頑張りとは、報われるべき願いである   作:ババネロ

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間が空いて申し訳ない。


Area-04「自治区間ハイウェイ #速度無制限 #強襲 #すれ違い」

 目が覚めると、私はハイウェイを走る車の助手席に座らされていた。

 

「ん……?」

 

 運転席を見れば、車を運転していたのは普段のSRTとしての装備を全て廃して、指定のセーラー服だけになっているミヤコちゃんだった。あれ、なんで私ミヤコちゃんの運転してる車に乗ってるんだっけ。

 

 ミヤコちゃんは私が起きたことに気がついたのか横目でちらりと私を見て「おはようございます」と言った。

 

「おはよう……」

 

「お加減は…よくないですね。顔色が明らかによくないですから」

 

 体のだるさが抜けない。蒼森さんからもらった薬はかなり強力だったのか、内臓に受けたダメージは見事に感じない。気持ち悪さと、体に残った熱は取れないけど……そうだ、ミヤコちゃんに薬のせいで朦朧としていたところを代わりに運転してもらってるんだ。

 

「ほんとに悪いね。代わりに運転してもらって」

 

「本来であれば、先輩を止めなくてはいけなかったのでしょう。あとで、怒られてしまいますね。ニコ先輩に」

 

「それ笑えないやつだよ」

 

 言いつつも私はミヤコちゃんに笑みを向けた。ミヤコちゃんは運転に集中しているのか表情が硬い。

 

 こうなった経緯はたまたまミヤコちゃんがシャーレ1階のコンビニやってきていたところ、ふらふらになりながら車に乗ろうとする私を見かけ、なんとしてでもミレニアムに向かわなくてはいけないことを伝えると、彼女はSRTの生徒ではなく、一個人の生徒として協力を申し出てくれた。

 

 本当に助かった。

 

「だいぶ寝てたかな」

 

「20分ぐらいですね」

 

「それなら、ミレニアムへの道のりはもう少しで半分ってところかな」

 

「はい」

 

 今、この車はかなりの猛スピードで走っている。シャーレに支給される車は毎度のことながら過走行のオンボロなのでたぶんミレニアムに着く頃にはエンジンがオーバーヒートして壊れるのは間違いないぐらい唸っている。

 

 ミヤコちゃんは車両に関して免許を持っていないのかと思ったけど、車のは持っていた。

 

「事のあらましは眠る前にお聞きしました。ミレニアムのとある生徒が何者かに操られ暴走。先輩に怪我を負わせてしまったことを気に病んで部室に立て籠っていると」

 

「おさらいするとそうだね。先生がいれば、なんとかしてくれると思うんだけど、今いないから私が行かなくちゃなんだ」

 

「とはいえ、無茶のしすぎです。FOX小隊の先輩方ならば絶対に先輩を止めています」

 

「ミヤコちゃんは止めなかったね」

 

「私は、先輩の正義を信じていますから」

 

 それ答えになってるのかな。わからないけど、ただただ、助かっている事実がある。

 

「みんなには伝えたの?私と行く事」

 

「はい。シャーレの支援要請に協力するとはモエに伝えました」

 

「そっか。…コールサインでは呼ばないんだね」

 

「今は、一個人として先輩に協力しています。先輩には釈迦に説法かもしれませんが、SRTが他の自治区へ介入することは通常、キヴォトス自体の危機に関わる状況や凶悪犯罪です。現状では生徒同士のトラブル……それ以上にはなりませんから」

 

 ミヤコちゃんは本当によく出来た子だ。初めて会った時と比べれば本当に冷静で、けれども優しくて。

 

「うん。そうだね」

 

 天童さんと私がしてしまったことは被害が甚大なだけで、まだよくあるトラブルの範疇だ。重症の怪我人は私だけであの戦闘は済んだ。美甘さんに殴られたけど、天童さんは軽い打撲だけだったのだ。

 

 そして私は生きている。だからまだ、天童さんは大丈夫。あんなに優しい子だ。きっと、私を傷つけてしまったこと、自身の中の得体のしれない何かが恐い。そんなところだと思う。辛い思いをしているのなら、寄り添ってあげたい。それが、シャーレの生徒である私が今、天童さんのもとへと向かう理由。

 

 先生みたいには行かないだろうけど、それでも、できることが一つでもあるのなら。

 

「………先輩が服用した薬は本来、重症の患者にしか使用できないものです。トリニティの救護騎士団、その団長ともなれば用意できておかしくはないですが」

 

 ミヤコちゃんの声が若干呆れたものになってる。運転しつつも、ミヤコちゃんはジト目をしている。

 

「そんな大怪我をさせた相手のために、ボロボロの体を引きずってまで会いに行こうとする。ニコ先輩から聞いてはいましたが、先輩は人が良すぎますね」

 

「私はただ、目の前の誰かが辛い思いをしていたら、手を伸ばしてるだけだよ」

 

「それが、お人好しということです。……先輩にはお伝えしたことがなかったですね。私が、SRTの存在を知る前に見ていた将来の夢を」

 

「ミヤコちゃんの将来の夢?警察官以外の、ってこと?」

 

「いえ、元からヴァルキューレには入ろうと思っていたんです。あなたに憧れて」

 

「えっ」

 

 思わず目が点になりそうだった。あんなに初対面で嫌われてたのに!?あ、いや、そっか。ちょっと自惚れかもだけど、私に憧れて、それで汚職警官ともなればあんなこと言われるよね!?

