仮面ライダーモルテ   作:紅坂 絡

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 少年が黒魔術の修行を始めて数年の月日が経った。黒魔術の中で禁忌となる降霊術を行える年にまでなった頃には少年はすでに上級黒魔術師として名のある存在となっていた。日々を過ごしていくうちに少年は師匠の言葉を思い出す。曰く、
『黒魔術から生まれたモノは黒魔術で生まれたモノでしか倒せない』
少年の心には闇の波動が渦巻いていた。
『旧約 死神録 闇の波動』より。


♯7獅子

 8月のとある日の事、僕たち孤児院の子ども達は夏休みの学校のプールで各々遊んでいた。僕はプールに仰向けで浮かぶ。波の音が周りの静けさをかき消していく。まるで、この世界は僕しか存在していないかの様に、、、

『わっ!!』

『うわっ!?』

驚いた僕は沈んでしまい、慌てて浮かび上がる。してやったりという様に、なおちゃんが笑っていた。

『あっちでみんなと遊ぼうよ!ビーチボール持ってきたんだ!』

『わかった。みんなで遊ぼっか!』

齢11の夏。1人の世界でも、なおちゃんならきっと見つけてくれると分かった夏だ。

 

♣︎♣︎♣

 

 ようやくの日曜日。僕は陽炎西街にある高台の公園でのんびりとしていた。南條サンから同好会に来いというチャットが来てたが既読無視して高台からの景色を楽しむ。こんないい天気の日に室内で来るかもわからない依頼人なんて待つなんて勿体無い。と、いう訳で僕はシニガミバイク(グリムストライカー)でツーリングしようと考えてた所だ。

「青い空、白い雲、いい天気〜」

昼間は特に護衛する用事がないので存分に景色を楽しめる!と思っていたのに、、、

「バレてるよ。気配消すの相変わらず下手だね」

「、、、バレてたか」

後ろから出てきたのは金髪で褐色肌の少年だった。少年は僕の肩を強引に組んできた。

「相変わらずちっこいのう咲良〜。まだワイの身長が越される心配はないなぁ」

「人の地雷を踏み抜くのが上手になったね。麗央」

明神麗央(みょうじんれお)。名古屋支部に所属する死神だ。ちなみに僕と同い年。関西弁かエセ関西弁かどっちかわからない話し方をするが、彼はれっきとした東京生まれである。そんな彼が何故陽炎街にいるんだろう。

「聞いてへんのか?ワイも本部の死神になったんや!仲間同士、仲良くしようやないか!」

「え〜、1人の方が楽なんだけど、、、助手も雇えって言われたけどだるいし、、、」

「相変わらず助手は雇いたくないんやな」

死神助手というのは、死神の戦いをサポートする存在。南條サンがその例だ。主に死神になる前に経験するらしいが、僕は優秀なのでやったことはない。

「ま、僕は強いから問題ないね」

「本当に強いからムカつくんよなぁ」

麗央は僕のバイクの隣に停められてたバイク(ステッカー付きのグリムストライカー)にまたがると、

「ま、再会の祝いにラーメンでも食いにいこか」

と言い、バイクを走らせたのだった。

「、、、ほっとこ」

僕はあらかじめ買っていたホットドッグを食べるのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 結果、捕まった。

「長年の友を見捨てるなんてひどいやんか〜」

「友じゃない」

僕がいつ麗央と友達になったんだろう。今いるラーメン屋も無理矢理連れてこられたというのに。ムカついたので麗央の豚骨ラーメンにめんまを入れてやった。

「好き嫌いしてたら、大きくなれへんで」

「ゔっ」

そこには触れないでほしい。麗央がカバンから1本の矢を取り出した。矢は悪意を遮断する袋の中に入っていた。

「お前もこれ、探してんのやろ?」

「まぁね〜。成り行きで」

「やと思った。お前が自主的に頑張る事なんてないもんな!」

ガハハと麗央が笑う。ムカついたのでネギも入れてやる。

「好き嫌い禁止」

「はい、、、」

ネギを元に戻された。僕たちは雑談をしながら、ラーメンを味わうのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 夕方になり、麗央と別れた僕は空鈴サン達が泊まってるホテルにそのまま向かう事にした。何気に休日に向かうのは初なので、私服が見られてしまう。そんな事を考えながらバイクを停めると、隣に僕と同じ見た目のバイクが停められた。バイクの持ち主はヘルメットを脱ぐ。

