタ芸するね」
「先輩はマジで打てば響く感じ?うちの事務所入ったら楽しいだろうな〜」
こんな感じで…明智の最近の話題は何かと有馬かなという天才子役に焦点を当てたものばかり、初めは楽しく聞いていた、先輩にも好きな物があり、好きな人がいる、普段より高めのテンションで語ってくる先輩に対してほっこりした気持ちを持っているのも認める、でも…
ぶっっすぅぅ〜〜と机に突っ伏し女優とは思えない顔で不貞腐れるアイ
(口を開けばすぐ先輩、先輩…私だって芸歴で言えば先輩の先輩なんだよ?)
理屈ではわかる、明智の感情はシンプルに推しとして有馬かなに向けられていて、それと才能がある人間が周りのせいで潰れてしまう、その気持ちも分かるからこその入れ込み…
そして相手は小学生、恋愛的な意味合いではないことなんて理解はできている
が
感情ではそうはいかない
(私だって伝説のアイドルって言われるぐらい凄いのにさぁ…私の時は全然そんなの無かったじゃん…ばーか)
そうやっていじけてはいても何も進まない、でもどうやってそれを伝えれば良いのか、小学生相手に張り合って私の方が凄いから私の事推してよなんて言える訳もなく
「いってきまーす」
仕事に向かうアイに双子は行ってらっしゃいと見送ってから作戦会議を始める
「どうしようやっぱり伝えた方がいいのかな?」
「まぁ…一応有馬から聞いた話だとアイについてよく話してたらしいんだよ」
「えぇ…でも明智って普段全然ママについて話さないじゃん」
「まぁ…本人の前では恥ずかしいんじゃないのか?」
そんなものなの?私だったら絶対目の前で褒めちゃうけどな〜と言いながらミヤコのスマホを弄ってると
「あ、見てお兄ちゃん」
「ん?なんだこれ?」
明智の現場の休憩中の写真らしく、そこには笑いながら台本を見ている明智と、恐らく怒鳴りながら、でも楽しそうに明智にムキになってる有馬かなの姿が写っていた
「随分楽しそうだな」
「でしょ?ママ以外のメスに乗り換えようとしてる…」
「ルビィ小学生だから、普通にないって」
「いーやあれは完全に恋する乙女だった」
「お前恋したことあるのか?」
「そ、それは…まぁ…大人のレディですし?」
明らかに嘘わかる下手な演技
会話の途中になにか気づいたのか
「お前はアイと明智の交際に反対だと思ってたけど、いつの間に応援してたんだな」
「え!?、ま、まぁ…明智は性格悪いけど…まぁ、いい人っていうのは…分かってるし…」
ま、まだまだママの隣に立つにはふさわしくないけどね!!
と照れ隠しのように声に出して
「というか、明智ってアイのこと推してるってことになるのかな?」
「どうだろう?そういえばそんな話したこと無かったな」
「サインはbは完璧に踊ってたよ?」
「でも明智だいたい何でもこなすからなぁ…」
「そういえば、明智がアイの真似した時世界で一番見てるとか小っ恥ずかしいこと言ってたよ?」
「あぁ、言ってたな」
「明智がいくら何でも出来るからって一瞬見ただけでその人になりきるってできるのかな?」
「どうだろう?」
2人で考え込み
「明智ならやりそう…」
「確かに…」
「何とかして本心を聞き出さなきゃ!」
う〜んと2人とも唸り考え込む
「そういえば、前に明智のスマホの画面を見た時、いつもの役者としてのアカウントのプロフィール写真と違うやつだったな」
「どういうこと?」
「つまり、違うアカウントを持ってるってことだよ」
「あぁ…なるほど、じゃあママのことを推してるならもしかして」
「そのアカウントに推し活の何かが見えるかもしれない」
「それをママに見せれば良いんだね!」
そこでひとつ欠点に気付く
「でもさ?どうやって見せるの?」
「素直に見せてくれる訳ないよな」
2人で唸って…明智相手にスマホをバレずに取る…いや、明智相手に何かしようとしてそれを隠し通すことすら難しいのにそんなことができるのか?