 

「生活安全局のお巡りさん。私、憧れてました。市民の安全を守り、助け、支える。大きな正義ではなく、今、目の前にある正義。退官される前の先輩はFOX小隊の先輩方と同じぐらい、憧れの人でした」

 

「……ちょっと照れるかも」

 

「ふふふっ。私がウサギではなく、ワンコになっていたかもしれません」

 

 もし私が……先輩がいなくならず、あのまま警察官としていたら、ミヤコちゃんが後輩になっていたのかもしれないと考えると、不思議な感覚だ。キリノちゃんやフブキちゃん、そしてミヤコちゃん。

 

 いや、これはこれで、フブキちゃんが嫌になってしまっていたかもしれない。流石に三人から色々言われるのは嫌すぎるだろうね。

 

「だから、今回は先輩に協力したかったんです。生活安全局にはなれませんでしたが、先輩はきっと、ずっと変わっていないのですから」

 

 誰かを頼るのは難しい。さっきだって、ミカさんに電話をするのは少し躊躇いがあった。でもハルナに言われた通り、こうやって誰かに頼っていいのかもしれない。

 

「——それなら、頼りにさせてもらうぞ。月雪」

 

「はい!」

 

 リクライニングを起こす。寝たおかげか、眠気はだいぶなくなっている。フロントガラス越しには空いているハイウェイが目に入る。この時間帯は車が少ない。今は真夜中だ。

 

 D.U.から他の自地区へ伸びるハイウェイを使うのは主にトラックで、旅行シーズンでもなければ利用車両は元から少なく、更に直線が長い区間は制限速度もないからスムーズな流れがある。

 

「それにしても、この車整備は……」

 

「何かおかしなところが?」

 

「いえ、走行距離が凄まじいのもそうですけど、5速に入りません」

 

「え……」

 

 シフトが壊れてたらしい。そりゃ緊急走行もしないし?街乗りが基本だからそんな5速を使うこともない。納車されてから運行前の点検はしてたけどシフトまでは見てないよ。

 

「シャーレの備品はお下がりが多いのは先生から聞きましたが、流石にこれは上申するべきでは……」

 

「いい加減ちょっと、ボロを寄越すのはやめるように言おうかな」

 

 もはや嫌がらせかと言わんばかりだけど、おそらく回せる車がこれしかないからこうなってる。あんまりコネを使うような真似はしたくないけど、カヤちゃんに頼んでいい車をもらおうかな。

 

「ミヤコちゃん、装備外してるけど銃は?」

 

「コンビニに行くだけでしたので、サブマシンガンのみです。一応、学生鞄に予備のマガジンを二つ入れています。あとは万が一の時のためにハンドガンを」

 

 ヘッドセットとハーネスを外してSRTの装備を無くしているけど、そもそも装備が少なかった。まぁ、天童さんとお話をするだけなので、戦いに行くわけじゃない。また天童さんが暴れても、今度は遅れを取らない。一度相手の手の内は見てるわけだからね。

 

「今回の支援要請は面談……ということですから、これでも十分かと思いますが」

 

「うん。問題ないと思う。ゲヘナ自治区に行くわけじゃないし」

 

「そうですね。サキだったら、それでも準備が足りないって言いそうですが」

 

 空井さんだったら確かに言いそうだ。

 

「まぁ、現地ではミカさんとも合流するから、何かあっても大丈夫かな」

 

「……以前、キャンプ場をお二人でめちゃくちゃにされた時の、すごい綺麗な方ですよね」

 

「あれはごめん」

 

「いえ、先生に指導されていましたし。実はこっそりモエが模擬戦の様子を録画していたんです。トリニティの生徒会長といえば、お嬢様学校の中でも名家の子がなると聞いていましたから、あそこまで凄まじい武闘派と思いませんでした」

 

「いいや、あれはミカさんが特別なだけだと思う」

 

「……その聖園さんと張り合えている先輩もだいぶ凄いと思いますが」

 

「ちょっと色々あってあのあとミカさんと戦うこともあったけど、たぶん真正面からやりあったらやられると思うよ」

 

 ミレニアムのジオフロントで私が操られた時、あの子は天井走ってたからね?それにアリウス自治区での戦いでも先生から聞いたら銃を投げてそれが落ちてくる間に格闘戦しかけていたらしい。

 

 テクニックは確かにないのかもしれないけど、フィジカルで全部ゴリ押す。それでお釣りがくるとんでもない力だ。あとは隕石降らせるとか理外の力もあるし……あれって魔法なのかな?

