仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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 アラン・チャールズは死神の依代を錬金したことにより禁忌を犯した罪が許され、国に帰ることができるようになった。だが彼は人体錬金はまだ続けていたのだ。そして成功したソレはこう呼ばれる。曰く、
『死神の兵人』
と。
『旧約 死神録 人体錬金』より。


♯14敗北

 季節は冬。12月10日の今日、依澄も楠神さんもいなかった。僕は借りてきたグリムバゼラードを持って訓練室に向かう。シュミレーターのスイッチを押すが、起動できなかった。

『悪いな。点検日なんだ』

『、、、冴島さん』

ベテランの死神の冴島灰馬さん。彼は背負っていた巨大な剣を僕に向けて振り下ろす。僕はそれをかわして蹴りを放った。

『いい動きだ。降霊したらお前は最強かもな』

降霊したら、か。僕は冴島さんから少し距離を取り、バゼラードを構える。冴島さんも僕の意図を察してか、巨大な剣、『グリムバスターソード』を構えた。齢12の冬。あの事件まで、後2日。

 

♣︎♣︎♣

 

 屋上に寝転がり、僕は目を瞑る。春の終わり際の風が僕の黒い髪を揺らす。今日は絶好の昼寝日和だ。

「何1人で寝てるの?」

「空鈴サン」

空鈴サンは僕の隣に寝転がる。驚いて距離を取ろうとするが、僕の手を空鈴サンが握った。

「なんで離れようとしたの?」

「推しとの距離が近くてびくっただけ」

「本当に?」

「本当」

僕は空鈴サンから目を逸らす。離れられないならせめて見ないようにすれば平気だ。そういえば、空鈴サンってこういうキャラだっけ?2ケツの時も仕方ないとはいえ、抱きしめる力が強かった気がする。あのスピードならもう少し力を弱めてもいいはずだ。

「でも、びっくりしたな〜キミと南條サンが義理の兄妹だったなんて」

「正確には戸籍上の繋がりはないから兄妹じゃないけど」

なぜこういう話になったのか、それは昨日の放課後まで遡る。

 

♣︎♣︎♣

〜昨日〜

 僕は皆んなに話す。南條サンの兄は僕の死神の師匠であること。そして、、、

「義理の、、、お兄さん?」

「ってことは、南條ちゃんとも?」

速水サンとレンレンが驚いている。

「いや、戸籍上の繋がりはないよ。だって依澄と南條サンの両親は離婚してるもん」

2人がさらに驚いている。そりゃそうだろう。話してる僕も理解するのに時間かかったんだから。空鈴サンが僕に聞く。

「じゃあ、なんで依澄さんを呼び捨てにしてるの?」

「いやぁ、、、あの人は兄っていうより、同級生って感じなんだよね」

今でも思い出す。旧本部内を歩いている時に依澄が来て、

『頼む!匿ってくれ!真琴に追われてんだ!』

ってきた事を。それ以外にも色々あったなぁ。

「そんな人とあの悪霊になんの関係があるんだ?」

「その人が生前逃した唯一の悪霊なんだよ」

今でも思い出す。逃げ回ってばっかりのネズミの悪霊なのに倒せなくて逃してしまった。数日間2人で探しても捕まえることも出来なかったあの悪霊がまさか、

「ハイゾーンエビルとはね、、、」

「ハイゾーンエビル?」

空鈴サンが聞く。南條サンも知らないようで首を傾げていたが、

「残りは気が向けば。じゃーね」

僕は部室の扉に手をかけた。南條サンが僕の肩を掴み。

「待て、お前にはまだ、、、」

「答えることはないよ」

南條サンの手を払いのけ、僕は部室を出るのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜そして現在〜

 「それで、ハイゾーンエビルってなに?」

「そういう気分じゃない」

せっかくの天気なのに悪霊の話はしたくない。僕は起き上がると、腕からハルバを外し、放り投げた。

「え!?ちょ!?」

「空鈴サン、午後の授業サボってデートしようぜ〜」

「え!?////」

空鈴サンが驚いている間に彼女を抱えて屋上から飛び降りる。

「正直、こんな日常に飽き飽きなんだ。そろそろ抜け出したいよ」

その呟きは、誰にも聞かれることはなかった。

 

♣︎♣︎♣

〜心花side〜

 放課後になり、私は南雲くんと一緒に部室に向かう。守条くんは昼休みが終わっても帰りのホームルームが終わっても帰ってこなかったので彼の荷物は南雲くんが持っている。

「しっかし咲良のやつよくサボれたな。腕にハルバがついていたのに」

「外したんじゃない?」

「ムリムリ。アレ、外せるやつじゃないって聞いてたろ?」

私たちがそう会話しながら歩いていると、

『、、、』

「、、、ん?」

南雲くんが足を止めた。彼は窓を開けて外を見る。

「どうしたの?」

「いや、聞き覚えのある機械声が、、、あ!」

「うん?あぁ!?」

私たちは慌てて茂みの方へ向かう。そこに落ちていたのは、守条くんが右腕にはめていたハルバだった。

「ハルバ!?なんで!?」

『してやられた。アイツ、空鈴ヒナを連れて抜け出しやがった』

南雲くんがハルバを回収し、私は美澄ちゃんに電話をかける。

「ホント何考えてんだ咲良のヤツは」

私たちは彼の考えが分からなかった。

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 僕と空鈴サンは映画館から出てくる。こっそり学生寮から持ってきたシニガミバイクで北4番街まで来ていい映画館まできた甲斐があった。

