頑張りとは、報われるべき願いである   作:ババネロ

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本作ではカイテングリーン宇沢レイサ友達説を推しています


Area-03「アビドス高等学校 #極限環境 #校舎どこ」

「いやぁ、車壊れちゃったねぇ〜、どうしよっか」

 

「頑張らせ過ぎちゃったね…」

 

 連邦生徒会からシャーレへの支援要請“カイテンジャーアジト調査”の依頼を受けた翌日、早速シャーレの車でアビドスまで向かったわけだけど、アビドス高校にあと30数kmというところで車が悲鳴をあげてしまった。アビドスを襲う異常気象、砂漠地帯のかんかん照りにエンジンがオーバーヒートし、煙どころか火を吹いたのですぐに消火。燃えちゃったので修理もできず、私たちは砂漠のど真ん中で停止してしまった。

 

「うあ〜〜〜暑くてとけちゃうよ〜〜〜」

 

「本当にごめん…ホシノちゃん……」

 

「いやいや、まぁ、しょうがないよ〜、電車で行っても10kmは歩くし」

 

「頑張って歩こっか」

 

「それしかないねぇ〜」

 

 運良くヒッチハイクでも出来ればいいけど、なんて思いながら私とホシノちゃんは砂漠の中を歩くことになった。

 

 

 

――2時間後

 

 

 

「ぁ〜〜〜〜〜〜〜………」

 

「ホシノちゃん!溶けちゃダメ!頑張って!ほら、アビドスの校舎見えてるよ!」

 

「だめだぁ、もうおじさんげんかいだぁ、あついなかうごいてとける〜〜〜」

 

 アビドスの校舎まであと少し、というところでホシノちゃんは溶けていた。いや本当に暑い。私も今すぐヴァルキューレ生活安全局の制服を改造したシャーレ補佐官の制服を脱ぎ捨ててしまいたいぐらいに。SRTでの研修を思い出す極限環境だ。

 

「しょうがない、おぶって…って、あれ?人影?」

 

「ん〜〜〜、天使だぁ〜〜」

 

 アビドスの校舎の方から誰かがかけてくる。よーく見れば亜麻色気味に黄色いカーディガン、カーディガン!?こんな暑い中!?スカートの模様からたぶんアビドスの生徒だろう誰かだ。

 

「ホシノせんぱーい!」

 

 なんというか、あまーい声。優しそうな人。私は事前にチェックしていたアビドス高校の全生徒のデータの中に情報があったことを思い出す。こちらに向かってきているのは十六夜ノノミさん。対策委員会のメンバーで、アビドスの土着企業であるセイントネフティスグループのお嬢様。トリニティに通っていてもおかしくない子だったけど、なぜかアビドスに所属している。

 

 生徒簿から感じた通りのおだやかな雰囲気だ。

 

「ノノミちゃ〜ん、おじさんとけちゃうよ〜〜」

 

「ふぅ、よかった。ほら、ホシノちゃん、頑張ろう!あと少し!」

 

「うへぇ〜〜〜」

 

 なんとかホシノちゃんを引きずって十六夜さんに合流し、私たちはアビドス高校にようやくたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ〜アビドス高校へ〜」

 

 一旦貴重なお水を使ってシャワーを浴びさせてもらい、制服も洗濯しているので乾かす間はアビドスの制服を貸してもらった私はアビドス廃校対策委員会の委員会室へ案内され、さっきまで溶け切っていたホシノちゃんに歓迎されていた。

 

 シャーレでのホシノちゃんとほぼ変わらず、本当に生徒会長とは思えない。むしろ、クールで物静かなシロコさんのほうがそう見えてしまう。

 

「よろしくお願いします、アビドスの皆さん。改めて、私はシャーレ所属、草鞋野エリカです。エリカ、って呼んでください」

 

「よろしくお願いします〜。十六夜ノノミ、です。シロコちゃんからお話は聞いてますよ〜」

 

 十六夜さんはなんだか、この高校の母親のようにも見えた。全校生徒5人だからか、もはやチームみたいで、ニコちゃんみたいなみんなを俯瞰してあげてる子なのかな。

 

