「あぁーもぉ無理…めんどくさい〜むーり〜なんでこんなことしなきゃなの、おにいちゃん無理ぃ…私無理だよ、絶対的に無理なんだよ〜」
机に突っ伏して項垂れるルビィ、小学校の夏休みの宿題のために机に向かったは言いものの、なぜか部屋の掃除をしたり、無駄にカチカチシャー芯を出したりと無駄な動作を繰り返し、気づけば30分は経とうとしている
「ルビィ、さっきから無駄なことしかしてないじゃないか、アイドル志望とはいえ一応勉強はしといた方がいいぞ」
そう言いながらさっさとやることを終わらせたアクアは本を読みながらソファに座っていた
「勉強教えてよぉ…私分かんなぃぃ…」
アクアに項垂れてひっつき虫になるルビィ、あの一件以降とりあえず引っ付いてベタベタに甘え始めているため、なんというかその空間だけハートが舞っている状態になる
「ルビィ、暑いとりあえず離れてくれ、勉強なら教えるから…近いって、いやまじで近いって」
「えぇ〜兄妹ならこれぐらい普通でしょ?ほーら可愛い可愛い妹に構ってぇ〜」
頬を合わせてスリスリ匂いを擦り付ける様はまさにマーキング
「どう思う?」
「いやぁ〜僕はちょっと知らないですね、まぁいいんじゃないですか?美しい兄妹愛って感じで僕感動しちゃう」
我関せずの態度を貫いて違うソファで読書をしている明智に2人の様子を見たミヤコが異常事態に気づいて声をかけるが、
知らない一辺倒
「いやいやいや!おかしいでしょ!まぁ仲がいいのはいいことだけどさすがにあれはおかしいわよ!何がどうなったらああなるのよ!」
「いやぁ〜良いじゃないですか、仲が悪いよりは全然、ルビィ〜お兄ちゃんのこと大好きか〜?」
「ん〜?私おにいちゃんのこと大好き〜将来はおにいちゃんのお嫁さんになるんだ♡」
そうにっこりと笑いかける様子は、獲物を見つめる捕食者の目で、目の星をキラッキラさせながらしっとりと見つめる。
見つめられるアクアはゾクッっと身体を震わせてSOSと目で語りながら明智の方を見るが
「ほら、可愛らしいじゃないですか?小さい頃お父さんのお嫁さんになる〜みたいなもんですよ」
「ま、まぁ…それなら別に」
時間が解決してくれるでしょ
そう言いながらペラペラとページを捲って読書に戻ってしまう
表面上を見ればまったく動揺しておらず、ミヤコも明智が言うなら問題ないだろうと仕事に戻っていく。
そして
いやいやいやいや、どうするの!?あれどうするの!?いやぁ?あれだよ?結構な物抱えてるとは思ってたけどさぁ!?軽く押してみたらそれが奈落一直線に落っこちていく大穴だったって誰が気づける?いや…気づいてたし、正直時間の問題だった気はするよ?でも、でもさ?どーするのあれ?僕は知らないよ?絶対知らないから、関係ありませーん僕には無関係デーすそんな弱った子犬みたいな目を向けられても内心ちょっと素直に妹に甘えられて嬉しがってるブラコンのことなんて知りません
嘘であるこの男めちゃくちゃに動揺していた、いずれ分かることは早めに片をつけた方がいいと思い押して見たら、それがまさかの返しのついた罠だった、明智自身予想してはいたが思った以上の豹変ぶりにどうする?どうすれば丸く収まる?と考えをめぐらしている
「よ〜し2人ともこっち向いて〜」
「「?」」
パシャとスマホで写真を1枚撮り、角度を変えて何枚か撮影していく
「まぁこういうのも思い出だからな」
「明智〜可愛く撮ってね?」
「……………」
死んだ魚のような目でじっと明智を見つめるアクアをガン無視しながら任せろ!なんて言ってある程度撮影して
「ルビィ、ちょっとトイレ行くから」
「えぇ、まぁいいか…はーい」
そのまま明智をじっと見つめ、ため息ひとつ明智も同行し
「これどうすればいい!?」
必死だった
「いや…なんというか、諦めて貰うしかないような気がする」
「いやいやいやさすがに駄目だろ!どう考えても駄目だろ!」
「うるせーよ責任取ってやれよ」
「責任ってなんだ責任って!なんもしてないぞ俺!」
