頑張りとは、報われるべき願いである   作:ババネロ

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今回の連続更新は今話入れて残り4話です


Area-02「サンクトゥムタワー #お固い #連邦生徒会」

『というわけで、しばらく戻れそうにないんだ』

 

「私も行った方がいいですよね?」

 

『ううん。たぶん大丈夫。本当にまずくなったら呼ぶから』

 

「うーん、わかりました。じゃあ、お願いします」

 

 ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部から救援のお願いが来たのが実に1.5週前。先生がそれを受理して、ミレニアム自治区へと行ってもう一週間が経過していた。メールで安否はわかっていたけど、流石に心配になり電話すると何故か先生はゲーム作りに勤しみ、今まさに修羅場中だという。後ろから他の生徒の声が響いていたのでたぶん間違いない。

 

 力になれるかわからないけど向かうか聞いたら、回答は大丈夫の一言。明らかに無理してるし心配なんだけど…頑張ってるとこに水を差すのはと思い、本当に不味くなったらいくことにした。

 

 というわけで私はここ二週間ほど、シャーレで一人お留守番し、先生が処理しなくてはならない書類の整理をしていた。もちろん、決裁者が先生なので私がある程度の処理はできても終わらすことはできない。印刷した書類の束がうずたかく先生のデスクを占領している。

 

「頑張りたいけど、頑張れない…」

 

 シャーレに来て一ヶ月が経過してなんとなく、何をすればいいのかわかってきた。シンプルにキヴォトス全土の生徒たちを助けることだ。頑張れば頑張るだけ、誰しもが笑顔になって私としてはヴァルキューレ時代並に充実してるけど、先生じゃなきゃ解決できないこともある。

 

 私が来る直前に先生が解決したアビドスでの事件もことのあらましを聞いたら先生じゃなきゃ、大人じゃなきゃ解決できない問題だった。けど、そんな頑張る先生を支えるのが今の私の役目で……うむむ。

 

「頑張りすぎてもしょうがないし、ここは先生を信じて待とうよ〜」

 

「ホシノちゃんは頑張らなさすぎ!」

 

「若いなーエリカちゃんは」

 

「同い年だよ?」

 

「いやいや、おじさんはもうダメだよ〜」

 

 先生が絶賛修羅場中なため、不在である連絡ができなかったせいかシャーレの当番の生徒はしっかりきてしまう。今日来たのはアビドス高校の実質生徒会長である小鳥遊ホシノちゃんだった。

 

 ものすごく長くて綺麗な桃色の髪に目のようなヘイロー、ブレザーを羽織らずにシャツとスカートと砂漠地帯らしいアビドス自治区の中で過ごすための格好。そして、三年生とは思えないような幼い姿。とってもかわいいけど、中身は頑張らないを頑張る中年のおじさんのようだった。

 

 本当に生徒会長?ヴァルキューレの時に会った生徒会長ってだいたいすごく偉そうだったけど。

 

「んあ〜〜〜、けど、暇すぎるかもな〜」

 

 ホシノちゃんは来てからほぼ執務室のソファーに寝転んでクジラのクッションを抱いてごろごろしている。当番って、先生の補助だよね?私と同じ仕事をしてるんだよね?いいのかな…?これ。

 

「んも〜、そんな怖い顔しないでって。先生もごろごろしていいって言ってたし」

 

「当番の意味…」

 

「まぁまぁ…エリカちゃんもずっと気を張ってたら疲れちゃうから、一緒に休もうよ〜」

 

 確かに先生が心配だし、書類を処理して疲れてはいたので、ちょうどいいから休憩にしようかな。ホシノちゃんが寝てるソファの対面にもソファは空いてるので、デスクの上に置いていたカップをそのまま持って私もソファに座った。

 

「コーヒーの匂い……それだけで目が醒めちゃいそうだよ」

 

「飲みます?」

 

「うーん、遠慮しとこうかなぁ、夜寝れなくなっちゃう」

 

