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流行りに乗っかって投稿。
ウマ娘になってしまったトレーナーのお話の、記念すべき第1話目です。
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私は、生まれつき身体の弱い男だった。
痩せっぽちで、お腹が弱く、体力も筋力も少なく、貧血でまともに運動もできない。
故に、同世代の子達には何かといじめられ、その度に悔しい思いをしてきた。
私だってこんな身体に産まれたかったわけではない、そういう思いから、親に辛くあたってしまう事もあった。
だが、そんな私を変えたのは───
「夢のグランプリを制したのはガーネット!年末最後の大一番を制し、栄光のセンターの座を手に入れた!」
───父に連れられて観戦した、有マ記念にて走るウマ娘たちの姿だった。
父は言う。彼女たちは辛く厳しい勝負の世界を、これまた苦しくしんどいトレーニングの末に鍛えた脚でもって駆けてゆくのだと。
各々毎の夢へ向けて、或いは栄光を求めて。
1着で駆け抜けてきたウマ娘も、それよりも後に駆け抜けたウマ娘も、みんな輝いて見えた。
当時まだ小学2年生であった私にはないものを……あの場で走っていた彼女たちはみんな持っていた。
『どれほどつらいトレーニングを重ねれば、彼女たちのようになれるのだろう』……いつしか私は『ヒト』でありながら、種族も性別も違う彼女たちに近づきたいが為に、がむしゃらに身体を鍛えるようになった。
身体が貧相であるのは栄養が足りないからだと言われれば、今まで好き嫌いしてきたものを耐え、我慢して食した。
なんでも食べれるようになってからは、より効率よく栄養価の高いものを摂取できるよう、消化吸収を考えてよく噛んでから飲み込むことを意識した。
『彼女たちに追い付きたい』という思いを軸にして、自分の身体に向き合うことから始めた私は……中学を卒業する頃にはがっしりとした体格にまで成長を遂げ、それまでの貧弱であった身体から生まれ変わることができた。
それからの3年間は怒涛の日々で、陸上部に所属してからはただただ走ることだけを考え生きた。
そうした学生生活に身を置きながらも、ウマ娘たちのレースはテレビやラジオ等でしっかり観戦した。
ウマ娘たちの競り合う姿こそが私のバイブル……もとい、青春だったのだ。
そして───更に月日は経ち、24歳となった頃。
今の私に変わる切っ掛けをくれたウマ娘たちへの精神的な恩返しと、今を駆けるウマ娘たちに少しでも夢へ近づいて欲しいという思いから……私はウマ娘のトレーナー資格を手にし、母がかつて在学していたという、日本ウマ娘トレーニングセンター学園へ新人トレーナーとして配属されることとなった。
半年間のサブトレーナーとしての下積みを終えた私が、今現在正規に担当しているウマ娘の名は『ハルウララ』という。
彼女との出会いは『種目別競技大会』の開催が近づく時期。
多くのウマ娘たちが競技大会へ向けてトレーニングに熱を入れている最中、ひとりヘロヘロになりながらターフを駆けるウララを見たことが始まりだった。
「えっほ、えっほ……ごお~~るぅ……はぁ、はぁ……ふらふらぁ……」
余程走り込んだらしく、ゴールと同時に力尽きて倒れ込んだ姿を見て、私はウララの元へと駆けつけた。
「きっ君っ!! 大丈夫か!?」
「うぅ~ん……だいじょぶ~……」
全く大丈夫には見えない様子に、すかさず手を差し伸べて引き起こす。
「ふぅ……競技大会で1着取るなら、このくらい頑張らないと!!」
心配してくれてありがとう。そう言いながら息を整える彼女の顔はとても楽しそうで、倒れるまで走り込みこそしたが、無茶しているといった感じはしなかった。
互いの紹介を簡潔に済ませた後、ウララは『ぜったい1着になって見せるから!!』と私に語る。
頑張り屋で倒れ込むほどにトレーニングを積み、更には自信に満ちた表情で語る様子を見て、もしかするとこの子は素晴らしい逸材なのではとも感じたが……競技大会当日に見せたウララの走りは、私の当初の想像から大いに外れる形となった。