「ん、久しぶり。エリカ」

 

「あ、お久しぶりです。シロコさん」

 

 思わずさん付けしちゃうのは初対面のせいか、シロコちゃんは相変わらずだった。

 

「奥空アヤネです!よろしくお願いします!」

 

 赤いメガネをかけて肩までの髪の長さのまじめそうな子は奥空さんというらしい。ヘッドセットをかけてるし、この子がアビドスの後方支援役なのかな。うん、落ち着いてそうだし、いい子だね。エルフの人は久々に見たかも。私自身も含めて、シロコちゃんとかカンナちゃん、FOXの子たちも含めてなんか獣族の子と私縁があるからなぁ〜。

 

 そんなせいか、最後の子もケモ耳だった。

 

「黒見セリカよ。よろしく」

 

「よろしくお願いします」

 

 クルミちゃん思い出すな〜この子。髪も黒髪だし、髪型もツインテで全然似ても似つかないけど。

 

「んじゃ、自己紹介も済んだし、エリちゃんお話おねが〜い。おじさんは疲れちゃったから寝てるね〜」

 

「ちょ、ホシノ先輩も聞いてきたんでしょ」

 

「セリカちゃんごめんねぇ〜、おじさんはもうダメなんだ……う〜〜ガクッ」

 

 なんともわざとらしい演技のあと、ホシノちゃんは机の上においていたクッションに頭を埋めて、ものの数秒後にはヘイローを消した。つまり、ガチ寝である。頑張ったもんね。しょうがないね。

 

「うっわ、本当に寝た…」

 

「よしよし。疲れましたね、ホシノ先輩」

 

 呆れてる黒見さんに苦笑いしつつ、この学校の最高責任者であるホシノちゃんから話していいと言われたのなら、私は責任を持って、シャーレの補佐官として話をしなくちゃいけない。姿勢を正し、私は起きている残りの4人に向き合った。

 

「では、本官からお話します。自治区への介入は既に、七神リン連邦生徒会会長代行および、小鳥遊ホシノ委員長の間で了承済みであり、シャーレへ連邦生徒会より正式に支援要請を受けたものです。本件は先生一時不在により、補佐官である草鞋野エリカに権限一部を委譲されているものです――」

 

 形式的な前口上は一応必要だ。いついかなる時も揺るぎない正義は決してブレることのない、正しいプロセスの元に行使される権利があってこそ。それがあるから私たちヴァルキューレは市民のために頑張れる。私がヴァルキューレにいた頃に、部下たちに伝えていた言葉だ。だから、私はシャーレの補佐官になってもそこは曲げない。

 

 頑張るために。

 

「――依頼の内容は以上です」

 

 一気に依頼の内容を話し終え、四人の反応を見る。シロコさんは頷いていて、特に異論はない様子。十六夜さんは少し考えている。奥空さんは「そんな危険な集団がここに…」と驚き、黒見さんは「すぐに叩き出してやるわよ!」と声を荒げていた。

 

「えっと、黒見さん「セリカでいいわよ」じゃあ、セリカちゃん、調査依頼だけだから、戦うのは避けるよ。先生からも無茶しないでって、言われてるから」

 

「けど、ウチにそんな危ない団体がいるの嫌なんだけど…」

 

「ま、まぁ、セリカちゃんの言うことは尤もですが……草鞋野さん、私も彼女たちの情報は見たことがあります。ですから、代行の判断は正しいと思います」

 

 奥空さんの冷静な言葉に、セリカちゃんは少し落ち着いたようで、納得はしていないが腕を組んで黙ってしまった。

 

「それにですが、私たちの物資は余裕があまりないですから、そんな危険な集団と事を構えて、目をつけられるのは今、避けたいところです」

 

「アヤネちゃん、それなら、協力は賛成しないですか?」

 

「いいえ。ノノミ先輩。シャーレの…先生への協力は惜しみたくはないです。ですから、指示通り、調査のみで、遭遇してもすぐ逃げればいいと思います。成果を得られなくても安全を最優先、ということですから」

 

「それがいいと思う。調査に失敗しても依頼料は入る。そうでしょ?エリカ」

 

「はい。シロコさん。少なくはない額を、シャーレを通して、連邦生徒会より支給する予定です」

 

「ん。全額前払いじゃないのがいいね。信用できるやり方だよ、七神代行」

 

「そんなアウトローみたいなこと言わないでください、シロコ先輩」

 

 奥空さんが思わず苦笑しつつ指摘するけど、まるで適法でない集団への報酬の支払いのやり方なのは確かだ。防衛室で一時期、七神代行にいい噂を聞かなかったけど、こういうのが原因なのかな?