「さっきまで寝てたよね」

 

「それはそれ、これはこれ」

 

 暖簾のようなホシノちゃんにため息をつきつつ、お茶請けとして私が補充してるチョコレートを手に取って一欠片口に入れる。慣れた甘さに脳が安らいだ感じだ。

 

「そういえば、ホシノちゃんはアビドスで普段何をしてるの?」

 

「普段?うーん、昼寝?」

 

「学校でもそんな感じなの?」

 

「そーだよー、そしてかわいい後輩たちに囲まれて…幸せな老後だ〜」

 

 うへへ、と気の抜け切ったホシノちゃんにもう苦笑いしかなかった。でも、なんだか確かに私の体も力が抜けた気がする。生徒のためなら全力で真正面から頑張る先生の、その頑張りの結果が目の前のホシノちゃんだというのなら、この姿を見せてくれること自体が先生にはとても嬉しいのかもしれない。

 

 私も、そんなふうに頑張りたいな。

 

「そういうエリカちゃんは先生がいない間どうしてたの?」

 

「今、ホシノちゃんが見てた通りだよ」

 

「え、ずっとお仕事してたの」

 

「そうだよ。頑張れば、先生が褒めてくれるからね」

 

「うひー、おじさんは耐えられないな〜」

 

 私の頭にある耳がついぴこぴこする。先生の手は優しくとても撫でられ心地がいいのだ。ホシノちゃんがなんだか生暖かい表情だけどなぜ。まぁいいけど。

 

「よっこいしょ、っと。だから信頼されてるんだねぇ。それが確かめられただけでも今日は来た甲斐があったかなぁ」

 

「え?それはどういう――」

 

 ホシノちゃんが急に体を起こしてソファに座り直して、そんなことを言うものだから聞き直そうとしたら、その言葉の途中でシャーレの固定電話が鳴った。慌てて私は席を立って自分のデスクの電話に駆け寄る。もちろん外線。内線がかかってくることはないからだ。

 

「はい!連邦捜査部シャーレ、草鞋野です!」

 

『お久しぶりです、草鞋野さん』

 

「七神代行ですか?どうされましたか?財務室への急ぎの書類でしたら先ほどメールで」

 

『いいえ、それとは別件です。先生はまだ戻られていませんか?』

 

「はい。ミレニアムへの支援行動中です」

 

 なんだろう。代行がかけてくるのはよくある。先生が忙しすぎて書類のミスが多いので、その修正とか、代行が先生に判断に迷うことがあれば質問したり。書類のミスは私とダブルチェックを最近してるので減ったけど、なら今回は後者かな。

 

『……わかりました。ただ、いずれにせよシャーレに対応してもらう案件です。最終的な判断は先生が行う必要がありますが、事前の調査ぐらいは草鞋野さんでも問題ないと思いますので、来てもらえますか?』

 

 どうやら違ったみたい。けど、調査ってなんのだろう。

 

「サンクトゥムタワーに行けばいいんですね?了解しました。今から向かいます」

 

『はい。それと、その場に小鳥遊ホシノ…アビドスの生徒会長はいますか?』

 

「え?いますが…どうしてそれを?」

 

『先生から最新版ではないですが当番表は頂いています。いるならちょうどよかったです。手続きが省けますので、一緒に来てください』

 

「わかりました」

 

 ひとまず、連邦生徒会に顔を出さなくちゃいけないみたいだ。私は電話を切ると、ホシノちゃんの方へ振り向いた。

 

「ごめん、ホシノちゃん。なんか、連邦生徒会のリン会長代行がホシノちゃんも呼んでるんだけど、一緒に来てくれない?」

 

「えぇ?なんでぇ?おじさんは用がないけどな〜」

 

「アビドス自治区に入らなくちゃいけない用事があるんだと思う。連邦生徒会として」

 

 私がそのように伝えたら急にホシノちゃんのまとってる空気が感じたことのないものになった。とげとげしい、烈しい、焼けるような…そんな錯覚さえ覚える。そうだ、生徒会長はこういう人たちだ。ヴァルキューレのような組織を受け付けない。