「今、最後の1人がゴールを通過しました!! スタンドからはハルウララへ向けて拍手が贈られています!!」
結果は最下位───走っている姿からは異常は見られず、ケガや体調不良などは考えにくい。
となれば、今の走りが彼女の実力なのだろう。
普通ならば、勝った子や入着した子らに注目が集まったのだろうが……私は、ウララの最後まで懸命に走り続ける姿に、理由も分からないまま強く惹きつけられていた。
その後もウララと関わる機会に恵まれた私は、商店街にコース上にと所せましと駆け回る彼女のその姿に、段々と『トレーナーとして支えてあげたい』という気持ちが芽生えていく。
そして……商店街の方々の応援や他のウマ娘の子たちの手伝いの末に選抜レースを走りぬいたウララの姿を見て、私の意思は固まった。
「君をスカウトしたい、ウララ。私と一緒に1着を目指さないか?」
負け続けようともめげず、諦めず、大きく離されても前を向いて走り続けるその姿に輝きを見た私は、気が付けば夕日のスタンド上でウララにそう切り出していた。
その輝きは、かつて有マに見たウマ娘たちのモノにも似ていたから。
「すかうと……? え、ええ~!? わたしをスカウトしてくれるの!?」
「ああ!!」
「はわわわぁ……!! やったぁー!! わたし、トゥインクル・シリーズで走れるんだ!!」
強い喜びの感情が耳に尻尾にと現れているウララの姿を見て、思う。
この子に1着を取らせてあげたい。共に栄光を掴みたい。
たとえ今はまだ鈍い輝きしか放てずとも、共に歩んでいければ、いつかは……夢の舞台にだって立てる筈だ……っ!!
「それじゃあよろしく、トレーナー!! たっくさん、1着をとってみせるからね!!」
……これがハルウララとの出会いであり、私たちは、共にトゥインクル・シリーズを駆け抜けていくこととなった。
初めのうちは1着はおろか入着もできなかった彼女だったが、共に寄り添い、二人三脚でトレーニングを重ねてゆく内に順位を上げていき……ジュニア級の12月にて初めての1着に輝いた。
メイクデビュー戦以降、およそ6か月近くもの期間を経た末の出来事だった。
「トレーナー!! とれぇーなぁー!! 1着だよっ!! わたし、1着になれたよ!!」
「ああ、ああっ!! 見ていたさ、見ていたとも!! ほんとによく頑張った!! ほんとに……」
「ととっトレーナー!? どうして泣いてるの!? どこか痛いの!?」
感極まって私が泣いてしまったが、気持ちはウララも同じだったようで……
「うう、うぅ~……うわぁぁぁん!! とれーなぁー!! わたし、わだじぃ~!!」
「うんっ!! うんっ!! おめでとう、ほんっとに、おめでとうっ!!」
抱き合う様にして共に涙を流す。大きく出遅れこそしたが、ようやく……ようやく、私たちのトゥインクル・シリーズは始まったのだ。
───そんな、矢先の出来事。
時期は4月前半。季節は春真っ盛り。
この時期に至るまでの間に2つほどレースに出走し、どちらも1着に収まることで自信と弾みをつけた頃。
ひらひらと舞い飛ぶモンシロチョウを追いかけて何処かへ行ってしまったウララを追いかけてあちこち駆けまわっていた私は、終ぞ見つけることがかなわずに途方に暮れていた。
元々自由で無邪気な子ではあったが、最近は少し奔放さが目に付いてしまう。
トレーニングに身が入っていないというわけではないものの、ふとしたタイミングでこちらが目を離した隙に居なくなってしまうことがしばしばあった。
今日もそう言った経緯で彼女の姿を見失ってしまい……たどり着いたのは、三女神像の前であった。
「女神様、ウララの居場所を知っていたりはしないですかね? ……なぁんて、はは。少し疲れてるのかもしれないな」
付近にあったベンチに腰掛け、ハンカチで汗を拭う。
暖かい風がそよそよと流れ、心地よさを運んでくる。
ぬくぬくとした日差しが眠気をも誘うようで、少し辛い。
「若い子って元気だなぁ。私も若いはずなんだけど……流石はウマ娘と言った所か」
