仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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 男は村から遠く離れた小屋に住んでいた。男を訪ねた少年は男から悪霊を倒す方法を聞く。男曰く、
『悪霊は黒魔術から生まれた』
曰く、
『黒魔術から生まれたモノは黒魔術から生まれたモノでしか倒せない』
黒魔術は禁忌と呼ばれた技術であり、扱うモノは少ない。だが、希望は見えた。少年の黒魔術師への修行が始まる。
『旧約 死神録 少年の弟子入り』より。


♯6御成

 孤児院から少し遠くの公園。僕たちは花見を楽しんでいた。僕はおにぎりを食べながら桜を眺めていた。なおちゃんがジュースを両手に僕に話しかけてきた。

『はい。パインジュースでよかったよね?』

『うん。ありがとう』

僕はなおちゃんからジュースを受け取る。なおちゃんは僕の隣に座ると、

『綺麗だね』

と言った。僕は、

『、、、綺麗だね』

と答えた。齢11の春。僕はあの時、桜じゃなくてキミを見ていたんだ。

 

♣︎♣︎♣︎

 

 陽炎スタジアム。姫雛鳥のライブが行われる場所だ。今日は会場の下見に来たらしい姫雛鳥の護衛をしている。空鈴サンが僕に話しかける。

「どう?いい感じじゃない?」

「うん。陽炎街にもこういうスタジアムあるんだね〜。田舎出身だから分からなかった」

前まで住んでた南沢にはこんなデカいスタジアムはおろか、ゲームセンターもあまりなかった。

「へぇ、都会に住んでそうなのにね」

後ろから話しかけてきたのは天真爛漫が売りの田井中ヒメ。姫雛鳥のもう1人のメンバーだ。

「まさかキミがあのネットニュースで話題になってる仮面ライダーとはね〜」

有名人の2人が知っているんだ。僕も有名になった物だな〜。1人で優越感に浸っていると、

「その一件で南條助手が怒られたのは知ってるよね?」

高身長イケメンに話しかけられる。

「そういえば、アンタもお目付け役だったね」

彼は蛇芽奏多。最強の死神って言われる男。詳しいことは♯3を見てね。蛇芽は僕に1枚の書類を見せる、

「コレ、2人が見つけた矢の解析結果だよ」

【解析の結果、純度100%のエビルパウダーを確認。E.K科学調査部門は各地の死神に矢の捜索又は破壊を命じる】

「命令も混じってるよコレ」

僕はうんざりして書類を返す。空鈴サンが僕に聞いてきた。

「エビルパウダーって何?」

「物から強制的に悪霊を生み出す粉だよ」

その粉をかけた物は、人間の悪意を感じる感じないに関係なく悪霊が生まれる厄介な物。死神の仕事の中には悪霊退治の他にエビルパウダーの捜索もある。まぁ僕は粉探しはしてないけどね。蛇芽が付け加える。

「厄介なのが、その粉を人間が浴びると悪霊に変わるんだよ」

「悪霊に!?」

エビルパウダーを誤って浴びてしまった研究員が悪霊に変わってしまった事件が数十年前に起こったらしい。悪霊は倒されたが、研究員はもとには戻らなかった。その事から、エビルパウダーの危険性はグッと上がったと言えるだろう。大体見学が終わったところで、僕はふと踊りたくなった。

「少し、ステージ借りるよ」

僕はステージまで駆け出し、ステップを踏むのだった。

 

♣︎♣︎♣︎

〜ヒナside〜

 彼の踊りを一言で表すとするならば、「蝶」だろうか。華麗に舞い、人々の心を癒す。そんな蝶だろう。私は彼の踊りに一目惚れしたんだ。ヒメが興奮した様に言う。

「凄い!アレ、マスターするまでものすごい時間かかったのに!」

「彼、センスのかたまりだから」

蛇芽さんがそう言う。彼の視線は踊り続けている守条くんに釘付けだ。

「守条くんは今までの経歴が不明なんだ」

「不明?」

ヒメが首を傾げる。

「彼が12歳の時に組織に入って、1年で死神に変身できるようになった。本当はあり得ない。短くて3年。長くて10年はかかるんだ」

蛇芽さんは続ける。

「さっき言ったでしょ。彼の経歴は不明だって。彼の事は誰も知らない。彼も口を割らない。一体、どんな生き方をしたら、あんな才能が身につくんだろうね」

蛇芽さんの目に守条くんはどう写ってるのだろう。ヒメは感動した様に、蛇芽さんは羨ましそうに彼を見るのだった。

 

