ハリネズミと天才【完結済み】   作:妄言a〜

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心に響く音痴であれ!

 

「はぁ〜はぁ〜ふぅぅ…ど、どうだった明智?」

 

鏡張りの部屋で肩で息をしながら倒れ込むように座るルビィに飲み物をとタオルを差し出す明智

 

「うん、やっぱりダンスは凄いと思うよ?この感じで積み上げて行けば良い感じに仕上がると思う、ただし…」

 

「ただし…?」

 

「やっぱ音痴だよね」

 

「ぐっ…」

 

音痴問題、ルビィは音痴と言われてから多少は練習していたがダンスに熱を入れてしまい結局なかなか練習できず音痴は相変わらずだった

 

「これじゃあまだ野生動物の求愛する歌の方が上手いくらいだね、クジラとか」

 

散々な言われように反論しようとしたが下手なことは自覚しているためベッタリと倒れ込む

 

「だってさぁ〜どうすればいいか分からないし!私はこの状態でアイドルになってストーリーを提供するアイドルになる!!」

 

「まぁ、それも良いけど根本的な問題としてさ?僕じゃなくてもっと専門家に頼れば?」

 

「専門家?」

 

「そ、君の近くにいて一番アイドルとして熟知している人…居るでしょ?」

 

「あぁ!!」

 

そこから話は早かった、娘に頼られたアイはテンションが上がり全力でルビィのサポートに回るようになる

 

「行くよ〜」

 

「んぅ〜」

 

午前6時まだ薄暗い中眠たい目を擦っているルビィとシャキシャキとランニングに連れていくアイ

 

それが終わったら朝ごはんを食べて学校、その後家に帰ってくるなり指定されたメニューを熟す

 

「頑張ってるな〜」

 

暇なのか様子を見に来た明智がペラっとアイが渡したレッスン表を見ると

 

「うっわぁ…」

 

柔軟、振付確認、体力トレーニング、発声練習

 

こと細かに指定されていて明らかに小学生にはオーバーワーク気味な内容にドン引き

 

そこからアイが帰ってきたら振り付けの間違えがないか、ダンスの表現方法、笑顔の作り方をミリ単位で調整…それが続いて、

 

「おーいとりあえず食材の下拵えはしたけどこのまま作っちゃおうか?」

 

「あ、もうそんな時間?ありがと先輩」

 

「いや、それは良いんだけどさ?大丈夫ルビィ?」

 

「え?ぁ…る、ルビィごめんね!?ちょっとママテンション上がっちゃって」

 

「ひゅぅぅ〜〜〜ふぅぅぅぅ…ひゅぅぅぅ〜」

 

どこぞのガスマスクみたいな呼吸をしながら大の字になり、汗だくでぶっ倒れてるルビィに駆け寄る

 

「だ、だいじょ…だいじょび…だよぉ…ママ…ふぅぅ〜〜」

 

「あぁ〜なんか呼吸が凄い不安定になっちゃってるぅ、ご、ごめんねぇ?」

 

「どうする?このままやっちゃおうか?」

 

「ぁ〜私がやる!先輩ルビィのこと見て

て!」

 

「へいへい」

 

そうしてバトンタッチしてルビィの隣に座る明智

 

「どうよ?一日体験してみた感想は」

 

「や…やばぃ…ママやばい…」

 

息も絶え絶えに何とか口に出して、差し出された飲み物を口に含む

 

「まぁ、体格とか年齢的な意味合いがあるから断定は出来ないけど、これが今の所のルビィとアイの差だよ」

 

「私と…ママの…ふぅぅ〜差…?」

 

「形の整ってなかったダイアモンドが全力で磨かれた、だから今のあいつがあるって事」

 

「そういえば…ママって凄かった…仕事終わったら練習して帰ってきたら家のことして…私達の面倒を見てくれて…これをこなし続けたってこと…?」

 

「そうよ、まじで意味わかんないよな、体力お化けって意味でも、精神力って意味でも」

 

そう考えると頭のおかしいスケジュールだろう、いくら斎藤夫妻が手伝っていたとはいえ率先して育児、家事などをこなしさらに振り付けの確認、発声練習、体力トレーニング、

パフォーマンス向上のためのさらなる練習

それらをこなし続けて来たからこそアイはドームに立つほどのアイドルになることが出来た

 

「天才ってさ?どういう人がそう呼ばれるか分かる?」

 

「えっとぉ…ママみたいな人とか?なんでも出来て、人より時間をかけないで何かをやってのけちゃう人?」

 

「僕はね、天才って呼ばれる人種はその人間が最高速度を出し続けている時に呼ばれる言葉だと思ってるよ」

 

「最高…速度?」

 

「天才っていうのは案外ゴロゴロ出ちゃうんだよ、でも天才と呼ばれ続けるのは難しい、有馬先輩だってもう天才じゃないって扱いにされてる」

 

「呼ばれ続けるのは難しい」

 

「天才がトップスピード維持したまま走り続けて、そしていつか天才は伝説に生まれ変わる…まるでアイだろ?あれは天才がやりきった最終ゴール地点」

 

 

「じゃあママって…」

 

「マジで凄いよ?ルビィの目標がどこにあるのかは分からないけど、アイをなぞるのはめちゃくちゃきついよ〜って事」

 

「…明智……もしかしてわざと私がママに頼るように誘導したの?」

 

体力が回復してきたのか起き上がって、明智をジトッとした目で見つめる

 