ぼんやりと女神像を眺めつつ、誰に宛てたわけでもない独り言を口走る。
「あぁ、私も彼女達みたく速く走れたならな……」
それは、幼い頃に抱いた憧憬の一つでもあった。
今でこそ克服した弱さだが、その昔は自分自身の肉体的な弱さを恨み、その反対側に居るかのようなウマ娘たちの姿を妬ましく思っていた。
自分もウマ娘であったなら、どれほどよかっただろうか。そう考えずにはいられないほどに、彼女たちの姿はまぶしく輝いて見えていた。
「私も、ウマ娘……に……」
段々と抗えなくなっていく睡魔に負け、瞼が落ちていく。
その刹那、何かが見えたような気がしたが……それが何であるのかもわからないまま、私は闇に落ちていく意識に心を委ねた。
──────
───
─
「……だこの……。どこから……」
「トレーナー……チを……、名簿……」
複数人の話し声が耳に付き、意識が闇から浮かび上がってくる。
閉じていた瞼から光が漏れ始め、それに合わせて聴覚もはっきりしてくる。
周囲の音が、少しうるさく感じられるくらいにはっきりと聞き取れる。ちょっとだけ耳が痛い。
「……む。会長、起きたようです」
女性の声が聞こえた。この声は確か、生徒会に所属している……エアグルーヴか。
会長と話しかけていたのを聞くに、シンボリルドルフもいるのか。
「起きたか。では、彼女から直接話を聞くこととしよう」
ようやく目が開き、一瞬目の前が白む。
直ぐに目が光に慣れると、そこはいつもの三女神像の前。
視界にはルドルフとエアグルーヴ、それと、ウララの姿があった。
「あれ、ウララ。一体どこに行っていたんだ。探してたんだよ」
そう言いながら立ち上がる。座りながら寝ていたせいもあってか、身体中がバッキバキだ。
そのため、身体の調子を整えるために一度伸びをしようとしたが……なんだか雰囲気がおかしい事に気が付く。
エアグルーヴはこちらを睨みつけるように見つめ、ルドルフは真剣と言った面持ちでこちらを見やる。
ウララは……いつも通りにも見えたが、少しだけ困惑の色が見て取れた。
「……どうかした?」
疑問に思い、そう声をかけた段階で、違和感にようやく気が付いた。
声の調子がおかしい。具体的に言うなら、普段の低い声ではなく、嫌に高いのだ。
それこそ、女性のような声の高さだ。
誰かほかにもいるのかと思って周りをそれと無く見回したが、私達4人以外には誰もいない。
「えっと、他に誰か……っ」
意識して声を出した瞬間、ようやく事態を飲み込めた。
今の声は……今の女性の声は私が発したのだという事を。
「一つ尋ねよう。どうか、落ち着いて」
静かに、だがよく通る声でルドルフが私に問いかけてくる。
私はそれに無言でうなずくと、さらなる問いかけを待つ。
「君は……彼女、ハルウララのトレーナー君で間違いはないね?」
ルドルフを見つめ、静かにうなずく。
「では、自分の名前を言えるかな」
そう問いかけてくるルドルフの意図を図りかねたものの、素直に自分の名前を名乗る。
「私は……天春麗(あまがすあきら)です」
私のその答えにルドルフは瞑目する。後ろに控えているエアグルーヴも、言葉にこそ出さないものの、その表情から困惑していることがうかがえた。
脇に居るウララも、この物々しい空気にのまれているのか、騒ぐ様子もないままに私たちを交互に見つめている。
「……ここにいたのは何時からだい?」
しばらくの沈黙の後、声を絞り出すかのようにルドルフが訪ねてくる。
「えっと……いつからかは定かではないですが、ウララを探して歩き始めたのが10時頃だったので……」
「探していた時間も含めるなら、およそ10時半辺り……と言ったところでしょうか」
エアグルーヴの補足に頷いて答える。
時間を見ていたわけじゃないから正確なことは言えないが、違い過ぎているという事はないはずだ。
「大体の事は分かった。君は……天春トレーナーは、担当ウマ娘を探して方々を見て回り、この三女神像前のベンチに腰掛けた。ここまでは相違ないかな」
「はい」
「そして、その後何かがあり……君が今まで座っていたベンチで、眠ってしまったと」
「はい……」
