推しの子 日輪の愛   作:BLOODRAIN

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芸能界と言う闇

side 縁壱

 

「実は彼。何年か前に剣道の小、中、高校生の部で12年連続優勝を成し遂げた天才高校生剣士として紹介されたことがあるの」

 

「え⁉︎12連覇ってこと⁉︎」

 

「そうだ、一時期話題になっただろ。天才高校生剣士。現代の侍。暁星縁壱。それが彼なんだ」

 

「暁星縁壱。あっ思い出した、確かテレビでやってたよね!」

 

「す、すごい。名前を覚えるのが苦手なママが名前を覚えてるなんて」

 

「俺も思い出した。その強さはもちろん、そのルックスでもすごい人気だったよ」

 

「そう、そうなのよ!剣道って当時は若い子には人気があまり無かったんだけど彼がテレビで取り上げられてからは爆発的な剣道ブームを巻き起こしたの!」

 

社長夫人が熱く語る。確かに高校に在籍していた頃はそんなこともあった

 

「しかも彼、顔もアイ並みに整ってるし。背も高くてスタイルも抜群だからモデルスカウトの話なんかもあったんだけど。目立つのは苦手だって全部断ったらしいの」

 

「えー、なんか勿体無いなー。そこんとこどうなの縁壱くん?」

 

星野アイが私に疑問を投げかける

 

「私はただ剣道が好きだから続けただけだ、目立つためでは無い。本心で言えばあの報道も断りたかった」

 

そう、私はやはり兄上を見て始めた剣が好きだった。この世界では5つの頃から剣を握ってきた。この時代には侍は存在しないが私は強くなりたかった。しかし、どれほどの相手でも私の相手にはならなかった。試合において呼吸は使っておらず透き通る世界も使わないようにした。しかし、それでも私の相手になる者は居なかった。そして気付いた時には有名になってしまっていた

 

「そうだったんだ。じゃあ確かに誤魔化すのは難しいかな?」

 

「残念だが。縁壱くん、本当に申し訳ない!出来ることはやったんだがどうしても聞き入れてもらえなかったんだ。うちは弱小事務所だから。お偉いさんには逆らえないんだ」

 

言っていることはわかる。芸能界には明確な縦社会が存在する

そして注目を集めるために事実を捻じ曲げて伝えることも

しかし、厄介なのはその情報を好き勝手に広げ他者を傷つける人間がいると言うことだ

理不尽に他者を傷つける。かつての鬼は他者を外面的に傷つけるが、現代においては言葉によりよく知りもしない他者を精神的に傷つける。

方法は違うがいつの時代でも人は誰かを傷つけるのだ

 

「もうSNSでも話題になってるのよね」

 

そう言う社長夫人が見せてくれたスマホのSNSには今回の事件に対しての書き込みが上がっていた。星野アイを心配する物から犯人を糾弾する物。そして今回の事件が私の自作自演であると言い張る様な物など。冗談では笑えない様な投稿が書かれていた

 

その投稿に対してルビーは怒りを全身で表しながら投稿に対して『しねしねしねしねしねしねしね』と打ち込んでいた

 

その後はこれからの対応に対しての話し合いとなった。全員でしっかりと話し合った結果

星野アイと子供たちは部屋を引き払い、新しく部屋を借りることになった。更に当事者である私の身を守るためと言い。私にも齋藤社長の用意した部屋に引っ越して欲しい。もちろん引っ越しにかかる費用は全て自分が負担すると提案してきた。私は最初は断ったのだが、齋藤社長が

 

「アイを助けてくれた恩人をそんな理不尽な目に合わせてたまるか。これは君を守るためなんだ。齋藤壱護と言う1人の人間としてなさねばならない。俺の責務なんだ」

 

私に真剣な眼差しをむけて言い放った。彼の瞳からは打算など何ひとつ見えて来ない。1人の人間として責任に溢れた物だった

 

その彼の熱意に負け、私は齋藤社長の提案を受け入れたのだった

 

 

 

それからは早かった。私が借りている築数十年のアパートを引き払い。1週間で引っ越しの用意を済ませ、齋藤社長の指定したマンションの一室に引っ越した。新しい部屋は前の部屋より広く、とても使いがっての良い物だった

荷物も全て届き。部屋で荷解きをしているとインターホンが鳴る。透き通る世界でドアを透かして見るとそこには星野アイとアクアマリン、ルビー。そして齋藤夫婦の五人が居た。私はドアを開け、皆を招き入れた

 

「ヤッホー⭐︎縁壱くん、きたよー‼︎」

 

「おじゃまします」

 

「おっじゃましまーす⭐︎」

 

「邪魔するぜ」

 

「ごめんなさいね。急に押しかけて」

 

「嫌、まだ荷解きが終わって居ないのでな。茶も出せず申し訳ない」

 

「大丈夫、大丈夫‼︎よければ手伝うよ?」

 

星野アイの提案により、全員で荷解きを手伝ってくれた。しかし、私はあまり私物を持っておらず。荷解きは1時間ほどで終わった。その後は全員で星野一家の自宅へ行くとのことで私の部屋を出る。しかし向かったのは私の部屋の1つ隣。ここが星野一家の新しい家だと言う。どうやら私たちは隣人となった様だ

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