毎回ネタがァ…ネタがァ…と言いつつ何となく楽しく書き上げてます
「じゃじゃーん!!どうよこれ似合う?」
グラサンを掛けた明智がテンション高めに帰ってくる
「似合ってるな?なんだそれ買ったのか?」
「いやいやなんか有馬先輩に貰ったんだよ〜ちょうど良さそうなのがあるから送っとくわ!感謝しなさいよね!って」
似てない声真似を披露しつつ、推しにプレゼントを貰えて嬉しいのかニッコニコ
「へぇ〜似合ってない」
「はぁ〜これだからお子ちゃまは〜僕はやっぱり何か身につけてた方がいいんじゃないの?と思ってさ変装にもなるし一石二鳥よ」
「ふぅ〜〜ん」
そう言ったっきり何も言わないで後ろ手で何かを隠してさっさと行ってしまう
「?なんか今日ルビィテンション低いな?」
「まぁお年頃ってやつだよ」
「なるほどねぇ…大変ってやつか」
そんな呑気に会話している2人をよそに
(ちょ〜〜っと高そうなグラサン贈られたぐらいです〜〜ぐにへにへしちゃってさぁ、やっぱりああいうの渡した方が良いよね?
こんなのじゃ全然)
そう思いながら可愛らしいプリントが施された2枚のピンクの手紙を見つめる
小学校の授業で日頃の感謝を両親に伝えようと手紙を書いて見ましょう、そう言う内容の授業が始まり、アイに対してはオタクが推しに送るような長文お気持ち表明が
そして明智には特に思いつかなかった…というより長く書かないでサラッとした物を書いて軽い気持ちで作った
問題なのは書いたはいいものの未だにどちらも渡すことが出来ていないということ
アイは喜んでくれるんだろう…嬉しそうに手紙を読んで、ルビィ愛してると抱きしめてくれる…そう思っている…いや、思っているだけでそんなことはなくてただの願望なんじゃないかと思ってしまう
前のように…
そして…こちらもこちらで、なんというか気恥ずかしいようななんというか
そう考えていたら渡せなくなってしまい
そこに追撃の有馬のプレゼント、恐らくそこそこ値の張るものを渡したのだろう
明智にも似合っていて文面ではあんなことを言っていたけどどうせ何時間も悩んだ末に送ったプレゼントだと言うのは一目瞭然
(はぁ〜どうしよう?渡さないって言うのも変だし、渡した所でって感じがなぁ…)
せめて明智のは文面だけでももうちょっと鮮やかにしようか?と鉛筆を持って紙の前に向かっても出てくるのは楽しかったりムカついたりした記憶だけが出てきて、ろくに文字数を稼ぐことも出来ない
なんとしたものかとため息をついて
(ん〜かなちゃんのに勝てるわけないしなぁ〜どうしよう?んぅ〜というか!なんで私がこんなに悩まなくちゃいけないんだろう?明智の為に…まぁ…感謝してるけど…もぉ〜!!)
頭を掻きむしってああでもないこうでもないと考えては散って、霧散していく
「大丈夫か?ルビィ?」
ノックして心配そうに顔を覗かせるアクア
「せんせ〜どうしよう、だってさぁ?こんなの渡したってさぁ?」
「そうか?別に2人だったら喜ぶと思うけど」
本当かなぁ〜?と言いつつ明智だったらと思う気持ちはもちろんある…けれどそれだけでは無い
「こういうのどうすればいいか分かんないし」
「さりなちゃん…」
思い出すのは母の日…何か出来ることは無いかと考え紙を折っただけの質素な物に感謝の気持ちを込めた文字を綴ったこと
それを嬉しいと言ってしまってくれたけれど果たしてあの時読んでくれただろうか?本当に嬉しいと思ってくれただろうか?
