君は、このソラを飛べる。   作:ボンコッツ

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とりあえず試作投稿。

ウルトラマン好きな友人のために書いた、仮面ライダー好きな作者のウルトラマン二次です。


光の巨人は恋をした。

 

昔々、光の巨人からすると「ああ、こないだのアレね」ぐらいの感覚な昔のお話。

 

歴史の教科書で言えば、安土桃山時代の後期から江戸時代初期にかけての日本にて。

 

夜空を駆ける『赤い彗星』が目撃されたことがございました。決してシャアではございません。

 

人々は『まさか凶兆か!?』と恐れおののいたものの、結局地鳴りも洪水も起きず、そのうち忘れ去られていきました。

 

そんなある日、日本のとある町にて、一人の大柄な青年が手配師*1の元を訪れます。

 

『光ノ助(コウノスケ)』と名乗った青年は、背丈が六尺*2はあろうかという大柄な体躯の持ち主。

 

力持ちかつ忍耐強く、朗らかで明るく、上司や同僚にも好かれる良い男として評判になりました。

 

流れ者かつ、時折奇人変人じみた行動をするものの、それ以上に誰かを思いやる気持ちが印象に残ったのです。

 

 

さて、そんな光ノ助にも、当たり前のように春が訪れます。

 

この町で仕事を始めてから4~5年ほど経ったある日、隣町への荷運びの手伝いをした光ノ助。

 

普段は牛や馬に引かせる荷物ですが、それらの内2匹がダメになったことで、馬より力持ちな光ノ助が呼ばれたのです。

 

背中にしっかり荷物を背負い、真面目に荷運びをする光ノ助。

 

仕事を終えて街道途中の木陰で休んでいると、不意に目の前に麦茶が差し出されました。

 

 

『お疲れ様、ウチの店に小豆を届けてくれてありがとね』

 

 

差し出したのは、今しがた小豆を届けた茶屋の看板娘である『ミドリ』という少女であった。

 

絶世の美少女かといわれれば、そうでもない。

 

現代なら、マンモス校の1学年で校内かわいい子ランキング作ったら、ベスト10にギリ入れないぐらいのかわいらしさだ。

 

しかし、今まで真面目一辺倒で生きて来た光ノ助にとって、女の子から優しくされる経験すら初めてであった。

 

年頃の男が隣の席の女の子に親切にされただけで好きになっちゃうアレである。

 

好みのタイプは自分を好きになってくれた女、という男は珍しくないのだから。

 

 

そう、例え彼の正体が、齢6000を超える宇宙人だったとしても。

 

地球からはるか遠くの『M78星雲』より訪れた『M78星雲人』であったとしても。

 

宇宙の平和を守る『宇宙警備隊』の一員であり、地球には有給使ってバカンスに訪れたとしても。

 

その瞬間の恋心だけは、種族と星々の垣根を超えるほどに、純粋だった。

 

 

『貴方の眩い笑顔がスペシウム光線になって心臓を直撃しました!結婚してください!』

 

『すぺし、え、なに……?』

 

 

そして、恋心は純粋だけどそれはそれとして真面目系バカであった。

 

自分の正体が光の国からやってきた宇宙警備隊の一員である事も頭からすっぽ抜け、麦茶を貰ったその瞬間、直球でプロポーズ。

 

とりあえずその場は冗談ということで済んだものの、燃え上がった恋心は収まる事を知らなかった。

 

 

『ちゃんとこの星で定職を得て、ミドリちゃんを迎えに行けるようにならないと!』

 

 

お前はもう宇宙規模で公務員だろうが、とツッコんでくれる同僚はこの場にいない。

 

とはいえ、私は宇宙警備隊の隊員なんだ!なんていう自己紹介が江戸時代の日本で通じるはずもない。

 

なんなら現代だってSFと現実の区別がつかなくなった危ない人扱いされるのが関の山だ。

 

なので、光ノ助……いいや、ここはあえてこう呼ぼう。

 

M78星雲人【フォス】*3は、ミドリと結婚するために、それはもう全力で頑張った。

 

後に彼の事情を知った、直属の上司である宇宙警備隊銀河系支部長*4曰く。

 

 

