共和国軍の急降下爆撃隊   作:鈴名ひまり

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思いついたのでパッと書いた一話。
クローンの攻撃からバッドバッチの時代あたりまで。書けたらいいな──


Prologue

 絶え間なく響く爆発音。

 

 雨のように飛んでくる赤い光弾。

 

 そして一度聞けば忘れられないカチャカチャという金属音。

 

 もうすぐヤツらが──ブリキ野郎共が来る。

 陣地を突破しに。俺たちを殺しに。俺たちの背後にある街を占領しに。そして、この惑星を奪いに。

 

「怯むな!撃ち返せ!残らず破壊するんだ!!」

 

 オレンジ色のカラーリングが施されたアーマーを纏った軍曹殿が声を張り上げる。

 

 その声に呼応して俺たちは塹壕からもう少し身を乗り出し、ブラスターとモーターランチャーの弾幕を張る。

 

 後ろからはウォーカーの主砲や砲兵隊の重砲が火を噴く音が聞こえる。

 

 一撃で一個中隊が消し飛ぶような砲撃が何十発と叩き込まれ、爆発音が轟く度にブリキ野郎が宙を舞う。

 

 だがそれでもヤツらは止まらない。止められない。

 吹っ飛ばされた側から次々に後続が現れ、残骸を踏み越えて迫ってくる。

 

 何千何万体壊されようが怯むことなく向かってくる歩兵の大群。

 それがヤツら、ドロイド軍だ。

 

 だが、そんな絶望の権化に立ち向かうために俺たちはいる。

 背後にいる市民たちのため、共和国のため、俺たちはこの身体、この命を擲つ。

 

 迷うことなんてない。

 俺たちはそのために作られたのだ。

 

 形勢は我が方に不利。

 ならば一体でも多くのブリキ野郎を道連れにして死ぬ。

 それがただの一兵卒である俺の判断。

 

 空になったブラスターの弾倉を交換し、腰の手榴弾を確認する。

 

 もうすぐだ。

 あの土煙が晴れたら、ブリキ野郎の大群が──

 

「クソッタレ!野郎共!ロケットランチャーを用意しろ!戦車が来るぞ!」

 

 軍曹殿の言葉通り、土煙の中から現れたのは、ブリキ野郎が駆るホバータンク。

 

 その頑丈な正面装甲はブラスター弾を通さず、ウォーカーのマス=ドライバー砲をもってしても貫通は難しい。

 

 ロケットランチャーではうまく主砲の真下の”首元”を狙うか、側面に回る必要があるが──果たしてそれをブリキ野郎共が許すかどうか。

 

 だが、怖気付いている暇はない。

 ロケットランチャーで戦車に立ち向かわなければならないのなら、そうするまでだ。

 戦車を倒せば、後続のブリキ野郎共の盾はなくなる。

 そうなれば、まだ俺たちは押し戻せる。

 

 気を奮い立たせて、ロケットランチャーを援護するため、ブラスターの引き金を引き続ける。

 

 だが、無情にもホバータンクの主砲が放った迫撃砲弾が塹壕を直撃し、爆発音と悲鳴が上がる。

 

「伏せろ!」

「衛生兵!衛生兵ーッ!!」

「ちくしょう、ランチャーがやられた!」

「総員!手榴弾を持て!引きつけてから──」

「軍曹殿!軍曹殿がやられた!」

「クソォ!ヤツらもうすぐそこまで来るぞ!」

 

 横一列になって進んでくるホバータンクは降り注ぐ光弾の雨をものともせずに迫撃砲弾を連射し、塹壕を蹂躙していく。

 

 生き残ったランチャー兵によって何発かロケット弾が放たれたが、止められたのは二両だけ。

 そして勇敢なランチャー兵は即座に反撃で肉片に変えられた。

 

 もう駄目だ。

 かくなる上は奴らの戦車に突撃してよじ登り、ハッチをこじ開けて手榴弾を投げ込むくらいしかない。

 十中八九辿り着く前に挽肉にされるだろうが、それでも一分の望みがあるのなら、それに挑むのが俺たち兵士だ。

 

 そう覚悟を決めて手榴弾を握りしめたその時──

 

「援軍だ!味方のファイターが来たぞ!」

 

 誰かがそう叫んだ。

 

 その言葉通り、ブラスターの銃声と爆発音に混じって特徴的な甲高いエンジン音が微かに聞こえてくる。

 

 どこだ?