 

「ミヤコちゃんは魔法ってあると思う?」

 

「え?急にどうしたのですか?」

 

「あ、いや、ミカさんって隕石降らせられるんだよ」

 

「……先輩、やはりまだ気分が」

 

「やめて!?そんな可哀想な人みたいな声出さないで!?本当なの!」

 

 なんか誤解されてる気がする。いや見たよ!私!ほんとに!降らせる前のもあれはもしかしたら詠唱ってやつかもしれないし、ミカさんってもしかして魔法少女、ってやつなのかな。先生が休みの日の早朝とかに見てるやつ。

 

「忍者もいるから、きっと魔法少女もいるかも」

 

「……忍者は確かに私も見ましたが」

 

「あ、イズナちゃんは知ってるんだよね。そうだよね、あの子みたいな忍者がいるんだもん。やっぱりミカさんは魔法使い——」

 

 話を続けようとして、私は背後から光を感じた。ヘッドライトの光にしては妙に強い。なんだとバックミラーを見た。

 

「トラック……?」

 

「ボロボロとはいえ、それなりのスピードを出していますが……譲ります」

 

「うん。そのほうがいいね」

 

 追いつかれたなら譲る。当然のことなのでミヤコちゃんがウィンカーを出して譲ろうとする。だけど、車線を変えたら、背後のトラックも何故かついてくる。どういうこと?このスピードでついてくるのもだけど、まさか煽ってる?

 

「……煽り運転でしょうか」

 

「そうかな。けど、こんなスピード出してるのに」

 

 なんのつもり、と思ったら、相手は更に距離を詰めてくる。待って、このままだとおしりに当てられる。こんなスピードでふにゃふにゃなこの車の足回りじゃ吹っ飛ぶって。

 

「先輩…!様子が」

 

「ミヤコちゃん、もっと飛ばして!」

 

「ダメです!5速に入らないんです!」

 

 どういうつもり!?私はたまらず手回し式の窓を開け、背後のトラックを見た。風圧がとんでもないけど、なんとか首を回して見てみれば、眩しい向こう側の運転席に座っている相手が見えた。

 

「………C&C!?」

 

 運転手は見た事のあるデザインのメイド服…C&Cの制服を纏ったブロンドヘアを後ろで結い上げているメイドさん。私が知らない子だ。彼女の表情は無機質で、まるで感情がないみたいに動いていない。これから私たちの車にトラックをぶつけようとしているのに。

 

「先輩、トラックの運転手は!」

 

「ミレニアムの諜報員だった!」

 

 車内に顔を戻してミヤコちゃんに言う。なんでC&Cが私たちを…?車をぶつけてでも、ってことは私たちを足止めしたいってこと。調月会長を探して行方不明になってる先生と何か関係がある?

 

 でも、この前に一之瀬さんたちと会った時、彼女たちは私に対して敵意はなかった。むしろ、彼女たちも会長の姿が見えなくて困っていると言っていた。

 

 けれど、室笠さんはミカさんが何か違和感があったみたいだし、そういえば天童さんを止めた時、彼女は姿が見えなかった。私たちが知らないところで、何かが動いてる?

 

「ミレニアムの諜報員……C&C、ですね。噂には聞いていますが、何故私たちを…?」

 

「とにかく、なんとかしよう。こんな速度で吹っ飛べば、ミヤコちゃん、ただじゃ済まない」

 

「はい。ただ、どうやって振り切れば…!」

 

 レッドゾーンまで踏み切ってなんとか車間を維持してるけど、これじゃあ、いずれ車が壊れる。ここから先しばらくは速度制限がない。あるのは……ミレニアム自地区への関所を兼ねた料金所。生徒なら生徒証を車に備え付けた機器に入れてそのまま無人のゲートを通り抜けられる。

 

 そうだ。足止めをするなら、そこを一時的に封鎖すればいいのに、わざわざ直接どうにかしようってことは、やっぱりこれは非公式な行動で、機密性の高いもの。

 

「先輩!前方に料金所の明かりが!」

 

「開いてるゲートに突っ込んで!バーを壊してもいいから!」

 

「くっ……!仕方がありません…!」

 

 こんな速度で突っ込めば当然バーを吹っ飛ばすことになる。衝撃で車が回らなきゃいいけど。

 

「うわっ!?」

 

 そんな心配より先に、後部座席に銃弾が降り注いだ。後ろのガラスが割れる。撃ってきた!?まずい、ガソリンタンクに命中なんてしようものなら終わりだ。

 

 料金所が迫ってくる。どうする…!

 

「………あれは…!月雪!左側三番目!」

 

「了解!」

 

 高制限のついたゲート!あそこに入れば…!