「来てみたいって言ってたよね、ココ」

「う、うん。でも急にどうしたの?嬉しいけど/////」

空鈴サンはそう言って僕の手を掴む。本当、こういう風に見ると恋人同士なんだよなぁ。でもこの子はものすごい有名人。普通は釣り合いがないだろうが、

「気分だよ。さ、次はどこ行く?今日はたくさん遊ぼうぜ〜」

「うん/////」

僕たちは街をぶらついていると、見覚えのある人影に会った。

「あ、」

「久しぶりだな。咲良」

「3年いや、1ヶ月ぶりですね。楠神さん」

メガネをかけた長身(一般人から見て)の男。死神の楠神真琴だ。

 

♣︎♣︎♣

 

 楠神さんに連れられて喫茶店に入店した僕ら。対面に楠神さんが座り、僕の隣には空鈴サンが座っている。

「コーヒー1つ」

「あ、アイスココア」

「カフェモカとブルーベリーケーキ」

見知った顔なのでケーキも頼んでやった。奢りらしいし。空鈴サンは遠慮してココアだけのようだ。店員さんが去ると、楠神さんは僕の右腕を見る。

「どうやって外したんだ?」

「言ったら対策するでしょ?いうわけないじゃないですか」

「だな」

届いたコーヒーを飲んで楠神さんは頷く。昔っから変わってないなこの人は。空鈴サンが楠神さんに聞く。

「あの、ハイゾーンエビルってなんですか?」

「説明してなかったのか?」

「するわけないでしょ。これ以上は後戻りできなくなる」

悪霊について詳しく知ってしまったのならもう協力者と同じ。一生悪霊退治に関わらないといけない。そういう一般人を僕は沢山見てきた。

「総監は南雲蓮、速水心花、空鈴ヒナ3名に特殊弾と専用銃、特殊ナイフを近々渡すらしい」

「え?」

正気なのかあの人は。

「記憶消去じゃないんですか?」

普通なら記憶消去の措置が行われるはずだ。未成年なら尚更。楠神さんが続ける。

「空鈴ヒナ、君たちは関わりすぎたんだ」

「それってどういう、、、」

「もう戦い以外の道はないって言いたいんですよね?空鈴サンは特に」

空鈴サンが驚いた様子で僕を見る。空鈴サンは一度悪霊になったからだろう。もう無関係の一般人ではいられなくなった。そう言いたいんだろう。

「あぁ。だから教えておくよ。ハイゾーンエビルっていうのは悪意を極限まで吸収した悪霊の姿だ」

「極限まで?」

楠神さんはコーヒーカップを僕たちの前にだす。その隣にガムシロップとスティックシュガーを置いた。

「悪霊には元々の器がある。その器に悪意が入ると悪霊になるんだ」

楠神さんはコーヒーにスティックシュガーとガムシロップを入れる。

「こういう風に悪意を追加すると悪霊は強くなる。あの時のゴリラエビルの様に」

あの時はスタークルがないと勝てなかった。楠神さんはミルクの入った入れ物をとってきた。ミルクをコーヒーに追加する。

「更に悪意を上乗せするとこのように、器は満タンになり、ハイゾーンエビルが誕生する」

コーヒーカップから中身が溢れそうになる。楠神さんは慌てて飲む。この人は普段はしっかりしてるんだけど、たまにこうなるからな。それでも表情変わんないから組織イチのポーカーフェイスって影で言われてる、、、らしい。僕もカフェモカを一口飲んでケーキを食べる。

「スタークルでも互角だった。多分、次会ったら勝てないかもしれない」

「珍しく弱気だな咲良。南沢の天才もそんなもんか?」

ムカっとなった。僕は店員さんを呼ぶ。

「エレメンツブーストマグナムライナーカゲロウパフェ2つください」

「、、、相変わらず、安い挑発に弱いな。奢りだが、食い過ぎだぞ」

「大丈夫だっての」

もちろんパフェは1人で食べ切った。結果、数千円の会計を楠神さんは払った。僕たちは楠神さんと別れ、適当に歩くのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜美澄side〜

 ワタシは今ものすごく怒りの感情が昂っていた。どれもこれも全部、あの死神のせいである。

「何考えてるんだあの男は!空鈴先輩を拉致して逃亡するだけでは飽き足らず、ハルバを外すなんて!」

「ま、まぁまぁ落ち着いて美澄ちゃん」

速水先輩がワタシを落ち着かせる。ひとまず落ち着いたワタシは自分の椅子に座る。本部へ電話したところ、彼は楠神さんと遭遇したそうだ。どうやってハルバを外したかは答えなかったらしい。

