仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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 オシリスは負けた。冥界の力を活かせず。アラン・チャールズは新たな依代をオシリスに捧げた。オシリスは依代に入り、少年は依代を腰に当てた。オシリスと少年は共鳴し、1体の死神を模した戦士に変わった。オシリスは少年に問う。
『汝、我の力をどう使う』
少年は答える。
『我、汝の力を人々を守るために使うことを誓う』
少年は、戦う力を得たのだ。
『旧約 死神録 共鳴』より。


♯12告白

 依澄と僕が出会って1ヶ月経った。最近は依澄以外の死神とも話す事も増えてきた僕は今もその死神、楠神真琴さんと話してる。

『腕、上がってきたな。もう依澄を越したんじゃないか?』

『まだまだだよ。どんなに強くなったとしても、実戦で勝たなきゃ、、、悪霊を倒さなきゃ、、、意味がないんだ』

僕は楠神さんの元を離れる。降霊ー死神になるために必要な儀式ーをまだ迎えてない僕は訓練室に向かっていた。齢12の春の事だ。

 

♣︎♣︎♣

 

 陽炎西街。そこの2番街はキャバクラや風俗、ラブホテルなどの建物が多い、いわゆる歓楽街だ。そのとあるラブホテル『リンネ』にてとある男女カップルがベッドの上で会話していた。

「ねぇ、貴方は死後の世界を信じますか?」

「は?死後の世界?フッ」

男性は女性の言葉を笑う。そんな言葉、どこかの宗教の勧誘でしか聞かない。そして大抵碌でもない。男性はそう女性に返そうとした時、一瞬、体に痛みがした。自分の体を見る。

「え?」

男性の腹にナイフが刺さっていた。

「死後の世界、見ませんか?」

女性の腹にもナイフが刺さっていた。女性の瞳には何か惹かれるものがあった。男性はその瞳に惹かれ、事切れた。

 

♣︎♣︎♣

〜奏多side〜

 駅前のベンチに座って、右腕をさする。昨日アリスと戦って右腕に痛い一撃を喰らってしまった。

「いって〜。一晩寝てもまだ痛むんだけど、、、」

スマホの時計を確認する。時間はまだ30分前だ。人にデートに誘われたのは初めてだ。陰で色々言われてたのは知ってたけど、まさか実際にデートするなんて思っても見なかった。

「ちょっと!やめてください!」

「いいじゃん、俺らと遊ぼうぜ〜」

ふと、声が聞こえた方を向く。そこにいたのは、

「あれ?田井中さん?」

3人のチャラ男に絡まれてる田井中さんがいた。田井中さんは困っているようだ。俺はソイツ等の元へ向かう。

「何してんの?キミら」

その時、自分の声が少し、いやもっと低かったのだと思う。だって、

「「「す、すみませんでした〜」」」

「ちょっと蛇芽さん!ストップ!」

チャラ男達は逃げ回り、俺は田井中さんに羽交い締めされていた。拳はチャラ男の1人に当たりそうになっていた。俺は体の力を抜くと、田井中さんは羽交い締めを解いた。

「蛇芽さんらしくないね。冷静さがなかったよ」

確かに。なんでそうなったのだろうか、その時の俺にはわからなかった。

 

♣︎♣︎♣

 

 しばらく歩いてアポロモールの入り口前にて通行止めを喰らった俺たち。どうやら昨日の深夜にアポロモール内で何か騒ぎが起きたようだ。田井中さんはこっそりと言う。

「これって、悪霊との戦いだよね」

「昨日、守条くんと電話したから多分、彼かな?」

彼が腕に着けてるハルバによる報告を聞いて悪霊はモノをモチーフにしたことを聞いた。それをスタークルにならずに撃破した。彼も実戦によって進化した。更に裏にジンやアリスがいた事も見抜いていたようだし。俺を見て田井中さんが言う。

「蛇芽さん、もっと頑張らなきゃって顔してる」

「え?」

田井中さんがそう言うと、俺の手を握る。

「今日だけ、せめて今日だけは守条くんじゃなくて私の事を考えて、私の事だけを見てよ」

「、、、わかった。今日はキミの事だけを見ることにする」

俺は田井中さんの手を握り、その場を去るのだった。今日は絶好のデート日和だ。

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 暇つぶしに陽炎中央街を歩いてた僕は見知った人を見かけた。高身長のイケメンで右腕に巻かれている包帯。絶対蛇芽だろう。

