道化師として歩むハンター世界   作:あずき@

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第4話

ザワザワ…ザワザワ……

 

(うぅっ…周りの視線が痛い……)

 

現在、2人は天空闘技場170階フロアのど真ん中を歩いていた。

 

イルミはヒソカの後ろにピタリと張り付いてギュッとTシャツの端を掴んでいる。その姿はまるで兄に甘える弟を彷彿とさせた。

 

が、しかし以前の対戦でヒソカがイルミをこっ酷くやっつけたことはあまりにも有名で、それ以降の悪評も相まって、実はイルミはヒソカから奴隷のような扱いを受けていると言う噂がさも誠しやかに広まっていた。

 

(……もう色んな意味で限界かな。そうなると先ずイルミをどうにかしなくちゃ…………)

 

チラリとイルミに視線を向けるヒソカ。

 

対してイルミは相変わらず無表情のまま、小首を傾げた。

 

 

 

 

結局、イルミを引き剥がすことが出来ないまま、天空闘技場を出る日がやって来てしまった。

 

「あ〜もう! 何してるんだよ僕はァ〜!」

 

自らの不甲斐なさに憤りを隠せないヒソカ。

 

イルミはそんなヒソカを気遣ってか、懸命に頭を撫でていた。

 

「……ゴメンな? イルミまで巻き込んじまって……本当はまだここを出る予定じゃなかったんだろ?」

 

するとイルミはブンブンと勢いよく首を横に振った。

 

「うぅ……僕はこんな幼気な少年を……なんて最低な男なんだ!」

 

イルミの思わぬ優しさに触れて激しい自己嫌悪に陥るヒソカだった。

 

暫くしてようやく落ち付きを取り戻したヒソカは、本格的に今後どうするかを考えることにした。

 

「……先ずはどこに身を置くかだよな。幸いにも金はあるから宿代には困らないけど……」

 

(家の奴等に見つかるリスクは出来るだけ回避したいからなぁ……)

 

「ハァ……参ったなぁ………ん? どうした、イルミ?」

 

「ウチ……来る?」

 

「え? ウチってもしかして………ゾルディック家?」

 

コクリと頷くイルミ。

 

「あ〜…いや気持ちはありがたいんだけど流石にそれは………はっ⁉︎」

 

ふと見るとイルミは必死に下唇を噛んで涙を堪えていた。

 

「わーーーッ! わーーーッ! ゴメンゴメン‼︎ 行くから‼︎ ありがたくご招待されますから泣くのだけは勘弁してくださいッ‼︎」

 

その返事を受けてパァァっと満面の笑みを見せるイルミ。

 

それを見て思わずドキンッと心臓が跳ねてしまうヒソカなのだった。

 

 

 

 

その後、イルミが家に電話すると言い、何やら必死な様子で説得すると二人は手と手を取り合ってその場を後にした。

 

 

 

 

観光バスを降りて直ぐのところに構える巨大な門、通称『試しの門』がヒソカを出迎えた。

 

「いやぁ〜情報としては知ってたけどやっぱり直に見ると違うなァ〜」

 

ヒソカは感嘆した様子で言った。

 

イルミがクイクイッと袖を引っ張り付いてくるようアピールする。

 

途中、守衛のおじさんと思われる人に話掛けられた。

 

「お帰りなさいませ。イルミお坊ちゃん。………失礼ですがそちらの方は?」

 

「ん……友達」

 

(え⁉︎ ……まさかあのイルミの口からその単語を聞くことになるとは思わなかったよ)

 

「あ、あはは……いやぁ〜そういうことみたいです」

 

お家事情を知っているだけにイエスと断言できないヒソカ。

 

「おぉ‼︎ これは失礼しました。それにしてもイルミお坊ちゃんのお友達ですか〜……フムフム」

 

相当、珍しいのかマジマジと見つめてくるおじさん。

 

するとイルミが突然、ヒソカにギュッと抱きついて「ダメ」と一言呟いた。

 

それを見ておじさんはポカーンとしていたが、暫くすると「はっはっは」と笑いだし言った。

 

「心配しなくても大丈夫ですよ。何もお坊ちゃんのお友達を取ろうとなんてしませんから」

 

それを聞いて安心したのか、イルミはそっとヒソカから離れた。

 

「ははは。イルミは甘えん坊だからな。僕からしたら友達と言うより可愛い弟って感じだよ」

 

そう言いながら頭を撫でてやると、イルミは照れ臭そうに顔を俯かせるのだった。

 

その後、扉を開けて(因みに5の扉まで開いた)中に入り真っ直ぐ本邸へと向かった。

 

幾らイルミが付いているからとは言え、執事なり使用人なりにしばかれるんじゃないかと警戒していたが、そんなことは一切なく、普通に邸内へと入ることができた。

 

「お邪魔しま〜す……」

 

中はウチと引けを取らないくらいにだだっ広く豪奢な造りをしていた。

 

(とりあえずここは、あのゾルディック邸だ。無事に帰れるなんて思わない方がいい……かと言って、あまり警戒心を露わにしてしまうと余計な不興を買ってしまうだろう。ここは一つ、慎重かつ大胆に振舞わなければ……!)

 

ヒソカが思考の海に沈んでいると、いつの間にか大広間に到着していた。

 

既にそこにはゼノにシルバ、それとキキョウの保護者組が勢揃いしていた。

 

(グォォォォォオッ! いきなりしくったァァァァァ‼︎)

 

呆れんばかりの間抜け具合に思わず自嘲の笑みを禁じ得ないヒソカ。

 

「ほう…ワシらを前にして嗤うか……纏ったオーラの禍々しさといい。中々どうして興味深い」

 

「ははは……買いかぶりもいいところですよ。多少、心得はありますがそれだけです」

 

「…ワシの目が節穴だとでも?」

 

(ゼノさん恐ェェェェェエ‼︎ てかどうすりゃいいんだよ⁉︎ 返答次第では殺されるな、こりゃぁ……)

 

「ん? どうした? 黙んまりか?」

 

「い、いえ僕は「じいじ」……イルミ?」

 

「な、なんじゃ? イルミ」

 

(あれ? ゼノさん、もしかして動揺してる…?)

 

「ヒソカ、イジメちゃ嫌っ! ……じいじ嫌い!」

 

「フゥ………」

 

ゼノはゆっくりと床へ落ちていった。

 

「「親父ッ‼︎(お父様‼︎)」」

 

「行こ……」

 

2人が大騒ぎしているうちにイルミはヒソカを引っ張って大広間を後にした。

 

「おいおい。行くっていったいどこにーーー」

 

「ここ」

 

見るとそこには、バカでかい樫木造りの扉がデンッと構えていた。

 

「……ここは?」

 

ヒソカは恐る恐る尋ねる。

 

「ボクの部屋」

 

「ふ〜ん………へ? ここイルミの部屋なの?」

 

「うん」

 

「……ここに僕も入るの?」

 

「うん」

 

「フゥゥゥ〜……」

 

(先ず拒否と言う選択肢はない。つまり入るしかないわけだ。

 

はてさて……鬼が出るか蛇が出るか………)

 

「入って」

 

そう言うとイルミは扉をゆっくりと開く。

 

「コイッ‼︎」

 

そこでヒソカが目にしたのは……‼︎

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