 

 が、月雪さんが車をそのゲートめがけて動かした瞬間、パアン、っと破裂音が聞こえた。直後、車が大きく滑った。タイヤを撃たれた。マズイっ、このままゲートに突き刺さってミヤコちゃんが…!

 

 私は咄嗟にハンドルを横から握って、なんとか制御を試みる。サイド…!

 

「アクセル!口閉じろ!」

 

 強引に車をもう一回転させてミヤコちゃんに踏ませる。車はなんとかもう一度正面を向いたけど、私の座っている助手席側がゲート内の壁に接触した。強烈な衝撃。車がゲート内の壁に当たって跳ね返って、右の後部が更に反対側の壁にぶつかる。それでもなんとか車はゲートを潜り抜ける。

 

 衝撃に揺さぶられる中、追ってきているトラックもゲートに突っ込んで、ゲートの屋根が後ろにひいているトレーラーにぶつかり、料金所全体の屋根が引き倒される。幸い、車が他にいなかったおかげで、巻き込まれた一般車はいない。

 

 滑りながらもなんとか車をミヤコちゃんは止めてくれた。

 

「無事か!?」

 

「問題ありません!草鞋野会長、迎撃を!」

 

 すぐに応戦しようとミヤコちゃんがシートベルトを外し、後部座席の床に置いていた銃を鞄ごと引っ張り上げて構えている。私もライフルを取り出して、開かなくなった助手席側のドアを蹴飛ばして強引に解放。車の外に出た。追ってきたトラックの運転席は無事だ。

 

 でも、いつの間にか運転手の姿が見えない。

 

「警戒。どこに潜んでいるか——」

 

 わからないから気をつけろ、と指示を出す前に、トレーラーから4つの光が飛び出した。そして遅れて出てくる、大きな影。

 

「あれは一体…!?」

 

 ミヤコちゃんの驚愕には同感だよ。でも、私は既視感があった。

 

「なるほど、会長の言うとおりです。簡単には行かないですね」

 

 その声も、聞き覚えがあった。

 

 夏のリゾートでの騒動の時、ホシノちゃんを吹っ飛ばしたカイテンジャーを装った高性能なパワードスーツ使い。あの時と違い、ドローンは寿司ネタを模していない。無機質な白一色に無駄のないデザイン。

 

 あの時と同じく、上空から私たちを見下ろしている、天の眼。

 

 背部にブースターを装備し、両腕の大型マシンキャノン。色合いはドローンと同じく白一色に整えられている。装備しているメイド……私の知らないC&Cの子はスカート丈が短くなっているものの、メイド服姿のままだった。

 

 ふわりと、パワードスーツが着地する。

 

「警告する。武装を解除し、その場に伏せろ。さもなくば発砲する」

 

「それはこちらのセリフです。シャーレの方」

 

 マシンキャノンの砲口がこちらに向けられる。あの時はみんながいたから凌げた。けど、今度は私と、ミヤコちゃんだけ。ハルナはここにはいない。ナギサちゃんも、ホシノちゃんも……そして、先生もだ。

 

 足を失った。ここから徒歩でなど、とてもではないが厳しい。目の前の追撃者はおそらくこれまで戦ってきた相手の中で、もっとも手強かった相手の一人だ。

 

「何故私たちを襲う。我々は貴校の生徒から支援要請を受けていた」

 

「知る必要はありません。私は命令を受け、ただ実行しているに過ぎません」

 

「……調月会長か」

 

 何を考えているんだ調月会長は。やっぱり、先生は彼女の手に落ちているのか。状況がわからない。

 

「ミレニアムサイエンススクールへようこそ、お客様。そして、さようなら。ゴミはゴミ箱へ……掃除は私たち、Cleaning&Clearingにお任せを」

 

 相手が構え、仕掛けてくる…!

 

「会長…!あれは…!」

 

「月雪!貴様にライフルを!ボルトアクションは使えるな!?」

 

「は、はい!」

 

「ドローンを落とせ!あれがある限りこちらは勝てない!マシンガンを代わりに寄越せ!」

 

 やるしかない。予備の弾丸とライフルをミヤコちゃんに渡す。交換で彼女のサブマシンガンを借りる。SRT正式採用品。高性能だけど、握ってみれば重量がある。

 

「散開!」

 

 マシンキャノンの砲口が煌めく。私たちは左右に分かれる。マシンキャノンの砲弾がさっきまで乗っていた車に直撃し、車は爆破炎上した。榴弾…!

 

「はああっ!」

 

 身体のことは無視する。私は全力で相手へ接近する。

 

「…!?予測よりコンマ速い…!」

 

 そう、全力だ。ミカさんに過去指摘されたとおり、私が普段無意識にかけている相手への遠慮。それを意識して取り払う。私の銃口が命を奪うための動きを避けようとする恐怖を強引に抑え込み、私は選択する。

 

 相手の身の安全は保証できない。完全な制圧を目標とする!

