「〝またまたヒソカ選手の攻撃がクリーンヒットーーーーッ‼︎ これで早くも8ポイント目だァァァァ‼︎!″」
「ハァ…ハァ…ハァ……」
イルミはどうにかこうにか立ち上がるが、既に満身創痍でとてもじゃないがこれ以上、戦闘を行える状態とは思えない。
当然、そのくらいのことで攻撃を止めようなどとは思わないが、ヒソカにして見たらこれはれっきとした弱い者イジメに他ならず、神経を逆撫でするものがあった。
皮肉なことにそういった精神面がヒソカの攻撃力を著しくアップさせており、その結果、今における凄惨な状態のイルミがあるのだ。
(チッ! 10ポイントまでが異常に遠く感じる。だいぶ手加減してるとはいえ、ヘタしたら後遺症じゃ済まないゾ……)
何とか顔を上げキッとこちらを睨みつけるイルミを見て自身の考えが間違っていたことに気が付いた。
「そうかいそうかい……そんなに死にたいのか。いいだろう。
望み通りに……シテヤルヨ」
「ひっ…!」
ヒソカが発する強大でいて、かつ非常に禍々しいオーラに当てられたイルミは、全身を一気に硬直させることで自身が感じている本能的恐怖、その元凶から逃れる術を完全に見失った。
まるで悪魔を体現したかのような表情を称えたヒソカが、真っ直ぐに駆け抜けて、未だ固まったままのイルミを勢いよく跳ね飛ばした。
イルミは錐揉み回転しながら大量の血反吐を撒き散らし、リング外の壁へと激突した。
時が止まったかの様な静寂が会場内を覆い尽くす。
それから暫くしてようやくヒソカの勝利宣言がされると、同時に観客たちもざわめき出した。
やれ「死神」だ、やれ「気狂いピエロ」だと、とても7歳の少年に向けていい発言ではないものがひっきりなしに飛んでくる。
いたたまれなくなったヒソカは、倒れたままのイルミを助けることも忘れて一目散に会場を後にした。
昨日の後味の悪い試合が尾を引いているのか、今朝の目覚めは最悪だった。
夜中に矢鱈と息苦しくなり、まるで大蛇にカラダを締め付けられているような感覚に苛まれていたのだ。
とにかく一旦、起きあがろうとシーツを捲る。
(……どうやら僕は相当疲れているらしい)
額を押さえて首を左右に振るヒソカ。
「HAHAHA! だってこんなことあり得ないデスも〜ん!
あのイルミ坊ちゃんが僕のベッドに入り込んでるなんて、絶対あり得っこないデース!」
パニクった挙句、何故か若干片言になってしまうヒソカ。
「うっ…う〜ん……」
どうやらヒソカの声にイルミが目を覚ましてしまったようだ。
イルミはゆっくり起き上がると寝ぼけ眼に辺りをキョロキョロと見回し、それからヒソカを上目遣いで見つめたまま身動き一つしなかった。
「うっ…! ご、誤解なんだ! これはきっと僕の夢かなんかで…別に君のことをどうかしたいとか、原作同様に異常な少年愛に目覚めたとか、そういうわけじゃ全然ないんだ‼︎ だからーーー」
と、その時、唐突にヒソカはイルミに抱きつかれた。
「へ……?」
混乱の極致に立たされた一方でヒソカの感覚はこれまで以上に研ぎ澄まされていた。
(あぁ…コレだ。夜中に感じた大蛇に締め付けられる様な感覚は。
全ての答えは、僕が寝てる間中、イルミがずっとこうしていたからか……
それにしてもいくら疲れていたとは言え気配に全く気が付かなかったとは……わざわざ暗歩でも使って忍び込んだのだろうか? )
なんてことを考えているとようやくイルミが口を開いた。
「…………おはよう」
よくよく見るとイルミの頬に赤みが差しているのがわかる。どうやら照れているらしい。
「う、うん。おはよ〜」
その愛らしさに一瞬、言葉に詰まってしまうヒソカ。
このまま呑まれてはヤバイと感じ、急いでイルミを引き剥がしに掛かるが、どうしても離れようとしてくれない。
ヒソカがどうしたものかと困り果てていると突然、イルミが立ち上がり、おもむろにヒソカの着ているロングTシャツの端を掴むとそのままクイクイッと引っ張ってきた。
「……もしかして移動中はずっとこんな感じで付いて来るつもりだったりする?」
冷や汗タラタラで尋ねるヒソカ。
その問いに対しイルミはコクリと小さく頷いた。
(どなたかこの中でライフカードをお持ちの方はいらっしゃいませんかーーーーッ⁈)
どうも。あずき@です。
前書きにもありますがここから原作キャラの崩壊が顕著になっていきます。それに伴いオリジナル展開も……
仕方ないね