 

「へぇ……うん。わかった。じゃあ、一緒に行くよ」

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 サンクトゥムタワーへは私の運転ですぐだ。シャーレには一応備品として車があるけど、先生はほとんど使わないのでほぼ私の専用になってしまっている。ただ、寒い懐事情を反映してか、車自体はかなり前のヴァルキューレのパトカーをレストアしたもので、エンジンの吹け上がりが若干怪しい。

 

「いやぁ、快適なタクシーだったねぇ〜」

 

「乗るなりリクライニング全開に倒す人初めて見たよ」

 

 ホシノちゃんは助手席で即寝入っていた。ヘイローが消えてなかったので目を閉じてただけだと思うけど。今いるのは連邦生徒会の会議室だ。着くなり財務室長の扇喜アオイ室長に書類のミスが減って嬉しいと言われつつ通された。私が来る前は本当にミスが多かったので、頑張った甲斐があって嬉しい。アオイさんは撫でてくれないけど。

 

 ちなみに、ホシノちゃんは会議室に入るなりすぐ椅子に座って机に頬をついてる。さっきまでの威厳がありそうな生徒会長のような雰囲気はどこに消えたのだろうか。

 

「失礼します。お待たせしました。草鞋野さん、小鳥遊生徒会長」

 

 しばらく待っていると七神代行が入室してきた。この前、辞令を渡された時と変わらない様子だ。思わず癖で立って敬礼しそうになるけど、立つまでで止まった。ちらりとホシノちゃんを見ればなんとまだ座ったままだった。七神代行はホシノちゃんのそんな様子は全く気にしていない様子だ。

 

 まぁ、いいのかなぁ。先生に毒されてるな、私。

 

「んあー、ホシノでいいよぉ。あと委員長ね〜」

 

「……確か、対策委員会、でしたか。わかりました、小鳥遊委員長」

 

「よろしくぅ、リンちゃん」

 

「先生の真似をされるのは少々癪ですが、早速本題に入りましょう」

 

 座っていい、と七神代行に手で合図されたので私は席につくと、七神代行はそのまま立った状態で手に持ったコントローラーを操作し、部屋の明かりを落としてプロジェクターを動かした。上座側の壁面に映像が表示される。空間投影型のって確か高いからこういうところはプロジェクターだったね、そういえば。

 

 映されたのはキヴォトス全体の地図、そこからズームされてほぼ砂漠となっているアビドス自治区だった。

 

「今回、シャーレに来ていただいたのはある生徒たちの調査を行なってもらうためです」

 

「え?まさかうち?」

 

「いいえ、小鳥遊委員長。草鞋野さんはご存知でしょう。カイテンジャーです」

 

「ぅえっ、あの人たちですか」

 

 面倒臭い、という言葉を極力言わないようにしてる私でも「げ」っと言って、面倒臭い、と思わずにはいられない名前が出てきた。

 

「なにそれ?おいしそうな名前だねぇ」

 

「小鳥遊委員長、確かにおいしそうですが、あまり楽観できないものですよ」

 

「うえ?どしたのエリちゃん?そんなかしこまっちゃって」

 

「あ、ごめん…ついヴァルキューレの時の癖が」

 

「草鞋野さんが言う通り、楽観できないものです。カイテンジャーは正義のヒーローを自称し、過剰なヒーロー行為で犯罪を犯した生徒とそれを止めようとする生徒もろとも街を破壊する指名手配犯です」

 

 七神代行の言葉に続いて流された映像には、寿司ネタを模したオブジェを頭に乗せた覆面のどうみてもヒーローな五人組が暴れ、街を破壊し尽くす様子が映っていた。頑張るのはいいけど、頑張りすぎて、他の頑張ってる子を邪魔するのはよくない。それに、彼女たちは生活安全局時代に戦ったことがあるけど、普通に私がやられてしまった。個々の技量も決して低くないけど、あのコンビネーションは見事だった。