 

 サブマシンガンのトリガーを引き続け、ガードする相手の横へと入り込む。装甲に覆われてるわけじゃない。あのとき、ホシノちゃんも懐に入り込んでショットガンを当てていたのだ。

 

 けど、ドローンがまだあるからか、私が繰り出した渾身の蹴りは強引にブースターを使った相手に回避される。

 

 ミヤコちゃんは狙撃をしようとしているけれど、ドローンもその場から動かずと迎撃に機銃を撃っていた。大丈夫。このままパワードスーツを私に釘付けにすれば、いつかはやってくれる。SRTの子たちは、困難を乗り越えてくれるからっ。

 

「……手負いの狼。侮ってはいけないようですね」

 

「夏の時のように行くとは思うな」

 

「えぇ、そうですね。ですが、技術は日進月歩……ミレニアムの最高の天才の一歩は凡人の遥か先を行きます」

 

 何かをしてくる。産毛が逆立つような感覚だ。

 

「機先を制す!」

 

 だったらその前に!私は再び急接近をかける。

 

「ドローンのカメラではやはりあなたの速さを捉えきれない」

 

「たあああっ!」

 

「ならば……Pアビ・エシュフ、MAXモード!」

 

 刹那、相手の姿が目の前からかき消えた。私の体が空を切る。地面を削りながら着地。どこに——!?

 

「え」

 

「まずはあなたです」

 

 足から嫌な音がした。それでもなんとか間に合ったと思う。

 

「せんぱ——」

 

「なっ…!?」

 

 撃たれかけたミヤコちゃんを突き飛ばして、マシンキャノンの接射を私は背中に受けた。強烈な衝撃。シャーレの制服が、砲弾が貫くことを許さない。息ができない。でも、ここで意識を失うわけにはいかない。痛みなのか衝撃なのかわからない。頭がぐちゃぐちゃになりながら、私は裏回し蹴りを撃ってくるマシンキャノンの、付いているパワードスーツの左腕へぶつけた。

 

 パワードスーツの装甲が凹み、腕を逸らす。

 

 視界がやけにゆっくりだ。パワードスーツはところどころ装甲が開いていて、そこから黄色の光が見えている。リミッターを解除した、って感じかな。

 

 そのまま、全力でガラ空きとなった相手へとタックルする。当たりはした。けれど、相手も咄嗟に後退したから手応えはない。

 

 視界が元の流れに戻った。途端に襲いかかる右足首と背中の激痛。

 

「がっ、はっ、あ、ぐっ……!?」

 

「先輩!?しっかりしてください!」

 

「……今のは…!?瞬間移動…!?それともただの高速移動…!?」

 

 悶絶する。どうにもならず、その場に膝をつく。まだだ、相手は全然動ける。銃を、下げるな。ミヤコちゃんも、私に構うな。相手はまだ。

 

「づぎ、ゆぎっ、かま、うなっ!」

 

「…ッ!?——動くな!私はSRT特殊学園、RABBIT小隊、月雪ミヤコ!あなたを連邦生徒会に対する脅威として拘束します!」

 

「………できるのならどうぞ」

 

「……うっ…!」

 

 なんとか、息ができるようになった。顔を上げれば、ミヤコちゃんが怯んでいる。

 

 鎮痛剤を飲んでいるのに身体のあちこちが痛い。でも、まだ動ける。右足がガクガクして痺れるけど、左足を頼りになんとか立ち上がる。

 

 相手は私が立ち上がることに一瞬、目を見開いた。あんな至近距離で直撃受けてまだ動いてるなんてちょっと思いたくないよね。いや、私も次受けたら間違いなくぶっ倒れる。

 

「草鞋野会長…!」

 

 どうする。状況は最悪だ。このままだとミヤコちゃんにまで怪我をさせてしまう。

 

 睨み合いが続いて、遠くから警察と消防のサイレンが聞こえ始めた。騒ぎになり出したようだ。

 

「時間稼ぎとしては十分ですね。足は潰しました。任務達成。帰還します」

 

「な…!止まりなさい!こんな真似をして、ミレニアムはなんのつもりですかっ…」

 

 ミヤコちゃんが問いかけるも、パワードスーツを着た生徒はドローンを呼び寄せ、パワードスーツの各所にくっつかせると、そのままジェットで浮かび上がって飛び立つ。こちらを一瞥して、相手は飛び去っていった。

 

 本当に足止めだけが目的だったらしい。車も潰して、私の消耗具合も見抜かれた。完敗だ。

 

 それにしても、待ち伏せされていたなんて。シャーレの盗聴器機類はこの前全部廃棄させたのに、まだ残ってた?