『どうした咲良。声をかけないのか?』

「いや、休日に知り合いに会いたくないんだけど」

僕はそうハルバに言って立ち去ろうとした時、蛇芽の元に小さい紙袋を持った田井中サンが出てきた。2人はそのまま手を繋いで歩いている。

『お熱いじゃないか。さすがサマエルだな』

僕は空鈴サンにラインを送る。

【咲良:蛇芽と田井中サンがデートしてんだけど】

返信がきた。しかも送って1秒で。

【ヒナ:そういえば、ヒメが蛇芽さんをデートに誘ったって聞いたよ。】

【ヒナ:アポロモールいくって聞いたんだけど、行かなかったのかな?】

アポロモール、、、心当たりしかない。

「ま、いっか。ハルバ、飯いこーぜ」

『オレサマが飯食えないの知ってるだろ!』

僕は中央街から去るのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜ヒメside〜

 陽炎中央3番街に蛇芽さんと歩く。3番街は大きな商店街だった。アクセサリーなどを売っているショップや、レトロな喫茶店。それに、

「わぁ〜」

「ここ、陽炎街に来てからの俺の行きつけの店なんだ」

とある雑貨屋さんに案内された。生活用品や、部屋に飾りつけるアイテムもある。私はその中でヘビの小さな置物を見つけた。

「わぁ、可愛い。でも高いなぁ」

芸能活動のおかげでお金はあるが、あまり無駄遣いはするべきじゃないだろう。置物から目を離し、私は蛇芽さんの元へ向かう。

「蛇芽さんは何にするの?」

「俺?俺は、、、これと、これ」

蛇芽さんが持ってるのはヘビの絵が描かれていたハンカチと蝶の絵が描かれているマグカップ。ハンカチはともかくマグカップは誰に渡すのだろう?もしかして、

「女の人に?」

「いや、お世話になってる死神の先輩に」

死神の先輩か。でも、だからと言って女性じゃないとは限らない。

「男だよ。女性に死神はいないんだ。候補はいるけど」

「候補?」

蛇芽さん曰く、助手として活動してる人の中には死神と同等又はそれ以上の力を持っている人達がいるらしい。

「もっと聞かせてよ!死神のこと!蛇芽さんのこと!」

会計を済ませた私たちは近くの公園へ向かうのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 僕は噴水公園で1人ホットドッグを食べながら蛇芽と田井中サンのことを考えていた。蛇芽がどう考えているかはわからんが、田井中サンは間違いなく蛇芽のことが好きだろう。

『なんで田井中ヒメは蛇芽奏多のことが好きなんだ?』

「知らないよ〜。人の恋とか、その人次第じゃんか〜」

僕はネックレスを取り出す。人が人を好きになるのに細かくて具体的な理由はいらないのだ。志望動機みたいに具体性もいらない。恋愛というのは、そういうものだ。

『やけに詳しいな。経験者か?』

「いや、、、僕の場合は想いを伝える間もなく終わったから、、、」

ネックレスをしまう。僕はホットドッグを食べ終えるとベンチから立ち上がる。

『次はどこいくんだ?』

「西2番街」

僕はハルバをなぞる。すると、ゲートが開いてシニガミバイクが現れた。

「さ、行こうぜ」

僕はそのままバイクで走り出すのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜奏多side〜

 俺は今までの事を田井中さんに話す。俺が組織に入った事。死神に向けての修行を行った事。そして、

「降霊?」

「うん。それをやらないと死神になれないんだ」

死神になるのに短くて3年。長くて10年以上かかると姫雛鳥に言ったのを思い出す。

「大変だったな。何度も挫けそうになったし、諦めたくなったよ」

「なら、なんで諦めなかったの?」

俺は田井中さんの手を掴む。

「自分の守れる範囲の人を守りたいっていう、俺の正義のためだ」

俺が掲げるのは正義の死神。弱きを助け、強きを挫く。あの時、怯えていた田井中さんを守りたいと思ったのは自分の正義に反する行動をしたくなかったから。

「子供みたいだろ?」

「ううん。蛇芽さんらしくていいと思う」

田井中さんはにこやかに笑う。5月にしては強すぎる日差しのせいで、あの子の笑顔が眩しくて、

「見えないな、、、」

俺は目を瞑るのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 夕方になり、俺は田井中さんを彼女が住んでいるマンションへ送っていた。学生寮か迷ったけど、守条くんがマンションを借りた方がいいと言ったらしい。

「南條助手が空鈴さんを通じてサボりを阻止する可能性があるから、学生寮はやめとけって言ったんだろうけど、」

「ハルバが守条くんにつくようになったから意味なかったね」

マンションが目の前に見えたので俺は田井中さんの手を離そうとするが、

「?どうしたの?」

離したくない。何故?俺がこんな感情を抱いている?