 

「えっと、協力してくれるってことで、いいのかな?」

 

 私の問いかけに、四人は顔を見合わせてから頷いた。

 

「うん。もちろん。エリカは先生の生徒。私たちアビドスは先生に返しきれない恩があるから協力するよ。あと、エリカは先生のために頑張ってるのを私が知ってるから」

 

「シロコさん…」

 

 優しいシロコさんの言葉にちょっとうるってきた。うん、こんなに言われちゃ、頑張らないとね!

 

「なら早速調査に出たいと思います!まずは送金されたというATMを探しに!」

 

「「「「おー!」」」」

 

「うへー」

 

 

 

 

 

 

 

 調査に早速出た私は砂漠の暑さをこらえつつ、歩き続けていた。一緒に来てくれたのはホシノちゃんとシロコさん。状況によっては迅速な撤退をしなくてはならないため、装備がガトリングガンで後方からの重火力支援担当だという十六夜さんは潜入には向かないため待機。奥空さんは役割通り後方からの戦術指揮なので現地には来ず、セリカちゃんは深追いする可能性があるため納得しきっていなかったものの十六夜さんと同じく学校で待機だ。

 

「うへ〜、だからっておじさんもつれてく〜?」

 

「ごめんね?ホシノちゃん」

 

「まぁ、先生に頼まれたからしょうがないけどさ〜」

 

 口調は学校に着く前と変わらず溶けてるけど、私の前を行って先導するホシノちゃんは一切の油断がなく、まるでSRTのポイントマンのようにシールドを片手にしている。

 

「ん。まだ今日は涼しい」

 

「…これで?」

 

「うん」

 

 シロコさんも普段と変わりないように見えて、前にシャーレで銃を突きつけてきた時のように隙が見えない。訓練されたSRTとはまた違うけど、二人ともかなりの実力者なんだね。私が足を引っ張らないように気をつけよう。

 

「おー、見えてきたね。アビドス支線東ウスイ駅だよ〜」

 

 実際のところ、もう5時間ぐらい歩いているけど、ようやく遠くに駅のようなものが見えた。その周りにあったであろう街の瓦礫はかろうじで砂に頭を出していた。なんて荒廃した自治区なんだろう。連邦生徒会に不介入の原則がなければここも少しは支援できたのかな。

 

 頑張っていた人々の痕跡も、砂が全て押しつぶしていた。

 

「昔は峠もある山がみえたんだけどねぇ」

 

「え、山があったの?」

 

「そうだよ〜。けど、影も形もなくなってるねぇ」

 

 駅が近づくにつれ、かつては駅周辺の道だったと思しき痕跡が見えてくる。道案内の看板がかろうじで砂の上に残っていて、確かに周辺地形には小さな山があり、その麓に街があったようだ。

 

 駅にたどり着く、こんなにひどい砂漠化した中で、不自然なぐらいに廃墟として駅舎が残っている。崩れかけのように見えて、明らかに人の手が加わっている。ホシノちゃんが先行し、駅舎の壁につき中を覗き込む。しばらく確認して、人気がないことがわかったのか、手招きしてきた。

 

「うんうん、流石に人はいないね。入ってみようか」

 

「はい」

 

 駅のホーム側から崩れた天井の鉄骨を避けつつ、慎重に内部へと入る。崩れ落ちたら、死にはしなくともむちゃくちゃ痛い思いはしそうだ。

 

「……誰かが道を作ってる」

 

「獣道みたいだねぇ」

 

