「それでぇ?先輩は私のどういう所が好きなのかなぁ?」
「だ…から…さぁ…その…」
「うんうん」
現在星野家ではニコニコ笑顔のアイドルと顔を真っ赤に染めながらなんとか言葉を捻り出している天才の様子があった、逃走防止のため左右に双子ががっちりと付いていて、逃がさないという意思表示は完璧
腹の底打ちまけちまえ状態だった
「ダンスめちゃくちゃ上手いし…周りに対してどう見えたら可愛く見えるとかも考えてて…ターンとかすごい綺麗…だし…」
「うんうん、それで?それで?」
「めちゃ…くちゃ…可愛い…と思った…し…思ってる…」
「へぇ〜先輩私に対してそんなこと思ってたの〜」
きゃ〜〜〜と大変ご機嫌な様子
「も、もう良いだろ!?勘弁してくれよ、なにこれ?公開処刑?」
「だーめだって他の子に対してはもっといっぱい言ってたよね?ほら、他には?」
「歌が…上手い…たぶん計算で入れてる部分もあると思うけど…可愛い…ウインクのタイミングとかバッチリだし…というか顔が強すぎ…演技も上手くなってて…その…」
「あとあれでしょ?他の男が近寄ってるのがなんだっけ?」
「えぇ?何それ〜?」
「はぁ!?ルビィ!?な、なんでそれ…」
「ほら、早くゲロっちゃえよ、もっと素直にやれば良かった所とか言えよ」
「アクア!?お前ら…!!」
裏垢の内容を見ている双子からさらに追撃が入る
「その…あの…ドラマ撮影の時…ちょっと…ちょっとですよ?なんと言いますか…はい…その…」
「えぇ?なーに?私に分かるように言って先輩♪」
ウッキウキ、前まであれだけ天才子役相手に張り合っていたのが嘘のように今までで最高の笑顔を見せる
「ち、近いなぁ〜って…」
「距離近くて嫉妬したんでしょ?」
翻訳家みたいに的確なタイミングで援護という名の追撃を行うルビィ
「お前ら双子はまじで後で話がある…」
もう勘弁してくれ…顔を覆って机に突っ伏す
完全に白旗を上げて降参の意思表示
「もぉ〜私が取られるとでも思ってるの?先輩可愛い〜〜♪」
「うるっっさ!まじでお前は自分の可愛さ自覚しろバカ!こっちがどんだけお前のこと好きかも分かってないだろバカが!あ〜!そうですよ嫉妬しましたよ!あの程度で嫉妬するぐらいお前のこと好きだよばーか!!」
「……………う……うん……気を付けるね…」
「〜〜〜〜〜ッッ!!!!!」
もう我慢の限界!と言うふうにぶちまけ終わって、アイのガチの反応にしまった、と思った時には既に遅く、お互い赤鬼ぐらい顔を真っ赤に染めてる停止してしまう
「先輩だってす〜ぐ他の子に優しくしてさ!最近すっごい距離近いじゃん!ドラマ撮影の時も距離近すぎるの何回か見たよ私!」
ダンっと机を叩いてこちらにもあると立ち上がって
「は、はぁ?まぁある程度態度は柔らかくしてるけど…」
「それ!ぜんっぜんある程度じゃないじゃん!先輩かっこいいくせになんですぐ顔近づけるの!あと何でもかんでもその人のことが分かるからってさ!す〜ぐ飲み物差し入れしたり!体調気遣ったりしてさ!それが全部当たっちゃうんだもん!そんなの好きになっちゃうでしょ!」
「は、はぁ!?普通に心配したりとか、ある程度好意的に見られた方が都合いい場面あったりするからだから!」
「へぇ〜じゃああの子役ちゃんにもそう見られたかったんだ〜」
「先輩はシンプルに僕の推しだから優しくするんだよ」
それ!それが!!と机をバシバシ叩きながらヒートアップ
「そういうのが女の子一番キュンってきちゃうの!周りの誰にも理解されないのにある日突然全部理解して、しっかり自分を見てくれるって!白馬に乗った王子様みたいじゃん!!」
「そんっっな小っ恥ずかしいものになった覚えはない!!お前だって誰これ構わずにこにこしやがって、お前みたいに可愛い子に笑いかけられたら男なんて即堕ちだろうが!!」
お互いアイの言い分の時にはルビィがうんうんと頷き、明智の言い分の時にはアクアが頷く…これはもう…男女間の戦いになって来ているのである