♣︎♣︎♣ ︎

 

 スタジアムの帰り、ヒメは蛇芽さんに任せて私と守条くんは一緒に帰っていた。蛇芽さん曰く、

「2人を別れさせた方が敵を多く倒せる」

だそうだ。私はふと気になった。彼は死神になる前はどの様に生きてきたんだろう。彼に聞こうとした所で、彼がふと立ち止まった。彼が言う。

「そろそろかなぁ。空鈴サン、わかってると思うけど」

「うん。キミから離れないよ」

昨日と同様、私は彼の裾を掴む。何処かから羽根の様なモノが飛んできた。彼は私を引き寄せると、銃で羽根を撃ち落とした。

『やるね。まさか全弾落とすなんて』

「楽勝〜。で、キミも矢を狙いにきたの?」

守条くんの問いに敵が答える。敵の見た目はコウモリを模していた。

『そうだ。あの矢で我々が世界を征服するんだ!』

怪人が再び羽根を飛ばす。守条くんが再び撃ち落とした。

「キミたちの世界征服には興味ないね」

そう言うと、守条くんはベルトを装着すると、カードをベルトに入れた。

『ラビット』

彼の背後に背後に黒装束でウサギのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

「だって、僕が阻止するからね。変身」

ベルトの鎌で水晶を切った。

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり、守条くんに纏われる。

『ラビットグリム』

仮面ライダーに変身した彼は怪人に銃口を向ける。

「始めようか。今宵は死神の時間だよ」

 

♣︎♣︎♣

〜ヒメside〜

 私の隣で歩く彼を横目で見る。彼は私の目線に気づくと、私に微笑む。私は彼の手を握る。彼は驚いた様に問いかける。

「いいの?ファンに見られたら刺されそうなんだけど」

「蛇芽さんが守ってくれるよね?」

「そりゃ、もちろん」

彼は手を離す事なく歩いてくれる。それを嬉しく思い、ほんの少しの罪悪感を感じる。ふと、彼が立ち止まった。空は既に暗くなっている。空からコウモリを模した怪人が現れる。

『貴様だな。吾輩の同胞を殺したのは!』

「昨日のアレはキミの仲間だったんだ。えらく弱かったから倒しやすかったよ」

蛇芽さんは腰にベルトを装着した。私は昨日のアレと言う言葉が気になった。そういえば、昨日はヒナは襲われたらしいが私は襲われなかった。まさか、、、

「あーあ、、、人知れず守るのが正義の死神のやり方だったのにバレちゃったなぁ」

蛇芽さんはベルトにカードを入れる。

『スネーク』

背後に黒装束でヘビのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

蛇芽さんは右手でフィンガースナップをした。

「変身」

ベルトの鎌で水晶を割った。

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり、蛇芽さんに纏われる。

『スネークグリム』

蛇芽さんが変身したのは、ネットニュースに載っていた仮面ライダーに似ているけど別物の仮面ライダーだった。蛇芽さんが敵に言う。

「行くぜ。正義の死神の御成だ」

彼は鎌を召喚すると、ゆっくりと怪人に向かって歩き出すのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 コウモリの悪霊、バットエビルは空を飛びまわって僕の弾丸をかわしていた。

