仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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 悪霊の王は、名だたる都市を襲撃し、世界を混乱に陥れた。悪霊を恐れた人々は、聖職者や、騎士団、神父やシスター達を雇い、悪霊の王を倒そうとした。だが、結果的には無意味だった。1人、また1人と無惨に殺され、人々の絶望は更に大きくなった。人間の長は、悪霊に屈したのである。
『旧約 死神録 人類の降伏』より。


♯3依頼

 孤児院に来て2年が経った。僕はあの頃と比べて、色んな人と話せるようになったんだと思う。

『さくらくん!一緒に遊ぼ!』

『うん!』

あの子とも、普通に話せるようになった。と言っても、あの子が積極的に話しかけてくれたからだけど。あの子は僕の手を引きながら走っている。

『ちょっと、引っ張らないでよ!なおちゃん!』

『早く行くよ!さくらくん!』

齢8つ。あの頃から立ち直った僕だ。

 

♣︎♣︎♣︎

 

 陽炎街に来てから数日が過ぎた。授業を居眠りし、色んな人と交友を広げたりしながら学校生活を送れていると思う。とある一点を除いて。

「はぁ〜あ。だーれもこないね」

悪霊研究同好会。南條サンが僕の名前を勝手に使って創設した同好会。活動日程はほぼ毎日。同好会なのに。僕は本を読みながら南條サンに愚痴った。南條サンが言う。

「仕方ないだろう。最近作った同好会なんだから」

南條サンはメールを打ち込んでいる。恐らく、相澤サンへの定期連絡だろう。南條サンは僕へのお目付け役の役目の中に、相澤サンに、僕の事を報告する義務があるらしい。面倒な事だ。そんな事を考えていると、教室の扉が開き、1人の男子生徒が入る。

「おっす!咲良ー!遊びに来たぜ」

「レンレン〜。いらっしゃい〜」

彼は南雲蓮(なぐもれん)。あだ名はレンレン。クラス内でできた僕の親友だ。こうして暇な日には、この教室まで遊びに来てくれる優しい奴だ。南條サンが挨拶する。

「こんにちは。南雲先輩」

「お、南條ちゃんこんにちは。いつも悪いね」

「気にしないでください」

あ、そうそう。実は南條サンは1学年下。つまり年下だったのだ。だからレンレンには先輩呼びする。僕には呼ばない癖に。生意気な後輩だ。僕は本を閉じると、スマホを取り出した。レンレンもスマホを取り出す。

「んじゃ、今日もやるか?」

「やろーやろー」

僕らがアプリを起動しようとすると、扉がノックされた。南條サンが扉を開く。入ってきたのは、小柄な(僕より背は高いけど)男子生徒だった。男子生徒は開口一番に言う。

「お願いします!僕を助けてください!」

僕たちは顔を見合わせた。この同好会初めての依頼人に、僕たちは驚いていた。

 

♣︎♣︎♣︎

 

 依頼人の名前は島田太郎。1年生。ビラを見てきてくれたらしい。南條サンが彼に促す。

「それで、助けてと言うのはどういう事だ?」

彼は答える。

「陽炎東街にある、『エレクトロ』っていうゲーセンに、友達と夜の22時くらいまで遊んでて、メダルゲームしてた時、僕たちにちょっかい出してきたヤンキーたちが古いスロットの筐体から出てきた何かに襲われたんです!」

「あ、それ知ってる。ゲームを邪魔してるプレイヤーに襲いかかるスロットの怪物。それって噂じゃ無かったのか?」

そうレンレンが言う。レンレンはこういう都市伝説系には興味を示さない。そんな彼が知ってるのだから結構有名なやつなのだろう。

「僕も噂だと思ってました。でも、怪物はヤンキーを襲ったあと、僕たちを見て言ったんです。『マナーを守って遊べ。マナーを破った奴はこうなるぞ』僕、怖くて、あのゲーセンにいけないんです!」