 どこから来る? 

 

「上だ!」

 

 思わず上空を見上げると、土色の迷彩塗装を施したYウィングの編隊が急降下してくるのが見えた。

 

 あれは確か──

 

「ルーデルか!」

 

 サイレンのようなけたたましい音を上げて直角に急降下してくるパイロットなんぞ、奴くらいなものだ。

 

 マニュアルで明確に禁止された危険な空戦機動を平然と行い、ローテーションも命令も無視して勝手に出撃し、それでいて誰よりも戦果を上げる、地上軍にとっての救世主。

 

 奴の機が現れれば、その瞬間に大歓声が上がり、兵士たちは勇気と力を漲らせる。

 

 奴が航空支援に現れることは即ち、敵が必ず消し飛ぶことを意味するからだ。

 

 そして今回も、皆の期待に応えて、ルーデルのYウィングは船首のレーザー砲と腹に抱えたプロトン爆弾をフルに使い、敵のホバータンクを片っ端から破壊していく。

 

 最初の急降下爆撃でホバータンクはほぼ全てが炎を噴き上げる鉄屑と化したが、ルーデルは機体を旋回させて残った数両も容赦なくレーザー砲で蜂の巣にした。

 

 今にも地面に激突しそうな超低空飛行でのろのろと逃げ惑うホバータンクを狩り尽くし、無防備になったドロイド共にたっぷりレーザー砲の掃射をお見舞いしてから、ルーデルの編隊は悠々と上昇して帰路に就く。

 

 俺たちは感謝の歓声を上げて、彼らを見送り、再びブラスターを構える。

 

 戦車が片付いた今、ブリキ野郎共はただの的だ。

 一体残らずスクラップにしてやる。

 

 ルーデル隊の援護に必ず応えて見せる。

 

 

◇◆◇

 

 

 密林を切り開いて造られた簡素な航空隊基地にYウィングの編隊が帰還してくる。

 

 戦場での酷使に耐えるように頑丈に作られたYウィングは土を固めただけの着陸パッドにも問題なく着地する。

 

 降りてきたパイロットたちを出迎えたのは見るからに不機嫌ですという表情を貼り付けた准将である。

 

 准将は最後に降りてきたパイロットの姿を見つけると、くわっと目を見開いて怒鳴った。

 

「CT-2761!貴様また無断でファイターを飛ばしたな!これで何度目だ!」

「ですが友軍地上部隊を蹂躙していたブリキ野郎共の戦車は残らず吹き飛ばしました。一両残らず、です。それと、俺はCT何とかじゃなくて、ルーデルですよ。准将殿」

「ええい口答えをするな!貴様の命令違反はこれで十一回目だ。十一回目だぞCT-2761!」

「だーかーらー!ルーデルって言ってるでしょうが!」

 

 准将と言い争うそのパイロットを周囲は残念なものを見る目で見ていた。

 あいつまたやってやがる──と。

 

 何度飛行禁止になろうが、営倉送りになろうが、懲りずに出撃を繰り返し、怒られてもまるで反省の色を見せない彼の姿はもはや隊の名物である。

 

「ッ!ではルーデル!貴様の行動は第7空挺兵団司令オビ=ワン・ケノービ将軍直々の要請に真っ向から違反しておる!一パイロットの分際で将軍の要請に従わんとは何事か!」

「要請でしょう?命令ではなくて」

「その将軍の要請で私が待機命令を出したのだ!にも関わらず貴様は無視して勝手にファイターを飛ばし、貴重な機体を危険に晒した!もはや看過できん!貴様は所定の休養期間満了まで飛行禁止!貴様の機体は分解整備とする!」

