原作改変あり。
side火野有美
『生徒のみなさんにご連絡いたします。先ほど全ての生徒宛に学校から連絡事項を記載したメールを送信いたしました。各自携帯を確認し、その指示に従ってください。また、メールが届いていない場合には、近くの教員に申し出てください。非常に重要な内容となっておりますので、確認漏れがないようにご注意ください。繰り返します…』
無人島試験終了から3日後の夕方、私が有栖とチェスをしているとそんな放送が流れてきた。そしてその数秒後、スマホから着信音が鳴る。
「案の定、別の試験が始まるようですね」
「そうね…」
また試験かよ。私は忙しいのよ?銃弾に耐えられる肉体を作るために、いつもの10倍以上筋トレとかしてるんだから。その合間に松下を鍛えてるわ。
私は試験に対して少し面倒臭がりながらメールを確認した。
『間もなく特別試験を開始いたします。各自指定された部屋に、指定された時間に集合してください。10分以上遅刻した者にはペナルティを科す場合があります。本日20時40分までに201号室に集合してください。所要時間は20分ほどですので、お手洗いなどを済ませ、携帯をマナーモードか電源をオフにしてお越し下さい』
…特定の部屋に特定の時間で集合するようね。でもこの学年の人数的に同じ部屋や時間帯は無理だから、多少はズラす筈。
「有栖、アンタはどの部屋に何時集合だった?私は20時40分に201号室集ご「私も同じでした」…そう」
何でだろ?とりあえず千早にも訊いてみ「ピロン」…もう来た。
『集合が20時20分に201号室だった。有美はどうだ?』
「七隈くんは何と?」
「同じ部屋で20時20分らしいわ。人によって時間は変わるようね「ピロン」…あら?」
有栖のスマホから着信音が鳴ったので一緒に見ると…綾小路からのメールだった。
『オレは20時40分に404号室集合だった。多分集合時間と場所にズレがある』
同じ時間で、今度は違う部屋のようね。綾小路は違うクラスだから…部屋はクラスによって違うという予測が立てられるわね。
「集合時間や部屋に関しての情報は後ほど整理しましょう」
「そうね、千早に返信する……あ」
チェスをしてたの、うっかり忘れてたわ…しかもチェックで。どうしよ…こ、このコマをこう!
コトン
「…貴女ちゃんと考えました?チェックメイトです」コトン
ノォォォォ!
ー20時30分ー
10分前行動は大事ということで、私は早めに部屋へ移動していた。隣には有栖が杖なしで歩いている。
「アンタ、ほとんど杖をつくことがなくなったわね」
「練習したので」
「…そう」
相当練習したわね、多分…お?
ぞろぞろ
廊下の向こうやエレベーターから見覚えのある生徒たちが出てくる。
葛城、帆波、翔、綾小路、平田、櫛田…各クラスのリーダー格が揃ってるわね。
そう思っていると、私の視線に気付いた葛城がこちらに来た。
「火野と坂柳…お前たちもこの時間で集合なのか」
どうやら葛城も何かに勘付いているようだ。
「そのようですね。どうやら各クラスの主力生徒が集まっているようです」
「一体学校側は何の魂胆でこんな事を…?」
葛城は少し困惑してるけど、まぁ…
「ソレは部屋に集合してみないと分からないわね」
「それもそうだな…坂柳、今回の試験も勝つつもりなのか?」
「もちろん」
勝ちにいかない理由がないわ。
「分かった。俺はできるだけの事をしよう…先に入っている」ガチャッ
そう言って葛城は部屋の中に入っていった。私達も用がないので入ろうとするが…
「やぁ、火野さん」
背後から声を掛けられたので振り向くと、今度は平田と櫛田がこちらに来た。2人とも私を命の恩人のように見ている。…見覚えはあるけどそんな目で見ないで欲しいわね。
「先日、綾小路くんと一緒にいるのを見たんだけど…」
「」ギクッ
櫛田の発言に何故か202号室に入ろうとしていた帆波が反応する。…あの現場には帆波もいたわね、ぐったりとしてたけど。もしかしてぐったりしてるのを見られるのが恥ずかしいのかしら?…まぁいっか。
「偶々一緒にいただけよ」
「………」コクッ
少し離れた所にいる綾小路が無言で頷く。アンタには話してないんだから部屋に入ってなさい。
「…そっか、なら気にしないよ」
絶対気にしてるわね…でも大丈夫よ、綾小路は裏切るつもりなんてないから。私の某腋巫女並みに鋭い勘が言ってるわ。
…っと、そろそろ集合時間ね。
ガチャッ
私達はそれぞれ部屋に入った。
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
部屋には葛城とBクラス担任の星之宮先生がいた。用意されていた椅子に座ると、先生が話を始めた。
「Aクラスの葛城くん、坂柳さん、火野さんの3人だね?それじゃあこれより特別試験の説明を行うよ〜」
…何というか、あざといわね。
「今回の試験では、一年生全員を干支になぞらえたグループに分けて行うの。そして試験の目的はシンキング能力を問うものとなってるんだ〜」
確信。この人あざといわ。ちょっとキモい。(辛辣)
それとシンキング能力って、つまり考える力でしょ?頭を使うタイプか…私が出る幕じゃないわね。