悪霊の特徴だ。その場所にトラウマを覚えさせ、寄り付けなくさせる。島田クンが言う。

「お願いします!僕を助けてください!」

僕が答える前に南條サンが答える。

「わかった。今夜から調査をはじめよう」

勝手に予定が埋まった。僕は肩を落とした。

 

♣︎♣︎♣︎

〜三人称side〜

 E.K陽炎街本部。その総監室に、3人の人物がいた。1人は、本部長の御堂。もう1人は、総監の椅子に座ってる強面の男。もう1人は、爽やかそうな少年だった。御堂は少年に1枚の写真を見せる。写真に写ってたのは、守条咲良だった。

「キミには彼と行動をとってもらいたい」

少年は写真を受け取ると、御堂に聞く。

「なぜです?彼は結構腕がたつらしいですけど」

総監、神谷玄徳(かみやげんとく)が言う。

「コイツは死神の中で1番の問題児だ。コイツの矯正を蛇芽、お前に任せたい」

少年、蛇芽奏多(へびめかなた)は答える。

「いいですよ。彼に会えるの、楽しみにしてたので」

奏多はそう言うと、総監室を出た。その顔には笑みが浮かんでいた。

 

♣︎♣︎♣︎

〜咲良side〜

 夜の22時、僕は南條サン、レンレンの3人でエレクトロにきていた。本当は2人で行く予定だったのだが、レンレン曰く、

「聞いてしまった以上、ほっとけない」

らしい。優しい親友だ。レンレンがメダルゲームに勤しんでる中、僕と南條サンは2人でUFOキャッチャーで遊んでいる。南條サンが聞く。

「そろそろ仕掛けるか?」

「そうだね〜もう少しで獲れそうだ」

僕が答えると、南條サンに頭を叩かれた。

「真面目にしろ。守条咲良」

「え〜せっかくのゲーセンだよ。もうちょっと楽しもうよ」

僕はボタンを縦のボタンを離す。アームが景品の場所をずらし、景品が落ちた。南條サンが回収する。僕はビニール袋を持ってきて、景品を入れた。ふと、騒ぎ声が聞こえた。僕と南條サンは顔を見合わせた。

「今の、メダルゲームの方だ」

「レンレンが気になる。行くよ」

僕と南條サンはメダルゲームのコーナーに向かうのだった。

 

♣︎♣︎♣︎

〜蓮side〜

 咲良と南條ちゃんに、メダルゲーム中に妨害するからと言われて数分。全然仕掛けてこなかった。もしかして、俺を巻き込みたくないとか考えてないよな?そう考え、咲良のケータイに電話をかけようとした時だった。3人のヤンキーが俺に話かけてきた。

「ねぇ、あんちゃん。ちょっとこの台譲ってくんね?」

「今、途中なんで、勘弁してください」

「あのねぇ君、」

1人のヤンキーが隣の筐体を蹴る。

「これはお願いじゃなくて命令なの。いいから譲れ」

ヤンキーは俺の胸ぐらを掴むと、無理矢理俺が使ってた台で遊ぼうとした時、

『お前らは遊んでる奴の邪魔をした。お前らに裁きを下す』

その声が聞こえて、俺は古いスロットの筐体をみる。筐体から、サソリを模した人型の怪物が現れた。俺は急いで距離をとる。怪物がヤンキーを襲う。

『お前らは、、、死刑だ』

怪物の尻尾がヤンキーの内の1人を突き刺そうとした時、1発の銃弾がそれを防いだ。銃弾が飛んできた方向を向くと、見知った人物が現れる。

「南條サン、ナイス〜」

「これぐらい普通だ。守条咲良」

「南條ちゃん!咲良!」

信用できる後輩と親友が助けに来たのだった。

 