「どーせあれだろ?生きる希望与えるために結婚出来る歳になったら考えてやるとか曖昧なこと言ったんだろ?」
「ぐぅぅ…」
図星だったらしくぐうの音も出ない様子
「まぁ、まだ早めの段階に言えたのは幸いだったと思うぞ」
「と言うと?」
「良いか?恋してるって感情は一時的なもので、脳内が起こす化学反応みたいな話があったと思うんだよ」
「脳内の神経伝達物質であるPEAが大量に分泌されるってやつだな」
「そうそう、夫婦円満に続いていくのは凄いことだけど、やっぱり人間そういうのにも慣れていくんだ、これから先ルビィは色んなことを経験して色んな感情を知っていく…その過程でもしかしたら吾郎さんに対する感情は親愛から来るものでは?って思えばこっちの勝ちだ!」
「な、なるほど…だから早めの方が良いってことか」
「そうそう今は身体に心が引っ張られてる状態だ、子供心は粘土ほど変わりやすい…これからだからな」
もしかしたらまだチャンスはある、その希望に近親相姦と言う単語が脳内から薄れていくのを感じて
「でも吾郎さんも注意しないとな?兄妹として産まれたけど価値観はある程度引き継いでるわけだから、その…あれだ…耐えなきゃ行けない」
「はぁ〜あのなぁ?俺にとってさりなちゃんは大事な患者だぞ?そんなこと思うわけないだろ」
何を言っているんだこいつは、という目を向けてあきらながらに
「まぁ吾郎さんなら大丈夫だとは思うけどさ?」
そんな会話をしてとりあえずの安心を得た2人は戻っていく、
そしてアクアが居ない時にルビィから話を切り出させる
「明智…どうやったらせんせは私に堕ちると思う?」
「…………ど、どうやったらって…ど、どういう…?の…かな?」
先程の会話を聞かれたか?と一瞬肝を冷やしたがそういう訳ではなく、ただ単に兄をどうやったら異性として堕とせるかなんて言うのは他の人間には聞けないため妥協で聞いたという話、それに少し安心する…が
「だってさ?正直今の私はちんちくりんでしょ?女の子として意識して貰えるのはまだまだ先だからさ、とりあえず甘えてベタベタ引っ付いてるけどこのままじゃダメな気がするんだ〜」
まさかの正解を引き当てているのに驚きを隠せない明智
今のままでは可愛らしい妹としての地位しか掴めず恋人になることなど出来ないとしっかりと理解している
「ど、どうだろうなぁ?そもそも普通に妹だから、そ、そういう感じにしか見られてないんじゃないのかなぁ?」
言葉を選び当たり障りのない様に伝える、明智史上最も言葉を選び、考えながらの返答
「そうだよね〜だからどうしたらいいのかな〜って?中学生ぐらいになったら布団に忍び込むとか?」
なんて現実的で理性的なプランなのだろう、
いくら兄妹として生を受けたとはいえ中身は他人、身体にある程度引っ張られている節はあるもののそれを何としても攻略しようとする意識がある
「あぁ〜ルビィって本当に吾郎さんのこと好きなんだな?」
「そうだよ、私が1人病室で居た頃にさ、よく私の所に来てくれてたんだ〜あの人は体のいい理由ですサボれるとか言ってたけど…それでも私は嬉しかった…」
それに、私のことを心配してくれてるくせに恥ずかしがって言い訳作って、めんどくさいよね〜
そう語るルビィの顔をじっと見つめる明智
「本当に吾郎さんのこと好きなんだな、ルビィは」
「うん!あの人のおかげで私は光を見れた…だから今度は私があの人に光を見せてあげるんだ、飛びっきりの一番星を!」
そうニコッと笑って
「そういう訳だから明智、私のアイドル活動とこいつどっちも応援してね?明智も一応私のファンって認めてあげる!」
そう言ってアクアに甘えに行くルビィをみて
「いや…無理だろ…ごめん吾郎さん…僕にはどうもできないかもしれない」
ベランダでアクアに懺悔する明智
「と、突然どうしたんだ!?何があった?」
「いやさぁ?だってさぁ?あんなのさぁ?健気やん…愛されてるでぇ?あんた」
