仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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 死神騎士の刃は遂に悪霊の王にトドメを刺した。悪霊の王は朽ち果てる寸前、黒い粒子を撒いた。悪霊の王曰く、
『これは幾数億年経てど解かれることのない呪い。我が死に耐えても呪いは永久に死すことないのだ』
悪霊の王は朽ちた。数年経ち、悪意は呪いに伝染して悪霊として具現化するようになった。少年曰く、
『我ら死神騎士は未来永劫受け継ぐべきものである。王の残した永遠の呪いと戦う為に』
少年の名は、グリム・イエーガー。
『旧約 死神録 悪霊の起源』より。


♯16覚醒

 あの事件が起きたのは唐突なことだった。僕と依澄は本部にて待機と言われていたので訓練室で寝てた時、轟音で目を覚ました。本部が襲われている?状況を僕なりに把握して本部内を駆け回る。避難しきれてない死神助手を避難誘導する。

『咲良!』

声を掛けられて振り返ると、依澄が血相変えて走ってきた。

『避難は終わった。後は襲撃してきた悪霊を迎撃すれば』

『外を周ってきたが、死神の大半は、、、死亡してた』

死神の大半が死亡!?驚愕していると、再び轟音が響く。避難用シェルターはもうしまっている。僕たちは外に出る。本部はほぼ壊滅状態だ。齢13の夜。その日は僕の誕生日だった。

 

♣︎♣︎♣

 

 片腕のみ悪霊化しているジンに警戒する。アリスはジンの合図で南條サン達を追いかけに行ったようだ。ジンは僕に笑いながら問う。

「どうした?来ないのか?」

「僕の状況分かってて言ってんだったら結構ヤバいよアンタ」

ジンは爆笑すると、そのまま刀で斬りかかった。ソレをかわし、ソードガンを銃に変形させて発砲。だが銃弾はジンの左腕に弾かれた。

「まーじでー、、、」

驚くのはほんの少しだけ。僕は剣に変形させてジンに回転しながら斬りかかった。回転によって威力を増した斬撃をジンは難なく刀で受け止める。

「いい反応だ。だが、まだ甘い」

ジンはソードガンを払うと、横一閃を放つが空中で回避し、バゼラードがある位置に着地。バゼラードを拾ってソードガンで発砲する。

「俺と同じラビットの力を上手く使えてるな。気に入ったぜモルテ」

同じ?そういえばこいつの持ってる刀、死神の武器に似てる。

「やっぱり、アンタには聞きたいことが沢山ありそうだね〜」

「聞きたいなら俺を倒してみろ。死神!」

コイツ相手にバゼラードのチャージは期待できない。そう考えた僕はラビットのカードを抜き、鎌を上げ、スパイダーのカードを挿入する。

『スパイダー』

背後にクモの骸骨が現れる。

『ARMS READY?』

「アームド」

鎌を下ろす。

『グリムアームド』

クモの骸骨が装甲の一部に変わり、装甲の一部と入れ替わる。

『アームドスパイダー』

ソードガンを投擲、ジンはソレを刀で払った。

「計画通り〜」

僕は右手から糸を放出し、右腕に巻き付けた。糸を戻す力を利用し接近すると同時にガラ空きになってる瞬間を狙ってバゼラードで連撃を仕掛ける。

「アンタの戦い方には癖がある。遠くからの攻撃は避け、近距離だと刀で弾く。逆に言うと、刀さえ抑えればこっちのもん」

「へぇ、、、初めての刀での戦闘でここまで分析するとはな。悪霊の噂話の通りだ」

「そりゃどうも〜」

安心していられない。僕はバゼラードのゲージを確認するのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜奏多side〜