その時ひとつ思いついたのかアクアが声をあげる
「あ、1個手はあるぞ」
「えぇ?何?」
「酔わせればいい」
「えぇ…お兄ちゃん…それは」
「正直まともにやりやって明智相手に何かを聞き出すのは無理な気がするんだよ」
それも確かに…と納得してしまう妹
「でも明智相手にどうやって飲ますの?」
「それこそ簡単だろ」
そしてルビィに何かを伝えるアクア
その後
「うっぁぁ…ひっくッ」
すっかり出来上がった状態の明智がそこにはいた
最初は明智もそんなに連続で泊まれるかと遠慮していたが誘われ続けるうちにたまになら…たまにが週に2、3回そのまま増えていき
泊まると言うより住んでいるになり始めてしまう
そしてたまになら良いでしょ?とアイ相手に飲酒を付き合わされるのも普通の対応、そのままアイがいる場所でのみお酒が弱すぎる明智が酔っ払えばあとは簡単
「わ、私…ちょっと先輩のこと介抱してくるね!」
「僕はまだいけるぞぉ…というかお前めがこわぃぃ…やー助けて〜へへッ」
へべれけの状態の明智を目をギラギラさせたアイが寝室にお持ち帰りした
「な?」
「スっっっごい複雑なんだけど!!」
「まぁ…それは俺もそうだけどさ」
兄弟二人はそれぞれ気まずいような、仲が良いのはいいことなのか、と考えながらも気を取り直し
「じゃあ見よう」
「まぁ、ロックとかされてるかもだから」
そうスマホを弄り始めると以外にもロックは掛かっておらず素通りできてしまう
「あれ?明智って案外不用心なんだな」
「まぁいいじゃん、それになんかちょっとドキドキするし!」
ルビィはスパイみたいなことをしていることに興奮し始めてしまい、アクアは冷静にアプリを開き、裏垢を探す
「あった…行くぞ?」
「う、うん…」
謎に心拍が上がり、ドキドキしながら…裏垢の呟きを確認する
裏垢!!
現在では誰もが腹の底に抱えてはいるが周りの人間に吐き出すことの出来ない思いの丈を吐き出すための場所として使われることが多い、他の人間に見られる心配は少なく、自身の思いの丈をありのまま文字として吐き出し消化するために利用されることが多い
上司の愚痴、彼氏の悪口、友達との折り合いが上手くいかないことの不平不満、それらと上手に付き合うためには現代人にはなくてはならない場
そしてこの場合は絶ッ対に何がなんでも本人に伝えられるわけもない思いを発散させる為に使っている物、正直これがバレれば恥ずかしい所の騒ぎではない、
今すぐ携帯を叩き割りこんなもの書いてないと否定し無かったことにしたい程の恥ずかしい代物…天才、超人、いくら才能があろうが人間は人間、そして腹の底に抱えているのは何も悪い面だけでは無い…いい面に置いても人は何かを隠していたりする
ロックの表示があり、フォロー欄もフォロワーも1人も居らず、ただ明智がしたであろうツイートのみが表示されていた
うっわぁ…マジで可愛い…めちゃくちゃ可愛くない?は?なんであいつあんな可愛いの?面が良すぎ
嫉妬心全開でぶつかってきて、人の気も知らないで嘘ついてるとか何言ってきてんのあいつ!?僕がどんだけお前相手にベタ惚れしてるかも知らないでマジでムカついた、誘導されてる感じはあったけど無理だった…男って馬鹿です…
まじか…僕が嘘で丸め込まれて言う通りにしてるんだけど…無理だろあれ…あんなのされたら誰だって従っちゃうよ、はぁ〜まじ可愛い…好き…
びっくりしてたなぁ…でももうちょいスマートなやり方あったんじゃないのか?と自分で考えて思いつくんだよね、でもさぁ?なんかこうひとひねり加えていかないと負けた気になってくるんだよ!!僕は悪くない、でも驚いた時の顔は最高に可愛かった
マジで可愛い…演技も最近上手くなってるし、どんどんレベル上がってくの凄いなぁ…僕も負けてられないな、でもなんか男と距離近くない?いやいや別に気にしないけどね?僕は全然気にしてないけどさ?