「あ、ヒナちゃんからメール来た!」

どうやら空鈴先輩の荷物は守条咲良がこっそり回収していたらしい。ワタシ達はメールを見る。

【ヒナ:ハイゾーンエビルっていうのは、あのゴリラエビル以上に悪意を取り込んだ悪霊って楠神さんから聞いた!咲良くんは進化して人間態を持てるようになったのだろうだって】

有益な情報だ。ワタシは空鈴先輩に感謝のメールを送った。

「でも、スタークルで互角だったんだろ?勝てるのかな?」

南雲先輩が心配そうにしている。それとは対照に、速水先輩は冷静に返す。

「守条くんなら大丈夫!きっと何かしらで裏をかいたりして勝つんじゃない?」

「、、、ですね」

『だな。とりあえず、お前さん方は咲良を捕まえてオレサマをアイツにつけてくれ』

ワタシ達3人は頷く。チャイムがなったので、ワタシ達は解散したのだった。ちなみにハルバはワタシが預かった。

 

♣︎♣︎♣

〜奏多side〜

 守条くんがハイゾーンエビルと交戦して引き分けたと聞いたので、俺は本部で新しいカードをもらった。俺はポケットから貰ったカードを取り出す。

「アブソリュート、、、か。使えるかなぁ」

シュミレーターで試してみたが全然変身できなかった。本当に使えるんだろうか。そう思考してた時、後ろに気配を感じた。俺は銃を構える。

『ごきげんようサマエル。さぁ、始めましょう』

仮面をつけた少女アリス。彼女は銃にカードを挿入した。

『ウルフ』

アリスの背後に狼の悪霊が現れた。

『ARE YOU READY?』

アリスは銃口を押し込み、離す。

「決行」

『エビルアップ』

悪霊が装甲に変わり、アリスを包み込む。

『エビルライダー』

アリスはエビルライダーに変身し、銃を構える。俺もベルトを装着し、カードを挿入した。

『スネーク』

背後に黒装束でヘビのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

俺は右手でフィンガースナップをする。

「変身」

俺は鎌を下ろして水晶を割った。

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり俺に纏わりつく。

『スネークグリム』

サマエルになり、アリスに向けて鎌を構えた。

 

♣︎♣︎♣

 

 鎌をエビルライダーに向けて振るう。エビルライダーは銃口を押した。

『ナックル』

鎌を弾き、俺のボディに攻撃した。

「イッテェ、やるね」

俺は距離をとって鎌を投げる。遠距離でも対策できるようにこうやって鎌を投げるのはよくやる戦法だ。

『余裕よ』

エビルライダーはそれを避けるが、戻ってくる鎌の斬撃を受け、こっちに向かって飛んでくる。俺はエビルライダーにアッパーを喰らわせ、ボディに蹴りを与える。

『グハッ!さすがサマエル、、、でもね、ワタシも負けるわけにはいかない!』

エビルライダーは銃からカードを抜き、別のカードを挿入する。

『タイガー』

アリスは銃口を長押しし、エネルギー弾を放った。

『タイガーエビルクラッシュ』

戻ってきた鎌をキャッチし、カードを挿入。

『バット』

鎌にエネルギーが迸る。

『バットスライス』

エネルギー刃を放つ。エネルギー同士がぶつかり、互いの攻撃を相殺した。その間に俺はエビルライダーに近寄り、鎌を振るうと、

「!?」

「おいおい血の気が多いなぁ。さすがサマエルだ」

刀で俺の鎌を遮っているのは銀色の髪を逆立てている青年。敵の幹部的存在のジンだ。

「だが、まだ甘い」

鎌を弾くと、俺の胴を袈裟斬りする。

「うわぁぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!?」

俺は吹き飛び、地面に倒れ伏すと同時に変身が解除された。

「じゃあな最強。いや、元最強」

『じゃあね』

変身を解いたアリスはジンと共に去っていった。俺は起き上がると、壁を殴る。

「クッソォォォオオオオオオオオオオォォォォオオオオオオオ!」

俺の初めての敗北だ。




 ジンに敗北した蛇芽奏多は自分の戦う理由について思い悩む。一方、守条咲良もまた、これからの戦いに仲間を巻き込まないようにしていた。次回、仮面ライダーモルテ♯15覚悟
「見つけたよ。守りたいって思ったモノ」

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  • 守条咲良(仮面ライダーモルテ)
  • 南條美澄
  • 南雲蓮
  • 蛇芽奏多(仮面ライダーサマエル)
  • 空鈴ヒナ
  • 田井中ヒメ
  • 速水心花
  • 明神麗央(仮面ライダースコール)
  • 楠神真琴(仮面ライダーサリエル)
  • 冴島灰馬(仮面ライダーオルクス)
  • アリス(エビルライダー)
  • ジン
  • アキネ
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