 男性が変わった悪霊、サーバルエビルの爪を避け、鎌で胴体を斬りつける。悪霊は素早く走り続け、俺を翻弄していた。

「こういう時、守条くんならジャンプして滞空中に発砲してたろうな」

でも実際それはできない。スネークグリムの特性は一瞬で懐に入ることのできるしなやかさだ。でも接近しても、

『シャア!!』

「!?クッソ」

攻撃できない。防戦一方だ。しかもこの悪霊は一般人が変身した悪霊。守条くんのスタークルがないと分離できない。

「なに今更躊躇してるんだ俺は。今までだって、、、」

今までだって、こういう状況はよくあった。でもなんで、俺の刃はこんなに震えてるんだ?ふと、田井中さんの言葉を思い出した。

『蛇芽さんの戦う理由ってなに?蛇芽さんの正義ってなに?』

俺の正義、、、俺の理由、、、

「蛇芽さん!」

田井中さんの声で正気になり、悪霊の爪を回避、鎌を投げる。悪霊は鎌を避け、再び攻撃を仕掛けてくるが、俺は回避して鎌をキャッチ。斬りかかる。

「最強の死神の実力はこんなもんか」

最強。その言葉が今はとても重い。今ではその言葉の期待に応えるのが、とてつもなくしんどい。悪霊の蹴りが俺を襲う。防御が間に合わずに俺は吹き飛ばされた。

「ぐはっ」

俺は地面に倒れ伏し、変身が解除される。ハイゾーンの男が俺を嘲笑う。

「最強の死神も堕ちたものだな!おい、トドメをさせ」

悪霊の爪が無防備の俺を手に掛けようとする。初めて訪れる死の瞬間は何も感じなかった。

「田井中さん、、、ごめん」

今、後ろにいる大切な人のことが頭によぎる。大切な人?なんでそう感じたんだろう?いや、簡単だ。でも気づいたらもう遅い。こんなことってあるんだな。

「ダメェェェエエエエエエエエエエエエェェェェェェエエエエエエエエエエエエ!」

田井中さんが鎌で悪霊の爪を防いでいた。

『邪魔だ女!』

「きゃ!」

悪霊が田井中さんを吹き飛ばす。悪霊の矛先は田井中さんに向いていた。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

「っらぁ!」

吹き飛んだ衝撃で落下したであろう鎌を回収し、田井中さんを守る。

『ナニ!?』

「見つけた。俺の戦う理由、俺の正義」

爪を弾き、悪霊に鎌を突きつける。

「最強の期待とか、実績とかどうだっていい。俺の正義、ソレは大切な人を、、、死神として守り抜くことだ!」

ホルスターから1枚のカードが飛び出し、俺はソレを掴み、ベルトに挿入した。

『アブソリュート』

背後にイナズマに囲まれて黒装束でヘビのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

俺は右手でフィンガースナップをする。

「変身」

俺は鎌を下ろして水晶を割った。

『アブソリュートグリムアップ』

死神が装甲に変わり俺に纏わりつく。イナズマが両肩と腕に纏われ、ドクロにバイザーのようなゴーグルが装着された。

『アブソリュートグリム』

新たなサマエルに変わった俺は悪霊に殺気を放つ。悪霊は後退り、ハイゾーンの男は笑みを浮かべる。

「正義の死神の御成だ!」

 

♣︎♣︎♣

 

 鎌を地面に突き刺し、悪霊に向かってゆっくり歩く。悪霊の爪を左腕で防ぎ、胴体に拳を叩き込む。

『シャアァ!?』

「今更効くか」

更に拳を2発。回し蹴り、そして鎌を抜き、一閃。

「田井中さんを手に掛けようとしたお前に慈悲はない」

更に悪霊を斬る。悪霊が後退りするが、逃す気はない。ハイゾーンの男が笑いながら俺に言う。

「おいおいバカか。ソイツは人間だぜ」

「心配なんかない」

俺はベルトの鎌を上げた。エネルギーが両足に迸る。

「殲滅する」

鎌を下ろして、飛び上がった。

『アブソリュートグリムブレイク』

蹴りの体制に移行し、悪霊に蹴りを放つと、悪霊と男性が分離。更にもう片方の足で悪霊を天に飛ばすと、悪霊は爆散した。

「正義の死神の罰だ」

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 『スタークルグリム』

スタークルに変わり、ジンを追い詰めようとするが、ジンはスタークルの素早さに順応できていた。気づけば右脚も悪霊化している。

「ハルバ、ここはアレをやらないと負けると思うんだ」

『ダメだ。分析されるのがオチだ』

「やっぱり?」

ジンから距離を取る。唯一の対処であるアレはまだ使うべきではない。なら、

「短期決戦しかない!」

ベルトからカードを抜き、ソードガンに挿入。ホルスターからカードを取り出し、カードを挿入。

『スタークル』

『コメットスター』

刃にエネルギーが迸る。

『スタークルグリムスラッシュ』

『コメットスラッシュ』

「せーのっ!」

2本の武器で連撃するが、ジンは刀で捌いていく。エネルギーはいつ間にか迸っておらず、必殺技の状態が解除されていた。

「防ぎきるかフツー」

「惜しかったな。死神」

惜しかったって言っているが結構自信があったコンボを防ぎきるなんて想像つかなかった。正直アリスが追いかけている皆んなが心配だ。でもジンを抑えないと。そう考えてた時、

「はぁ!」

ジンに向かってライオンを模したドクロの死神がガンブレードでジンに斬りかかる。

「麗央!」

「さっさと行け咲良!」

「ありがと!」

僕は彼に礼を言い、シニガミバイクで走る。

「獅子に喰われる覚悟ができたか?」

 