 

「はぁ……」

 

「先輩!?」

 

「いや、大丈夫、ちょっと、疲れただけ」

 

 ため息をついてその場に座り込む。ミヤコちゃんが血相を変えていて本当に申し訳ない。

 

「申し訳、ありません。私が足を引っ張ったばかりに」

 

「ううん、ミヤコちゃん。あのパワードスーツ使いはね、夏に一度戦ったけど、生徒会長クラスをぶつけても倒すことはできなかったんだ。ドローンを使用した空撮で分析して未来予知みたいに攻撃を避けてくる。二人じゃこうなるしかないよ」

 

 むしろ、ミヤコちゃんに怪我がなくてよかった。

 

「……さて、問題はどうやってこれでミレニアムに行くかだね」

 

「先輩の体の状態の方が問題です!」

 

 怒鳴られた。………流石に誤魔化せないみたいだった。右足は限界以上の力で地面を蹴った反動で筋を痛めてるし、背中はシャーレ制服のおかげとはいえ、全面に打撲を受けたような状態。これは寝る時死ぬほど痛いかも。

 

 鎮痛剤がまだ効いてるからかな、喋れているだけの元気はあった。

 

「その問題は棚上げして」

 

「どうしてそこまで…!」

 

「あんな邪魔をしてまで私をミレニアムに近づかせたくない。私の目的は天童さんと会うこと。……先生まで行方不明なんだ。私たちが知らないところで、何かが、起きようとしてる」

 

「だからといって、このまま歩いていこうというのですか!?」

 

「ううん。まさか」

 

 中央分離帯をみれば、ここはD.U.方面側とバリケードを外せば車が通れるようになっている。自治区を封鎖した時のための迂回用だ。反対車線にミレニアム方面管轄のヴァルキューレ高速警察隊の車両が数台来ているのが見える。

 

 当然、こんな騒ぎを起こしているので、ヴァルキューレの生徒たちが銃を構えこっちに駆け寄ってきている。

 

「先輩、その、何をしようと」

 

「わかるでしょう?優秀な、ミヤコちゃんなら」

 

「で、できるのですか?いくらシャーレとはいえ」

 

「こういうのはな、どうどうとしてればいいんだ——月雪」

 

 頑張って元気を振り絞る。明らかにこちらを制圧しようという気迫を向こうは向けてきている。犯人扱いされるのはもう慣れっこだよ。私は立ち上がり、ポケットから生徒手帳を掲げた。

 

「動くな!銃を捨てその場に——」

 

「私は連邦捜査部シャーレの草鞋野だ!現在襲撃を受けた!ミレニアム方面へ向かいたい!車を貸してくれ!」

 

 今まで、私と先生がしてこなかった強引な権力の行使。私は、切り札を一つ切った。

 

 

 

 

 

 

 

「ミレニアムの牢屋ってこんなとこまでSFチックなんだねぇ」

 

「えぇ。電子機器に一切アクセスできず、全面が強化ガラスと透明な樹脂製の重層構造。四方から監視と牢屋自体を宙吊りにして脱出も不可能です」

 

「あぁ、先生。トイレはちゃんとあるから安心してほしい。水も飲める」

 

「そりゃあよかった」

 

 アカネに連れてこられて、調月リオと面会を果たした直後にアリスがエリちゃんに怪我をさせたという話が入って気がつけばヒマリとウタハごと、ものすごい近未来な都市のどこかにある収容所に入れられていた。10階ぐらいの高さがある円筒状の建物で、中には今私たちが入れられてる水槽みたいな長方形の牢屋が壁にびっしりとついている。

 

 つまりここは監獄というわけだ。

 

「……やっぱりよくないな。なんで私たちこんなところに突っ込まれたの?」

 

 車椅子を取り上げられて、座椅子に座っているヒマリに問いかける。てっきりヒマリたちはリオの協力者だと思っていたけど。

 

 ヒマリは露骨にげんなりとした様子で口を開いた。

 

「少しは変わったと思ったのにこれです。あの女は私たちがただ支障になると思ってここに入れたのですよ」

 

「先生、私たちはリオに協力していたんだけど、状況が変わってしまった。リオの方針は元に戻ってしまったようだ」

 

「元の方針?」

 

 ウタハは残念そうな表情で、この監獄の出口を見たまま。

 

 こんなウタハは初めて見た。いつも飄々としているのに、本気で後悔しているというか、悔しそうというか。なんにもできない自分が情けなかった。ドローンに拘束されて何もできず、アロナもシッテムの箱ごと取り上げられて、完全にお手上げだ。

 

 それにしても、元の方針、って一体なんなんだ。私が聞こうとする前に、ウタハが続けて言う。

 

「アリス……彼女は元々人間じゃない」

 

「AL-1Sなんて最初は名乗ってたもんね。……限りなく人間に近いもしくは、人間と変わらないアンドロイド、くらいかな、とは思ってたよ」

 

「なんだ、知っていたのか」

 

「うん。けれど、そんなことは別に重要じゃない。アリスはアリス、だからね」

 

 そもそも飲み食いするし、人造人間の類なんじゃないかなと最近は思ってた。とはいえ、アリスは生徒で、それ以上でもそれ以下でもない。このキヴォトスを生きる子供にしか過ぎない。