 シロコさんが言って、ホシノちゃんがそのように評したように、わずかに原型を感じられる駅舎内はごちゃっとしているように見えて道が見える。崩れた廃材もよく見ると、一部は崩れたのではなく、崩れかかった天井を補強する柱として組まれていた。

 

 よほど用心深い人物がここを維持しているらしい。カメラぐらいは仕掛けていそうだけど、内部を確認しないわけにはいかないのが辛いところだね。こういうとき、ユキノちゃんたちがいてくれたらなあ。

 

「……明かりが見えるねぇ」

 

 ホシノちゃんの声に、私たちは警戒度を最大まで引き上げ、静かにゆっくりと廃墟と化した駅を進む。改札はとっくに通り抜けて、駅の通路だった場所だ。押し潰されたロッカーや証明写真撮影用の機械も見える。

 

 そんな中に“ソレ”はあった。不気味なまでに不自然に、綺麗な、稼働しているATMが。

 

「わお。いきなりビンゴ。この付近って言うから怪しそうな建物あたったけど、正解だったねぇ」

 

「調べてみるね」

 

「は〜い。シロコちゃん、私と一緒に警戒しよっか」

 

「ん」

 

 周囲への警戒を任せ、私は注意しながらATMへ近づく。暗い中眩しいぐらいに明るい操作画面を見れば、その機械がどうみてもトリニティ自治区のどこかのATMであることがわかる。こんなとこに置いてお金が出せるのかと思ったけど、学生証を使ってみればそれをICカードとして認証し、入出金の機能も生きている事が確認できた。

 

「ATMの履歴を見れば、誰が使ったかわかるかも」

 

「どういうこと?」

 

「学生証は連邦生徒会の基準で作られて、偽造が相当難しいから、それするぐらいならこうやってATM用意した方が早いってこと」

 

「なるほどねぇ。けど、こうしてバレてるし意味なくない?」

 

「ペーパーカンパニーがわからなかったらこの依頼もなかったから、犯人はバレるのを想定してなかったのかな」

 

「ほへぇ。すごいねエリちゃん、さすが元ヴァルキューレ」

 

「まぁ、ほとんどは公安局の友達の受け売りなんだけどね」

 

「……ん。エリカの前ではやましいことしないでおこう」

 

「そんな毎回してるみたいな――」

 

 雑談を言いつつ、さてどうやって使用履歴を見ようか考えていると、ふと僅かに何かが光ったような気がした。なんだと見れば、ATMに備え付けられた防犯カメラの起動を示す小さな赤いランプが光っていた。

 

「……音声は拾えてるね?カメラの向こうにいる人、私は元ヴァルキューレ警察学校、現連邦捜査部シャーレ補佐官、草鞋野エリカです。このATMは違法送金に使われた疑いがあり、かつここへ非合法な手続きで運ばれた可能性があります。加えて、他校の自治区の無許可占用の疑いもあります」

 

 カメラを覗き込みながら、私は淡々と告げる。駅の中は静寂に包まれている。私以外の声はシロコさん、ホシノちゃんの微かな呼吸音しか聞こえない。

 

「違法送金、特定自治区の物品の窃盗、及び不法占用、以上の疑いからあなたは幾つかの法令を違反している疑いがあります。ただちに所属、氏名、学籍番号、学年を明示する必要があります」

 

 キリノちゃんの顔が頭をよぎる。彼女の頑張る姿は私の中に強く印象にある。私からしても理想的なお巡りさんだ。だから彼女の力を少し借りるように私は告げた。

 

「警告します。

 

 あなたには黙秘権があります。

 

 あなたの供述は法廷で不利な証拠として用いられる場合があります。

 

 あなたには弁護士の立ち会いを求める権利があります。

 

 あなたには自分で弁護士を依頼する経済力がなければ、連邦生徒会公選弁護人をつけてもらう権利があります。

 

 あなたは以上の権利を用いることができ、供述をしないことができます」

 

 果たしてカメラの向こうの人物は――しばしの沈黙のあと、ざらついたスピーカーの奥から発言した。

 

『…そんなふうに警告する人いるんだねー、まるでドラマの中の刑事みたい』

 