♣︎♣︎♣

 

 南條サンのケータイのGPSを必死に追う。反応のあった場所に着いた時、銃口が南條サンに向いてたのでバイクで間に入り、後輪を当てようとするが、アリスはかわす。

「助かった」

「よく粘ったね〜」

僕はバイクを降り、バゼラードをアリスに投げる。アリスは銃で弾き、カードを挿入した。

『ウルフ』

アリスの背後に狼の悪霊が現れた。

『ARE YOU READY?』

アリスは銃口を押し込み、離す。

「決行」

『エビルアップ』

悪霊が装甲に変わり、アリスを包み込む。

『エビルライダー』

アリスがエビルライダーに変身し、僕に発砲。かわし、弾かれたバゼラードをキャッチして斬りかかる。エビルライダーは銃で刃を受け、そのまま拮抗。

「やるぅ」

『あんまり戦いたくないのに、、、キミは私にとって!』

エビルライダーは僕と距離を取り、銃口を単押し。

『ナックル』

殴りかかったのでバゼラードで軌道を逸らし、顔面に蹴りを放つ。更に3連撃。エビルライダーは着地し、銃口を単押し。

『ガン』

銃を連射。全弾回避し、ソードガンを銃にして発砲。エビルライダーも発砲し、互いの銃弾は僕たちに当たらなかった。

『私にとってキミは、、、大切な人なんだから!』

「、、、は?」

エビルライダーの発言に呆気に取られた僕は、銃弾を回避できず、モロに喰らってしまった。

「ったいなぁー。スタークルじゃなかったらやられてたよこれ」

というより、さっきのあの子の発言だ。僕は疑問に思う。大切な人っていうのはどういう意味だろう。エビルライダーが変身を解く。僕も変身を解いた。

『あ、え、あれ、私今、結構ヤバい事////』

「咲良くん?」

「なーんか変な空気ー」

空鈴サン、視線が痛い痛い。ってか心なしかアリスの顔が赤い気がする。仮面で余り見えないが。呆けていると、衝撃音が聞こえたので正気に戻り、警戒する。煙が晴れると、大怪我をした麗央が倒れていた。

「麗央!!」

麗央の身体を誰かが踏む。

「へぇ、ついに告ったな。アリス」

『「ジン(様)!?』」

たった数分。僕が麗央にジンを任せてたった数分で麗央はこんな大怪我を負ってしまった。

「コイツも強かったが、まだまだだ」

「ぐっ、、、すまん咲良、、、勝てんかった、、、」

麗央は気を失った。僕は拳を握りしめる。

「フッ、ハハハハハハ!最強が更に最強になったってさ死神。また会おうぜ。名前なんだっけ?」

「、、、守条咲良」

僕は名乗る。ジンは高らかに笑い、

「じゃあな咲良。次はガチだ」

その場を去った。とりあえず麗央を病院に運ばないと。そう思い、麗央を背負う。すると、空鈴サンが質問してきた。やばそーなオーラを纏いながら。

「、、、咲良くん、アリスとどういう関係?答えて?」

「まーじでー、、、ってか知らねってのー」

僕はそのままバイクに乗って病院に向かうのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜アリスside〜

 私は帰った後もその場にうずくまっていた。その様子を温かい目で見るアキネ様の視線が辛い。カイナ様はそんな私を見て笑ってる。

「おいおいアリス、おまえ好きな男がいたのか」

「いいでしょカイナ。アリスは私たちと違って人間なの。感情は人間の子供と同じよ」

人間。そう言われて私は正気になる。私にアリスとして活動する前までの記憶は朧げでしかない。でも、その記憶の中には1人の男の子がいるのだ。それは、黒髪で、羽のネックレスをくれた少年。首元のネックレスを触れる。

『dear nao』

『なお、、、アリス、、、私は!』

私は、、、一体、、、なんなの?

 

♣︎♣︎♣

〜輪廻side〜

 彼女は悩んでいるようだ。どうやら想いを伝えてしまったのだろうか。

「アリスに守条咲良との戦闘を勧めたのは失敗でしたね」

私は手先から黒い炎を出す。彼がこの炎を見ればどういう反応をするのか今から楽しみだ。

「再開は近いですね。守条咲良」

 

〜【弐】仮面の死神、思惑悩み〜「完」




 少年達は悩みを晴らした。だが敵の思惑は去ることはない。これから先、咲良たちの前に強大な敵が立ちはだかるだろう。だが咲良たちなら大丈夫だ。彼らの新たな絆が、想いが、死神の力になるだろう。絆は、想いは、想定を超えるものだ。さぁ、物語を読みし者どもよ。続きを待とう。
〜【参】仮面の死神、紅く染まる〜連載決定。

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