「口調変わるぐらいの何かがあったのか…さりなちゃんはそこまで俺のことを…何も出来てない俺なんかを」
「何も出来てなくても、隣に居たんだろ?それで充分なんじゃないの?」
「まぁ…そうなのかなぁ」
当時を思い出したのか暖かい笑みを浮かべて
「まぁ…それかあれだ、誰か他の人と付き合うとか?」
「付き合う?俺が?今の所候補が居ないんだけど」
「有馬先輩とかどう?めちゃくちゃ可愛いし、前にアクアの話題出した時感触は良い感じだったぞ?」
「いや、わざわざその為だけに付き合うとかはしない方がいいだろ」
「ちゃんと付き合いたいって思ったら付き合うとかでいいと思うけどさ?モタモタしてたら食われるぞ」
それを聞いてははっと苦笑いして、いや流石にそれは無いだろ、さりなちゃんがそんなにことする訳ないし
「いっこ怖い話しようか?」
「?」
「僕はなぜか、なぜかアイの前で酒を飲むと速攻で酔いが回って潰れるんだけどさ?」
自分でも理由分かってるだろこいつ…そんな冷たい目はガン無視して話を続ける
「まえドラマの撮影の時にキスシーンがあってさ?まぁ役者やってる以上別に構わないと思って…それで終わって、しばらくして放送したんだよ」
「先輩〜今日はたまには飲も」
「ん〜?まぁ別にいいけどそんなにお酒強くない僕に飲ませて楽しいか?」
「いいのいいの、ほら」
コップに注いで居たのか渡されて、キンっとグラス同士をぶつけて乾杯する
そして飲もうとした瞬間ピタッと明智の動きが止まる
「どうしたの?先輩」
「ん〜?んん〜?」
グラスをじっと見つめ、そこに入れられている液体を眺め…不審そうな目でアイをじっと見つめる
「なーに?」
「いーや、なぁ…グラス交換しない?」
「なんで〜?」
明智は見逃さなかった、今の一瞬ほんの少し、ほぼ一瞬だったが動揺したのをバッチリと確認…グラスの中身を飲まなかったことは正解だと判断し
「これさぁ?なんか入れてる?」
「お、お酒は入れたよ?」
「へぇ〜じゃあ別に入れ替えても問題ないよなぁ?ん〜?」
じっとりとした目でアイを見つめているとだんだん汗を垂らし始めて
「ん〜な、なんでぇ?の、飲まないと氷溶けて味薄くなっちゃうよ」
そのまま誤魔化すようにごくごくと喉を鳴らして一気に飲んでしまう
「ォ〜いい飲みっぷり、ほらもういっぱい行け、おら!流石に舐めすぎじゃ!何入れた!いえ!僕のグラスに何を注いだ!」
「や、やめてぇ!な、なんにも入れてない!ほ、本当だって!私を信じてくれないの?」
うるうるとした瞳で見つめられ…るが
「その誤魔化しがいつまでも通じると思うな!おら!当ててやろうかぁ?睡眠導入剤でも突っ込んだろ!お酒弱い僕がこんなの入れたら速攻でダウンだろうが!」
ぐりぐりとグラスをアイのほっぺたに押し付けながらなんなこんなことした〜?んん〜?
と尋問
「だっ、だってぇ!先輩キスしたじゃん!私の先輩なのにさぁ?私の物でしょ」
「じゃあ普通に言えよ!なんでこう回りくどい感じになるの?ねぇ?シンプルにお前の倫理観が僕は心配、もうお酒飲みませーん」
「ごめんなさぃ…分かった、もうしない!もうしないから〜!」
話し終えてタバコの火を消す
「こんなことがあった…そしてルビィは中身はさりなちゃんでも、アイの遺伝子を継いでる…分かるよね?」
「い、いやいやいや…流石にないだろ…流石に…な?そ、それに…明智だって普通に何とかやめさせたんだろ?」
流されると思ったけど案外頑張れるんだな、と言われると動きを止めて
「ぇ…?おい…まさか…」
「ぼ…僕が負けるわけないだろ…」
「首に赤い痕ついてるぞ」
そう言われると項垂れて…
「無理だよ…何をどうしても勝てる気しないって…」
とっくの昔に白旗をあげていた明智が勝てる訳もなく、あの流れから何故か明智がアイが満足するまで好きにさせると言うことになった…らしい
「お互い…頑張ろうな」
「だな…」
そう2人は遠い目をして暗くなり始めた空を眺めた