「多分、俺はもっとキミといたいんだ。俺の本能がそう言ってる」

「、、、私もだよ」

田井中さんは俺の正面を向くと、俺の唇に軽く口付けた。

「私、蛇芽さんが好き。人知れず私を守ってくれただけじゃない、守条くんに負けないように努力して強くなる貴方が、、、好きです//////」

夕日が田井中さんの赤くなった頬を隠す。俺の頬も赤くなっているのだろう。

「、、、今は、答えられない」

「蛇芽さん、、、」

死神は死と隣り合わせ。最強と言われている俺でも、いつ死ぬかわからない。でも、

「答えは、必ず出す。返事、待ってくれるかい?」

「、、、はい!待ってます/////」

田井中さんと俺はもう一度キスをするのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 夜になり、僕は1人西2番街を歩く。スマホを取り出してレンレンのサイトを開いた。

【依頼:西2番街でカップルが心中していた。カップルの1人がしていたチョーカーに触れた同僚が怪物になった!助けてくれ!!】

『チョーカーに触れてなんで怪物になるんだ?』

「あるんじゃない?エビルパウダー」

空鈴サンに会った事件を思い出す。多分あの矢の仕組みの応用だろう。チョーカーの仕組みに関しての考察を行う中である疑問が浮かぶ。

「なんでカップルが心中してんだろ?」

『どういう事だ?』

「持ち主を悪霊にした方が早くない?でも、持ち主の方は悪霊にならなかったらしいし、、、うーんむずいな〜」

考察をやめ、ハルバに搭載されているパウダーセンサーを起動する。こういう時だけはハルバがいてくれて感謝だ。

『おい咲良。コイツはどういう事だ?反応が多すぎるぞ!』

捜索結果をスマホに送ってもらい、スマホを見る。地図を見ると歓楽街の全体が反応で埋まっていた。

「こりゃ1人じゃキツいかも、、、」

南條サンを歓楽街に連れて行くことはしたくないから1人で来たのに。帰ろうか。そう思った時、

「ねぇ坊や、この街にいちゃいけないよ」

声をかけられたので振り向くと、ナイスバディな女性がいた。

「でも、、、今夜は、、、ト・ク・べ・ツ♡」

女性は僕の腕を掴むと路地裏へ連れ込もうとする。抵抗するが、女性の首についてるあるものに目をつけ、抵抗をやめる。

『おい、なんで抵抗をやめる?』

「すぐわかるよ」

このまま女性に引きずられるのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 随分と引っ張られたものだ。ネオン看板の明かりが小さく感じる。女性は手を離す。僕の手が赤くなっており、少し痛みを感じた。