『当たらないねぇ』

「あーもう、ちょこまかと〜」

僕が跳び上がろうとすると隠れている空鈴サンに攻撃してくるので無闇に動けない。めんどくさい相手だ。

『死にたくなかったら矢を渡せ!まぁ、渡しても殺すけどな!』

カチンときた。僕は空鈴サンのもとまで行くと、銃を剣に変形させて空鈴サンに渡す。

「羽根が飛んできたらコイツの腹を羽根に向けて防御して」

「え!?キミはどうするの!?」

「あの羽を再起不能にさせてくる」

僕は空鈴サンにそう言うと、ベルトの鎌を上げ、ラビットのカードを抜き、ホルスターから取り出したスパイダーのカードを挿入する。

『スパイダー』

背後にクモの骸骨が現れる。

『ARMS READY?』

「アームド」

鎌を下ろす。

『グリムアームド』

クモの骸骨が装甲の一部に変わり、自分の装甲の一部と入れ替わる。

『アームドスパイダー』

僕はラビットグリムの脚力で跳び上がると、奴の首目掛けて右の手の平から糸を出す。糸を巻きつけると、奴の上に乗る。

「僕を怒らせたこと、後悔するんだね」

僕はナイフで羽を斬り、悪霊を墜落させた。僕は落ちる寸前に飛び降りたのでなんとか着地した。

『き、貴様ー!よくもー!』

「やっと僕のフィールド上で戦えるね」

僕は鎌を上げると、スパイダーのカードを取り出し、ホルスターから取り出したシャークのカードを挿入する。

『シャーク』

背後にサメの骸骨が現れる。

『ARMS READY?』

「アームド」

鎌を下ろす。

『グリムアームド』

スパイダーの装甲が外れ、サメの骸骨が変化した装甲と入れ替わる。

『アームドシャーク』

僕は鎌を上げると、両腕のヒレにエネルギーが迸る。

「行くよ」

鎌を下ろす。

『シャークアームドアタック』

僕は勢いよく走り出すと、ヒレで悪霊を斬り裂いた。

『我の目的は果たした。女の片割れは無惨に死んでるだろうな!』

悪霊はそう言うと、断末魔を上げて爆散した。

「その事は大丈夫。ゆっくりお眠り」

 

♣︎♣︎♣

〜奏多side〜

 俺は悪霊、バットエビルが空へ飛び立つ前に羽を攻撃。飛び立つのを防いだ。

「キミに飛ばれる訳にはいかないんだ」

俺は鎌で悪霊を斬りつけていく。悪霊が羽で防ぐが、それを弾いて蹴りを放つ。そして鎌で一閃。

『ち、ちくしょう!負ける訳にはいかないんだよ!』

悪霊は羽にエネルギーを迸らせると、俺に向かって走り出す。死を覚悟した攻撃だろう。これは受けなければ、対峙している相手に申し訳がたたないだろう。最も、それは人間相手ならの話である。僕はカードをベルトから抜くと、鎌に挿入する。

『スネーク』

鎌の刃にエネルギーが迸る。

『スネークグリムスライス』

悪霊の攻撃をかわすと同時に刃を悪霊に突き刺す。

「さよなら」

俺は刃を抜き、悪霊を斬り裂いた。

『な、、、んで、、、』

悪霊は爆散した。

「正義の死神の罰だ」

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 蛇芽から悪霊を倒したという連絡を受け取り、空鈴サンを安心させた後、空鈴サンをホテルまで送った帰りに蛇芽と遭遇した。今は蛇芽と学生寮近くの自販機でオロナミンCを飲んでいる。

「、、、なんでオロナミンC?」

「死神の基本だよ。頑張った後はオロナミンCで乾杯する事」

そういえばオロナミンCで乾杯してた死神が多かったな。ふと、僕は今までに気になったことを聞いてみる事にした。

「ねぇ、悪霊の周期って1ヶ月に1体だよね?」

「基本的にはそうだよ」

予想通りの答え。なら、この問いにはどう答えるのだろう。

「悪霊の活動が活発なんだけど、なんでなの?」

「!?言われてみれば、、、」

蛇芽は驚いている。僕は続ける。

「悪霊の大量発生の時期は過ぎてるよね?」

「あぁ、1年前にとっくに」

蛇芽は何が起きてるんだ、、、と呟いている。僕はオロナミンCを一気飲みし、思考を続けるのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 そして翌日の放課後。僕は何故か南條サンの前で正座していた。

「何故この状況になっているか、わかるよな?」

「いや〜、心当たりが多すぎてわからないね」

南條サンのゲンコツを避け、僕は正座を解く。長時間も正座してられないからね。南條サンが僕に聞く。

「なんで矢のことを黙っていた?」

「さぁ?なんでだろうね」

僕ははぐらかすと、レンレンと入れ違いに部室を出る。そしてそのまま空鈴サンの待ち合わせ場所に向かうのだった。

〜期限まで、後2日〜




次回予告
 守条咲良の前に現れた男、明神麗央。彼は名古屋支部からきた死神だった。獅子の力を扱う彼。そして守条咲良の元に新たな武器が与えられる。次回、仮面ライダーモルテ♯7獅子
「獅子に喰われる覚悟はできたか?」

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  • 守条咲良(仮面ライダーモルテ)
  • 南條美澄
  • 南雲蓮
  • 蛇芽奏多(仮面ライダーサマエル)
  • 空鈴ヒナ
  • 田井中ヒメ
  • 速水心花
  • 明神麗央(仮面ライダースコール)
  • 楠神真琴(仮面ライダーサリエル)
  • 冴島灰馬(仮面ライダーオルクス)
  • アリス(エビルライダー)
  • ジン
  • アキネ
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