side火野有美
昼休みも終わり、推薦競技の時間になった。私は借り物競争とリレーに参加する事になっている。最初は借り物競争なのですぐ列に並ぶ。少しして全員が並ぶと審判を務める2年Dクラス担任の山崎先生が話を始めた。
「借り物競走では高い難易度のものも設定されている。その場合は引き直しを希望する事も可能だが、引き直すまで30秒の待機を要求する。希望する者はクジを引く地点にいる審判に申し出る事。3名がゴールした時点で競技は終了とする」
ぶっちゃけ悪い物を引いてしまったら私でも負ける可能性が大いにあるわね…まぁその時はその時か。
パァン!
開始のピストルが鳴り、前の列からグラウンド中央にあるテーブル上の4つの箱に手を入れて紙を取り出す。そして出たお題に沿って物や人を求めた。
「教科書持っている人いますか!」
「誰か純金の何かを持ってない!?」
「ちょっと靴貸してくれ!」
……難易度の差おかしくない?
あ、そうだ。今の内に水分補給っと。
「坂柳、ちょっと来てくれないか?」
「いいですよ…きゃっ!?」
綾小路が有栖をお姫様抱っこしてゴールに向かう。有栖の顔はトマト並に真っ赤だ。
「(…私もお姫様抱っこされたいな)」
「1年Dクラス綾小路清隆。『銀髪美少女』というお題に1年Aクラスの坂柳有栖を選んだ」
「…へっ!?」
「ブフッッ!!!」
飲んでいたものを吹きそうになってしまった。何よそのお題!んで何で平然としてるのよ綾小路!
「………合格だ」
「ありがとうございます」
「…///」
山崎先生が気まずそうな表情で合格を告げ、綾小路は有栖をお姫様抱っこしたまま待機位置に向かう。…ん?あ、よく見ると有栖と目を合わせないようにしてるわね。照れてる。
ーーー
ようやく私の列になったわ。私の他に堀北、雪、帆波と各クラスの主力がいる…いや堀北はそうでもないか。
パァン!
ピストルが鳴ると同時に箱に向かってダッシュし、手を突っ込んでお題を取り出す。
…あ、え、ふーん。
「…勝った!」
「えっ、どんなお題!?」
「私以外できないお題よ!」
お題を読んだ私は全速力でAクラスのテントに向かい、千早を呼んだ。
「俺?」
「万歳してじっとして!」
「え?…こうか?」
「フンッッ!」
目にも止まらぬスピードで千早の体操服(上)を脱ぐ。周りは私の奇行に驚いてるけど気にしない!
「は、ちょ──」
「んじゃまた!」
「俺の体操服とかどんなお題だよ!?」
1位でゴールし、先生にマイクを渡されたのでお題を発表する。
「1年Aクラス火野有美、『彼氏の脱ぎたての体操服』というお題にコレを持ってきたわ!」
「ファッ!?」
「何そのニッチなお題…」
「………」
三者三様のドン引きをされた。まぁ普通はそういう反応よね。
「…さっき七隈が君に脱がされたのは見た。合格」
「よっし!」
ーーー
借り物競争は最終的に男子はD、女子はAの勝ちとなった。難しいお題を偶々達成できる状況だったのが幸いね。そして綱引きと二人三脚はそれぞれCとBの勝ち。
最後は待ちに待ったリレー、順番は初手が葛城でアンカーが私だ。
パァン!
4クラスx3学年で12人が一斉に走り出す。前方にはやはり3年、後方に1年がいる感じだ。
「先輩、俺と勝負しませんか?」
「…いいだろう」
私と同じ列の南雲と堀北会長が勝負するようだ。
「火野、俺と勝負してくれ」
「そのつもりで来たし、いいわよ」
「ほう、お前らも勝負するのか?」
「はい。4人でやりますか?」
「そうしよう」
「…んじゃ、本気で行きますね」
「(…あ、まずい。勝負を持ち掛ける相手、間違えたかもしれん)」
ーーー
やがて私達アンカーの番になり、列に並んでバトンを待つ。
「火野、頼んだ!」
「オーケー!」
コレで勝負の準備は整った。
「号令は綾小路がやりな」
「分かりました。よーい…ドン!」
ドォン!
『!?』
衝撃波が発生する…原因は私だ。
「────!」
…よし、ゴール。
「は…?」
「え、何が起きたの…?」
会場は騒然。大半は何が起きたか理解できていなかった。
「…火野、何をした」
数秒後にゴールまで来た南雲が質問してきたが…
「何って、音速で走っただけですよ?グラウンドについてる足跡が証拠です」
音速で走る影響で思いっきり地面を踏み込むため、グラウンドには深さ数センチの足跡が残っていた。
「……先輩、コイツ化け物じゃないですか?」
「…同感だ」
「火野は化け物ではありません、ただ身体能力のリミッターが外れているだけです」
「ソレを化け物って言うんだよ!」
結局、リレーは私達1年Aクラスの1位で終わった。
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全ての競技が終わり、閉会式。結果発表の時間だ。
「では最初に結果を発表する。まず全体の結果だが……赤組の勝利」
2、3年が八百長とかしてたし、妥当ね。
「続いて学年ごとの結果を発表する。後ろの電光掲示板を見るように」
1位 1年Dクラス
2位 1年Aクラス
3位 1年Cクラス
4位 1年Bクラス
「うわ、Dに負けた…」
かなり惜しい点差ね、クソッ。
cpは…こうなった。
A:1140(変動なし)
B:725→525(Cクラスに降格)
C:695→545(Bクラスに昇格)
D:163→213
帆波と翔のクラスが逆転か…cp差は20だし元に戻る可能性は充分あるわ。
こうして見ると白組ことBCがペナルティを総取りし、ソレを逃れたDクラスだけプラスになった感じね。
「最後に最優秀生徒を発表する。1年生の優秀生徒は綾小路清隆…」
「マジかぁ」
私じゃなかった…泣きそう。最優秀も絶対綾小路だわ…
「今年の最優秀生徒は、綾小路清隆!」
ほらぁ、ああ”あ”~。
「千早~、ギュッてしてぇ~」
「はいよ」
くやし”ぃぃぃ。
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side綾小路清隆
「…よし!」
俺は大声でそう叫び、ガッツポーズをした。
火野に優秀生徒の勝負で勝てたというのは、オレにとってそれだけの事だった。
「良かったな、綾小路!」
「ああ!」
コレが、勝利の喜びなんだな…!
ppも結構貰えたし、よし!
「打ち上げで焼肉行こう、オレの奢りだ!」
「えっ、マジで!?」
「よっしゃぁ!」
その後Dクラス全員で楽しく打ち上げをするのだった。
出費?問題なく払えたとだけ言っておこう。
はい、体育祭終了!綾小路の勝ち!
次回もよろしくおねがいします。
有美が千早に会わなかったらどうなっていた?(別に正解はない)
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のたれ死んでいた
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復讐を決意しなかった
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代わりに有栖がそのポジに
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頭脳と肉体のハイブリッド
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その他