「やぁ。休日は楽しかったかい?」

「まぁね」

バイクから降りた蛇芽は僕に1枚のカードを渡す。

「スコーピオンのカード。有効活用するようにって本部長が」

「さんきゅ。御堂サンに感謝だね〜」

スコーピオンのカードをホルスターに仕舞い、僕たちは2人の元へ向かう。エントランスに来たところで騒がしい声が聞こえた。

「それでな、ワイが言ってやったんや!ゆっくりお眠り、、、てな!」

「明神くんかっこいい〜!」

声の主は空鈴サンの相方である田井中ヒメサンとさっき別れたはずの男。

「よ!さっきぶりやな咲良」

「なんでいるの、、、っていうか、ゆっくりお眠りは僕の台詞だし」

麗央はそういうと僕の肩を組む。

「そう言いなさんなや。今日はワイも参加するで〜。嬉しいやろ〜」

「別に」

むしろ迷惑。

「まぁまぁ。戦力が増えるのはいい事だよ。それに、俺も明神くんと会ってみたかったんだ〜」

蛇芽はそういうと、麗央と握手した。田井中サンは蛇芽と麗央と仲良くできてる様だ。アレ?馴染めてないのって僕だけ?

「ヒナ遅いね〜。何かあったのかな?」

不安に思い、僕は空の様子を確認する。空はとっくに暗くなっていた。僕は田井中サンに聞く

「空鈴サンはどこに?」

「確か部屋に、、、」

『その子なら誘拐させてもらったよ』

声が聞こえた方へ振り向くと、そこにいたのは前にあったマントの奴だった。

『そろそろ名乗っておくよ。私の名前はアリス』

奴はマントを脱いだ。マントの奥にいたのは、黒のシンプルなワンピースを纏い、顔に銀の仮面をつけていた。

『空鈴ちゃんを救いたかったら21時に陽炎東街はずれの廃工場においでよ。た・だ・し、モルテ1人でね』

アリスと名乗った女はそう言うと消え去った。田井中サンは膝から崩れ落ちた。蛇芽が田井中サンを支える。

「ヒナ、、、ヒナ、、、」

「大丈夫。絶対助けるから」

僕は田井中サンを蛇芽に任せることにし、駐輪所に向かう。バイクに乗り、バイクのアクセルを吹かせ、走らせるのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 バイクを走らせながら、僕はどうやって空鈴サンを助けようか考えていた。21時まで後3時間ある。何も考えずに廃工場に向かったのは失敗だったな。すると、僕の隣に、ステッカーが貼られたグリムストライカー。まさか、、、

「気をつけや!敵さんが来るで!」

麗央の言う通り、正面からサイに似た悪霊が立ちはだかっている。僕たちはバイクを停止させる。周囲の車は思ったよりも少なかった。バイザーをあげて麗央が言った。

「コイツはワイに任せや。お前は一旦、本部に戻るんや」

「本部に?なんで?」

バイザーを上げて僕が聞くと、麗央がニヤリと笑って答える。

「お前のバゼラード。直ったらしいで」

「本当!?」

麗央は頷いた。これならアリスにも勝てるかもしれない。

「じゃ、任せたよ」

「あぁ。任せとき!」

僕はUターンし、その場から引き返すのだった。

 

♣︎♣︎♣

〜麗央side〜

 ワイは咲良が引き返したのを見届けると、悪霊に目を向ける。悪霊は拳同士をかち合わせた。

『貴様、見ない奴だな。貴様も死神か?』

「その通り!ワイが知る人ぞ知る名古屋最強の死神や!」

ワイはグリムバックルを装着すると、カードを挿入する。

『ライオン』

背後に黒装束でライオンのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

「変、身!」

鎌を下ろして水晶を割った。

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり、ワイに纏われた。

『ライオングリム』

死神、スコールに変わったオレは奴に武器である『グリムガンブレード』を突きつける。

「獅子に喰われる覚悟はできたか?」

オレは奴にゆっくりと歩むのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 サイの悪霊、名付けるとするならばライノスエビルだろうか。オレは奴の拳の攻撃をガンブレードの腹で受け止めていた。