「では、天春トレーナー。落ち着いて、自分の姿を見るといい。いいかい、落ち着いて……決して、パニックにならないように」
数度のやり取りの後、手鏡を渡される。
その手鏡に映ったのは……
※イメージイラスト(AI製)
「えっ……」
……見覚えのないウマ娘の顔だった。
一瞬の硬直の後、弾かれたように直ぐさま自分の身なりを確認する。
普段から着ているトレーナー服であるはずなのに、少し大きいのかちょっとだけ丈が余っている。
下……の方は、今は3人の目があるため確認できないから、後ろに手を回す。
ファサッと、何かが触れる。恐る恐るそれを掴んで前へ持ってくると、お尻の上あたりが引っ張られるような感覚があった。
胸元に手を回す。だぼついた服装のせいで分かりにくかったが、そこには確かに、およそ男の身体には存在しえないものが自己主張をしていた。
そして最後に、頭の上へと両手を回し……ついに思考停止に至った。
「我々がここに来た時、既に君はその姿になっていた。無論、これは君が元・天春トレーナーであるとした上での話だが……」
ルドルフの発言で現実に引き戻される。
「先ほどまでの言動や今の様子を見るに、別の何者かが嘘をつき、演技をしてまで成りすましている……そう言った感じは見られませんね」
「ああ。それに、こうなった以上……身分証明書などはあまり役には立たないだろう。故に、事実確認や状況確認で証拠を取っていくしかない。再度確認するが、君は本当に天春トレーナーで間違いないかな?」
あまりのショックで声も出なくなっていたため、必死に頷く。
そんな様子を見た二人は、小さくため息をつくと各々動き始めた。
「エアグルーヴ、先ずは理事長に連絡を。私は引き天春トレーナーから事情聴取を行い、得た情報を纏めておく」
「分かりました」
「ウララ、君からも話を聞きたいから、今日は私と行動を共にしてほしい。問題ないかな?」
「はっ……だ、大丈夫だよ!!」
「では……天春トレーナー。こちらへ」
先行して動き始めたエアグルーヴを見送った後、ルドルフの先導に従って私とウララは歩き始める。
その道すがら、私はウララから質問を受けた。
「ねぇねぇ、あなたは……わたしのトレーナーで、いいんだよね?」
「ああ、そうだよ。私は君のトレーナーだ。今はこんな姿だけども」
「わぁ~……」
私の周りをぐるぐると回るようにして見つめてくるウララ。
ひとしきりそうした後、再びウララは質問を投げかけてくる。
「どこからどう見てもウマ娘だね!! でも、どうしてウマ娘になっちゃったんだろう?」
「どうして、と言われてもなぁ。蝶を追いかけて何処かへ行っちゃったウララを追いかけて、へとへとになった後……あの三女神像の前にたどり着いて、それから……」
反すうをするように思い返す。春の陽気に当てられて、強烈な眠気に襲われて、それから……
「……睡魔に負けて、瞼を閉じかけた時、何かが見えたな」
深く、深く、記憶を掘り下げるように思考に埋没していく。
意識が沈む間際に見たものは……母さんにそっくりなウマ娘。
「天春トレーナーの母君に、そっくりなウマ娘?」
それまで黙って話を聞いていたルドルフが、急に会話に入ってくる。
「うん……うん、そうだ。確かにあれは、あの姿は、アルバムで見せてくれた現役時代の母にそっくりだった」
青毛の長髪で、切れ長の瞳。整った顔立ちとプロポーションに、精悍だがしなやかさを感じる脚。
あぁ……そうだ、確かにあれは母さんだ。まどろみの中で見たのは、確かに母さんそのものだ。
「……失礼だが、母君の名を伺ってもいいかい?」
「母の? いいですよ。母の名は……サクラプレジールです」
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「驚愕ッ!! 本当に君は、あの天春トレーナーなのかっ!?」
所変わって、ここは理事長室。
道すがらの事情聴取に答えつつルドルフがまとめてくれた事を、合流したエアグルーヴを混じえた4人で報告した。
今ここにいるのはエアグルーヴとルドルフ、ウララに私、理事長。そしてたづなさん。計6名だ。
