ヒソカがゴンと出会ってから半月余りが経過した。
因みに修行は未だ継続しており、その甲斐あってか、今ではゴンも立派な念能力使いである。
基本の四大行は当然のこと、応用技もキチンと修めている。
そんな以前にも増して立派になったゴンが、彼の叔母から出された『沼の主を釣ることが出来たら島を出ても構わない』という課題を無事クリアしたのがつい先日のことだ。
そして現在、2人はドーレ港からバスに乗って直ぐの所にあるザバン市へとやって来ていた。
「うわ〜。人もお店も沢山あるや! 」
爛々と目を輝かすゴン。
「はは。偶の休みだ。今日はここでゆっくり楽しもう」
「押忍! じゃあ俺、向こうの方見てきますね⁉︎」
「あっ! ちょっと待……ったく、仕方ないなァ」
そうは言いつつも笑顔を禁じ得ないヒソカなのであった。
屋台で購入した食べ物を両手にホクホク顔のゴン。
「オイオイ。そんなに食えるのか?」
「はひ? あっ、師匠も綿飴食べます? ハイ、あ〜〜ん」
「い、いや僕は別にいら……モガガガッ!」
と、まぁなんだかんだ楽しんでいたヒソカだったが、ふと一枚の貼り紙を目にした途端、その余りの衝撃にたまらず吹き出した。
「だ、大丈夫ですか⁉︎ いったい何が……ん? 手配書……ってコレ! 師匠の顔じゃないですか‼︎」
「ゲホッ! ゲホッ! ……な、なんで僕が指名手配なんて…? いやそれよりどうして……どうして僕が『ゾルディック家の長男』ってことになってるんだよ⁉︎」
その後、ヒソカはゴンに表の見張りを任せてコッソリ路地裏に入ると、早速ゼノに連絡を取り、手配書について伝えた。
『なんじゃ。何かと思えばそんなことか』
「へ? あ、あの宜しいんですか? 唯のいち雇われ人に過ぎない僕が世間一般でゾルディック家の長兄扱いされてるわけですが……」
『フム。いいゾ』
「いいんですか⁉︎」
『もっと言えばワシらの方から広めた事じゃからのう』
「………申し訳ありません。私、急に聴力が著しく低下したようなので今から帰還して直接、お話を伺います」
『おぉ、そうか。なら土産は「失礼します」〝ピッ! ″』
「ふぅ……ゴン、もういいよ?」
「あ、ハイ! あの…大丈夫ですか?」
「はは…まぁ勤め先が勤め先だしな。このくらい慣れたもんだよ。悪いな? 心配かけて」
「い、いえ! 俺なんていつもですから…お互い様です‼︎」
「ははは。ならこれで、おあいこだな」
「あいこ……ハイッ‼︎」
琴線に触れるものがあったのか、何処か嬉しそうなゴンの頭をそっと撫でるヒソカ。
するとゴンは気持ち良さげに目を細める。
その隙を突いてホロリと涙を零すヒソカなのであった。
あれから飛行船で丸5日かけてようやくゾルディック家に到着したヒソカは(本人の希望もあり、どうにかアポを取って)ゴンと共に邸内へと入っていった。
「あら、お帰りなさい。ヒソカさん」
「態々、お出迎頂きありがとうございます。只今戻りました奥様」
「フフフ。イヤですわ。『お母様』の間違えでしょ?」
「アレ? 僕、いつの間に鼓膜無くしたんだろ?」
と、そこへ不意にゼノが現れた。
「ムッ? おぉ、帰っておったか。意外と早かったの」
「御無沙汰しております。只今、戻りまーーーゲフォッ⁉︎」
このところ久しく感じてなかった懐かしい衝撃がヒソカの腹部を襲った。
「おかえりッ! ヒソカ‼︎」
「た、只今戻りました…キルアお坊ちゃん。イルミお坊ちゃんはどうされました?」
「兄貴は今日、親父と仕事。ざまぁッ‼︎」
と、まぁこんな感じで和気あいあいとするゾルディック家の面々に対してどこか所在無さげなゴン。
そのことに気付いたヒソカがゴンを皆に紹介した。
するといち早く食い付いたキルアがゴンに話し掛ける。
「ねェ、ゴンは何歳?」
「もうすぐ7歳。キルアは?」
「オレも7歳だよ。良かったら向こうで話さね?」
「え…でも……」
ヒソカに不安げな視線を送るゴン。
「ねェ、ヒソカも爺ちゃんと話があるんでしょ?」
「えっ…あぁ、そうですね。それはもう『懇々』と……」
「じゃあ行こうぜ! ホラ、早く!」
「あっ、うん!」
キルアはゴンを連れて二階へと消えて行った。
「……では本題に入りましょうか?」
「フム。その前に立ち話もなんじゃ。こっちで話そう」
「畏まりました」
居間で2人きりになるとヒソカは早速、口を開いた。
「僕が……僕がゾルディック家の長兄っていったいどういうことなんですかァァァァ⁈」
「……はて、何のことかのう」
「いやいやいや! 今更トボけないで下さいよ!
見て下さい、この手配書ッ! 僕1人の首に300億ゼニーですよ‼︎ 300億‼︎ ハンターライセンスとタメ張っちゃってますよッ‼︎」
「これでもまだマシになった方じゃ。隠し子設定が地味に効いとるからの」
「か、隠し子って……広めてる段階で矛盾しまくってるじゃないですか」
「⁇ お前さんが長兄なのは事実じゃろ? 」
「そうだったの⁈」
あまりの話の噛み合わなさに、思わず頭を抱えてしまうヒソカ。
(こりゃいったいどういうことだ⁉︎ ハッ! そうか、頭の中にイルミの針が!)
「いや、そりゃ流石にありえん」
「なら尚更タチが悪いですよ! 後、心の中を読まないで下さい!」
「とにかくコレは決定事項じゃから、どうか諦めてくれ」
「…………イルミですか?」
ゼノの肩がビクリと揺れる。
「やっぱり……どーせ、言うこと聞いてくれないと2度と口聞かない、とか言われたんでしょ?」
「うっ…! そ、それは……」
「ハァ…もういいです。イルミが帰ったら僕が直接話しますから。とりあえず今は戻りましょう」
「すまんの…」
で、戻って来たわけだが……
「がるるるる〜〜ッ‼︎」
「しゃーーーーーッ‼︎」
どう言う訳か先祖返りしたゴンとキルアが威嚇し合っていた。
「あ、あの奥様…? これはいったい……」
するとキキョウは額に手を当て溜息交じりにこう言った。
「だいたいアナタのせいですわ」
「おk、把握」
とりあえず2人を引き離してからどういった経緯でこうなったのか尋ねた。
「だって聞いてよ! ゴンのヤツ、たかが半年しか一緒にいなかったクセに、自分の方がヒソカのこと理解してる〜、なんて言うんだぜ⁉︎」
「事実だもん! 俺と師匠の間にはキルアなんかには到底理解出来ないふ
か〜〜い絆があるんだよ!」
「なんだよ、ソレ。 わっけわかんねェ〜」
「どうせキルアには一生わかんないよ!」
(う、う〜ん……何ともリアクションに困るな………)
「まぁ、とりあえず2人共、落ち着いて。
何も僕はどっちとの方が親しいとか、親しくないとか、そんなこと一度だって考えた事ないよ。
そもそも僕にとって2人は家族同然……いいやッ! 最早、家族そのものなんだから‼︎」
「「「「「「「お兄ちゃん‼︎」」」」」」」
「…………ハーイ」
外堀が埋まった瞬間だった。
どうも。あずき@です。
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