『この世界を支配する』
醜悪に満ちた異形の笑みを見た男は、異形の事をこう言った。曰く、『悪霊』と。
『旧約 死神録 悪霊の誕生』より。
両親を失った後、僕は孤児院に引き取られた。僕の両親は親戚との折り合いが悪く、僕を引き取ってくれる親戚はいなかったらしい。孤児院での僕は、うまく人と馴染めなくて、友達らしい友達も、最初はできなかったんだ。そんな時、僕に話しかけてくれたのは1人の女の子だった。
『さみしくないの?』
『へいき』
あの時の僕はそう答えて、あの子の前から去った。齢6つの頃の僕だ。
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目を開けると、いつもと違う天井だった。そういえば、陽炎街に引っ越したことを思い出す。今日が陽炎学園の初登校日ということを思い出し、僕は、
「おやすみ」
二度寝を決め込もうと布団の中に潜ると、電話が鳴った。
「もしもーし」
『起きろ。守条咲良』
僕は思わず電話を切った。声の主は昨日の少女だった。確か、南條サンだっけ。なんで僕の番号を知ってるの?また電話が鳴る。もう一度電話に出た。
『なぜ切る』
「いや、いきなり登録した覚えがない人から電話が来ると焦るでしょーが」
電話を切ろうとすると、南條サンが言う。
『相澤氏から伝言だ。本部への出張期間の内にサボり癖をなおせとな』
「それでわざわざ僕のケータイ調べて電話したわけ?全く、、、メンドイなぁ、、、」
僕は電話を切って、布団から出ると、制服に着替え、歯を磨くと、ゼリー飲料を飲みながら、学校に向かうのだった。
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学校へ向かう道中、イヤホンでラジオを聴きながら通学路を歩く。パーソナリティの女性の声が耳を満たす。
『今日のー!イチオシミュージック!このコーナーでは、今日のヒットソングを流すコーナーです!今日のヒットソングは、姫雛鳥(ひばり)で『ヒトガタ』です!』
僕が好きな歌手の曲が流れる。本当なら、部屋でゆっくり聴いてたはずなんだよな。まぁ、本部の人間に目をつけられてる以上、朝はちゃんと登校しなきゃいけないだろう。全く、
「メンドイなぁ」
僕は呟くと、ゆっくりと歩みを進めるのだった。
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結論からいうと、陽炎学園はまぁまぁ大きく、生徒数もまぁまぁ多かった。僕は職員室で聞いたのだが、校内は結構複雑で、慣れてない間は普通に道に迷いやすいらしい。なんて所に転校させてくれたんだ御堂サン。僕は担任の先生に教室に案内された。僕は担任の先生と一緒に教室に入る。
「転校生を紹介します。南沢高校から転校してきた守条咲良くんです」
「よろしく〜」
僕は軽くお辞儀。先生に空席の所を指刺されたので、僕はその席に座る。隣を見ると、昨日出会った速水サンがいた。速水サンが驚いたように聞く。
「か、守条くんって同い年だったの?」
「そうだよ〜。もしかして、年下だと思ってた〜?」
僕はそう聞くと、速水サンは頷いた。
「だって、背も低いし」
僕は机に突っ伏した。実は、身長が165センチでとまっているのだ。おかしい。死神とはいえ僕は高校生。バリバリの成長期なのだ。ブーメランで傷ついた僕は昼休みまで机に突っ伏したまま眠ることにした。
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昼休み、僕の周りには色んな人が来ていた。現在は質問ラッシュだ。
「普段何してるの?」
「趣味は?」
「恋人とかいんの?」
などなど。僕は眠い目を擦りながら答える。
「普段は寝てるかな。趣味は昼寝。恋人は、、、お布団かな」
僕がそう答えると、周りはシーンとした。あれ?変なこと言った?まぁそんなこと気にせず、再び寝るとしよう。そう思い、机に突っ伏そうとすると、ふと、ある女子生徒質問される。
「そういえば、陽炎街の噴水公園に出る怪物の噂って知ってる?」
「怪物?」
どういうことだろうか。もしかして悪霊と何か関係があるのでは?