「社会人に求められるものは基本的にアクション、シンキング、チームワークの三つに分けられるんだよ。この前の無人島生活ではチームワークに比重が置かれていたけど、今回はシンキングが必須となる試験…ってこと。ここまでで質問はあるかな?」
しーん
…質問は無かった。先生はそのまま話を続ける。
「ここに居る君たち3人は同じグループで、今この瞬間から、別の部屋でもお前達と同じグループとなる生徒たちに同じ説明がされてるよ。人数はクラス毎に3、4人だね」
じゃあ私達のグループは今402、403、404号室にいるのね。…全員リーダー格なのには理由があるのかしら?後で訊いてみよう。
「そして君たちが配属されるグループは『竜』。ここにそのメンバーリストがあるよ。これは退室時に返却させるから必要性を感じるならこの場で覚えておいてね」スッ
先生はそう言ってハガキサイズの紙を渡す。
Aクラス:葛城康平 坂柳有栖 火野有美
Bクラス:一之瀬帆波 神崎隆二 高宮志郎
Cクラス:椎名ひより 椿雪 龍園翔
Dクラス:綾小路清隆 櫛田桔梗 平田洋介 堀北鈴音
……よし、質問sh
「先生、質問です。何故各クラスの主力生徒がこのグループに集まっているのでしょうか?」
有栖に先越された!?そう驚く私に対して…
「………」ニヤリ
有栖は『計画通り』と言わんばかりの表情を見せてきた。側から見たらメスガキが『ざぁこ、ざぁこ』って言ってるような感じでうぜぇわね。
「うーん…ソレについては答えられないかな?」
「…分かりました」
答えられないタイプの質問だったようね。確実に裏があるとして…竜グループがこの試験の目玉になるのかしら?
「最初に言っておくけど、今回の試験では大前提としてAクラスからDクラスまでの関係性を一度無視して。そうすることが試験をクリアするための近道だよ」
先生のその言葉に私は何かに勘付く。有栖と葛城も気付いたようだ。
「今から君たちはAクラスとしてでなく、竜グループとして行動をすることになるよ。そして試験の結果の合否はグループ毎に設定されてるんだ」
じゃあ結果が合計12個出るってことか。
「特別試験の各グループにおける結果は4通りのみで、例外は存在せず必ず4つのどれかの結果になるように作られてるんだ。分かりやすく理解してもらうためにも、結果を記したプリントも用意してあるよ〜。ただし、このプリントに関しても持ち出しや撮影は禁止されているからこの場でしっかり確認するようにしてね」
そう言って先生は私達にそれぞれ紙を渡すが…何これ、ちょっとクシャクシャになってるんだけど。さては前のグループにも渡したわね。
どれどれ…
ーーー
夏季グループ別特別試験説明
本試験では各グループに割り当てられた『優待者』を基点とした課題となる。定められた方法で学校に解答することで、4つの結果のうち1つを必ず得ることになる。
試験開始当日午前8時に全員にメールを送信し、「優待者」に選ばれた者にはその事実を伝える。
試験の日程は明日から4日後の午後9時まで行う。ただし1日の完全自由日を挟む。
1日に2度、グループごとに特定の時間と部屋に集まり1時間の話し合いを行うこと。
話し合いの内容はグループの自主性に全てを委ねる。
試験終了後、午後9時半~午後10時の間のみ、優待者が誰であったかの答えを受け付ける。なお、解答は1人1回までとする。
解答は自分の携帯電話を使って所定のアドレスに送信すること。
『優待者』はメールにて解答する権利はない。
自身が属するグループ以外の解答は無効とする。
試験結果の詳細は最終日の午後11時に全生徒にメールにて伝える。
結果1:グループ内で優待者及び優待者の所属するクラスメイトを除く全員の解答が正解していた場合、グループ全員にプライベートポイントを支給する。優待者は100万プライベートポイント、優待者以外の者は50万プライベートポイントが支給される。
結果2:優待者及び所属するクラスメイトを除く全員の答えで、一人でも未解答や不正解があった場合、優待者には50万プライベートポイントを支給する。
結果3:優待者以外の者が試験終了を待たずして答えを学校に告げ正解した場合、答えた生徒の所属するクラスのクラスポイントに50ポイントを得ると同時に、正解者には50万プライベートポイントが支給される。
また優待者を見抜かれたクラスはマイナス50クラスポイントのペナルティを受け、グループの試験は終了となる。なお優待者と同じクラスメイトが正解した場合、解答を無効とし試験は続行される。
結果4:優待者以外の者が試験終了を待たずして答えを学校に告げ不正解だった場合、答えを間違えた生徒の所属するクラスは-50クラスポイントのペナルティを受け、優待者は50万プライベートポイントが支給されると同時に、優待者の所属クラスは50クラスポイントを得る。答えを間違えた時点でグループの試験は終了となる。
なお優待者と同じクラスメイトが不正解した場合、解答を無効とし試験は続行される。
ーーー
結果は半分優待者が有利で、もう半分くらいは当てた人のクラスが有利か…。どちらが有利かが変わるから記載する場所を変えたのかしら?