♣︎♣︎♣︎

〜咲良side〜

 悪霊、スコーピオンエビルだろうか?は、僕たちに尻尾を向ける。尻尾から垂れた液体が床を溶かした。南條サンが僕に言う。

「スパイダーエビルの毒針とは大違いだ。気をつけろ」

「おっけー。僕に任せなー」

僕はベルトを装着する。ベルトを見た悪霊が大笑いした。

『ギャハハハハ!また命知らずの死神が来たぜ!俺に殺されるとも知らずにさ!』

悪霊が尻尾を僕に突き刺そうとするが、僕はそれを避け、カードをベルトに挿入する。

『ラビット』

僕の背後に黒装束でウサギのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

僕は軽く深呼吸し、

「変身」

鎌で真ん中の水晶を割る。

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり、僕に装着される。

『ラビットグリム』

僕はバックステップで下がる。グリムソードガンの銃口をやつに向ける。

「覚悟しな。今宵は死神の時間だよ」

僕は引き金を引くのだった。

 

♣︎♣︎♣︎

 

 悪霊は弾丸を避けると、右手の鋏で攻撃してくる。僕はグリムソードガンを剣に変形させ防御。そのまま拮抗する。

「片腕でこのパワー、、、こりゃ、結構ヤバいね〜」

『俺の武器は鋏だけじゃないぞ!』

尻尾が上から襲来して来たのでバックステップで避ける。毒液の影響か、床が溶けた。

『今までの死神と違い、この場所でお前を殺すのは無理そうだ』

「じゃ、表に出ようぜ〜」

僕は悪霊を蹴飛ばして壁を突き破り、外に出るのだった。ごめん店長。

『貴様!よくもここの壁を壊したな!』

「入口の自動ドアから出るより、こっちの方がかっこいいと思ってね。反省してるよ。でも後悔はしていない」

僕は仮面の奥でドヤ顔する。後ろで南條サンがため息をついていた気がするけど気のせいだろう。僕は剣を銃に変形させ、連写した。悪霊は尻尾で銃弾を弾いている。尻尾の攻撃をバク宙でかわし、着地前に発砲。奴はかわすと、鋏の腕で僕を殴る。

「うわぁああああぁぁぁあああああああぁああああ!」

僕は吹っ飛び、地面に伏す。

『お前、なかなかやるな。だがここまでだ』

尻尾が僕に迫る。僕は起きあがろうとするが体が起き上がらない。針が当たる寸前、僕の目の前で止まった。

『チッ、時間か』

悪霊の体が透けかけていた。悪霊は夜にしか行動ができない。だが、その夜の間に行動できる時間にも限りがある。奴が透けかけてるのがその証拠だ。悪霊はゲーセン内に戻り、古いスロットの筐体の中に戻る。僕はベルトの鎌を上げ、水晶を元に戻し、カードを抜く。変身が解除され、僕は守条咲良の姿に戻った。レンレンが僕に駆け寄る。

「おい咲良!?大丈夫か?」

「平気平気〜」

南條サンの方を見る。どうやら本部に連絡をとっているようだ。通話を終え、僕に伝えた。

「本部からの指示だ。あの悪霊には手を出すな」

「え?」

僕は唖然とするのだった。

 

♣︎♣︎♣︎

 

 次の日、僕は無断で同好会をサボっていた。ファストフード店でハンバーガーを食べながら、昨日言われたことを思い出す。

『本部はスコーピオンエビルを危険悪霊とし、討伐禁止とした』

『これは総監の命令だ。出張の身とはいえ、守条咲良、お前も本部の死神だ。従ってもらうぞ』

「そう言われてもなぁ、、、」

ケータイを取り出し、チャットを開く。南條サンからメッセージが来たが、既読無視した。ハンバーガーを食べ終え、店を出ようとすると、誰かに話しかけられた。

「相席、いいかい?」

「いや、そろそろ帰るんだけど」

その人は背が高く、細身で、美形のイケメンだった。

「俺がキミと話したいんだよ。死神コード:R、守条咲良」

コードを知ってる?ということはこの人は、

「俺は蛇芽奏多。死神コード:I。現状、最強の死神さ」

最強の死神は、旧知の友人のように僕に話しかけたことを、僕は忘れないだろう。

 