「その話、詳しく聞かせてよ。そういう系、僕、結構好きなんだ」
女子生徒に促した。女子生徒が言う。
「夜の噴水公園でいい感じになったカップル。男性が告白しようとした瞬間!噴水から魚の怪物が突然現れて、男性に襲いかかったらしいの!」
「で、その男性は?」
「幸い、生きてはいるけど、それ以来、噴水公園に行けなくなったってさ」
その場所に行けなくなる。そして魚の怪物。水系の悪霊の特性と同じだ。
「まぁ、ただの噂なんだけどね」
そう言い、女子生徒は、アハハと笑う。周りも、そんな怪物いる訳ないだろうと笑っている。でも、僕は見逃さなかった。隣の席の速水サンが震えていたのを。
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休み時間、速水サンに話しかけてみた。怪物の噂の話をした時に震えていた彼女を放っておけなかったのだ。僕は聞いてみる。
「何かあったの?噴水公園の辺りで」
速水サンは答えた。
「あの話と同じのを実は見たんだ。怪物には見つかってないけど、でも、怖くてあそこにいけないんだ」
速水サンの目に涙が光る。僕はハンカチを渡すと、速水サンに言った。
「大丈夫。明日にはきっとその怪物の噂は聞かなくなるからね」
チャイムがなったので、僕は教科書を立て、居眠りするのだった。
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放課後になり、僕は電話をかけた。相手は二度寝の邪魔をした少女。少女は若干不機嫌そうに電話に出た。
「なんの用だ」
「深夜の噴水デートに行かない?」
『ふざけずに簡潔に用件だけを話せ』
おちゃらけてみたけどダメだった。死神の先輩がそうやって殲滅に女性を誘ってたが、どうやら僕にはその手の才能はないみたいだ。まぁ、あんまりその誘い方は好きじゃないし二度としたくないけども。僕は言う。
「夜の噴水公園に魚の怪物が出るんだってさ。悪霊かもしれないから調査に行かない?」
南條サンが答える。
『それなら調査済みだ。悪霊じゃない』
悪霊じゃない?どういうことだろうか。
『実際、同じシュチュエーションで悪霊を誘き寄せようとしたらしいが悪霊はかからなかった』
「ふーん。一筋縄ではってやつね。ありがとう。もう切るよ」
『わかった』
僕は電話を切ると、少し考え込む。噴水公園に潜む怪物の噂。本部の調査だとただの噂と判断した。そして速水サンの震える顔。
「こうなりゃ、僕1人で行くか」
僕はそう呟くと、学生寮までの道を急ぐのだった。
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〜三人称side〜
1人の少年が噴水公園で読書をしていた。そんな少年のもとに1人の少女が話しかけた。
「お前の言う通りベルトは遠くに置いてきた」
「ありがとー」
「だが何故ベルトを手放した?」
少女、南條美澄の質問に、少年、守条咲良は答える。
「多分、悪霊は気付いてたんだよ。ベルトが放つ殺気に」
咲良が変身に使うベルト『グリムバックル』は悪霊に対し、ものすごい量の殺気を発する。だが、それは持ち主がベルトを持っていればの話。だから咲良はベルトをあえて放置したのだ。
「殺気、、、お前はベルトが殺気を放つことを気づいてたのか?」
「ベルトとはまぁまぁの付き合いでね〜。それくらいわかるよ〜」
咲良はページをめくりながら答える。空はとっくに暗くなっていた。
「読書はやめにしよう。そろそろかな」
咲良は本を閉じると、椅子から立ち上がった。咲良は噴水の方を見る。
「綺麗だね。でも、キミに比べたら月とスッポンかな」
「そういうイタイ言葉は嫌いだ。守条咲良」
咲良は心の中で南條に賛成する。でも、こういう口説き文句を言うのには理由があった。それがそろそろ証明される。噴水から、悪霊が咲良に襲いかかってきた。咲良はバク宙しながら悪霊に蹴りを入れる。南條が悪霊に銃を向けた。悪霊が言う。
『貴様!何故ここに!?』
「いやぁ、本当は1人で来る気だったんだけどさー、」
「相澤氏から言われている。『咲良から目を離すと面倒なことになる』ってな」
「うっわ、ひっで〜。相澤サン余計なことしか言わないじゃん」
咲良は肩をすくめると、茂みからグリムバックルが咲良のもとまで飛んできた。咲良はそれをキャッチし、それを腰に装着した。南條が驚く。
「グリムバックルが自力で持ち主に来るなんて」
「驚いた?」
咲良はホルスターからカードを取り出し、横向きに挿入した。
『ラビット』
咲良の背後に黒装束でウサギのドクロの死神が現れる。悪霊が驚きながら咲良に言う。
『き、貴様、死神か!?』
「ご名答」
『ARE YOU READY?』
咲良はニヤリと笑い、
「変身」
ベルトの鎌で真ん中の水晶を割る。
『グリムアップ』
死神が装甲に変わり、咲良に装着される。
『ラビットグリム』
変身した咲良は悪霊に向かい、言った。
「さ、やろっか。今宵は死神の時間だよ」
咲良もとい、モルテはゆっくりと悪霊に向かって歩き出すのだった。
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〜咲良side〜
僕はグリムソードガンで斬撃を仕掛けるが、ソレは奴の腕にあるヒレで受け止められる。