「ねぇ坊や、キミは死後の世界を信じる?」

「ノー。だよ」

僕は女性が両手に持っていたナイフをスり、地面に投げる。女性が困惑してる隙に首についているチョーカーを外した。

「あれ?私は何を?ってキミ!こんな時間に何してるの!」

「すみませーん」

僕はチョーカーに特殊シールを貼る。女性が立ち去ったのを見届けて僕も去ろうとする。

「へぇ、、、コレの仕組みを見破るなんてやるじゃねぇか」

「ん?」

目の前に銀髪の青年が現れた。コイツは蛇芽の報告で聞いたことがある。

「アンタがジン?」

「そうだ。お前のことはアリスから聞いている。サマエルよりも警戒すべきってな!」

ジンが拳を放ってきたのでそれをかわし、右足で蹴りを放つ。ジンは右腕で止めると同時に僕は左で蹴りを放つ。ジンは僕の足を離して距離を取る。

「いい反応だ。気に入った!」

ジンが構えると、どこかから鳥を模した悪霊が現れる。

「おいおい、もう終わりか。じゃあなモルテ。また会おう」

風に塗れてジンは消える。悪霊が僕に突っ込んできたのでかわし、ベルトをつける。

『お前がブラックリスト最上位の死神か!お前を倒して賞金もらうぜ!』

悲報、どうやら僕は悪霊の間で指名手配されてたみたいだ。死神側と悪霊側、両方にブラックリスト最上位認定されてたのはちょっと悲しい。

「ま、いっか。アンタは僕が殲滅するからね」

ベルトにカードを挿入する。

『ラビット』

背後に黒装束でウサギのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

「変身」

鎌を下ろして水晶を割った。

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり僕に纏わりつく。

『ラビットグリム』

モルテに変身した僕はスターグリムバゼラードを構える。

「さ、やろっか。今宵は死神の時間だよ」

 

♣︎♣︎♣

 

 悪霊が空中に浮遊しながら僕に突撃する。僕はかわしつつバゼラードで斬撃。ゲージが溜まっていく。悪霊は空高くまで飛んでいき、段々と見えなくなっていった。

『咲良、アレを使えるんじゃないか?』

「あ、確かに」

僕はラビットのカードを抜いて鎌を上げる。ホルスターから1枚のカードを取り出してベルトに挿入した。

『バット』

背後にコウモリの骸骨が現れる。

『ARMS READY?』

「アームド」

鎌を下ろす。

『グリムアームド』

コウモリの骸骨が装甲の一部に変わり、装甲の一部と入れ替わる。

『アームドバット』

背中に羽が生え、両腕にはスピーカーが。

「いいねぇ〜。気に入った」

バゼラードを逆手に持って、僕は飛び立った。飛んでいくと悪霊を発見し、左腕のスピーカーから超音波を放った。

『ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!?!?!?』

悪霊はバランスを崩して落下する。僕はバゼラードで斬撃を繰り返す。

『unlock』

着地と同時にカードをベルトから抜いて鎌を上げる。バゼラードからカードを抜いてベルトに挿入する。『スタークル』

背後に3つの星のモニュメントが現れた。

『ARE YOU READY?』

「超変身!」

僕はベルトの鎌を下ろした。

『スターグリムアップ』

モニュメントがアーマーに変わり、僕に装着される。両肩にひとつずつ装着され、もうひとつは胸に装着される。黒のカラーリングが星空を模したカラーリングに変わり、仮面のドクロの目つきも鋭くなった。

『スタークルグリム』

スタークルグリムに変わり、バゼラードを構える。

「じゃ、本領発揮だぜ〜」

モニュメントが変わったアーマー『スターアーマー』が輝き、僕はショートワープしてバゼラードで斬りつける。バゼラードのスロットにコメットスターのカードを入れる。

『コメットスター』

「ついでに!」

ラビットのカードをスラッシュさせる。

『ラビットスキャン』

刃にエネルギーが迸る。

『コメットスキャンスラッシュ』

僕はバゼラードで斬ると、悪霊と人間の男性が分離した。

『くそ、、、なんでわかった!?』

「ん〜、、、なんとなく?勘?」

僕はベルトの鎌を上げた。右足にエネルギーが迸る。鎌を下ろして、僕は飛び上がる。

『スタークルグリムブレイク』

「よっ」

悪霊に蹴りを放ち、着地する。悪霊は断末魔をあげて爆散した。

「ゆっくりお眠り」

 

♣︎♣︎♣

 

 騒ぎが大きくなる前に退散する。本部にチョーカーを持っていった。テキトーに報告を済ませてから本部を出る。

「またでっかそうなことに巻き込まれたなぁ〜」

夜空にぼやき、学生寮を目指すのだった。その僕の後ろ姿を、誰かが見ていることに、この時の僕は気づかなかった。

「見つけましたよ。守条咲良」




 悪霊研究部の5人はチョーカーの秘密を知った。空鈴ヒナは守条咲良の心境を僅かながら勘づいてきた。そんな彼らの前に新たな敵が立ちはだかる!次回、仮面ライダーモルテ♯13発覚
「一気に倒す。早く帰りたいからね〜」

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  • 守条咲良(仮面ライダーモルテ)
  • 南條美澄
  • 南雲蓮
  • 蛇芽奏多(仮面ライダーサマエル)
  • 空鈴ヒナ
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  • 明神麗央(仮面ライダースコール)
  • 楠神真琴(仮面ライダーサリエル)
  • 冴島灰馬(仮面ライダーオルクス)
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  • ジン
  • アキネ
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