『さっきから防御ばっかりじゃねーか!戦う気あんのか!』

「そこまで言うなら、次はオレから攻撃してもいいんだぞ」

オレは奴の胴体をガンブレードで斬撃するが胴体が硬いのか、跳ね返されてしまった。なるほど。咲良を撤退させたのはどうやら正しい選択みたいだった。

『俺の身体に傷をつけられる奴はいなんだよ!』

「だろうな。オレ以外にはな」

オレは再びガンブレードで攻撃する。さっきと違い、胴体に攻撃が当たった瞬間、オレは引き金を引いた。刃先が振動し、敵の胴体を斬り裂いた。

『ぐはぁっ!お、、、俺の身体を斬り裂いただと、、、』

「これがグリムガンブレードの力だ」

元々ガンブレードというのは銃と剣が一体化した様な武器。攻撃の際に引き金を引くと、刃先が振動し大きなダメージを与えるという武器だ。決して銃弾が出る訳ではない。普通は存在しない武器を兵器製造部のお偉いさんが作りやがった。性能が気に入ったのと、他に使いたいやつがいなかったからオレが使うことになったのだ。

「どうした?もう終わりか?」

『クソォ、、、負けてたまるかー!』

ライノスエビルは突進を仕掛けてくる。おそらく頭のツノでオレを突く気なのだろう。オレはそれをかわすと、ガンブレードのカードスロットにカードを挿入する。

『ライオン』

ガンブレードの刃先にエネルギーが迸る。

『ライオングリムブレイク』

オレは奴に連続剣を喰らわせる。引き金を引いたことで発生する振動も相まって奴に大きなダメージを与えた。

『クソォ、、、だが、お前ら死神は、、、アリス様に倒される運命なのだー!』

そう言うと、奴は爆散した。

「ふぅ、、、疲れた〜ワイはやっぱこっちの方が向いとるわ」

 

♣︎♣︎♣

〜咲良side〜

 本部の兵器製造部の部屋まで行く途中に南條サンに会ったので一緒に行くことにした。南條サンは僕に質問する。

「なんで同好会に来ない?アレはお前の為に作ったんだぞ」

「僕が気まぐれなの、知ってるでしょ」

そんな事を話してる間に目的地に着いたみたいだ。僕はスキャン装着にスマホを読み込ませる。

『スキャン成功』

『E.K陽炎街本部所属、死神コード:R、守条咲良、確認』

『入室、許可します』

僕は扉を開き、部屋に入る。室内には御堂サンと兵器製造部のヒゲを生やしたジイサンがいた。

「守条くんだね。ワシは神谷充(かみやみつる)。お前さんのバゼラードじゃが、、、ちょいと改造させてもらったぞ」

改造?兵器製造部の男性職員がバゼラードを持ってくる、、、あれ?

「ちょっとどころか、だいぶ改造してません?僕のシニガミバゼラード」

「『グリムバゼラード』じゃ!変な名前をつけるでない!」

元々あったカードスロットの上に溝が追加されている。矢印がある事から、恐らくカードをスラッシュさせて読み込ませるのだろう。だが、僕にはそれ以上に気になった場所があった。

「持ち手とスロットが一体化してるのも気になるけど、その中に入ってるカード何ですか〜?」

僕の質問に答えたのは御堂サンだった。

「それは、死神を進化させるカードだ」

攻撃を繰り返すことでエネルギーがチャージされ、カードが抜けるようになる。そのカードをベルトに挿入することで新たなモルテに変身できるらしい。

「この『スターグリムバゼラード』キミの為を思って改造したのだが、迷惑だったかい?」

僕は軽くバゼラードを回し、近くにいた男性職員の服を斬り裂いた。

「最高ですよ。ありがとうございます」

「き、キミ!何するんだー!」

服を斬られてパンイチになった職員が僕に叫ぶ。隣の南條サンは顔を隠すが、指の隙間を開けている。キミ、あぁいう感じの人なんだね。僕はバゼラードを回しながら部屋を出る。南條サンもそんな僕に着いてくるのだった。