「背丈などは特に変わっていないようですね。それに、お話になられていたお母様……サクラプレジールさんの在学時の写真と、今の天春トレーナーの容姿を見比べると、確かに面影がみてとれます」
「困惑……にわかには信じ難い事である」
二者二様の反応に申し訳なさが立つ。
そりゃあ、こんな事になるだなんて誰が予想出来ようか。
「三女神像とトレーナーさんのお母様、それと……」
「天春トレーナーの意思が成した奇跡……と言えば、聞こえは良いだろう。しかし!! こんな事が、なんの前触れもなく現実の事として起きるだなど、信じられないのもまた事実ッ!!」
それはそうだろう。なんせ私自身も、自分の身に起きた事を受け止めきれなくて、未だに現実感が伴っていないのだから。
ひょっとしたらこれは夢で、まだ私は三女神像の前で寝てるのでは……とも、考えてしまうくらいなのだ。
「それに、いくつか問題点も出てきます。男性である天春トレーナーか忽然と姿を消した事もそうですし、出自不明のウマ娘が突如として現れたこともまた問題です。身分証明に必要な事柄に関してもそうですし……なにより、この場における一番の問題は、ウララさんの専属トレーナーであった『ヒトの男性である天春トレーナー』の失踪に伴い、トゥインクル・シリーズを走る事が出来なくなる可能性があることです」
そこまで聞いてハッとする。
今この状況に至るまで、私自身の問題の事ばかりを考えてしまっていたが……私がこんな状態になったことで、ウララにも被害が行くのだ。
「故に……天春トレーナーよ!! ウマ娘としての戸籍を新たに取得し、トレーナー試験を受け直してライセンスを再取得し直すのだ!! 迅速に行動を起こせば、およそ3ヶ月前後でトレーナーとしての活動再開の準備が全て整うだろう!!」
「ですが、その期間中はトレーナーとしての業務は当然出来ませんし、そうなるとこの学園にも居られなくなります」
それに合わせ、ウララも何も出来なくなる。
自主トレくらいならできるだろうが、直接見ながらトレーニングを付けることが出来ない以上、踏み込んだことは出来なくなるだろう。
「決定ッ!! 天春トレーナーが今やるべきことは一つ!! 担当ウマ娘の事を考えるならば、迅速果断に物事を進め、早期復職を目指すのだッ!!」
「それしか方法はないでしょう。私共々、必要なことがあればバックアップ致しますので、復帰を目指して頑張ってください♪」
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話があれよあれよと進み、とりあえず不安視されていたトレーナー業への復職の目処はある程度立った。
両親達にも迷惑をかけることになるし、大いに驚かせることになるだろうが……自分自身に降りかかったことを説明しないことには先に進めない。
それに、ウララを待たせる訳にも行かない。
迅速果断。理事長の言う通り、ここから先はアクションが早ければ早いほど事態も好転するだろう。
「ウララ……ごめんな。私がこんなことになってしまったがばっかりに……」
「ううん、そんな事ないよ!! ウララは待てるよ。だから頑張ってね、トレーナー!!」
すっかりいつもの調子を取り戻したウララは、持ち前の明るさで私を激励してくれた。
今だけは……その底抜けな程に前向きなウララの言葉を有難く感じる。
「出来るだけ早くに戻れるよう努力する。それじゃあ、またね……ウララ」
「うんっ!! 行ってらっしゃい、トレーナー!!」
「健闘を祈るよ、トレーナー君」
「また何れ会いましょう」
ウララとルドルフ、エアグルーヴに見送られ、校門を出る。
外にはたづなさんと理事長が見送りに来ており、いくつかやり取りを交わした後に2人とも別れた。
向かうべきは……実家。変わり果てた姿での里帰りに、自然と緊張感が高まる。
「……ふたりとも、この姿を見たらなんて言うかなぁ」
大きな不安に心がざわつくが……待ってくれている人達のために、私は……いや、俺は、勇気を持って足を踏み出していった。
感想、お待ちしています。m(_ _)m