調査、捕獲、破壊 作:ICD
『名前』:【
『年齢』:【32歳】
『経歴』:【■■小学校卒業】【■■中学卒業】【■■高校卒業】【■■大学卒業後は、不況のあおりでフリーターに】【就職経験:なし】
『家族構成』:【両親ともに既に他界】【祖父母も既に他界】【兄妹とは疎遠】
『保有資格』:【なし】
『試験』:【生存能力は高く、分類『Hu』の可能性あり】
『特記事項』:【ICD特殊規定により、『
『所属』:【調査・破壊遂行部隊『
『合否』:【合格・規定の調査後、採用通知を通知する】
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櫛見 幸之助、三十二歳。
大学を卒業したのはいいものの、不況のあおりによって就職できず、そこからずるずるとフリーターを続けてしまう。
そして約十年ほど、バイトを転々として就職先を探していたのだが……最終面接まで行ける会社は年々減っていっていた。
三十を迎えた時に最終面接まで行った会社はもはやなく。
就職も絶望的……このままバイトで一生を終える、かと思われていた。
だが、ダメ元で出した大手の会社、『ICDコーポレーション』から採用通知が来たのだ。
何をしている会社かはよく知らないが、何故か履歴書を提出しただけで合格通知が来てしまった。
新手の詐欺か、と思って連絡してみたところ、たしかに合格してるし。
そんなわけがわからないまま、入社日を迎えることに。
「……マジで俺、ここで働くのか……?」
慣れ親しんだスーツを着こなし、都心の超高層ビルの前に俺は立っている。
周囲では忙しくなくビルに入ったら出たりする人たちばかり。
聞こえてくる会話から推測するに、どの人たちも色んな会社の取引できているみたいだ。
「ドッキリじゃねぇよなぁ……?」
別に俺の人生はエリートってわけじゃない。
普通の高校を出て、普通の大学に入って、普通に卒業しただけ。
そんな人生だったのに。
それが何故、こんな超巨大な会社に。
「なんか腹痛くなってきた……」
緊張と場違い感から、帰りたいという腹痛が発生する。
昔からこうだ、いざという時や、此処一番って時、絶対に腹痛がする。
一応なんとかなってきたが、この腹痛にはずっと苦しめられてきたのだ。
「……ここまで来たんだ。行くぞ!!」
と、勇気の一歩を踏み出そうとした瞬間。
隣を一人の少女が横切った。
明らか様に俺よりもはるかに年下……いや、見てわかるぐらいに未成年。
だが彼女はスーツを着ていて……異様だったのは、その顔に大きな火傷傷があること。
そして髪が、色が抜け落ちたように真っ白に染まっていたことだ。
俺の『行くぞ!』、という声を聞いてか、一度立ち止まって振り向き、こちらを見てきた。
不審者を見るような目つきで、下から上へと視線が登って行く。
「……ここで、何してるの」
「へ?」
「うちの社員じゃないでしょ。どっかの会社から取引に来たような感じでもなさそうだし」
「い、いや、ここの社員……のはず。多分。今日から」
少し不安げに答えると、少女は少し考えた後にスマホを取り出して少し弄り出す。
そしてどこかに電話を掛けたかと思うと、誰かと話を始めた。
「今日のことで……うん、うん。名前。そう……わかった」
何かやりとりした後に電話を切って、俺の方を見直す。
「名前、教えて」
「な、名前?」
「名前。早く」
「櫛見 幸之助、だが……」
「コーノスケ……ふぅん。じゃあ、着いてきて」
それだけ聞いて振り向き直し、会社の方を向くと歩き出す。
俺が呆然としていると、こっちを見る。
「来ないの?」
「あ、ああ……!」
急いでついていき、少女の後に続いてビルに入って行く。
ビル内には清潔感があり、最新鋭とも言えるような機械ばかり揃っている。
と言うか、逆に最新のもの以外あるのかってレベルだ。
一階のエントランスだけでもかなり広い。
「こっち」
少女はポケットからカードのようなものを取り出し、駅のホームに接されている改札機のようなものに通して、会社の奥に入って行く。
まだ緑のランプが付いていたため、後に続くと入ることができた。
あのカード……多分社員証だろうか。
「なんだこりゃ……」
奥の方に入った時、驚きでそんな言葉が自然と漏れる。
そこはまるで……ホテルのロビーのようだった。
会社という雰囲気がまるでない。
「……やっぱ俺、場違いなんじゃ……」
「それじゃ、帰る?」
「……い、いや。どうせ他の会社には入れないんだ。こんなチャンス逃してたまるかよ」
そう、と呟いて歩き続けてエレベーターのボタンを押す。
少し待った後、エレベーターが到着。
二人で中に入ると、少女はすぐに扉を閉めた。
だが、階層のボタンは押さずに止まっている。
「どうかしたのか?」
「……今から、先。ここから先、もう何があっても後戻りはできないよ。普通の一生は送れなくなる」
「……な、何、言ってんだ?」
「覚悟は、ある?」
「覚悟、って言われても……」
あまりにも唐突のことに困惑する。
そりゃだって……こんな質問、普通じゃない。
覚悟と言われても……。
だが、俺に残された道はもうこれしかない。
ここに就職できなければ残りの人生、どうしようもないものになるだろう。
「大丈夫だ。連れて行ってくれ」
「……ん、わかった」
そう言うと様々なボタンを押し始めた。
まるでパスワードでも打つかのように、次々とボタンを押す。
そして三回ほど閉まるボタンを押した瞬間、エレベーターが動き始めた。
上ではなく、
「なっ……!!?」
エレベーターの一部の壁が開き窓になったことで、その光景が明らかとなった。
下には広大な空間が広がっており、壁に大きく『MHカンパニー』と書かれている。
白衣とスーツを着た人間が結構な数がおり、ロボットのようなものまで歩いている。
それだけじゃない、動物もそこらへんを歩き回っていた。
あまりにも、非現実的な光景。
「なんだよ、これ……!?」
「ようこそ。マッドハンター・カンパニー……ICD特務機関へ。私たちは、貴方を歓迎する」
少女はこの広大な光景を背後に、そう言ったのだった。