「そんなご無体な!」

 

 この世の終わりのような顔で出撃できないことを嘆くルーデルに准将は溜息を吐いた。

 

 合図をすると、同僚のパイロットたちが項垂れるルーデルを引きずって宿舎へと連行していく。

 

「こいつ──腕はいいんだがなぁ──」

「あぁ──搭乗割を無視して飛び出さなきゃ──」

「目についた奴を誰かれ構わず後席に押し込んで飛び出す癖さえなけりゃ──」

「本当にいいやつなんだがな──」

 

 もはや溜息しか出てこない彼らに引きずられて、ルーデルは宿舎のベッドに放り込まれる。

 

 

 

 同僚たちが宿舎から出て行き、一人取り残されたルーデルは、気落ちしてそのまま不貞寝を決め込むが、すぐに宿舎のドアが開き、訪問者が現れる。

 

「あ、いた!マスター、こっちこっち」

 

 活発そうな声がしたかと思うと、オレンジ色の肌をしたエイリアン種族の少女がルーデルのベッドを覗き込む。

 

「あなたがルーデルだよね?」

 

 無遠慮に顔を近づけてくる少女にルーデルは怪訝な顔をする。

 

「えーと、どちら様でしょう?」

「私は501軍団のアソーカ。後ろにいるのはマスターのアナキン・スカイウォーカー。あなたにお礼を言いに来たの」

 

 瞬間。

 

 ルーデルは飛び起きて敬礼をする。

 

「これは将軍閣下にコマンダー。失礼を」

「はは。そう畏まらなくていい。君らしくないぞ」

「は?はっ!」

 

 敬礼を解いたルーデルにスカイウォーカー将軍は右手を差し出す。

 

「君の小隊の援護のおかげで前線は持ち直せた。今日の勝利は君のおかげだ。ありがとう」

「いえ。自分は自分の仕事をしただけであります」

 

 そう言ってルーデルはスカイウォーカー将軍の手を握る。

 

「はは。君、ハードケースに似てるな」

「は、ハードケース、でありますか?」

「ああ。僕の隊の古参兵でね。パイロットじゃないけど、君に似て好戦的で謙虚なのさ」

「それはまた──愉快な奴がいたものですな」

「うちの皆は個性派揃いだからね」

 

 しばらくお互いの隊の話で盛り上がった後、席を立ったスカイウォーカー将軍が思いがけない提案をしてきた。

 

「オビ=ワンの所が退屈なら僕の隊に来てくれてもいいぞ。シャドウ中隊がいなくなってからずっと、腕の良いパイロットを探しているんだ」

「マスター。勝手に引き抜いたらマスター・ケノービに怒られるよ」

「あぁ、いえ、実にありがたい申し出ではありますが──自分では何とも」

 

 正直スカイウォーカー将軍の話はかなり魅力的である。

 常に最前線を行き、時に圧倒的な武力で敵を蹴散らし、時に意表を突く戦術で敵を翻弄する共和国軍随一の精鋭部隊。心惹かれないわけがない。

 

 だが、そう簡単に転属できるわけでもない。

 特にさっき自分に罰を下した准将殿は転属願いを受け付けてくれるとは思えない。

 

「心配ない。僕がオビ=ワンに掛け合おう。なぁに、僕とオビ=ワンはよく一緒の戦域にいるからあまり文句も出ないだろうさ。楽しみに待っていてくれ」

 

 そう言ってスカイウォーカー将軍はアソーカと共に出て行った。

 

 そして、その言葉通り、ルーデルはその翌日から501軍団に所属が変わったのだった。

 

 

◇◆◇

 

 

 これはある世界で空の魔王と呼ばれた男の、二度目の生、二度目の戦いの物語である。




ルーデル閣下の伝記とかないんですかね?
キャラ掴みにくくて──
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