ライブに生で行ってペンライトを振り回したい、オタ芸ってどうやるんだ?いやいや…ダメだろ…いやぁ〜でも…くっそ!現地に行けるヤツら羨ましすぎる!!!
延々と、流石に名前は書かれて居なかったが近くにいた2人はこれが誰の手によって書かれ、誰に対して書いて居るのか理解して
「うっわぁ…きつ…」
「だいぶ重たい感情持ってるなあいつ」
結構真剣に引いていた
「え?明智ってヤンデレだったの?普段からこんなこと考えながらママに接してたの?」
「全く態度に出さないで接してたってことか」
えぇ〜と呆れ顔のルビィ、履歴を遡っていくと
「あ、この日ママのライブあった日だ」
「しっかり呟いてるな、ガッツリオタクだわ」
「めちゃくちゃママのこと好きじゃん」
「だな」
「えぇ…これママに伝えた方がいいの?伝えない方がいいの?」
「ど、どうだろう…俺もよく分からなくなってきた」
2人とも何かあれば面白い、程度の考えで人の秘密を暴いてみたが…思った以上のものが掘り起こされてしまいどう扱っていいか分からず困惑している
「まぁ…でも…」
「うん、そうだね」
「「何もしなくてもどうにでもなるでしょ」」
明智裏垢騒動からしばらくたった日
ここ最近アイの機嫌が悪いことは明智にも分かっていて、ある程度の原因も把握している
(ど、どうしよう…いやでも…う〜ん)
天才的な頭脳の持ち主だろうが、好きな人に対してどのように振る舞えば機嫌が直るのかについて真剣に考えてしまうのが恋愛の恐ろしい所、
事務所に顔を出す時は先輩の話題を控えよう、そう考えて事務所に顔を出す
「先輩〜お疲れ様〜」
「お、おうお前もおつかれ」
ニコニコと笑って出迎えてくれるアイをじっと見つめて
(嘘…じゃないな?なんでこいつこんなに機嫌が良いんだ?なんか僕したっけ?いやいや、なんにもしてない気がするんだけど…ん〜?)
アイが嘘の演技をしている様子はなく、なぜかご機嫌なアイを不思議そうに眺めて
「な、なぁ?なんであいつあんな機嫌いいの?」
アクアにコソコソと話しかけると、黙って無言でスマホを見せてくる
それをまだ買い替えてない裸眼の状態で見ると
「いっつもアイさんの話題ばっかり出てくるのよね、私相手に布教してくるもぉがァ!?な、なにふるの!」
「先輩!ほら!早く行きましょうよ!台本の合わせもあるじゃないですか!ね!ね!!」
有馬かなと明智が動画に映っていて、どうやら最近話題のドラマの撮影現場の様子を撮るという試みの一部分、仲の良い2人に対して軽いインタビューのようなものを行っていた、
ああ、そういえばそんなこともあったな〜と考えて…大変な事実に気付く
「あんたって本当にアイが好きなのね」
「まぁ、嫌いな人いないんじゃないですかね?可愛いし、ダンスも上手いし、ライブとかめちゃくちゃテンション上がりますよ?」
呆れながら
「はいはいその話は何回も聞いたわよ、はぁ〜〜」
話しやすさ、明智はあまり友好関係が広い訳では無い、そして何かとアイと明智の2人に注目が集まっている状態で推しに着いて語り初めてしまえば結果は火を見るより明らかになってしまう
その点幼いながらもしっかりとした考えを持っていて、シンパシーを感じている有馬には話しやすく、台本の確認以外にもアイについて語ったりと1度心を許すまで遠いが1度許した相手ならどこまでも信頼する明智の悪い所が全面的に出たところを思い出して
「あ、あぁ、ぁ…」
「先輩?今日も泊まるよね?」
後ろに立ったアイがニッコニコの状態で話しかける
「ゆっくりお酒でも飲みながら…お話、聞かせて欲しいな〜」
そう笑う彼女は、相手を威圧しないように丁寧に対応して、近づいてきた獲物を食べる捕食者のそれだった、
どこか風の噂で聞いたような気がする
笑顔とは捕食者にのみ許された武器であると