 ひどいノイズで、まるでボイスチェンジャーをかけているようにさえ思える声はかろうじて私たちと同じ少女の声に聞こえる。

 

「あなたは誰ですか?」

 

『正体を明かす犯人がいると思う?』

 

「それもそうです。では質問します。あなたはトリニティ総合学園の生徒ですね」

 

『黙秘権あるんでしょ』

 

 ノイズのせいで、それが誤魔化して言ってるのか、それとも本当のことなのかわからない。カンナちゃんならどう尋問するかな。

 

「別の質問です。あなたはカイテンジャーですか?」

 

『黙秘するよ』

 

 反応が早い。一つ目のも…………真実、そうだね、カンナちゃん。

 

 相手はおそらくカイテンジャーの一人、ないしは協力者。そして、トリニティ総合学園の生徒。お嬢様学校として知られるトリニティ総合学園の生徒がこんな真似をするなんて絶対考えられない。トリニティにも不良はいるが学園自治区内に留まっている。

 

 それを逆手にとった、大胆な犯行かもしれない。

 

「いやはや、それにしてもよくもウチにこんなの運び込んだね。けど、トリニティかぁ」

 

 私が次の手を考えていると唐突にホシノちゃんが発言した。何を言うつもりなんだろう。

 

『あなたは?』

 

「ん?私?いやいや、通りすがりのおじさんなんだけどさぁ、おじさん、ちょっと見たことあってさぁ」

 

『おじさん…?……なにを見たって?』

 

「ついこの前、このあたりでさ、トリニティが実弾演習してたんだよねぇ。ありゃぁすごい規模だったね。確か指揮してたのはトリニティのヒフミちゃんって子で、おじさんもよく知ってる子なんだぁ」

 

『…………』

 

「その時に持ち込んでれば…………君が誰だか私はわかるんだよ。そう言ってるんだ」

 

 産毛が全て逆立つような強烈な悪寒が走り、思わず振り向く。そこには暗がりの中で左右に違う、空色と太陽の光がぼうっと浮かんでいた。余裕そうな表情なんて微塵も感じさせない恐ろしいまでに冷たい表情。それを浮かべて、アビドス高等学校の生徒会長、小鳥遊ホシノさんがカメラの向こうの誰かを射殺すように見ていた。

 

『……残念だけど、私はその時の生徒とは関係ない』

 

「じゃあその時の生徒たちは容疑者から外れるってことだね。お巡りさん」

 

「……うん、そうだね」

 

 なんとか返事をする。やっぱり“生徒会長”という人は恐ろしい。

 

「ん。諦めて、正体明かして」

 

『黙秘権があるんでしょ。それに供述をしなくてもいいんでしょ。私はそもそも捕まってないからさ』

 

「はい、そうです」

 

『なら、もういいよね。流石に舐めてたよ、連邦生徒会とシャーレ』

 

「褒め言葉ってことでいいのかな?」

 

『そうだよ。ただし、もうそのATMは用済みだから……まったく、業務時間外に訪ねてきて、いい迷惑だよ』

 

 業務時間外?カイテンジャーって、もしかして組織的というか、給料あるの?そんなツッコミをしようにも、私は突如として自分の体に凄まじい衝撃が走り……崩れていた天井をあっという間に突き抜けて、打撲による激痛、廃材を突き抜けてできた擦り傷に加えて、背に刺さるような暑い日光を受けた。

 

「ごっ…あっ…!?」

 

 そのまま、砂漠の砂の上に叩きつけられ、埋まりかける。咄嗟に立ち上がって拳銃を構え直した。駅舎の天井から何かが飛び出し、そのまま私の前に姿を表す。

 

「………え?なにこれ?」

 

『KAITEN FX-X TYPE:ATM――起動。全くブラック、こんな余計な機能つけて……それじゃあ、私はもうこれで。さようなら。無駄に頑張るお巡りさん』

 

 私を殴り飛ばし、今まさに襲い掛かろうとしていたのは……どうみてもATMが変形し、人型となって何故か切り身の穴子を背負っているロボットだった。

 

 

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