 

「すごいねぇ……で、あれがなんでうちの自治区と関係あるのかな?」

 

 いつの間にかホシノちゃんがまた烈しい空気を漂わせていた。ただ、今は私も似たようなもの。ヴァルキューレの生徒としては彼らを許すわけにはいかない。

 

「ヴァルキューレ警察学校は常日頃、指名手配犯をもちろん追っています。当然、カイテンジャーも例外ではありません。それは草鞋野さんがよく知っていると思います」

 

「はい。彼女らは危険です。しかし、通常の装備では対抗が厳しいと思います。どこが資金源なのかわからないですが、使用装備にはトリニティ製の高いものも見受けられます」

 

 本当にどこの生徒だかわからないけど、カイテングリーンの使用する武装がトリニティ製で、お高いものなのは見て知っている。一介の犯罪集団じゃまず簡単には手に入らない。トリニティ総合学園は正義実現委員会がそのあたり厳しく管理しているから、取引にお金がかかる……カンナちゃんからそう聞いたことがある。

 

 そんな集団の話を、アビドスの生徒会長の前でしたということは。

 

「あの集団がアビドスに隠れている?ということですか」

 

「その通りです。アビドス砂漠は広く、とはいえ廃墟や山の跡地には隠れられる場所も多数あります。全容は小鳥遊委員長、把握していますか?」

 

「いや、わかんないかな。元々、砂漠化する前でもアビドスは広くて、遺跡とかも色々あるらしいし…砂漠化して街の面影が消えて、余計にわからなくなってるよ」

 

 ホシノちゃんの言う通りなら、潜伏には持ってこいの場所なわけだ。けど、どうしてその探索を今、それも私たちシャーレにやらせるんだろう。

 

 私の疑問をまるで予想していたかのように、七神代行が答えてくれた。

 

「……まだ先のことですが、連邦生徒会長が起案、進めていた“エデン条約”の準備が現在、会長失踪後、独自にゲヘナ・トリニティ間で進められています」

 

「エデン条約?」

 

「ホシノちゃん、ゲヘナとトリニティの仲が悪いのは知ってるよね」

 

「うん、噂じゃあね。とはいってもうち、関わりないからよくは知らないけど」

 

「だから、その両校の関係改善を目的とした、不可侵条約がエデン条約。会長失踪前はヴァルキューレにも会場の警備の話が来てたけど」

 

「…しかし、会長失踪後は連邦生徒会の手を離れ、警備の話も、両校の正義実現委員会・風紀委員会に自動的に移管されています」

 

「ふーん、なんとなくわかったけど。んで、そのエデン条約と寿司戦隊、うちの自治区がどう関係あるわけ?」

 

 一見、全部関係ないように見えるけど、本当になんなんだろう。

 

「カイテンジャーの資金源は長らく謎とされてきましたが、トリニティにあるペーパーカンパニーの口座から、カイテンジャーが使用する装備の購入費用と思しき入金履歴がありました。そして、その引き出し先のATMがアビドス自治区の中だったのです」

 

 それは確かにホシノちゃんに許可をもらわないといけない。基本的に連邦生徒会、ヴァルキューレ警察学校には自治区不介入の原則がある。ヴァルキューレがDU地区やヴァルキューレのお膝元以外で治安活動をする場合は基本的に凶悪犯罪が“起きてから”じゃないとダメで、未然に防止するために介入することはできないのだ。

 

 例外となるのはその自治区を治める学校の生徒会長または同等の権限を持つ者から許可を得た場合。違法送金ぐらいじゃヴァルキューレは動けない。そこを無視できたのがSRT特殊学園だけど、廃校でもう生徒が動けない。そして、ヴァルキューレの装備ではカイテンジャーは抑えられない。

 

