頑張りとは、報われるべき願いである   作:ババネロ

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プロローグ、終わり


Area-01EX「お茶会 #昆布茶 #おやつ #ロールケーキ」

「ねぇ、聞いた?ナギちゃん」

 

「何をですか、ミカさん」

 

「連邦生徒会がさ、うちの生徒が勝手にATMを持ち出して改造して、他の自治区で暴れさせたって言ってきたんだって」

 

「……冗談にしては笑えない与太話ですね」

 

「ねー、うちの子たちがそんな頭おかしいことするわけないのにね」

 

 トリニティ総合学園の生徒会長の一人である桐藤ナギサは、幼馴染であり、友人であり、対抗する派閥の長でもある、己と同じく生徒会長である聖園ミカの、くだらないと一蹴すべき話を耳にして不愉快だった。

 

 自身の学園の生徒は決してそのような最先端の技術を扱うことはない。そこまで“聡明”とは思っていない。むしろ、ある種“愚か”とまで思える。そんな彼女らに、ATMを窃盗し、他の自治区に不法占用し、挙句ロボットに改造して暴れ、他の自治区の生徒に危害を加えるなどできるわけがない、とナギサは思っている。

 

「連邦生徒会は少々錯乱していますね」

 

「けど、これ言ってきたの、元は連邦生徒会じゃなくて、最近噂の“シャーレ”だって言うよ?」

 

「シャーレ……大人、先生と、例の汚職に関わったヴァルキューレの生徒がいるという組織ですか」

 

「だね。なんでも頼れば助けてくれるらしいよ?その汚職だっけ?やっちゃった子も真摯に対応してるから評判悪くないんだって」

 

「よく知っていますね?ミカさん」

 

「だってそう書いてあるんだよね、SNSに」

 

「伝聞だけで、全てを量れるとは思わない方がいいですよ」

 

「もう、固いなー。検索してこれだけ声があるからどれかは本当のことだと思うよ〜?」

 

 裏もなく、人を助ける組織などありえるのか。ナギサの疑念は強まる。シャーレに対しての信用など最初からマイナスに振り切っている。なにせ、あの連邦生徒会長の指示で出来た組織だ。

 

 あの“条約”を提起しておきながら消えた人物の遺したものなど、どこをどうすれば信じられるのか。それがナギサの正直な感想だった。

 

 しかし、とナギサは手元に綺麗に並べられた資料に目を落とす。そこにあったのは機密書類の他に…シャーレへの支援要請の草案と、逆にシャーレから届いた捜査協力依頼だった。

 

「タイミングが良すぎるというのは考えものですね」

 

「どういうこと?」

 

「“事件わらし”という名の通りということです。実際のところ、あのような低俗な記事、信用に値しませんが」

 

「そういう星の元に生まれた子なのかな?」

 

「信じたくはありませんがそうでしょう。そのような“神秘”を持った生徒、ということです」

 

「かわいそ〜★」

 

 シャーレからの文書はこのようなことが書かれていた。

 

 

 

――カイテンジャー調査任務、協力依頼

 

――先の事件により、指名手配犯カイテンジャーには貴校の生徒の関与が疑われています

 

――自治区を跨ぐ重大犯罪であり、捜査への協力を願います

 

――連邦捜査部シャーレ 補佐官 草鞋野エリカ(先生 代筆)

 

 

 

 あのような巫山戯た団体に関与している生徒がいる、それだけで侮辱的であるとナギサは思うが、伝統すら握り潰し、冷酷な判断ができてしまうナギサの頭のどこかがシャーレからの文書を否定できない。

 

「シュレディンガーというわけですか」

 

「どゆこと?」

 

「犯人がトリニティの生徒であるという決定的な証拠をシャーレは示していません。同時に我々も犯人がトリニティの中にいないと証明はできていません。そう、ミカさん。私たちが今直面している問題のように」

 

「………なるほどね。裏切り者がいるって、私たちもわからないもんね。誰なのか」

 

「そうです。ならば、箱を開けなければなりません」

 

「呼ぶんだ?」

 

「えぇ。そして、蓋を開けるのは私たちではいけません。プレゼント箱を用意した者が開けるのは、おかしいでしょう?」

 

「わぉ、ナギちゃん悪趣味〜!」

 

「…ロールケーキとマカロン、どちらをぶちこまれたいのですか?」

 

「うそうそ、素敵〜!」

 

「……はぁ」

 

 ナギサは今一度、シャーレからの書類に目を落とす。

 

 草鞋野エリカの名前は綺麗な筆跡で、疑惑など嘘のような清廉ささえ感じさせた。

 

「(正しさが、全てを救えるとお思いなら大きな間違いですよ。草鞋野エリカ)」

 

 ナギサは過去、偶然目にした新聞記事で、エリカの活躍を目にしたことがある。正しく、公正な権利の行使の結果に、正義がなされたそれはあまりにも眩しく、ナギサの中に強く影を落とす。光の中に立った最前列の後ろは影の中に落ちるしかなく、ナギサはその影の中だった。

 

「(ミカさんのために、私はなんだってしてみせます。やってみせます。たとえ、愛する彼女を切り捨てようとも)」

 

 ナギサの瞳はとうに、その手の中のミルクティーのように、濁りきって何も見えなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

Prologue:正義とは、正当な権限のもとに行使されるべき権利である End

 

 




プロローグ終わり!終わりです!
連続投稿もここで一旦終了。書き溜めます。

★ちなみにプロローグ時点での色んな子からの本作の主人公(エリカ)の評価

先生→一番近くにいる放っておけない生徒。けど、どこか親近感

ホシノ→無理しないか心配。大切にしてくれる人もいるからもっと周り見て

シロコ→空回りするけどいい人

残りのアビドスの生徒→真面目で頑張り屋さん。ホシノ先輩も見習ってほしい

リンちゃん→聖人が過ぎる。壊れる前に先生に救われてほしい

カヤ→来た瞬間に生徒会やキヴォトスで無茶苦茶なことを起こした疫病神。雑用として呼んだだけなのに大失敗。手駒も何故かエリカが来てから動きが悪いので追い出した。コーヒーの趣味は合ってたので仲良くなれなかったのが残念。

サンクトゥムタワーの守衛モブ→頑張ればかならず報われることを教えてくれた元上司。自分のようにいつか報われてほしい

カンナ→公安局で面倒見るから早く戻ってこい。何故戻って来れない。

キリノ→憧れで大切な人。理想であり目標の人。どうか報われてほしい。

ニコ→正義とは何かもう一度教えてくれた人。あなたのためにもSRTを復活させてみんなで迎えに行きます

他の狐小隊の面々→再建するならばSRTの生徒会長に相応しいので迎え入れたい

好評悪評も、周りが見えていない子なのでわからず、いい意味でも悪い意味でもたくさんの生徒を狂わせてます。最悪かな?
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