仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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♯19内通

僕は依澄の亡骸をそっと地面に置くと、バゼラードを握りしめて男に斬り掛かる。

『あああぁぁぁああああぁぁぁ!』

男は飛び上がると、黒い炎に包まれて怪物に変わる。

『激情家だなぁキミは。なにかを失う度にそう怒る。もっと怒れ!』

心の中が怒りに飲み込まれる。憎い。憎い憎い憎い。目の前にいる、コイツが憎い。

『殺す!お前を、殺す!!』

僕はもう、アイツしか見えていなかった。

 

♣︎♣︎♣

 

翌日の放課後、久々の部室で、僕たちはレンレンと速水サンから問い詰められていた。

「なんで生徒会長が悪霊のことを知ってんだよ!」

「ハイゾーンにスタークルが敵わなかったって本当!?」

「そんでもって!炎の悪霊って一体!」

「「どうなってるの!?」」

「あ〜、うるせー」

僕は途中から耳を塞いでいたが、関わってなかった彼らからしたら驚くことだらけだろう。

「まぁまぁ落ち着いて2人とも。私も、気になる事ばかりなんだから」

ヒナサンはそう言い、僕の方を見る。確かに、やつの事は、僕が説明しないとダメみたいだ。

「カイナって呼ばれた奴も警戒すべきだけど、それよりも危険なのは、輪廻だよ」

「輪廻って、、、あの炎のやつか?」

黙って話を聞いていた立川会長の問いに、僕は頷く。やつのことは、3年間、忘れた日なんてなかった。

「南條サン、奴の狙いはキミだ」

「ワタシが?なんでそう思う?」

南條サンの質問に、僕は仮説を交えて答える。

「僕の心を完全に折るためだろうって考えてる。あの日みたいに」

「あの日?」

「依澄を殺したのは、アイツなんだよ」

「え?」

僕はそう伝える。そして、依澄だけじゃない。あの日、あの炎が、あの子を燃やしたのを、僕は覚えてる。僕は話を聞いている立川会長に聞く。

「で、アンタはどうすんのさ?立川会長」

「こんなことを知ったんだ。黙ってられない。俺も、この部活に加えてくれ!」

そう言うと思っていた。優しい人なのだろう。それでも、いつもの僕なら断っていた。でも、

「いいよ〜。知った以上、アンタにも協力してもらうから」

「助かる!」

僕は承諾した。やっぱり、彼らのお陰で、僕も変わってるのかな。

「あ、あの咲良が承諾した!?」

「明日は嵐が来るかもしれませんよ」

「咲良くん、病院行く?」

「え、どうなってるのこれ?」

前言撤回。やっぱり彼らは関係ないみたいだ。

 

♣︎♣︎♣

〜奏多side〜

グリムガンナーについて調べた後、性能実験に関する資料を探しているが、未だに見つからない。

「あの資料が結構古いヤツだからなぁ、、、もしかしたらもうないのか?」

となると、やっぱりあの人に聞くしかないみたいだ。俺は資料を片付けると、資料室を出る。この武器について知っているのは、現状、この人しかいないだろう。当時、性能実験に立ち会った人。

「入る時のノックを忘れるとは、お前らしくないな。蛇芽」

「急いでたんですよ。御堂本部長」

御堂本部長。かつて、『練磨の死神』と呼ばれた男。

「急いでいたのは何故かな?」

「グリムガンナー」

「!?」

御堂本部長は目を見開いた。どうやら、何か知っているみたいだ。俺は更に続ける。

「降霊する資格のない者でも強制的に死神を纏えるシステム。ただし、反動が強く、性能実験の被験者の内、数十名は死亡。俺はそこまでしか知りません」

俺がそう告げると、御堂本部長は詳しく話す。

「残りの3人の内、2人は副作用にて戦えない体になった。それが私だ」

「もう1人は?」

「辞めたよ。今頃、普通の生活を送っているはずだ」

生き残ったのが3人。その内2人が戦えない体になり、御堂本部長じゃない方がE.Kをやめた。なら、後1人は一体。

「そして最後の1人。私の親友は、行方不明だ」

「親友?」

『練磨の死神』に親友がいたなんて。きっと強い死神だったのだろう。気になるが、話は終わっていない。

「ここからが本題です。この武器と類似したものを、悪霊が、アリスが使用していました」

「私も、報告書を見た時、同じことを考えていた。だが、お前が言いたいことは、それだけではないのだろう?」

そう。まだ話は終わってない。むしろ、ここからなのだ。

「どこからか、情報が漏れてます。もしかしたら、また、『東京乱舞』のような大事件になるかも」

「ふむ」

東京乱舞。かつて、大量の悪霊が東京にある旧本部を襲った事件。俺はあの場にいなかったが、御堂本部長や、あの少年、守条くんは経験している。

「やはり、居るのかもしれないな」

どうやら、俺と同じ結論にたどり着いたみたいだ。

「内通者」

俺たちは一体、どうなるのだろう。

 

♣︎♣︎♣

 

御堂本部長との話を終え、俺は訓練室で鎌を振る。いつものように目隠しをし、迫り来る斧を鎌で弾く。不規則に振り下ろされる斧を回避し、弾いた別の斧を、回避した斧にぶつける。弾かれた2つの斧が、同時に俺に向かってくる。

「はぁ!」

俺は鎌を土台にしてジャンプした後、鎌で斧の紐を斬る。斧は地面に落下し、その少し後に俺は着地。アラームが鳴る。俺は目隠しを外した。

「わっ!」

「うぉ!?」

いつの間にか目の前にいたヒメさんに冷たい水を触れられる。

「冷たいよ〜。ヒメさん」

「今の、守条くんっぽかったよ」

「え?そう?」

「うん。似てた似てた」

そう笑うヒメさん。俺はヒメさんから水を受け取り、一気に飲み干す。今日の本部長とのやり取りで、この組織が危険にさらされていることは分かった。だけど、大事にする訳にはいかないだろう。