 

♣︎♣︎♣

 

 シニガミバイクを走らせて東街はずれの廃工場へ向かう。僕の後ろには南條サンが僕の腰にしがみついていた。南條サン曰く、最近戦いを手伝えてないかららしい。可愛いかよ。ただ、南條サンが強くしがみつくものだから背中に、、、何も感じなかった。

「失礼なこと考えてないな?」

「別に?南條サンがバイクに怯えてるのを見て笑ってやろうかな〜とか考えてないよ」

南條サンが強めに僕の後頭部を頭突きした。振動が伝わって結構痛い。危うくバランスを崩し掛けた。僕は煩悩を退散させて目的地へと急ぐのだった。

「初の2ケツは空鈴サンがよかったなぁ」

「ワタシで悪かったな」

 

♣︎♣︎♣

 

 廃工場に到着し、僕たちはバイクから降りてヘルメットを脱ぐ。南條サンに中に入らない様に伝え、僕1人で廃工場の中に入ると中にはアリスと、手首を縛られている空鈴サンがいた。空鈴サンは僕の名前を叫ぶ。

「守条くん!!」

「助けに来たよ〜空鈴サン」

僕は空鈴サンに軽く手を振り、視線をアリスに向ける。アリスの仮面の奥はどんな表情をしてるのだろうか。気になるところだが、それよりも空鈴サンの方が心配だ。

『安心してよ。この子に傷はつけてないよ。心配なら外の人と一緒に病院にでも行かせてあげなよ』

南條サンのことに気づいている?廃工場の中に南條サンが入ってきた。殺気ダダ漏れで。そりゃばれるよ。アリスが続ける。

『まぁ、この中にはキミ1人できたみたいだし、一応約束は守ってくれたみたいだからこの子は返すね』

アリスが空鈴サンを放り投げる。僕は落下地点を予測し、空鈴サンを抱き止めた。

「ちょ、ちょちょ、か、かかかか、守条くん////」

「大丈夫?」

空鈴サンの顔が一気に真っ赤になる。っていうか僕の心臓の鼓動もヤバい。推しを抱きしめちゃったよ。どうしよう本当に。脳内で軽く狼狽えていると南條サンが僕の頭にゲンコツを叩き込む。

「イッター!何すんのさ!」

「いつまでその状態でいるつもりだ」

あ、そうだった。僕は空鈴サンを南條サンに預ける。

「負けるなよ。守条咲良」

「が、頑張って!守条くん!」

2人はそう言うと立ち去った。僕はアリスに目を向ける。アリスは何処かからか矢を取り出した。

『どうしてキミをこんな廃工場に呼び出したと思う?』

「愛の告白、とか?」

僕がそう返すと、アリスの顔が真っ赤になる。

『ち、ちちちちち違うよ!まぁ、それはそれでアリだけど////じゃなくて!』

アリスが近くにあった廃棄された機械に矢を投げる。機械からゴリラに似た悪霊が出てきた。名付けるとするならばゴリラエビルという所だろうか。すると、奴の腕が大きくなり、拳から炎が噴き出たような気がした。

『ここには悪意を感じたものが沢山あるの。いわば私の巣。キミはここから逃げられる?』

「、、、ハーハッハッハ!」

僕は高らかに笑った。逃げる?そんな選択肢は最初から僕にはないというのに。それに、

「いいね!試し斬りにはピッタリだ」

僕はベルトを装着すると、ラビットのカードを挿入する。

『ラビット』

背後に黒装束でウサギのドクロの死神が現れる。

『ARE YOU READY?』

「変身」

『グリムアップ』

死神が装甲に変わり僕に纏わりつく。

『ラビットグリム』

モルテに変身した僕は悪霊にシニガミバゼラードを向ける。

「始めようぜ〜。今宵は死神の時間だよ」




 新武器『スターグリムバゼラード』で悪霊と戦う守条咲良。だが悪霊の力は強大で咲良は苦戦を強いられる。その時、助けに来たのは2人の死神だった!次回、仮面ライダーモルテ♯8決行
『あなたの処刑を決行する』

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