「………」
てかコレ、優待者とグループ名に絶対関連性があるヤツじゃん。しかも絶対4クラス全部が結果3を狙いに行くから、今回の試験は短期決戦になりそうね…
「今回学校側は匿名性についても考慮していて、試験終了時には各グループの結果とクラス単位でのポイント増減のみ発表するよ。つまり優待者や解答者の名前は公表しないってことだね。それと君たちが望むならポイントを振り込んだ仮IDを一時的に発行することや分割して受け取ることも可能だよ。本人さえ黙っていれば試験後に発覚する恐れはない…でも、もちろん隠す必要がなければ堂々とポイントを受け取っても構わないよ」
堂々とポイントを受け取ったら相当な煽りになるわね。
「3つ目と4つ目の結果は他の2つとは異なるものだったから、裏面に記載したの。…さて、これで今回の試験の説明は完了したけど、質問はあるかな?」
葛城が挙手する。
「優待者はどうやって決めるんですか?」
いい質問ね。私の予想が正しければある規則性に沿って決めると思うわ。
「優待者は学校側が公平性を期して、厳正に調整しているよ。それと禁止事項についてもよく目を通しておくようにね」
…よし、合ってたわ。仮にランダムだったとしたらクソ面倒な試験になる所だったわね。
ついでに禁止事項確認すると、他人の携帯を盗んだり、他人の携帯を使ってメールしたり…罰が退学なのは重過ぎない?流石にコレでやらかすバカは居ないんだろうけど。
「君たちは明日から、午後1時と午後8時に指示された部屋に向かってね。当日は部屋の前にそれぞれグループ名の書かれたプレートがかけられているから、分かりやすいと思うよ。それと初顔合わせの時は室内で必ず自己紹介を行うようにしてね。室内に入ってから試験時間内の退室は基本的に認められていないからトイレ等は事前に済ませていくように…万が一我慢できなかったり体調不良の場合にはすぐに担任に連絡し申し出るようにね」
そう締め括って先生は部屋を出た。
…さっきのはちょっと区切っても良かったと思います、先生。
「葛城さん、貴方ならどの結果を狙いますか?」
有栖が葛城に質問する。葛城は少し考えた後、返答した。
「俺はできるだけリスクを減らしたい。だから結果1を選ぶだろう…だが他のクラスが攻撃的なので一概にそれが正しいとも言えない」
「…なるほど。有美さん、貴女は?」
私は、とっくに決まってるわ。
「結果3の一択ね。葛城と同じ理由で他クラスに攻撃の隙を与えない為にも…って所かしら?」
「フフッ…どちらも予想通りの返答をしましたね。ですが…葛城さん、貴方は少し考えが変化したようですね」
確かに、入学当時の葛城なら何があっても絶対結果1を選ぶでしょうね。
「…そうだな。俺はこの学校に入学して視野が広がったと思う」
葛城は精神的に成長してるみたいね。有栖は綾小路と再会してから肉体的に成長した。
私は…成長できるのかな?
「有美さん?置いて行きますよ?」
「あ、ゴメン」タタッ
それは、今の私じゃまだ分からない事だった。
平田→親友(原作では自殺する)のイジメを解決される。しかし傍観者の平田は共犯でなくとも止めなかったのは悪いのでDクラス行き。
櫛田→クラスにバレる前にSNSでの愚痴を止められる(その後サンドバッグを提供される)なお学校側にはバレたのでDクラス行き。
竜グループのメンバー、全員各クラスの主力じゃねーか…でもこうしないと展開が思いつかないんです、スミマセン。
次回もよろしくおねがいします。
どれぐらいの情景描写が欲しいですか?
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適当に
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少し詳しく
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詳しく
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とても詳しく