「違います!やっぱり現場に来るんだったらニコニコしてて機嫌良さそうな子が来てくれた方がみんな嬉しいでしょ!それだけ!」
「はぁ〜?自分の面1回鏡で見てこい!どんだけ顔面強いか自覚無いのかマジで!おまえに微笑みかけられたら男なんて絶対すぐ好きになるわ!」
「そっちだって!」
そんなふうにいつまで経っても終わらず、痺れを切らしたアイがルビィを連れてお風呂に入ってしまう
「はぁ…はぁ…な、何してるんだ僕」
「夫婦喧嘩だな」
「そんなことしてたのか…僕…」
そこまで絆されたことに対して軽く笑って
「ちょっと話せる?」
「俺と?何の話?」
「ちょっと真剣な話しようぜ、アクア…いや」
吾郎先生
そう呼びかけられたアクアは驚きのあまり固まってしまう
「いつ…から…?」
「結構前から、確証は得られなかったけど」
ベランダでタバコを吸いながら
「それで?俺と何の話がしたいんだ?」
「僕はあんたに救われた、なのに僕はあんたを救えなかった…気付いた時には既に…」
「それに関しては気にするなよ、死んだのを気にしてないって言うと嘘になるけど、あの時は俺も馬鹿な真似したと思ってる」
「ほんっっとだよ、どーせ暗闇の中スマホの明かり頼りに突っ込んだんだろ?」
ぐっぅとなんで見てないのに見たように言ってくるんだよこいつ…という顔で
「それでさ?もう場所の検討もついてるけど、見る?」
「いや…別にいいかな」
「一応父親に言えばメディア関係に載せないとかもある程度なら融通きくけど?」
「いや、お前の父親って何者だよ」
苦笑いしながらタバコの煙を空に吐き出す
「まぁちょっと権力あるだけのおっさんだよ」
「ちょっとではないだろ」
それで…
「これだけじゃないんだろ?話って」
「………実行犯に関してはもう終わってる…裏で操った奴も分かってる」
「恐らく俺たちの父親だろ?」
「流石に察しがいいな…まぁ…正直余裕でなんとでもなる…けど許して欲しい…とは言わない…ただ、あいつにチャンスを与えてやって欲しい」
「チャンス…?なんでそこまでお前が肩入れするんだ?」
煙草を灰皿に押し付けて、アクアの目を見つめて
「僕は運が良かった、強くて優しい母親に生き方を教えてもらった、だから今の僕がある…あいつは運が無かった僕なんだ、あいつを見捨てたら僕は自分自身を見捨てることになる…」
だから頼む…頭を下げて…お願いする
「僕のことをぶん殴ってくれても構わない…アイやその周りに近づくなって言われても構わない…でも…あいつをなんとかしてやりたい…頼む」
そう明智は頭を下げる
納得させるための手札も、収めさせて気づけば納得させられるような話術も持ち合わせている明智が頭を下げる、なんでも出来て全てを自分の思い通りにできるはずの怪物が頭を下げて頼み込む
「正直許せない…俺を殺したって言うのは正直そこまでだけど…でもアイを殺そうとしたのは許せない」
でも…
「アイを大事に思ってるお前が、自分の好きな人を殺そうとした奴を許すそうとしてるから…」
「許しては無い、反省はさせる、正直死ぬほうが楽だと思うよ…普通に優しい人間だったら」
「アイはお前のおかげで救われた…後悔しないで済みそうか?」
「……あぁ、ちゃんとしっかりやれそうだよ…吾郎先生」
「じゃあ…お前を信じるよ」
ありがとう…そう言って下げた頭を上げる
「仏は手厚く弔うよ」
「この場合俺は葬式に出席した方がいいのか?」
「ぷッ…知らねーよ」
「だな」
そう言って笑い合う
「ぁ、一応ルビィの前世も分かるけどどうする?」
「それは本人から聞いた方が良いだろ」
「たしかにな」
遠くからお風呂入っちゃいな〜と言われ
「裸の付き合いしますかぁ吾郎先生」
「別にいいけど外でその呼び方やめろよ?」
「分かったよ女たらし」
「ちげぇよ!女遊びは程々だから!」
「してんじゃねぇか!」