 

 私の見解を聞いて、ウタハは笑みを溢す。ヒマリはわかりきっていた言わんばかりに落ち着いていた。

 

「先生も同じ見解であることを嬉しく思うよ。アリスはミレニアムサイエンススクールの生徒。それは、リオですら認めざる得ないことだ」

 

「あの女が明らかに偽造された学籍を今日まで認めていたのは間違いないことです。私は信じられませんでしたが」

 

「だが、リオはそれをわかってもなお、備えていたんだ。アリスと戦うことを」

 

「戦う?」

 

 どういうことなの。リオはアリスをちゃんと自分の自地区の生徒だと思っていて、それなのに戦おうとしていた?

 

「先生。これまで先生……そして、草鞋野さんはすでにリオの兵器と戦っています」

 

 ヒマリがそんなことを言うけど、全く心当たりが……いや待てよ。

 

「夏の時のあのパワードスーツ?!」

 

「正解です。チーちゃんから報告を受けていますが、あのパワードスーツのベースとなった”サムス=イルナ”という機体があります。私とウタハ、そしてリオで作成した人体拡張型の機体です」

 

「あれすごい強かったよ?あの場にはさ、生徒会長が2人もいたし、他にもすごい強い子達が連携してようやく撤退まで持っていったんだけど」

 

 アニメにしか出てこないような未来予知をする機体。エリちゃんやホシノはあしらわれ、あのイズナでさえも有効打は与えられず、弱点である観測用のドローンに気が付かなきゃみんなやられていたかもしれない。

 

「あ、もしかしてこの前のアバンギャルド君って」

 

「あれもリオの作品だよ。私が改良をしていたけどね」

 

「ウタハさん!?」

 

「先生。そんなに驚かないでくれ。こほん。話を戻そう」

 

 あの晄輪大祭で生徒たちが戦ったアバンギャルド君は無茶苦茶だったけど、ウタハとリオの合作だったらしい。こんな要塞都市を作り上げる天才と天才的なエンジニアが合作すればそりゃあんなのができるよ。

 

「アリス……あえてAL-1Sと呼ぶけど、AL-1Sは廃墟に眠っていた”名もなき神々”の女王だとリオは言っていた。廃墟の不可解な軍隊。先生たちが遭遇したというAI、Divi:Sionシステムの指揮官だ」

 

 急にジャンル変わったなぁ……なんとなくアリスが只者じゃないのはわかっていたけど。

 

 これが現実じゃなくて、ゲームの類ならワクワクするような話だったのだろうか。残念だけど、これは現実だ。私の生徒が置かれている悪夢のような現実だ。

 

「AL-1Sの目的は不明だが、有機生命体に敵対的な存在。それだけはリオの研究や、過去に私たちが廃墟で遊んでいた時に執拗に無人機に追われたことでわかってる」

 

「リオは私やウタハ以上に何か脅威を感じ取っていたのでしょう。アリスの奥底に眠る”何か”がこの世界すらも危機に晒す存在であると知り、この方舟のような要塞都市を用意したのです」

 

「…………つまり?」

 

 これまで、何度も生徒会長という立場にいる生徒たちが、どういう決断をしてきたのかを見てきている。

 

 ホシノは自らを犠牲に後輩たちの未来を願った。

 

 ナギサも自らの死を覚悟し、一人の最愛の友達のためだけに全てを切り捨てようとした。

 

 ミカは友人の死を知り自暴自棄になりながらもナギサだけはとがむしゃらだった。

 

 セイアは自らの命をチップに一人の少女に未来を賭けた。

 

 そして、エリちゃんもたった一日しかない生徒たちのために全てを背負い込もうとしていた。

 

 リオも……ミレニアムの生徒もそうなのだろう。彼女も、決断できてしまうのだろう。責任を負う者が果たすべき、行いと、報いを受けるだけの覚悟を以て。

 

「リオの最初の方針、それは——AL-1Sの破壊。つまり、天童アリスのヘイローの破壊だよ」

 

 それは、子供が背負っていい十字架じゃあない。

 

「止めないと」

 

「えぇ。止めなくてはなりません。大切な後輩の命を奪わせるなど」

 

「もちろんヒマリの言う通りでもあるし、リオも助けなくちゃね」

 

「……矛盾していますが?」

 

「命を奪うなんて選択肢をあの子に取らせない。私はそうしたいんだ」

 

 それを背負うしかなかった子を知っているからこそ、私は大人として、生徒がその一線を越えるようなことはさせたくない。私が座っていた板みたいに硬いベッドから立ち上がると、ヒマリが私をいっそ睨んでいた。

 

「先生。リオは敵です」

 

「ううん。私はね、生徒みんなの味方だから」

 

「意味がわかりません」

 

「ヒマリ、あなたがリオのことを嫌いなのはわかってる。それを否定するつもりはないよ」

 