 消去法でシャーレに白刃の矢が立つのは当然だ。けど、それでも私しかいないんだから力不足だけど、そこは頑張るのと、あくまで調査って名目だから本格的な対処は先生が戻ってきてからってことだね。

 

「なるほど。そりゃうちの自治区に入らないとダメだね。うん、いいよ。入って」

 

「ありがとうございます。エデン条約は連邦生徒会長が進めていた念願の条約です。当事者たる両校への介入は不可能ですが、不安要素を排除し、せめてお膳立てはしてあげたい、というのが連邦生徒会の過半数の意見です。ですので、シャーレに依頼します」

 

 頑張っている人たちを支えるためのシャーレのお仕事。うん、俄然やる気が出てきた!よし、そうとなれば頑張ろう!

 

「了解しました。七神会長代行。しかし、事前に本官から先生へ情報の共有は行いたく思います」

 

「それはかならずお願いします。それと、重ねて言いますがあくまで調査です。カイテンジャーと遭遇しても無理はせず戦闘は避けるように。潜伏場所がわかれば十分です」

 

「わかりました。代行」

 

 というわけで早速その場で先生に連絡する。先生は秒で出てくれた。忙しいだろうに。

 

『エリちゃん?どうしたの?』

 

「先生、少しお時間いいですか?今、連邦生徒会からシャーレへの支援要請を受けて――」

 

 

 

 

 

 

 

『――以上があらましです。私としては受けたいと思います。先生はどうでしょうか』

 

 エリちゃんからの電話に出た私は聞かされた内容に、ゲーム開発で疲れた脳をなんとか動かすために目を閉じる。エデン条約、というのはリンちゃんからそれとなく聞いたことがあったし、ヒナやヒフミから両校の関係は聞いたことがあったので、なんのためかも理解していた。

 

 まだまだ先のことだけど、それを成立するためのお膳立て。起案してあと少しのところまで頑張った生徒が遺したものをなんとか手伝いたいというリンちゃんたちの想いが伝わってくる。

 

 誰だって、喧嘩のしっぱなしは疲れてしまうから。

 

 それに、カイテンジャーたちもいつかは先生として向き合いたい。

 

「うん、わかったよ。エリちゃん。行っていいよ。でも、約束してね?無茶はダメ。困ったら私を頼ること」

 

『わかりました。私、頑張ります!』

 

 エリちゃん、草鞋野エリカという私の初めての、担任の生徒とも言える彼女は頑張り屋だ。頑張りすぎて、強く慕われ、同じぐらい疎まれてしまう生徒。だから少し心配だ。無茶をしてしまわないか。誰かを支えすぎて潰れてしまわないか。

 

 彼女は誰かを支えてしまえる強い柱のような子だ。来てから支えてもらってばかりだからわかってしまう。そんな生徒を本当は支えてあげたい。今、目の前で奮闘するゲーム開発部のように。

 

「………エリちゃん、ホシノがいるんだよね?変わってくれるかな」

 

『はい?いいですよ。変わりますね――はいはい、先生。久しぶり〜』

 

 変わらないホシノの声に安心する。

 

「ごめんね、空けてて」

 

『いやいや、いいよいいよ〜。エリちゃんにもてなしてもらったからねぇ〜おじさん満足だよ〜』

 

「ふふっ、それはよかった」

 

『それで先生、なにかなぁ?』

 

「ホシノ、お願い。私が来るまで……エリカを見てあげていて」

 

 影でとはいえ同じく頑張りすぎてしまったホシノに、今は頼る。先生としては情けないかもだけど、アビドスのみんななら、きっと大丈夫。先生として、信じたい。

 

『…りょーかい。先生も無茶しないでね〜。それじゃ、戻すよ』

 

「うん」

 

 最後にホシノからエリちゃんに変わってもらう。

 

『じゃあ、先生!行ってきます!』

 

「気をつけてね!エリちゃん!行ってらっしゃい!」

 

 通話をそこで閉じる。今は、目の前の生徒たちに集中しよう。エリカとアビドスのみんなを信じて。

 

 

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