♣︎♣︎♣︎

 

 彼の事は南沢支部にいた頃から聞いている。曰く、10人の死神が協力しても倒せない悪霊を1人で殲滅。曰く、強さとカリスマ性で慕う死神は2桁を超える。曰く、

「あ、このバーガー今日までらしいよ。食べようよ」

コミュニケーション能力が高く、いつの間にか彼と仲良くなっている。

「それ、あんまり美味しくなかったよ」

「え!?マジ!?じゃあチーズバーガー」

「僕はパインシェイク」

品物を待っている間、僕は彼になぜここに来たか聞いてみることにした。

「なんで最強の死神がこんなところにいるの〜?」

「南條助手から聞いたんだよ。守条咲良がサボってるから連れ戻せって言われたんだ」

そういうことか。まぁ、戻る気はないけど。

「安心してよ。彼女には黙っておくから。友達だろ?」

彼は今さっき届いたチーズバーガーを食べながら言う。僕もパインシェイクの吸う。

「でも、僕がここにいるってわからないでしょ?」

「普通はね。でも俺やキミは違う。死神と死神は、感覚でわかる」

彼は朗らかに笑う。僕は彼に人の良さを感じ、さらに、彼に呑まれるのではと恐怖する。

「聞いたよ。スコーピオンエビルと戦ったんだって?」

「まぁね〜。結構強かったけど」

「残念だったね。再戦許可は出なかったよ」

そう言って彼はスマホ画面を見せる。

【死神コード:Iに命じる。死神コード:Rの行動を監視及びスコーピオンエビルとの戦闘を阻止せよ】

「そっか、、、」

僕は少しがっかりする。ふと、彼がつぶやいた。

「そういえば、今夜は南條助手と一緒に本部に呼ばれてたんだった。こりゃ、今日の監視は無理そうだ」

僕はニヤリと笑う。

「そりゃ、バカな死神が命令違反しても、止める奴がいないね」

「あぁ、確かにね」

2人して笑った後、僕はシェイクを。蛇芽はハンバーガーを片付けるのだった。

 

♣︎♣︎♣︎

〜三人称side〜

 陽炎東街にあるゲーセン『エレクトロ』。その入口の前に1台のバイクが停まる。バイクから1人の少年が降りる。少年はゲーセンの外壁の一部。ベニア板の部分に蹴りを入れ、壁を壊した。その穴から少年はゲーセン内に入る。

「いやー、臨時休業でよかった〜」

少年、守条咲良はそのまま古いスロットの筐体へ向かう。スロットに辿り着いた咲良は、スロットに向かい、

「悪霊さーん、リベンジに来たよー」

『ほう、懲りずに来たらしいな』

「そりゃそうでしょ〜。あのままで引き下がれるほど、僕は大人じゃないよ〜」

咲良はベルトを装着する。悪霊が筐体から出てきた。

「じゃ、表にでなよ」

咲良とスコーピオンエビルは穴から外に出る。咲良は軽くストレッチすると、カードをベルトに挿入した。

『ラビット』

咲良の背後に黒装束でウサギのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

「変身」

咲良はベルトの鎌で水晶を割る。

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり、咲良に装着される。

『ラビットグリム』

変身した咲良は悪霊の方へ向く。

『さぁ、こいよ』

「リベンジマッチだ。今宵は死神の時間だよ」

悪霊は駆け出し、モルテはゆっくりと歩むのだった。




暗闇に包まれたゲーセン『エレクトロ』に死神、守条咲良が再び現れる。咲良と悪霊の掟破りの再戦をキミは見逃すことができるのか!次回、仮面ライダーモルテ♯4再戦
「なぁ、咲良。なんでお前は死神になったんだ?」

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