 きっと、何かがヒマリとリオの間にはあるんだと思う。けれど、そこは見守るべき話で、私が強引に仲直りをさせる話じゃない。

 

「でもね、これは好き嫌いの話じゃあないんだ。私だって、性格がどうしても読めない生徒はいるよ」

 

 アコちゃんとか。もちろん、アコちゃんのことはそんな性格も含めて嫌いじゃない。仕事一緒にしてるとスムーズだし、根っこは愛が深くて同じぐらい愛を欲してる子だ。

 

「けどさ、それは先生が生徒を否定する話にはならないんだ」

 

「……なるほど、ふふっ、そうか。エリカも正直、やりすぎなぐらいにお人好しだが、先生あってのあの生徒、ってところかな」

 

「どうだろうね?逆かもよ、ウタハ」

 

 私はそんなにいい大人とは思ってない。むしろ、まだ子供が抜け切ってない。エリちゃんに影響されてるところは大いにあると思う。

 

「さぁて、まずはこの要塞都市から脱出だ。あとなんとかシッテムの箱を取り返さないと」

 

「……そういえば先生。あのシッテムの箱というタブレット端末。大事なものなのですか?いつも肌身離さず持っていますが」

 

「アレがないと私は流れ弾でマジで死ぬ」

 

 アロナ、変なことされてないといいけど。とはいえ、デカグラマトンにすらくしゃみ一発で追い返してたから生徒たちでどうこうできるものじゃない。破壊しようとしてもアロナは”この世界の力”じゃ不可能だって言ってた。

 

 最悪、脱出に専念して、再度ここに来る必要もあるかもしれない。

 

「そんなに重要なものだったのかい。すごいな。あとで調べさせてほしい」

 

「それだけはダメ。ウタハ、あれはちょっと特別なものでね」

 

「………そうか、それは残念」

 

 諦めてよー?フリじゃないかんね。痛い目みるのはウタハだろうし。

 

 大人のカードは取り上げられてないから、限定的に使うしかないか。黒服の忠告を守るのは癪だけど、セリナなら本当に私にかかる負担は小さいみたいで、助かっている。

 

 問題は、あの未来のセリナがこういった機械を動かせるかだ。

 

「第一目標、ここからの脱出。第二目標はシッテムの箱の奪還。無理ならもう一度来るよ」

 

「わかった、先生。その方針でいくんだね」

 

「うん。付き合ってくれる?二人とも」

 

「イエス、以外の返答はありません。そもそも、こんな場所に私を閉じ込めるなんて、あの女に落とし前をつけなくてはなりませんから」

 

「ヒマリは私が背負うよ。ウタハ、よろしくね」

 

「二人を守りながらか。自信はないが、なんとかしてみせよう」

 

「先生。やる気なのはいいのですが、どうやって脱出をするつもりで?癪ですが私もウタハもこの状況は」

 

 大人のカードを懐から取り出す。

 

「奇跡も魔法もあるんだよってね。これから起こることは秘密だよ?」

 

 遥か下の操作盤付近で、桜色の光が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 リオは”要塞都市”エリドゥからアカネを連れ立ってミレニアムの校舎内へと戻ってきていた。

 

 廊下を歩きながら、アカネがトキからの報告をリオへと伝える。

 

「会長。04が草鞋野エリカの足止めに成功したようです」

 

「わかったわ。急ぎましょう」

 

「しかし、何故急にあの三人を閉じ込めたのですか?まさか、当初のプランを?」

 

 アリスのヘイローの破壊。それをどのような方法で成し遂げようとしているのかアカネも知らない。しかし、決定事項としてアカネはこれまで動いてきた。アリスの先輩として彼女を助けたいと思いながらも、どうすることもできずに今日までやってきていた。

 

「いいえ。このまま、天童アリスが草鞋野エリカの手に落ちてしまうのは避けなくてはならない」

 

「彼女の手に?」

 

「天童アリスはミレニアムの生徒。それはもう覆せない。だから、よりAL-1Sを…直接的に分析する必要がある」

 

「それは」

 

「だからこそ、今、彼女の身柄を手にしなくてはならない。強引にでも」

 

 だが、リオは方針を改め、アリスを手にいれる理由も変わっていた。

 

「シャーレの介入を許せば、彼女の身柄は簡単には動かせなくなる。より非合理的な行動もしなくてはならなくなる。それは避けたいの」

 

「……なるほど。では?」

 

「説明はする。ゲーム開発部に」

 

「従わない場合は」

 

「手段は選ばない。……理解をされないのはいつものこと」

 

「御意」

 

 




次回はまた未定です。

P(プロトタイプ)アビ・エシュフは以前出てきた時の寿司偽装を外したものです。通常のアビ・ エシュフと違って、支援ドローン4機との合体機能を追加されて背中のブースターと合わせてそれなりの飛行も可能なものとしています。
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