そう思うとこの二通の手紙…血の繋がった母と、繋がっていなくても自身を友達と言ってくれる人に対して送ることが出来なくて…うだうだしては時は無駄に過ぎていってしまう
「それならさ?俺も授業で一応手紙は作ったから俺と一緒に渡すって言うのはどうだ?」
「せんせも書いてたんだ、もう渡してるのかと思ったよ」
少し気恥しそうに頬をかいて
「いやぁ〜実は俺もこういうことしたことがなくてさ、なんか気恥ずかしくてなかなか渡せなくて」
「へぇ〜せんせも恥ずかしくて渡せないんだ〜」
「恥ずかしいとは言ってないだろ、ただちょっと今更になると変だなってだけだ」
2人して困り果ててしまう、前世を含めて普通の人より長生きをしているはずなのに人一倍こういうことには敏感で臆病で何にもまして1歩引いた所で考えてしまう
そんな不器用な2人のことなどつゆ知らず
「はい四角ゲット」
「あぁ〜!ちょっとは手加減してくれても良いじゃん!」
呑気にオセロに勤しんでいた
「なんかさぁ?最近2人変じゃない?モジモジしたり、考え込んだり、なにか言いたそうにしてたけどなんだろ?」
子供の変化に目ざといアイは真っ先に気付いていて、でもそれがなんなのかまでは分かって居ないらしく疑問を浮かべている
「ん〜?悩みたいことぐらいあるんじゃないのか?小学生って子供って言われがちだけどなんだかんだ自分の考えは持ってるだろ」
ん〜そうかなぁ〜?と納得いってない様子のアイに
(まぁ〜おおよそ理由は分かるけどなぁ、こればっかりは僕がどうのこうの出来る問題でもないし)
「果報は寝て待て、のんびり待ってれば良いでしょ」
「ん〜〜ぁ〜!!また負けたぁ〜」
そう言い終わると盤面が真っ黒な状態でゲームが終わって
そしてアイが先に眠ってベランダで煙草でも吸うかとリビングに行くと
小さい影が2つ何やら小声で喋っている
「何してんの?」
「うっわぁ!?」
「きゃ!?!?」
ビクッと軽く飛んで慌てたように何かを隠して明智の方を振り向く
「なんだ明智か…」
「なんだってなんだよ」
失礼〜と言いつつちらっと2人の様子を伺って
「ははーんなるほどねぇ?授業で日頃の感謝を伝えようって手紙書いて、でも恥ずかしくて渡せないって感じか?」
「ゥ…」
「そ、そんなんじゃないよ…」
「別に気にしなくてもいいと思うけどね?あいつだったら2人にそんなことされたら小躍りで喜ぶだろ」
「そうなのかなぁ?」
「そうそう、お前らが考えるようなことなんてあるわけないでしょ」
「そうは言ってもなぁ?」
「こういうのはダイレクトに直接渡した方がいいぞ?枕元に置いたりとか居ない隙にとかやらないで直接顔を見て渡すのがやっぱ最強だよ」
ギクッとやろうとしていたことがバレて肩を震わす2人
「明智もこういうの経験あるの?」
「ぁ〜あるね、母親は喜んでくれるのは分かってたけど父親は喜んでくれるか分からなくてさ?最初僕に興味無いと思ってて、でもまぁ一応恩はあるわけだからと渡したら、手紙受け取ってとっととどっか行っちゃってさ?後でこっそり覗いたら泣きながら手紙読んでて、いやぁ〜あの時は意外すぎる一面見てカルチャーショックが止まらなかったよ」
昔を懐かしむように言って
「自分の推しの意外な一面みたいな〜って感じまでも良いから直接渡してみれば?」
「意外な…一面」
「明智も見せてくれるの?」
じっとルビィが見つめてくる、それを少し意外そうにした後
「さぁ?どうでしょう?」
そう言うと早く寝ないと明日に響くぞ〜
そう言って煙草を吸いに行ってしまう
そして
「えっと…えっとね?ママ…いつも…ありがとう…」
「アイ…その…いつも…ありがとう…」
2人して名刺を差し出すみたいにぎこちないロボットのような動作で手紙を差し出して
「えぇ〜なになに?えっとぉ…」
最初はなんだろう?と
明るく手紙を受け取って読み始めているとそのうちポロポロと涙を落として、ルビィのを読み終わったらアクア…そして
2人に抱きついて…
その先は分からない、明智はただ3人のその様子を写真に収めてベランダでタバコに火をつける
昔を懐かしみながら煙を空に吹いてその顔は嬉しそうな、少し寂しいような顔で
そうやって煙草を吸っているとベランダにルビィが入って来る
「お、成功したみたいだな?良かったな、やっぱり直接の方が良いだろ?こういうのは」
そう優しく微笑むのだがルビィは下を向いてモジモジさせて
「?どうかしたかルビィ?」
そのまま無言でずいっと何かを差し出されて、思わず受け取る
「ん〜?ぁ…」
渡された物が何か一瞬分からなかったが、それがなにか気づくと小さい声を上げて…ルビィはルビィで渡してしまうとさっさと逃げるようにベランダから出て言ってしまい呆然とそのピンク色の可愛らしいイラストの描かれた手紙を見ていると
「明智」
ほら、ともう1枚差し出されて
「お、…おぅ…」
それを少し震える手で受け取ると
「なんだかんだ言いつつ俺もルビィも感謝してる…ありがと…」
それだけ言い逃げてさっさと行ってしまう
学校で使うような紙質、子供が好むデザイン…まるでずっと握っていたかのような皺が少しできていて、これを渡す時を待っていた…
頭はそう思考して手紙を開封して
文字が汚くて短い文章、消しゴムのあとがあることから何回も書き直している
こちらも短い文章で違う点は1発で書き上げはしたが文字の所々に迷いが見えて、どんな言葉がいいんだろう?と悩みに悩んで何とか書いた感じ
必死に脳みそを動かして誤魔化しては居るけれど、それも限界…頭とは関係なく身体は涙腺は勝手に緩み涙を流して手紙の文字を滲ませてしまう
その後明智とアイは双子を連れてくると抱きついた状態で酒盛りを始めて大いにはしゃぎ
笑いながら泣いてぐちゃぐちゃにしながら眠りにつく
「酷い目にあった…」
「ママと明智のテンションがフルスロットルだね」
酔いつぶれたため色々ぐちゃぐちゃの状態ではあったが何とか解放されてため息を1つ
「流石に親バカがすぎるんじゃないかこの2人?」
「明智に関しては私たちの前世知ってるくせにね」
そう言って風邪をひかないようにとタオルケットを持ってきて2人にそれぞれ掛けて
「さりなちゃん良い親に恵まれたな…」
「そうだね…せんせ」
満足そうに微笑んだ