「?そうだよ?人間早めに壁にぶつかった方が良いからさ?良い感じにボキッて折れた?」

 

「明智って本当に人でなしだよね!」

 

ベチィッと小さい掌で思い切り叩いて

 

「いっでぇ!?、でも、今自分がなんのためにコツコツ積み上げているのかしっかり理解した方が努力の質も上がるだろ?」

 

「それ…はぁ…」

 

正論しか言わないから反論ができない、正しいと思ってしまうから何も言い返せない…ムカつく…結局心のどこかでは明智がなにか間違ったことをするはずないんだと思って信用してしまう自分が居る

 

「レベル上げするのだって強い敵を倒したいからだしね、打倒アイでも目指してみれば?」

 

「はぁ?何言ってるの?ママは完璧なアイドルなんだよ?越えられるわけないし!」

 

「へぇ〜?そう?僕案外ルビィだったら行けちゃうと思ってるよ?それに…」

 

耳元に口を近づけて

 

「吾郎先生に見せるんだったらやっぱアイドルとして輝いてる姿見せたいでしょ?」

 

「ま…まぁねぇ?そ、それはそうだけどぉ〜」

 

ニヤッと笑って立ち上がり

 

「よーし!打倒アイ!!」

 

「ぇ、えぇ…」

 

「ドームに立ってやれ!なんなら親子でドーム立ってみたとかやれよ」

 

「そんな勝手なことばっか言わないでよ!」

 

そう明智に怒るけれど、もし未来でママとドームに立って親子でアイドルをする…それも案外悪くないんじゃないかとそんな未来を想像してしまう

 

そこから明智とアイで調整し、今のルビィにあったメニューを作り、それを効率よく、丁寧に、確実にこなしていくルビを見て満足そうに頷く明智

 

「先輩って本当に口が上手いよね、自分が見たいもののために焚き付けて…ひっどぉ〜い」

 

ベランダでタバコを吸っていると珍しくアイがやってきて非難の目を向けられる

 

「いやいや、本人が望んでやってますからね?僕は強制してないですから」

 

「詐欺師のそれじゃん!別に強制した訳じゃないけどやってくれたら〜とか、みんなやってるよ?って誘ってるんだ…悪い人」

 

ベランダに体重をかけながらうだうだ言い始める

 

「言い方に悪意がありすぎませんかね?偏向報道極まれりって感じ」

 

「ちょっとムカッときたから殴っていい?」

 

「ダメに決まってるでしょ?やめてね?」

 

「じゃあつねる」

 

「結局暴力にはいてててて…」

 

そのまま抓られて頬を引っ張られる

 

「ルビィはきっと凄いアイドルになるんだろうなぁ…」

 

「かもなぁ…痛いんだけど」

 

カラオケで安い値段で個室を借りることの出来る学生や主婦まで広い世代に愛されている施設

 

そこで

 

「ど、どう?」

 

「35点すっごい下手」

 

「グゥ…」

 

「この点数でその顔するな」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「可愛かったから100点!!」

 

「まっまぁ〜〜!!」

 

思わず優しい言葉を掛けてくれたアイに抱きついて…男性陣にあっかんべーをする

 

「いやぁ〜きっちり下手ってこういうことを言うんだな」

 

「下手なアイドルかぁ…基本的におバカ系とコンテンツとして消費されて即座に使い捨てだろうな」

 

「ひっどぉいよぉ…ママ…容赦ないよぉ…」

 

「大丈夫だよ、きっと上手くなるよ、それにほら?変な歌い方で愛嬌あって可愛かったよ?」

 

「へんぅ…」

 

「あ、トドメさした」

 

「アイ…」

 

「ぇ、えぇ!?ご、ごめんね?ルビィ…そんなつもりで言ったんじゃないんだよ?」

 

そこまで言うならと失意の中マイクを握らされる明智

 

「しゃあないな…」

 

なぜか選曲は既にされていて

 

95点!!

 

「まぁ?こんなものかなぁ?音程合わせるなんて余裕よ余裕!」

 

「先輩の歌い方は音程合わせるためだけに音を取ってる感じがします15点」

 

「なんかムカつくから10点」

 

「嫌いだから0点」

 

「君たち全体的に辛辣だよな?そこまで言うならよぉ?やってくれるんですよね?アクアさんでサインはb〜ダンスもお送りします」

 

「はぁ!?ちょ、」

 

文句を言うまに立たされてそして…

 

52点

 

「びみょぅ…43点、でもダンスは上手かった」

 

「うちの子が可愛すぎるので100点です!」

 

「お兄ちゃんの完コピダンス推せます100点」

 

変なパワーバランスが発生しているのか酷い扱いの差を受ける明智

 

「もうお前ら双子でユニット組んでアイドルやれば?」

 

「何を勝手なことを言ってるんだお前は」

 

「いいじゃん!アクアとルビィがコンビくんで新生b小町!それいいじゃん!うちの子ならいける!!」

 

「お兄ちゃんと…ユニット…いい!!」

 

「ない!絶対にない!」

 

「今度社長にお願いしてみるね!!」

 

そういうと選曲して歌い始める

 

「行くよ〜サインはb〜〜〜!!」

 

全員100点を出して、こうしてすぎていく

 

そして…この時軽く口に出した双子ユニットが思わぬ形で叶うことになるとは夢にも思ってない、現在全力でオタ芸を披露しているアクアさん

 

(あいつ絶対真剣にやらせようとしてるんだろうな…)

 

遠くない未来そう思う明智だった

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