『フハハハハ!いくら死神でも、おれさまのヒレにはかなうまい!』
ヒレで剣を弾くと、奴はヒレで僕を切り裂く。
「がぁあぁぁあああ!」
僕は吹き飛び、地面に倒れる。悪霊が勝ち誇ったかのように言う。
『フハハハハ!人間共を食い荒らしてくれるわ!』
そう言うと、奴は地面に潜り、噴水公園から離れようとする、僕は起き上がり、剣を銃に変形させ、地面を何発か撃った。
『うわぁぁあああぁぁぁぁああああああ!』
奴は地面から飛び出し、地面に転がる。
「大物いっちょ上がりぃ!」
僕は奴に銃を構える。南條サンが悪霊に向かって言う。
「悪霊、シャークエビル。殲滅する」
『こ、こんなところで死んでたまるかー!』
「いや、死んでるよね?」
僕はシャークエビルに銃弾を放つ。シャークエビルは噴水に逃げ込もうとしていた。僕はラビットのカードをベルトから取り出し、グリムソードガンに挿入した。
『ラビット』
銃口にエネルギーが迸る。僕は引き金を引いた。
『ラビットグリムシューティング』
エネルギー弾がシャークエビルに命中する。
『く、クソがぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁああああ!!』
シャークエビルは爆散した。
♣︎♣︎♣︎
翌日の朝、怪物の噂を教えてくれたクラスメイトから仮面の戦士の事を知ってるかと聞かれたら。初めて聞いたと僕は適当にはぐらかした。なんでも、怪物を仮面の戦士が倒すのを見た人がいるらしい。まぁ、その仮面の戦士は僕なんだけど。席についた時、そっと隣の席を見ると、速水サンがほっとした表情をしていた。これだけで、今回頑張った甲斐があったってものだ。その喜びを噛み締め、居眠りするのだった。
♣︎♣︎♣︎
放課後、南條サンに誘われ、空き教室に入った。教室の扉に貼ってあって張り紙について聞く。
「ねぇ、あれなに?」
南條サンが答える。
「ワタシは守条咲良は命令ではなく人の声で戦うと判断した。そこで、このような同好会を作った」
そう言って、南條サンが1枚のビラを見せる。
【悪霊研究同好会:悪霊や、怪現象に関する相談、なんでもどうぞ!】
南條サンが書いたのかな。結構可愛らしい絵が多かった。名前物騒なのに。南條サンが言う。
「守条咲良。お前にはこの同好会の一員として活動してもらう。これは、御堂本部長からの指示でもある」
「まーじでー、、、」
僕は肩を落とすのだった。
♣︎♣︎♣︎
〜三人称side〜
その日の夜、2人の少女が、迫り来る悪霊から逃げていた。少女のうち、桃髪の子が転ぶ。金髪の子が、その子に叫ぶ。
「ヒメ!」
ヒメと呼ばれた少女が、金髪の子に言う。
「ヒナ、、、私のことはいいから」
「そういう訳にはいかないよ!」
ヒナは、ヒメに近寄り、ヒメを起こす。だが、悪霊は目の前まで迫っていた。
『人間の娘!いい加減、オレに殺されろ!』
悪霊のツメが迫る!2人は目を閉じた。が、攻撃された感覚が無かった。ゆっくり目を開けると、悪霊の腹に、何か刃が刺さっていた。
『グ、この刃、、、まさか!』
刃が抜かれると、悪霊は仮面の戦士に切り裂かれた。仮面の戦士は悪霊を2人から離れた場所に蹴飛ばす。悪霊は断末魔をあげて、爆散した。ヒメとヒナは戦士にお礼を言う。
「あ、ありがとうございます」
「お、お陰で助かりました」
「気にしないでよ」
仮面の戦士はそう言い、屋根の上に飛ぶ。戦士は月明かりに照らされ、姿がハッキリ見えた。黒い装甲に、蛇を模したドクロの仮面。手には大きな鎌を持っている。戦士は言った。
「だって、俺は正義の死神だからね」
死神はそう言い、その場から去った。
悪霊研究同好会に舞い降りたとある依頼。ゲーセン『エレクトロ』に潜む悪霊が悪質なプレイヤーを襲う。死神、守条咲良と悪霊の戦いの火蓋は切って落とされた!次回、仮面ライダーモルテ♯3依頼
「覚悟しな。今宵は死神の時間だよ」
人気投票 推しキャラは?
-
守条咲良(仮面ライダーモルテ)
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南條美澄
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南雲蓮
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蛇芽奏多(仮面ライダーサマエル)
-
空鈴ヒナ
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田井中ヒメ
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速水心花
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明神麗央(仮面ライダースコール)
-
楠神真琴(仮面ライダーサリエル)
-
冴島灰馬(仮面ライダーオルクス)
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アリス(エビルライダー)
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ジン
-
アキネ