「ヒメさん」

「ん?」

「帰ろう。俺、腹減ったよ」

「私も!」

俺とヒメさんは2人で訓練室を出た。今日の事は、ヒメさんには伝えない方がいい。

 

♣︎♣︎♣

〜三人称side〜

御堂本部長と死神最強の蛇芽奏多が話し合ってるのが聞こえた1人の青年が、部屋の扉に耳を当てる。

「情報が漏れてる?内通者?」

聞こえた単語に驚く。青年はその場から急ぎ足で離れると、誰も居ないことを確認する。そして笑い声をあげた。

「ふふっ、、、あはは!あはははは!やっぱり、流石だなぁ蛇芽奏多さん。俺のことに気づくなんて」

青年は1枚のカードを取り出すと、それを本部の外へ投げる。カードは小型のネズミに変わる。

「流石、輪廻さんの品だ。まだ日が出てるのに動けるとは」

青年は訓練室に向かうのだった。彼は死神なのだ。

「やれやれ、、、死神も楽じゃない」

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

夜になるまで適当に街をぶらついていた僕は、夜になると西3番街にシニガミバイクで向かっていた。こうやって1人でバイクの風を受けるのがまた気持ちいい。目的地の空き地に来ると、2つのグローブと野球ボールを持った呼び出し人、蛇芽がいた。僕はバイクを降り、尋ねる。

「一応聞くよ。なにこれ?」

「ボールとグローブ」

そういうことじゃない。

「キャッチボールでもしないかい?暗闇でのキャッチボールとか、案外楽しいと思うけどね」

そう言って、僕にグローブを投げてくる。僕がグローブをはめたのを見計らって、蛇芽がボールを投げた。

「よっと。まぁまぁの球だね〜」

僕は蛇芽にボールを投げ返す。蛇芽がキャッチしようとした瞬間、ボールの向きが変わる。が、蛇芽はそれを見抜いていたのか、キャッチした。

「変化球、、、どうやって身につけたんだい?それ」

「たまたまテレビ見て覚えた。案外簡単だよ〜コレ」

そう言い、僕は今度は普通に投げる。

「何か話でもあるの?」

「あぁ。君には話しておこうと思ってさ」

ボールを投げ合いながら、会話する。言葉とガチのキャッチボール。僕達、そこまで仲良かったっけ?

「アリスが使ってた武器、覚えてるだろう?」

「うん。あのナックルと銃の融合みたいなやつでしょ〜」

「それと類似したやつを、E.Kの資料室で見つけた」

「それ、本当?」

驚きのあまり、ボールを取るのをミスしてしまう。地面で跳ねたボールをグローブで回収し、蛇芽へ投げる。

「あぁ。本部長にも確認をとった。その武器自体は、ロールアウトはされなかったみたいだけどね」

「でも、その武器の情報がなんで悪霊が知ってるのさ〜」

「それなんだけど、君も同じ結論にたどり着いてるんじゃないか?」

蛇芽の強めの球をキャッチし、それを投げ返す。今度は急に下向きに行くように。蛇芽はギリギリでキャッチする。

「、、、組織にいると思うね。内通者」

『その通り』

僕たち以外の誰かの声が聞こえた瞬間、僕たちはこの場じゃない何処かへと飛ばされた。

 

♣︎♣︎♣

 

目を開けると、謎の空間に僕と蛇芽はいた。携帯を起動する。予想通り圏外。なら、右腕の相棒に声を掛ける。

「ハルバ。起きてる?」

『、、、』

反応無し。どうやら連絡手段はないようだ。

「守条くん。これって」

「ヤバいかもね〜」

僕と蛇芽は同時に上を見上げる。上にいたのは、、、

『グルルル』

超巨大な悪霊。僕と蛇芽は同時にベルトを巻く。僕はスタークルを。蛇芽は初めて見るカードを取り出した。

「あれ?チャージは?」

「改良したからチャージ無しでも使えるよ〜。そっちは?」

「新戦力さ。かなり強いぜ」

「へぇ〜」

僕たちはカードを挿入する。

『スタークル』

『アブソリュート』

背後にイナズマに囲まれて黒装束でヘビのドクロの死神と、3つの星のモニュメントに囲まれたウサギのドクロの死神が現れる。

『『ARE YOU READY?』』

僕は首を掻っ切る仕草を。蛇芽は右手でフィンガースナップをした。

「「変身」」

ベルトの鎌を下ろす。

『スターグリムアップ』

『アブソリュートグリムアップ』

死神同士が拳を合わせて、それぞれの死神が僕らに装甲として纏われる。サマエルにイナズマが両肩と腕に纏われ、ドクロにバイザーのようなゴーグルが装着された。僕にも星のモニュメントがアーマーとして追加される。

『スタークルグリム』

『アブソリュートグリム』

僕はバゼラードの刃先を悪霊に向ける。サマエルは肩に鎌を担いだ。

「さぁ、天才と最強。ダブルで死神の時間だよ」

「正義の死神の御成だ!」

 




巨大な悪霊との戦闘中、輪廻によって大ダメージを負った守条咲良と蛇芽奏多。殺されそうになる蛇芽奏多を前に、モルテの新たな力が覚醒する。次回、仮面ライダーモルテ♯20「黒渦」
「もしかして、、、咲良くん、なの?」

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  • 南雲蓮
  • 蛇芽奏多(仮面ライダーサマエル)
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  • 速水心花
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  • 楠神真琴(仮面ライダーサリエル)
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