『前々から一つの事に熱中したときのポテンシャルはとんでもないモノはあったが、

 堅物な彼が初恋の相手と国際結婚*5するためにソレを発揮するとは思わなかった。

 だが、若者*6がこういう平和な事に熱意を費やす事自体は歓迎したい。

 それはそれとして結婚式のスピーチは任せてくれ

 

 

というコメントを残している。

 

ちなみに結婚式のスピーチは、支部長の兄弟たちからのアドバイスを参考に返答した。

 

具体的には『アイツのスピーチはクソ長いからやめとけ』と言われたので丁重にお断りした。

 

初代ウルトラマンはションボリしていたが、M78星雲人基準でも『長いスピーチ』とか地球人の結婚式でやっちゃいけない長さなので当然である。

 

宇宙警備隊の業務も、引継ぎをしっかり終えて惜しまれながらも円満退職。

 

はれて戸籍無しの無職の地球人になった彼は、元上司に怒られない程度のM78星雲人パワーを使いつつ、就職活動に明け暮れた。

 

そうして見つけた駕籠舁*7の仕事を、人一倍どころか人十倍、一生懸命に頑張りました。

 

当然仕事の合間には必ずミドリに会いに行き、恋文や贈り物を送ることしばらく後……。

 

 

『まずい。このままだとミドリだけ寿命でポックリ逝ってしまう』

 

 

数々のアプローチによってミドリとの婚姻が決まったその日、光ノ助/フォスは重要な事に今更気が付いた。

 

M78星雲人の寿命は数十万年、そもそもフォスだって約6000歳だ。

 

100歳行けば大長老、そも、人間50年な時代からすればオーバーキルな寿命差である。

 

とはいえ、ミドリを無理矢理延命するような事は出来ない。

 

何をどう考えても光の国*8の法を大量に破ることになるからだ。

 

そうなったら元上司達も庇ってはくれないだろう。神前式に親戚枠で参加する気マンマンのようだが、その勢いで全員から袋叩きにされる。

 

……だが、ここで元々『真面目な勉強家の新入隊員』だったフォスの知能が、この状況を何とかできる『裏技』を思いついた。

 

これだ!これしかない!良い考えだと自画自賛しながら、元上司である銀河系支部長に連絡を取り……。

 

 

 

 

『考え直せ!!』と切羽詰まった声で言われながらも、フォスの覚悟は重く、それ以上に決意は固く。

 

最後には折れた支部長と、さらにその上……宇宙警備隊隊長『ゾフィー』の許可を得て、フォスは『己のアイディア』を実行し……。

 

それから100年後、フォスは『あるもの』を後世に託して、M78星雲人としてはあまりに短い生涯を終えた。

 

 

 

そう、これは『プロローグ』に過ぎない。

 

茶屋の娘に恋をした、変わり者の光の巨人の物語はここで終わった。

 

次に物語が動くのは、数百年後の現代日本……20XX年の某地方都市。

 

『怪獣』や『宇宙人』はフィクションの中の産物だと思われている、この星に。

 

四つの【邪悪なる意思】が飛来し、この美しい星を悪意で汚すために暗躍を始めた。

 

その時、かつて光の巨人が地球人と愛し合った事で生まれた子の子孫が……。

 

 

祖先の遺した希望……【ベータカプセル】を手にした時、物語は動き出す。

 

 

*1
現代で言うとハロワか派遣会社。

*2
約180㎝

*3
ギリシャ語で『光・照らす・輝く』等の意味。

*4
俗にいう『初代ウルトラマン』。

*5
ウルトラマン的にはクソマジメな部下兼後輩がいきなり名前も聞いたことない国の人と結婚するとか言い出した、ぐらいのお話らしい。M78星雲側からすると、地球は『美しい星だけどすんげー後進の非文明国』。

*6
フォスは約6000歳。ウルトラマンゼットが約5000歳で宇宙警備隊の新人なので、約6000歳の彼は『やっと業務に慣れて来たぐらいの新人』ポジション。初代ウルトラマンは約2万歳なので、彼からすればどっちも新人だが。

*7
かごかき。時代劇等でよく見る駕籠(かご)を担いで運ぶ仕事。現代で言うタクシー。

*8
M78星雲にある、ウルトラマン達の出身地である国。





とりあえずウルトラマンスキーな友人&読者たちの反応を見つつ、続きを微修正&加筆していこう!(日和見)
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